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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ミュージック・マガジン 2022年12月号

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●ニュー・スタンダード2020s〜第35回 ハードコア・パンク
30タイトルの選盤と総論を担当させてもらいました。


●アルバム・ピックアップ
★Bruce Springsteen『Only The Strong Survive』
★Red Hot Chili Peppers『Return of the Dream Canteen』


●輸入盤紹介
MISERY INDEX
MISERY INDEX『Complete Control』(CENTURY MEDIA)CD


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とっちゃん『時計草の咲く庭』

とっちゃん


大谷氏のアルバムやライヴにも参加している
富山県拠点の女性シンガーソングライターのとっちゃんが、
9年ぶりにリリースした5作目のアルバム。
たとえ彼女にとってアウェイの状況でざわついているライヴ・ハウスも、
ひとたび彼女が歌い始めたらすべてのおしゃべりを止めるほどの静かなる力あふれる10曲入りだ。

とっちゃんは、すべての歌はもちろんのこと、
1曲以外の詞曲、2曲でギター、6曲でピアニカ、2曲でシンセサイザーを担当。
他に、
大谷氏が7曲にギター、
くす美が8曲にパーカッション+アートワークの絵、
佐藤幸雄が5曲にギター、1曲に詞曲、
多田葉子が4曲にクラリネット、1曲にバスクラリネット、2曲にフルート、
熊坂路得子が5曲にアコーディオンで参加している。


70年代初頭の日本の穏やかなフォーク・ソングを思い出す曲が大半を占めるが、
純朴とはいえ、
のどかなフォーク・イメージとは一線を画す緊張感に一瞬で目が覚める。
デジタル時代とは思えぬ息を呑むほど生々しいサウンドの仕上がりで、
ギターの弦が震える動きも見えてくるほどの音作りなのだ。
ヴォーカルは言わずもがな、
すべての楽器に歌心が鼓動している。

鳴っている音の感触はサイケデリックですらあり、
歌も含めて考えればアシッド・フォークにも聞こえる。
木管楽器がアクセントになっている曲はプログレ系のトラッド風味も強く、
マーチング・ソングみたいに躍動するロックな曲もあり、
エレクトロニクスが使われたように聞こえるラスト・ナンバーはPORTISHEADも想起した。

「私の庭」「春はどこから」「荒野」「よるの鳥」「家」「歌を紡ぐ」「光の種」「名前はまだない」
「光の彼方へ」「願い」
といった曲名からイメージできる普遍的な日本語の歌詞も、
音と共振して簡潔だからこそ物語がふくらむ。

と同時に、
日本語がわからない人にも感じさせる歌声だからこそ日本以外にも響くアルバムだ。
無意識だろうが、
とっちゃん自身の意識が狭い日本に留まってなく、
世界に向かっていることが伝わってくる。
内向きに陥りがちな日本のこの手の“ジャンル”の自作自演歌手とは一線を画している。

すべてを包容するのは、
その瞬間瞬間で言葉を噛み砕きながらやさしく歌っている、
とっちゃんのヴォーカル。
年輪が刻まれた少女のような年齢不詳のとっちゃんの歌声は、
高めの声域で力強い。
エゴは感じさせないが、
訴えかけるような曲では友川カズキすら思わせ、
時に突き放す。
癒し系ともまったく違う。
意思、
そして意志も奥ゆかしくみなぎる。

グレイト。


★とっちゃん『時計草の咲く庭』(荒野 KO-24)CD
8ページのブックレット封入のペーパー・スリーヴ仕様。
実際のジャケットの色合いは↑の画像よりも濃いめです。




吉本章紘カルテット『64 Charlesgate』

吉本章紘カルテット


元ミドリの岩見継吾(b)や林頼我(ds)と深海魚というバンドをやっていて、
大西順子グループなどでも活動中である、
1980年神戸生まれの吉本章紘が率いる4人組のCD。
ジャズど真ん中と言える音楽だが、
僕でもイケる快作だ。

メンバーは、
吉本章紘 (Tenor Sax, Soprano Sax)
治田七海 (Trombone)
冨樫マコト (Bass)
林頼我 (Drums)
である。

約41分10曲入りというコンパクトな作りで楽曲も明快。
しっかり吉本が作曲した曲を演奏していて、
例外である5曲目の「Trio Inprovisation」という曲も
いい意味でインプロヴィゼイションに聞こえない。
10編の短編映画集のようであり、
10個の章で構成された愉快な哀愁の人間ドラマのようでもある。

艶やかで張りのある吉本のサックスから僕は、
クール&ファンキーなオーネット・コールマンを思い出す。
吉本は言わずもがな、
20~22才という他の3人のメンバーが出す音の響きもなかなかデリケイトかつ強靭。
音が生き生きしているし、
4人がしっかり絡まり交感もしている。

内ジャケットの写真ではKISSのTシャツを着ている女性トロンボーン奏者と吉本による、
金管楽器の掛け合いも聴きどころ。
そこに写っているバンド写真のルックスがどのジャズ・シーンにも属さない雰囲気で、
“フリー”な佇まいなのもポイント高い。
このCDの演奏が飄々と純なのも納得できるのであった。


★吉本章紘カルテット『64 Charlesgate』(地底 B102F)CD
2つ折りペーパー・スリーヴ仕様。


レコード・コレクターズ 2022年12月号

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●リイシュー・アルバム・ガイド
★ブラック・パール『ブラック・パール』
★ザ・ラショナルズ『ザ・ラショナルズ』
★グランド・ファンク・レイルロード『ライヴ・フロム・マディソン・スクエア・ガーデン1972』

Les Calamités『Encore! 1983-1987』
★Les Calamites『Encore! 1983-1987』(BORN BAD BB150)CD


つしまみれ『LIVE IN GERMANY 2022』+αのインタヴュー

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先月下旬に行なったインタヴューが、
つしまみれのオフィシャル・サイトにアップされています。

https://tsushimamire.com/ja/2022/11/02/post-3025/

結成23年目の今年5~6月に欧州でポーランドから約2週間決行した4年ぶりのツアーのエピソード、
そのツアーの中からドイツ公演を収めたライヴCD『LIVE IN GEWMANY 2022』
(初回盤には、各メンバーが12ページずつ“プロデュース”したサイン入りフルカラー40ページ長方形豪華“旅日記”本も封入)の話、
同時リリースしたスタジオ録音新曲2曲の配信シングルの話、
来年の抱負などを訊いています。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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