なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ミュージック・マガジン 2018年7月号

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●アルバム・ピックアップ
★Ray Davies『Our Country : Americana Act Ⅱ』
★時空兄弟『殺しのシミュレーション』


●輸入盤紹介
PANDORAS『Hey! Its The PANDORAS』
★PANDORAS『Hey! It's The PANDORAS』(Burger BRGR1185)CD


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レコード・コレクターズ 2018年7月号

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●ミック・ロンソン
デイヴィッド・ボウイを支えたギタリストのサントラ盤の紹介。


●リイシュー・アルバム・ガイド
★ゲス・フー『イッツ・タイム』
★アグリー・ダックリングス『サムホェア・アウトサイド』
★ライジング・ストーム『カーム・ビフォア…』
★ザ・モノクローム・セット『エリジブル・バチュラーズ(独身貴族)~デラックス・エディション』

ANTI CIMEX
★ANTI CIMEX『Victims Of A Bomb Raid』(DISSONANCE PRODUCTIONS DISS099CDBX)3CD


TURBONEGRO『Rocknroll Machine』

TURBONEGRO『Rocknroll Machine』


80年代末から活動しているノルウェーのパンク・ロックンロール・バンドが、
『Sexual Harassment』から約6年ぶりに出した新作。

曲はリーダーのハッピー・トム(b)、
90年代半ば以降の中核メンバーでプロデュースもしているユーロボーイ(g)、
前作から参加したシルヴェスター(vo)が書いているが、
新加入のキーボード奏者が今回のポイントの一つになっている。

ジャケットからイメージできるスペーシーなオープニングだが、
HAWKWINDというよりはニューウェイヴっぽいキーボードの音だ。
そもそもアルバム全体のアレンジやメロディが
80年代前半のアメリカのメイン・ストリーム・ロック直系である。
曲のサビもあえて当時のUSAのヒット・チャートものみたいに作ったと思えるほどだ。

一方でポップ&キャッチーなのにクセの強いTURBONEGROの肝はもちろん健在だし、
今回AC/DCっぽいリフの曲が多めながら疾走ロックンロールもバッチリである。
これまでの様々な“ロックンロール・ナンバー”のフレーズが
わざと漏らした元ネタみたいにチラリチラリと聞こえてくるのも楽しい。
四つ打ちもやるドラムのリズム・センスもまたまた抜群だ。

キワモノのようでしっかり作られている曲や音だけでなく、
歌をしっかり聴かせるバンドでもある。
英語で綴られている歌詞もわかりやすいようで一筋縄ではいかない。
もちろん生の表現を去勢する“ポリティカリー・コレクト”なんか知ったこっちゃなく、
「On The Rag」ではホモ(fags)もアナル・セックスも歌い込む。
「Skinhead Rock & Roll」なんて曲もやっている。
「Hot For Nietzsche」ではニヒリズムのフリードリヒ・ニーチェ、
「John Carpenter Powder Ballad」では映画監督のジョン・カーペンターを歌ったのだろうか。

ってな流れで意味深なタイトルのラスト・ナンバーである「Special Education」の
“Show me how to walk, Show me how to talk, Show me how to rock, Show me how to fuck,
Special education”
というサビのフレーズがしっくりくるのであった

実はこのアルバムも
最初に聴いた時は“too much 80’s”な音に「あれっ・・・・?」と思ってしまったのだが、
それもアルバム全体のテーマと関係ありそう。
70年代のALICE COOPERやTUBESを思い出すシアトリカルな展開にも持っていかれる。
噛めば噛むほど味が出るように聴けば聴くほど美味しい。
またまた愛聴盤になりそうだ。


★TURBONEGRO『Rocknroll Machine』(SCANDINAVIAN LEATHER No Number)CD
約39分11曲入り。


SLEEP『The Sciences』

SLEEP『The Sciences』


カリフォルニア出身のヘヴィ・ロック・バンドSLEEPが約20年ぶりに出した実質的な4作目。
再編第一弾アルバムでもある。
“マリファナ用語”や造語がスパイスの歌詞も含めて、
6曲で前作『Jerusalem』のリメイクを試みた続編とも言える。

避けて通ろうとしたが、
SLEEPだからそうはいかなかった。

昔話とはいえ前身バンド時代も含めればPROFANE EXISTENCEやOFF THE DISKという
地下ハードコア・レーベルからも音源を出してきたことが示すように、
激臭が魅力のバンドである。
だからこそ偏見と言われようが、
元WHITE STRIPESのジャック・ホワイトのレーベルからのリリースということで嫌な予感はあった。

悪くはない。
けど“たいへんよくできました”って感じである。


最終的な仕上げの違いで前作は
『Jerusalem』と『Dopesmoker』という2タイトルのアルバムが発表されたが、
僕は断然、アルバム・タイトルも中身もすべてを凝縮している『Jerusalem』派だ。
個人的にはルー・リードの『Metal Machine Music』や灰野敬二の『慈』と並んで、
『Jerusalem』は最も一日中リピートしてきたサイケデリック作である
(『Jerusalem』の日本盤のCDはマスタリングの影響か若干薄口だから注意)。

それほどの存在の僕の思い入れが強すぎるのか、
この新作は手放しでは喜べない。


ドラマーはNEUROSISのジェイソン・ローダー。
ハードコア・パンク時代からNEUROSISを支えてきた人だが、
本作のリズムは2000年代以降のNEUROSISみたいな間合いになっていて、
SLEEPの新しい個性と解釈することも可能ではある。
けど2010年代に入ってからのSLEEPの再編ライヴ等でずっと叩いてきているとはいえ、
アル・シスネロス(vo、b他)とマット・パイク(g)に絡み切れない堅実なドラムに聴こえる。
スローな曲でもSLEEPの肝だった加速度やドライヴ感が今一つなのが辛い。
ポスト・メタルの端正なビート感なのだ。

バンドはドラマーで決まるとあらためて思わされるが、
何よりアルとマットが手癖で“なぞっているプレイ”に聴こえてしまう。
もちろん一般的なバンドのレベルからいったらかなりのものだが、
スリープならではの危険なケミストリーやロックのバンド・マジックが薄い。
“それっぽく”聞こえるヴォーカルも“末期”SWANSの如く思わせぶりに響く。

エンジニアとミックスはCHRIST ON PARADE~NEUROSISのノア・ランディスで、
マスタリングはSHELLACのボブ・ウェストン。
暑苦しいロック畑の人たちではないレコーディング布陣も、
消臭されたかのように匂いや気配があまり漂ってこない音の仕上がりに影響したのかもしれないが、
プロデュースはSLEEP自身だ。

宇宙にちょこっと舞台を移しつつエルサレムも絡めた歌詞は今回も“彼岸”をイメージする。
BLACK SABBATHのギーザー・バトラーをもじったみたいな曲名「Giza Butler」もあり、
他の曲の歌詞にもBLACK SABBATH関連の言葉が組み込まれ、
ユーモアともなんとも言い難い。
アレコレ考えずに撮った写真を使ったみたいな内ジャケットも謎だが、
ジェイソンが根本アイデアを出したアルバム・カヴァーの表と裏も生々しさに欠ける。


聴けば聴くほど遠くなっていく。
SLEEPの意識が聴こえてこないから。

しばらく経ってからまた聴き返してみる。
絶えずツアーをやっているHIGH ON FIREの気合の入った新作を早く聴きたくなったのが、
今の本音だ。


★SLEEP『The Sciences』(THIRD MAN TMR 547)CD
歌詞が載った六つ折りインサートが封入された薄手の二つ折り紙ジャケット仕様の約53分6曲入り。
↑の画像はLPのジャケットでCDは上下が若干圧縮された感じのレイアウトになっている。


D.O.A.『Fight Back』

DOA FIGHT BACK


名実ともにカナダを代表するパンク・バンド、
D.O.A.が結成40周年を迎えて放った3年ぶりのアルバム。
NOMEANSNOやSNFUなど他にもカナダの様々なバンドを手掛けてきた
セシル・イングリッシュがエンジニアを務め、
唯一のオリジナル・メンバーのジョー・キースリー(vo、g)とプロデュースしている。


80年代初頭からハードコアを自称してきたのもうなずける気骨に貫かれ、
今回もツー・ビートの曲をけっこうやっている。
色々と“昔気質”のバンドで、
伝統的なアメリカン・ロックと
伝統的なレベル・ミュージックが根っこにあるパンク・ロック・バンドだ。
ブルース/ロックンロールをベースとし、
オリジナル曲でもカントリー・ミュージック風のパンク・ロックをやっている。
毎回のように収録するカヴァーにもバンドのキャラが表れており、
今回はボブ・ディランが書いてジョニー・キャッシュが歌った「Wanted Man」で
田舎っぽい疾走を聴かせる。

ポリティカルな色の強い歌詞はナイーヴに感じるところもあるが、
意識の違いが面白かったりするものだ。
何か“一大事”が起こるとコロッと変わるバンドは論外で、
こういう歌詞を相変わらずやっていること自体が筋金入りってことだし、
やっぱりサウンドそのものの強度で信頼できる。
声と音はウソをつかない。

カナダの“盟友”SUBHUMANSの代表曲「Fuck You」をカヴァーするも、
「(同じくカヴァーした米国東海岸のメタル・バンドの)OVERKILLは楽曲使用料を払ってくれたが、
D.O.A.はそうじゃなかった」
みたいなことをSUBHUMANにセルフ・ライナーで書かれたことがある。

けどデジパックのトレイに写っているジョー・キースリー(vo、g)の不変のヴィジュアルで、
やっぱり信頼できる。
還暦を越えてもなおコンスタントに曲を書き続けてコンスタントにアルバムを作り、
ハイ・クオリティの熱いパンク・ロックをキープしていることにインスパイアされる。
オシャレなシーンなんか知ったこっちゃないパンクだからこそロックだ。

元気な歌心たんまりの快活躍動盤だが、
ラスト・ナンバーの「World's Been Turned Upside Down」は切ない一枚。


★D.O.A.『Fight Back』(SUDDEN DEATH SDR-0121)CD
デジパック仕様の約31分13曲入り。
歌詞カードの類いはなく、
歌詞を読みたかったら自主レーベルのSUDDEN DEATH Recordsからダウンロードする合理的なやり方も、
D.O.A.らしい。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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