FC2ブログ

なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

レコード・コレクターズ 2019年3月号

RC-201903.jpg


●花本彰・北山真(静かの海)インタヴュー
新●月の中心メンバー二人が、40年ぶりに組んだ新ユニットについて語る。


●書評
★シンコーのムック本『ザ・ジューダス・プリースト


●リイシュー・アルバム・ガイド
★フィル・アルヴィン『アン・サング・ストーリーズ』
アイアン・メイデン
・『鋼鉄の処女【ザ・スタジオ・コレクション・リマスタード】』
・『キラーズ【ザ・スタジオ・コレクション・リマスタード】』
・『魔力の刻印【ザ・スタジオ・コレクション・リマスタード】』
・『頭脳改革【ザ・スタジオ・コレクション・リマスタード】』

EDDIE AND THE HOT RODS『The Island Years』(Caroline CAROLR084CD)6CD
Eddie And The Hot Rods2


スポンサーサイト

映画『ビサイド・ボウイ ミック・ロンソンの軌跡』

BesideBowie_MAIN_convert_20190212195541.jpg


70年代前半のグラム・ロック時代のデイヴィッド・ボウイのバンドでギターを弾いていた、
音楽家ミック・ロンソンのドキュメンタリー映画。
ボウイとの絡みを軸に話を進めるためミックと関係ないボウイの細かいネタも含むが、
懐かしのライヴ映像等を織り込みながら関係者の談話で進めるオーソドックス、
かつ丁寧な作りだ。

BesideBowie_SUB2_RogerTaylor_convert_20190212200000.png
[ロジャー・テイラー]

ミック・ロンソン、デイヴィッド・ボウイ、ジョン・ピール、
ルー・リード(『Transformer』をプロデュースしてもらった)らが過去の映像で出演。
撮り下ろしで以下のミュージシャンもトークしている。

フレディ・マーキュリーの追悼ライヴで共演したロジャー・テイラー(QUEEN)、
MOTT THE HOOPLEやソロ作などで活動を共にしたイアン・ハンター、
YES加入前にボウイのアルバムで共演していたリック・ウェイクマン、
RICH KIDSのアルバムをプロデュースしてもらったグレン・マトロック(SEX PISTOLS)、
友人でもあったジョー・エリオット(DEF LEPPARD)、
モリッシーをプロデュースする仲介をした元FAIRGROUND ATTRACTIONのマーク・ネヴィン、
マネージメント等で関わっていて後にレコード・デビューも果たしたチェリー・ヴァニラなどなど。

ミュージシャン以外の関係者もポイントになる発言をたくさんしている。
写真家のミック・ロックは、
“ギター・フェラチオ”をはじめとしてロンソンとボウイの歴史的な“ツー・ショット”の絡みを
何枚も撮っただけ欠かせない人。
アンジー・ボウイが相変わらず目立ちたがり屋さんでガンガン発言している。
もちろんロンソンの奥さんも登場。

立ち位置がうかがえる幅広い面々がロンソンの活動と人となりを炙り出していく。

BesideBowie_SUB3_GlenMatlock_convert_20190212200034.png
[グレン・マトロック]

一緒にレコーディングやライヴをしたミュージシャンからは同業者ならでは逸話が連発される。
確かにギター弾きであることに変わりはないが、
単なるギタリストに留まっていた人ではないから音楽家と言いたい。
子どもの頃にピアノとヴァイオリンを習っていて、
ソロ・アルバムなどではギター以外の楽器もたくさん演奏していたし、
楽譜の読み書きもできる。
レコーディングにおいてはアレンジやミックスなどで才気を発揮し、
シンガーソングライターでもあった。

BesideBowie_SUB4_IanHunter_convert_20190212200133.png
[イアン・ハンター]

ビジネス関連の人の発言も興味深い。
ボウイとつながったことは人生を左右する幸運だったが、
ボウイにか彼のマネージメントにか実際は不明ながら
いいように使われていたようなニュアンスも映画の中で描かれている。
“営業”や世渡りが下手だったのか、
ボウイのバンドのギタリストのイメージが強かったために一音楽家としての才能が見落とされていたのか、
アレンジャーやプロデューサー、ミキサー、ソングライターとして
もっともっと活躍の場があったはずである。
どの世界でも要領が悪い人間はいるし、
才能があっても特に弱肉強食の“業界”はエゴが強い者たちの中に謙虚な人間は埋もれがちだと、
日本のシーンを見てきても思う。

といった具合に“暗部”のネタもさらすのはロンソンに対する制作者たちの愛ゆえのことだ。
ロンソンの奥さんの話は沈黙の時間に色々と確執があったことも深読みでき、
お金にかなり苦労した話をけっこうこぼしているのも切ない。
他界1年ほど前にロンソンがアルバムをプロデュースしたモリッシーへの“感謝”の一言も
あまりに率直で生々しい。
The SMITHS解散後も熱狂的なファンが絶えないビッグ・ネームになっていたモリッシーを
プロデュースするまでロンソンが知らなかった事実にも、
メインストリームの動きに我関せずで我が道を行く音楽馬鹿だったことが表れている。

BesideBowie_SUB5_convert_20190212200407.png

でもやっぱりパフォーマーとしてのロンソンが一番カッコいい。
BEATLESではポール・マッカートニーとジョン・レノン、
ROLLING STONESではミック・ジャガーとキース・リチャード、
The WHOではロジャー・ダルトリーピート・タウンゼンド
LED ZEPPELINではロバート・プラントとジミー・ペイジ、
GUNS N' ROSESではアクセル・ローズとスラッシュといった具合に、
クールなバンドのステージはフロントマンだけでなく“ツー・トップ”の絡みも大きな見どころになる。

いわゆるバンド名義での活動ではなかったにもかかわらず、
70年代前半のデイヴィッド・ボウイはミック・ロンソンと“ツー・トップ”といっても過言ではなく、
ライヴは二人の絡みでステージをリードしていた。
まさに絵になる二人だったことは、
この映画に使われている映像や写真からも伝わってくる。

BesideBowie_SUB1_convert_20190212195931.png

ロンソンは脇役に過ぎなかったのか?
それは映画を観た方一人一人の判断にゆだねたいが、
最高の“バイプレイヤー”であったことは間違いないと確信する作品だ。


★映画『ビサイド・ボウイ ミック・ロンソンの軌跡』
2017年/イギリス/カラー/デジタル/104分/英語/監督・製作:ジョン・ブルーワー
原題:Beside Bowie : The Mick Ronson Story
3月8日(金) より、渋谷・シネクイントほかにて公開。
(C)2017 BESIDE BOWIE LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
https://besidebowie-movie.jp/


THE GEROGERIGEGEGE『SENZURI CHAMPION REVISED』

GEROGERIGEGEGE ゲロゲリゲゲゲ


奇才・山ノ内純太郎が1985年からやっている東京拠点のプロジェクト、
GEROGERIGEGEGEが1987年に出したファースト・アルバムの改訂版。
昨年12月に自主レーベルからリリースしたCDである。
ジャケット・デザインは『Senzuri Champion』のオリジナル盤のLPとほぼ同じで、
多少ダブっている曲名もクレジットされているが、
そのレコードと同時期の85/87年録音の6トラック入りながら中身は別テイクも込みで別物だ。


THROBBING GRISTLEのアルバム・タイトル『Second Annual Report』になぞらえた
特異な言語感覚が冴えわたる曲名の1トラック目の「SEMZURI AN[NU]AL REPORT」から、
予備知識のない方は度肝を抜かれること必至である。
大ざっぱにアルバム6トラックの構成を書くと、
自慰の最中がイメージできるやさしくデリケイトな気持ち良さげの声が中心の短めのトラックと
ハードなサウンドの長尺トラックが交互に出てくる。
その極端な落差がポイントの一つで、
日々の営みとはそういうものだとあらためて思わされる流れだ。
“行為”の生録とその男の心象風景を描いたかのようでもあり、
GEROGERIGEGEGEが大切にしているドキュメンタリー感も滲み出ている。

未発表テイクの「LIVE AT TOKYO GAY CENTER」がイントロの約22分半の2トラック目は、
大半がストロング・スタイルのハーシュ・ノイズの嵐。
曲名に偽り無しの「VIOLENCE ONANIE」そのもので、
満たされぬ思いが炸裂加速し続けるクラスター爆弾の如き阿鼻叫喚ノイズの放射だ。
ノイズ(・ミュージック)やインプロヴィゼイションに対して「オナニー」と馬鹿にする人もいるが、
気合の入ったグレイトなオナニーは人の心を打つことをあらためて知らしめる。

スペインからの絶妙の“ハァハァ声”の3トラック目に続いて4トラック目は15分強の激烈モノ。
ディープなヘヴィ・アンビエントチューンがをオープニングで、
まもなくライヴ録音のフリー・フォームの反復ノイズ・ハードコア・パンクに突入して
絶叫混じりのヴォイスもインプロヴァイズし、
当時親しかった日本のハードコア・パンク・バンドのLSDのカヴァーも終盤に披露している。

フランスからの絶妙の“ハァハァ声”の5トラック目に続き、
ラストはアルバム・タイトル曲の“DEATH BALEARIC MIX”が9分強。
これまた研ぎ澄まされて厳かな重厚深海ドローン・ノイズで、
“センズリチャンピオン”に成った後の空漠感と罪悪感と幸福感がどこまでも広がっていき、
締めはもちろんアレである。


このアルバムのオリジナル盤がリリースされた頃と違い、
イカれた音声もインターネットでかなり採集できる世の中になったからこそ、
編集や音声の響きへの気遣いをはじめとして緻密な仕上がりだ。
ただ生音をくっつけただけのモノとは一線を画し、
山ノ内が2年かけてミックスやエディット等を行ない、
中村宗一郎がリマスタリングを行なっている。

だが言うまでもなく頭デッカチとは真逆。
“念”が貫くリアルな意味でトータル・パンク・アルバムだ。


★ゲロゲリゲゲゲ『センズリチャンピオン―改訂版―』(VIS A VIS AUDIO ARTS VAVAA90)CD
曲解説(英訳あり)付きの約52分6トラック入り。


映画『岬の兄妹』

メイン

“無職”で足の悪い兄と自閉症の妹のエクストリームな兄妹愛を描いた問題作。
中途半端でイライラさせられる映画が目立つ中、
これほどすべての針が振り切った邦画は久々だ。

松浦祐也(『ローリング』『走れ、絶望に追いつかれない速さで』他)と
和田光沙(『貌斬り~KAOKIRI~』『菊とギロチン』他)が兄妹を演じ、
風祭ゆきが産婦人科の医者役で特別出演。
監督・製作・プロデュース・編集・脚本は、
ポン・ジュノや山下敦弘監督作で助監督を務めてきた片山慎三である。
サブ5
港町の掘っ立て小屋での底辺生活を送る兄妹の物語。
兄はある日、脱いだ服や下着から妹が“売り”をやったことに気づくが、
“失踪癖”もあるだけに外出できないようにするも妹は家の中でじっとしていられない。
その直後に兄はリストラ。
足が悪い上に都会と違って仕事がなかなか見つからないという事情もあるのだろう、
家賃も電気代も払えない状況に陥る。
そんな中でも元気な妹は外に出たがり、
「冒険~」という言葉を連発する彼女の姿を見ているうちに
兄は妹の“売り”の斡旋を思いつく。

トラブルを重ねて試行錯誤しながら“営業体制”を整えて“仕事”は軌道に乗っていくが、
危ない橋を渡っていることに変わりはなく、
やがて大きなツケがまわってくる。
サブ1
映画の大半を占める兄妹の演技がとにかく素晴らしい。
“なんでもいいから ぶち壊せ/なんでもいいから さらけだせ”という、
三上寛の歌の「小便だらけの湖」を思い出す。

特に和田光沙の超体当たりの熱演は感動を超える。
人間自体がそれぞれ違うように自閉症の方も一人一人違うことを念頭に置きつつ、
リアルに響いてくる演技なのだ。
幼少時から快楽に敏感だっただけに誤解を恐れずに言えば“天職”であるかのように
行為が楽しくてしょうがないといった調子で、
ノリノリ無邪気にセックスに興じるシーンは観ていてこっちも楽しくなるほどの名演である。
兄との確執などで地割れを起こす勢いで泣くシーンも強力だ。
もちろんわざとらしさなんて微塵もなく、
常連客との“ロマンス”のところもまたかわいい。
サブ3
もちろんとことんシリアスな映画でありテーマは重い。
中途半端なギャグでごまかさずに“真剣勝負”だからこそ、
悲劇が喜劇に“昇華”されている。

兄役の松浦祐也のダメ男ぶりも見事だ。
ダラダラした怠け者とは一味違い、
生きるために原始的な発想で必死に道を切り開こうとしている。
意識高い系とは真逆の火事場の馬鹿力がエナジーになったパワーの言動に
苦笑と失笑を禁じ得ない。
実にいい顔しとる。
サブ2
本人が積極的になっているとはいえ妹を“売り”に出す兄は道義的にサイテーだが、
その行為のすべては妹のしあわせな顔を見たくてやっているようにも思える。

“売り”の斡旋を始めたのも二人の生活のためとはいえ、
半ば閉じ込められてもいた家から解放された妹の“変化”に兄は気づいていく。
ふにゃふにゃの爺さんからイジメられっ子の童貞高校生までの他人の役に立ち、
しかも心身ともに気持ちよく“仕事”ができる喜びにあふれ、
生きがいを得た人間の活き活きした表情になっていくのである。
サブ4
この兄妹の行為は犯罪に当たるのかもしれない。
だが二人は、
ホームレスと争いながらもゴミを漁って食料を確保することはあっても万引きはしてない。
盗みに入ったお店をつぶしかねない万引家族と違って、
この兄妹はお金を無心される友達以外にほとんど他人に迷惑をかけてない。

二人の食事シーンも強烈だ。
たくましくて身も心もハングリーな兄妹なのである。
サブ7
生々しく簡潔に映し出すセックス関連のシーンに象徴されるように、
間延びしてない編集も的確でゆっくりしたテンポの良さを生んでいる。
さりげなく映し出す情景や風景の映像からも地方の匂いがさりげなく漂ってくる。
適度に入る髙位妃楊子のピアノ音楽も緊張感を高めながら兄妹に寄り添う。


一瞬、ふりだしに戻ったかのように見せかけたあと、
“兄妹愛”の物語の続きを観る者にゆだねたラストの余韻もいい。

必見。
サブ6
★映画『岬の兄妹』
2018年/シネマスコープ/89分/5.1ch SURROUND SOUND
(C)SHINZO KATAYAMA
公式ホームページ:misaki-kyoudai.jp
3月1日(金)より、イオンシネマ板橋、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー。


DISCRIPT『未知』

DISCRIPT『未知』


東京拠点のBEYOND DESCRIPTIONのメンバーがやっているハードコア・パンク・バンド、
DISCRIPTの24年ぶりの音源発表で初の単独作になるカセット。
5曲で全体の流れが作られていて一種のEPと言っても差支えがない作品だ。

メンバーは、
ヒデユキ・オカハラ(vo)、
ヤスナリ・ホンダ(g)、
ユウスケ・アダチ(b)で、
ドラマーは現在募集中のようだ
(本作のドラム・パートは臨時でオカハラが叩いている)。

現メンバーの3人全員がBEYOND DESCRIPTIONのメンバーながら、
こちらの音楽性はクラスト・コア/D-beat系だ。
とはいえデス・メタリックなインストの小曲で幕を開け、
曲によっては若干のメタル・クラスト・テイストも挿入され、
ストレートに走るほとんどの曲もノイジーに逃げることなくアレンジが練られている。
中低音がよく出たサウンドのバランスで仕上げられ、
ドラムのリズムはクラスト・コア寄りでキックの音も前面に出ており、
スタジオ・ライヴを体験しているような音像だ。

歌詞はクラスト・コア/D-beatの“いかにも”の政治的なネタとは一線を画し、
たいへん簡潔寡黙ながら言葉はプリミティヴな日本のハードコア・パンクを思わせる。

悶々とした気持ちを突き抜けんとする勢いが渋い一本。


★DISCRIPT『未知』(F.A.R. F.A.R.-006)cassette
自宅ダビングではなくいわゆるプロコビー制作でカセット・テープにA/B面とも同じ5曲を収め、
スリップケース付のたいへん丁寧な作りのパッケージ
(↑の画像はカセットのジャケットを開いた表面)。
アダチ自身のレーベルからのリリースだ。
https://www.facebook.com/discript/


 | HOME |  古い日記に行く »

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (11)
HEAVY ROCK (263)
JOB/WORK (330)
映画 (303)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (48)
METAL/HARDCORE (51)
PUNK/HARDCORE (451)
EXTREME METAL (141)
UNDERGROUND? (118)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (141)
FEMALE SINGER (45)
POPULAR MUSIC (34)
ROCK (91)
本 (12)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん