なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

OBSESSED『Sacred』

The OBSESSED『Sacred』


米国ドゥーム・メタルの重鎮バンドThe OBSESSEDの新作。

聴き惚れるとはこのことだ!とばかりに、
これまたへヴィ・ローテーションである。

オリジナル・アルバムとしては『The Church Within』以来の約23年ぶりの4作目で、
中核メンバーのワイノ(vo、g)はむろん健在。
ベーシストとドラマーは新メンバーだが、
EARTHRIDEのフロントマンのデイヴ・シャーマン(b)は
90~2000年代にSPIRIT CARAVANでワイノと活動していたし、
ブライアン・コスタンティーノ(ds)は2曲のソングライティングにも関わっている。
トリオ・バンドとしてのコンビネーションも抜群だ。


ワイノはSAINT VITUSを含む様々なプロジェクトで音楽活動を続けてきているが、
この重みと豪胆な佇まいはまさにOBSESSED。
ロックの王道を悠々と進んでいる姿がたのもしい。
古臭さがまったくないのは意識が止まってないからだし懐かしむ気持ちがないからだ。
まさにドゥーム・メタルな曲から始まるが、
全編通して聴くとブルースが染み込んでいて“ドゥーム・ハード・ロック”と言いたい趣である。

何よりリフがカッコいいし、
曲によってはスラッシーな風味もファンキーなテイストさりげなく流し込み、
楽曲クオリティも高くてシンプルなアレンジも絶妙だ。
THIN LIZZYの「It's Only Money」(原曲は74年の4作目『Nightlife』に収録)のカヴァーも
クールにキメている。
「Punk Crusher」という曲をはじめとして、
STOOGESとBLACK FLAGの間を行くようなパンクっぽいアップテンポの曲も挟みこんでいる。
ワイノはイアン・マッケイ(MINOR THREAT~FUGAZI)の旧友で、
FUGAZIのジョー・ラリーのレーベルであるTOLOTTA Recordsから
OBSESSEDの90年のファースト・アルバム『The Obsessed』を再発したことが象徴するように、
パンクとのつながりも実は深い。

インスト・ナンバーを2曲収めたことが示すように楽器だけでも物を言えるバンドだ。
地に足の着いたリズム隊は魂がグルーヴし、
適宜簡潔に入るギター・ソロは幾重もの感情の震えである。
滋味が滲む悠然としたヴォーカルは心に染み入る。
60年代初頭生まれのワイノの人生を刻み込んだような暗喩に富む歌詞も含めて、
いぶし銀のガッツとコクたんまりの歌心に貫かれているアルバムだ。

まっすぐである。
小細工一切なしのストロング・スタイル。
直球勝負が潔い。
あらためて言う。
本物に古いも新しいもない。

声にもギターにもベースにもドラムにもみなぎる、
この胆力、
この包容力、
聴けば聴くほど、
力が出る。
危機や困難に直面してもこの豪胆な響きを浴びれば大胆に挑み臨める。

オススメ。


★The OBSESSED『Sacred』(RELAPSE RR7361)CD
16ページのブックレット封入のデジパック仕様の約44分12曲入り。
LPのデラックス・エディションはMOUNTAINのカヴァーを含めて2曲多いようだが、
少なくてもCD版はアルバム全体も長すぎずに濃密凝縮されているのも良い。


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REDSHEER、NEPENTHES at 東高円寺二万電圧 5月6日

REDSHEERとNEPENTHES


東京・東高円寺のライヴ・ハウスである二万電圧のプレゼンツのライヴ、
”GOLDEN WEEK SPECIAL 2MAN GiG”に行ってきた。
REDSHEERNEPENTHESという、
現在進行形のロックを体現する東京のバンド同士の一騎打ちである。


リリカルなSEに導かれてステージに登場したREDSHEERはゆったりした演奏で始まったが、
オノザト(vo、b)の最初の一声で決まった。
一発で僕もヤられた。
鬼の形相で吐いた渾身の本気ヴォイスがこの日のライヴ全体をリードし、
冷厳なる熱いサウンドの渦が一気に会場内を支配していったのである。

REDSHEERはロックのエクストリームな道を凝縮してきている。
90年代以降のハードコア、ノイズ・ロック、デス・メタル、ドゥーム・ロック、ブラック・メタルなどの、
形をなぞるのではなく肝を濃縮している。
前にも書いたが、
RELAPSE、EARACHE、AMPHETAMINE REPTILE、HYDRA HEADあたりのレーベルの、
混血不穏分子をブレンド&アップデートしたようなサウンドの放射をこの晩も体感できた。

激情であることに変わりはないがエモもヘッタクレもないしスノッブなアートとも一線を画している。
あらためて思ったのはメタリックなギターのリフがポイントということで、
銀河の如く研ぎ澄まされた硬質な金属音の流れとともに覚醒のアクセントになっている。
ヴォーカルもあくまでもハードコア・スタイルだ。
興奮が高まると攻めのアクションもとる腕の振りの大きいドラムをはじめとして変則リズムを絡め、
曲によってときおり抒情の調べも織り込みつつ、
トリオ編成ならではのギリギリの交感が産み出す轟音の渦は“はらわた”から搾り出された響きだ。
すべては苦渋と苦汁を突き抜ける感情のヴァイブレイションであり、
精神に直結して軋むサウンドが生で心に突き刺さり生で肉体を打ってきた。

この日は何度か合間に“息つきタイム”も設け、
サウンドにも宿るRED SHEERならではの“ファック・ユー!”アティテュードと意志が
ちょっとしたMCでも表されていた。
来夏のリリースを予定しているセカンド・アルバムに向け、
またじっくりと進み始めていることが実感できた約75分のステージだった。


20分ほどのセット・チェンジの後にNEPENTHESが登場。
ゴールデン・ウィーク中に決行した3日連続東京ライヴの最終日ということで、
時間はたっぷりある!とばかりに長い曲も含めてたんまりやってくれた。
アルバムはもちろんのことライヴだと一層、
NEPENTHESも無意識のうちにロックを突き詰めようとしているように思えてくる。

ロックの深化形であるドゥーム・ロックやストーナー・ロックのエキスを全身で吸い込みながら、
ポーズなしでヤサグレたへヴィ・ロックンロールを轟かせている。
専任シンガーがフロントに立つ4ピースのロック・バンドならではのケミストリーで、
強靭そのもののサウンドのうねりが終始会場内を支配して観客の気持ちを解放していった。
既に完成されているように思えるほどいつもパーフェクトなパフォーマンスを展開しているが、
見るたびにベスト・ライヴを更新しているのだから恐ろしい。

寡黙な動きのベーシストも含めてロックの見せる要素も大きく、
必殺フレーズとリフの連発で痺れる演奏に集中しつつギタリストもここぞという時に観客に働きかける。
曲間だけでなく曲中も全身でハジけるドラマーが一番のイケイケのアクションだが、
そういうノリが演奏にも反映し、タメを効かせるところはタメを効かせて走るところは手数多く走り、
スローな曲も含めてバンド全体を制御加速させている。
バンカラなネギシ(vo)のハードコア歌唱も絶好調だ。
歌わないパートの動きも含めてナチュラルな野性のステージングは観客に媚びず驕らず、
終盤には観客の中に入って“肩車”されて歌うシーンも。

本編終了後はメンバーが前に出てきて、
そこそこ有名な来日バンドがよくやる“儀式”というべき前方の観客との握手をあえて行ない、
プレイ同様にいい意味でプロフェッショナルな“ショーマンシップ”で一旦“幕”を締める。
だがそこで観客は帰らず帰さずアンコールに突入。
数度のMC“なごみ”タイムを設けつつトータル87分。
まさに圧巻の一夜だった。


MASTODON『Emperor Of Sand』

MASTODON『Emperor Of Sand』


米国ジョージア州アトランタ出身の“プログレッシヴ・ヘヴィ・ロック・バンド”が、
の約3年ぶりにリリースした7作目。
期待を上回る出来で早速ヘヴィ・ローテーションになっている。


2007年と2014年と2015年のグラミー賞の
“ベスト・ハード・ロック/メタル・パフォーマンス”部門にノミネートされたバンドで、
前作『Once More 'Round the Sun』がビルボード・チャートのトップ200の6位まで上昇。
名実共に新世代の“メタル”を代表するバンドになっているだけでなく、
2000年代以降のアメリカン・ロックを代表するバンドの一つといっても過言ではない。
そんな状況の中で発表した今回の新作、
MASTODONを引き合いに出して他のバンドを語ることが僕も少なくないが、
誰もフォロワーにはなることができないアイデンティティが圧倒的な光を放射している。

トロイ・サンダース(b、vo)は別にやっているGONE IS GONEで今年頭にアルバムを出したばかりだが、
やはりメインの活動の場はMASTODON。
2000年の結成以来MASTODONの一員の4人の結束とケミストリーはさらに固くさらに磨かれ、
すべての壁をブチ破り越えて突き抜けて現代の“ロック・マジック”をダイナミックに体現している。


2009年の4作目『Crack The Skye』を手掛けたブレンダン・オブライエンのプロデュースだが、
彼特有のメジャー感のラウドな仕上がりがハマっていて押しの強さと繊細さのバランスが見事だ。
現在進行形のプログレッシヴな音作りもさりげなく細部に施されているが、
肉体的なサウンドに飲み込まれていくしか術がない豊饒なロックである。

ツイン・ギター編成を活かした土臭いメタル・アンサンブルと
その中から湧き出てきて簡潔に感情を綴って目に染みるギター・ソロ。
味わい深いラインを弾くベースと適度に手数多くてドライヴするドラムで
ストップ&ゴーのリズムを忍ばせて緩急が絶妙のテンポ・チェンジ。
ロック・ロマンあふれる旋律。
多彩なリズム・パターンを繰り出しながらも音が止まることはない。
持続する命の如しである。

6分台と7分台の曲を前半と後半の最後にあたる場所に置きつつ、
全体的にコンパクトな尺に濃縮凝縮された“核”は揺るぎない。
マジカル&ミステリアス、
そしてメタル以前の無類かつ無頼のロック馬鹿スピリットに裏打ちされた楽曲クオリティがますます高い。
序盤の曲はキャッチーとも言えそうなほどフック十分のソングライティングで、
場面転換の激しい後半も印象に残る曲作りで最後まで持っていかれる。
どんなにマイナーであっても複雑に聞こえても、
60~70年代のハード・ロック/ヘヴィ・メタル・バンドは耳に残る作曲を試みていたと最近よく思う昨今、
このアルバムの曲もまさにそれだ。

音と共振してヴォーカルもナチュラルにワイルド&デリケイトに迫る。
ますます“うた”を聴かせる、
トロイ・サンダースが大半のメイン・ヴォーカルと思われるが、
今回のクレジットによれば3人がヴォーカルを取っていることになっており、
曲によって2~3人がシェアしてコーラスと掛け合いも聴かせる。
わざとらしい歌い方なんて一つもないし本物だから芝居がかった歌い方なんかする必要もない。
ちょい田舎臭い南部の香りも漂ってきてアメリカンならではの侘び寂びが滲み、
ジョン・フォガティを彷彿とさせるところも。
ケヴィン・シャープ(BRUTAL TRUTH、VENOMOUS CONCEPT、LOCK UP)や
スコット・ケリー(NEUROSISほか)という以前のアルバムにも参加した“同志”が、
1曲ずつゲスト・ヴォーカルで彩りを添えている。

音と共振して歌詞も、
自分から半径30センチ以内のことしか考えてない内向き表現とは別次元の巨大スケールで迫る。
神話的モチーフは空想を超えて想像力をファックしながら現世のリアルな姿を浮き彫りにする
決して政治的な歌詞ではないが、
だからこそ今の世界中の地に響く。

親しみやすいオープニング・ナンバー「Sultan’s Curse」から、
アルペジオで始まり加速そして叙情の調べへと至る8分近くに及ぶラストの「Jaguar God」まで、
曲順そのままの“再現ライヴ”を観てみたくなるほどドラマチックな感動的構成力も言うこと無し。
例によって、
MOLLY HATCHETあたりの“サザン・メタル”の流れを感じさせるジャケットも音楽にピッタリだ。

これぞまさにグレイト。


★マストドン『エンペラー・オブ・サンド』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-17646)CD
約51分11曲入り。
味のある紙質で歌詞が載った四つ折り8ページ・ジャケット封入で、
日本盤は歌詞の和訳が付いて初回生産分のみにロゴ・ステッカーも封入。


HERETIC RITES『In Satan's Claws』

HERETIC RITES


昨年11月に東京のSITHTERと日本ツアーを行なった、
セルビア拠点のドゥーム“パンク”メタル・バンドの日本盤CD。
彼らが昨年リリースした同タイトルのカセット作品『In Satan’s Claws』の4曲に2曲を加え、
ジャケットは新調されている。

HERETIC RITESのバンド・キャンプなどの情報によれば現メンバーは、
セルビアのクラスティなデス・メタル・バンドのEXORCISEDのギターとベース(共に+ヴォーカル)と、
クロアチアのブラック・スラッシュ・メタル・バンドのBEZDANのドラマーに、
キーボード奏者が加わった4人と思われる。
民族浄化の目的をはじめとする壮絶な殺し合いも記憶に新しい90年代前半の紛争も含めて、
セルビア人とクロアチア人の長年の民族対立を思えば興味深い編成だ。

BLACK SABBATHのファーストのようなオープニングのSEが象徴するように、
全体的に70年代前半のBLACK SABBATHの“ロックな曲”を想起するが、
ELECTRIC WIZARD直系のパンク・テイストもイイ塩梅で効いている。
スロー~ミディアム・テンポのドライヴ感のドゥーム・チューンに
虚脱から解脱に至ったかのように気だるげで繊細なヴォーカルが泳ぎ歌い、
世捨て人の風情ながらパワーは十分。
手数が多めのドラムもいい味を出していてゆるいグルーヴ感がたまらないし、
キャッチーな哀愁のギター・ソロも心憎い一方、
ツー・ビートも含む疾走パートはクラスト・パンクである。
もちろんどこそこのジャンルだの集団だのに属する考えなんてハナっからない非脳天気な天然。
おのれを貫く終末感のヴァイブレイションに突き動かされているから生々しい。

オカルティックで猟奇性をはらむ歌詞に世界各地の現実をダブらせることも可能だ。
血で血を洗ってきたバルカン半島の埃が匂い立つぬかるみのサウンドが煮立ち、
臭気ムンムンで聴き応えありありの一枚。


★ヘレティック・ライツ『鮮血!! 悪魔の爪』(梵天 BTC-009)CD
歌詞の和訳付。


GUEVNNA『Heart Of Evil』

GUEVNNA『Heart Of Evil』


2011年から東京拠点に活動しているスラッジ/ストーナー/ドゥーム・ロック・バンドが、
昨年10月にリリースしたファースト・フル・アルバム。

元COFFINSのヴォーカルとツイン・ギターを含む5人編成でレコーディングを行ない、
いい意味でメジャー感もある作りで一気に聴ける。

まずパンク/ハードコア/メタル含めてラウドな音のバンドの日本制作のCDによくある
ベッタリして奥行き無しの平板な音の仕上がりに陥ることなく、
位相感のあるレコーディングの音像を特筆したい。
RELAPSE Recordsからリリースされているバンド群にも通じるダイナミックな音作りなのだ。
キャッチーとは言わないまでも全曲フック十分のソングライティングも光る。
よく練られている音だし、
臆せずギター・ソロが入る曲も練られている。

といってもむろんメイン・ストリームから外れたアウトローのヘヴィ・ロックであることは間違いない。
クサと土の匂いが香り、
ブルージーなところはEYEHATEGOD
ノリノリのところはBONGZILLAを思い出す。
滑らかなグルーヴィー・サウンドがゆっくりとドゥーミーにドライヴし、
ロックしていることが何より重要だ。
スロー~ミディアム・テンポだけでなく完全な疾走チューンもやってのける。
OBITUARYの根がロックンロールであるのと同じように
GUEVNNAも根がロックンロールと言ってもいいのではないか。

楽器の音と同じくらいのバランスでスラッジーな不良ヴォーカルも炸裂。
歌詞カードは付いてないが、
いわゆるアルバム・カヴァーのジャケットの紙の他に、
全8曲のヴィジュアル・イメージと思しき画が描かれた厚手の紙の“インナー”が8枚封入されている。

ドライなようで、
さりげなく侘び寂びが効いていて聴き応えありありの一枚。


★ゲヴンナ『ハート・オブ・イーヴィル』(3LA -LongLegsLongArms- 3LA-017)CD
約44分8曲入り。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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