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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

レコード・コレクターズ 2019年1月号

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●書評
★『モリッシー インタヴューズ』


●リイシュー・アルバム・ガイド
★ファビュラス・プードルズ
・『理由なき反抗』
・『理由なき亀裂』
・『シンク・ピンク』

★ディン・A・テストビルト
・『廃棄物』
・『プログラム4』
・『プログラム5』

★ダウンライナーズ・セクト『ダウンライナーズ・セクト』

★クリエイション『ウィー・アー・ペインターメン』

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★SHOES『Black Vinyl Shoes Anthology 1973-1978』(CHERRY RED CRCDBOX60)3CD


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『モーターヘッド伝説』長谷川修平著

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MOTORHEADの40年の歴史と全アルバム22作を完全網羅したディスコグラフィー&ヒストリー本。
e-book(電子書籍)でロフトブックスからリリースされている。


執筆者の長谷川修平は、
レミー・キルミスター自伝 ホワイト・ライン・フィーヴァー』
(逝去直前の情報等加筆の重版がレミーの命日の12月28日発売。後日このブログで紹介予定)の、
日本語版の巻末の“補章”を寄稿したことでも知られる。

執筆者のブログ
http://motorhead.blog65.fc2.com/
を見てもわかるようにとても詳しい人である。
でも知識をひけらかすだけで“身内”しか相手にしてない“頭デッカチ”とは完全に一線を画す。
様々なMOTORHEAD実体験に裏打ちされながらも個人的な話は極力抑え、
MOTORHEADのことを深く理解していて視野が広いからこそわかりやすく綴り、
これぞ初心者からマニアまで!と言い切れる。


アルバム一つ一つを時系列で紹介しながらMOTORHEADの歴史を追っていく構成。
結成前のレミーをはじめとするメンバー個人の最低限の情報を盛り込みつつ、
あくまでもMOTORHEADに特化したヒストリーである。
77年のファーストから2005年の最終作までのオリジナル・アルバム22タイトルはもちろんのこと、
ライヴ・アルバム3タイトルや編集盤とカヴァー・アルバムを1タイトルずつ押さえ、
幻のデビュー作『On Parole』にも簡潔に言及。
シングル等で発表した曲も適度にフォローしつつ横道にそれず、
あくまでもストイックにアルバム単位で攻める潔い構成だからガンガン読み進められる。

アルバム全体のカラーや音作り等のみならず、
収録曲のほとんどに触れる曲解説も簡潔かつ丁寧に行ない、
曲調やサウンド、さらに適宜歌詞の内容も掘り下げている。
MOTORHEADやアートワーク担当者の意思がこもったジャケットの解説も非常にディープだ。
レコーディングのエピソードやリリース前後のツアーの模様も折り込み、
インタヴューや客観的事実で“裏”をとった考察にもうならされる。

ギターを弾いていたバンド経験者ならではの観点で、
ギターとベースとドラムの演奏に関して言及しているところもポイント。
もちろんMOTORHEADのプレイと同じくテクニカルに陥ることなく程良い内容だ。
<モータヘッドの愛器>や<レミーとロカビリ>というタイトルのコラムや
<来日公演記録 1982 -2015>の資料も興味深い。

一つのアルバムに対して長すぎず短すぎずの文章ヴォリュームも特筆すべきで、
満腹ちょい手前で“もうちょっと食べたい…”と思わせる量の中にアルバムの肝を濃密に凝縮。
スキャンダラスなネタを必要最小限に抑えたことでMOTORHEADの核も浮き彫りである。
MOTORHEADに真正面から誠実に向き合い、
さりげなくロックを感じさせるハードボイルドな文体と
さりげなくドラマチックな構成の文章にも、
MOTORHEADの血が流れている。

読み応え十二分の逸物だ。


★『モーターヘッド伝説』
69ページ。
Amazonキンドルと楽天koboで配信されている。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07L5KP2GW/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_bNNcCbAVQ536T
https://books.rakuten.co.jp/rk/3100a027350a30e190f8d0fbff95569e/


川島誠(makoto kawashima)『you also here』

川島誠


1981年に埼玉県で生まれて2008年にアルト・サックスを始めた音楽家、
川島誠の独演による計約54分のCD。
川島の思い入れの強いステージとスタジオでの個人練習の計4トラックが収録されている。


1トラック目は2016年12月13日の26分のライヴ。
東京・明大前駅そばのキッド・アイラック・アート・ホールの閉館直前に行なった演奏で、
実質的に50年以上アンダーグラウンドの“基地”だった場が無くなるのを悼むようにも聞こえる。
東京・明大前駅そばのアンダーグラウンドのもうひとつの“基地”といえば、
もともとフライヤーがベタベタ貼られた階段の2階だったレコード店のモダ~ンミュージックである。
店長の生悦住英夫はインディペンデント・レーベルのPSF Recordsを主宰し、
2014年3月にモダ~ンミュージックの店舗がなくなってからもリリースを続け、
川島の2015年のアルバム『Homo sacer』がPSFの最終作になった。

その生悦住が病気で他界する2ヶ月ほど前の演奏ということを思えば、
さらに無限の想いが湧き上がってくる。
東京・明大前駅そばのアンダーグラウンドの積年の念を吸い込んで川島が血と肉にし、
26分に凝縮して解き放ったかのようでもある。
空間いっぱいに広がる悠久の調べに痺れ、艶やかな音色にとろける。
たいへんおくゆかしく紡ぎ出しながら大胆に鳴る強靭な響き。
身を切るような魂の震え。
それでいて日本の歌謡や童謡、唱歌のような旋律も滲み、
インプロヴィゼイションと呼ぶには“歌”があふれている。
まさに侘びと寂びの哀歌だ。


2トラック目は
ニューヨークのダウンタウン・ミュージック・ギャラリーでの13分強のライヴ。
こちらは目の前で演奏されているような音で、
殴り込みじゃないがケンカをふっかけるような切っ先の鋭いブロウも飛び出し、
何度もカマしてくる。
アタック感が強くてパンチの効いた音での攻めのパフォーマンスながら、
むろん時に演歌にも通じる骨太の歌心が吹きすさび炸裂。
いい意味で“濁り”も解き放つかのような演奏であり、
アートというより土臭く泥臭く男臭く、
デリケイトにすすりなく音もまた川島らしい。

3トラック目は埼玉・川越のi.M.Oスタジオでの約2分のプレイ。
インタールードみたいにすばしっこく駆け抜ける。

そして10分強のラスト・トラックは埼玉・飯能アミーゴでの演奏。
文章を書く手を止めて聴き入ってしまう伸びやかな“歌”は、
キャッチーとは言わないまでもフック十分で心に残る。
もちろんシリアスなストロング・スタイルだが、
研ぎ澄ましながらチンドンのような庶民メロディで街中をうねりながら歩くイメージが浮かび、
川島の中に秘められたオチャメで快活な一面がよく表れたているテイクだ。

オススメ。


★川島誠(makoto kawashima)『you also here』(Homosacer HMSD-004)CD
紐綴じ用の留め具が付いた味のある厚手の黒紙封筒パッケージ仕様。
http://kanpanelra.wixsite.com/homosacerrecords


ミュージック・マガジン 2018年12月号

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●ヒュー・コーンウェル(元STRANGLERS」の新作『Monster』に関する原稿。


●アルバム・ピックアップ
★ラポン・シュポン『ラポン・シュポン生まれた』


●輸入盤紹介
BLACK TUSK『TCBT』
BLACK TUSK『TCBT』(SEASON OF MIST SOM 473D)CD


映画『L7:プリテンド・ウィ・アー・デッド』

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女性グランジ・ロック・バンドを代表し、
80年代半ば以降の“ハード・パンク・ロックンロール”を女性ならではの感覚でリードした、
LA出身のL7のドキュメンタリー映画。

http://theslits-l7.com/L7.htmlでバンドのプロフィールを書かせてもらったが、
映画自体にはあまり言及してないからネタバレ最小限にしてここで紹介する。


結成前夜から始めて紆余曲折を経た再編後の雄姿までを描いている。
懐かしの映像等を挿入しつつ
メンバーをはじめとする関係者の談話で進めるオーソドックスな作りながら、
スマホ以前の時代にもかかわらずメンバーらがマメに撮っていた赤裸々な秘蔵映像盛り盛りだ。
編集の妙味も手伝って彼女たちの猥雑な魅力も引き出され、
一度でもL7のファンになった方は観たら惚れ直すこと必至のくだけた佳作である。

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L7の“クラシック・メンバー”の、
ドニータ・スパークス(vo、g)、スージー・ガードナー(g、vo)、ディー・プラカス(ds)、
ジェニファー・フィンチ(b、vo)がもちろん映画でもメイン・アクト。
ジョーン・ジェット、シャーリー・マンソン(GARBAGE)、エクセンヌ・セルヴェンカ(X)、
ブロディ・ドール(DISTILLERS)、アリソン・ロバートソン(DONNAS)、
ルイーズ・ポスト(VERUCA SALT)
といった女性ミュージシャンたちもコメントを添えている。

基本的にはバンドの歴史を綴っていく流れである。
ダイレクトな訴求力を大切にした作りゆえにリリースなどの細かい説明は映画の中で省かれているから、
ちょっと補足しておく。
BAD RELIGIONのEPITAPH、
初期NIRVANAMUDHONEYなどのグランジ総本山のSUB POP、
XやGERMSがスタート地点のSLASH、
HIGH ON FIREのデビュー作などストーナー・ロック総本山だったMAN'S RUIN
といったレーベルからアルバムを出してきたバンドだ。
米国のパンクに根差した70年代後半からのUSアンダーグラウンド・ロックの流れを
90年代にパワー・アップさせた存在ということを象徴する事実であり、
しかもたくましい女性エキスたんまりだから向かうところ敵なし!なのである。

パンク・ロックとハード・ロックをフレンドした表現がL7の真骨頂。
それがサウンドだけでなく
ファッションや“ファック・ユー”アティテュードもひっくるめてということが、
この映画の随所にちりばめられている。

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ギターのピックやドラムのスティックではなく使用中のタンポンをフェスのステージ上から客の中に投げ、
“使用済み”らしい下着を日本ツアー中の物販で手売りし、
エレベーター内でメンバーが囲って一人の男性に露出狂的痴女行為をするなど、
随所にちりばめたフェチな攻めのシーンにL7の肝が集約されている。
はしたないといえばはしたないのだが、
セックスのスラングであるロックンロールが根っこのL7ならではの“快挙”であり、
L7の濃いサウンドの源泉だ。

と同時に中絶云々に対してのL7流の学級委員長的な行動を実践してきたことも、
しっかり収録。
FUGAZIやBIKINI KILLといった非ロックンロール・アティテュードの面々とも絡んできた。

以上の行為すべてひっくるめて、
あえてこの言葉を使うとすればただひたすらロックするということがL7流の“フェミニズム”であり、
馬鹿馬鹿しいキャラと真面目キャラの背中合わせで愛嬌たんまりなのがL7!なのである。

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知名度はあってもブレイクはしない“中途半端なポジションのバンド”ならではの苦悩も後半で滲み出す。
あけっぴろげで大胆なバンド・イメージが強く、
インタヴューで会った際の印象も実際そんな調子だったが、
繊細デリケイトな人たちでもある。
姉御肌のバンドだけにあまり弱みは見せられなかった様子もうかがえ、
2000年代初頭の解散間際のバンド状態がとても切ない。

家族に対する伝統的な意識や国家の社会的システムの違いか、
英国のバンドよりも家庭環境が少なからず影響しがちな米国のバンドならではの人生も顔を覗かせる。
豪快なキャラのバンドだからこそ、
某メンバーがふと漏らした“いわゆる女としてのしあわせ”の話にギクッとした。

でもL7はよりクールになって戻ってきた。
ニュー・アルバムも予定されている。

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この映画は同じ時期に同じ映画館で
『ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード』とともに上映される。
今回の“併映”を企画した関係者によれば特に比較云々は意図してなかったらしいが、
多少世代が異なる英米の女性バンドの対照的な道程に色々考えさせられもした。

マイペースで活動して5年ほどで止めたSLITSの“クラシック・メンバー”たちが
子ども産んで育てて云々という話をしているのに対し、
15年間コンスタントにライヴとレコーディングを続けてきたL7の映画はそういう話がほとんど出てこない。
5年以上の“時差”はありつつ各々自国のパンクに触発されたバンド同士とはいえ、
いわゆるアーティスティックなバンドとロックンロール・バンドの違いや、
英国のバンドと米国のバンドの置かれた状況や体質の違いなど、
両作品を観て色々と浮き彫りになった。

あっ、そうそう、本作の中で、
『ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード』でのSLITSのアリ・アップと同じように、
ドニータ・スパークスが駐車場で見せるハレンチなお馬鹿シーンもお見逃しなく。
二人とも同じような場所で同じような行為をしている。
やっぱりL7とSLITSはパンク・アティテュードの根っこで通じているのである。


★映画『L7:プリテンド・ウィ・アー・デッド』
2017年|アメリカ|87分|PG-12|原題 L7:PRETEND WE’RE DEAD
監督:セーラ・プライス
© 2017 BLUE HATS CREATIVE, Inc. All Rights Reserved.
【公式サイト】 THESLITS-L7.COM
【『L7:プリテンド・ウィ・アー・デッド』 twitter/facebook】 @L7moviejp
12月15日(土)より、新宿シネマカリテにて〈3週間限定〉公開。
ほか全国順次公開。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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