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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

AZARAK『DIGGIN'』

AZARAK.jpg


CHURCH OF MISERYの屋台骨を2000年代初頭から2010年代前半まで担っていた
ジュンジ・ナリタ(ds、per)、
元bluebeardのタクマ・トガワ(b、vo)、
CHURCH OF MISERYに『Thy Kingdom Scum』(2013年)の頃在籍していた
イクマ・カワベ(g)、
によるバンドのデビュー・アルバム。
ドゥーム/ストーナーを超えた堂々たる約55分8曲入りだ。


元メンバーが2人在籍しているだけにところどころでCHURCH OF MISERYを思い出し、
もちろんヘヴィなリフを鳴らすが、
静かなパートもポイントで
たおやかな佇まいがユニークなアルバムである。
色覚検査の画の色みたいなデザインのジャケットからイメージできるユニークな色合のサウンドなのだ。
プログレでありサイケデリックでありポップでもあるアレンジで、
スロー・テンポ中心ながら緩急織り交ぜてドライヴ感も内包。
どの曲も聴かせどころをしっかりと設け、
15分近くに及ぶ曲も一気に聴かせる。

演奏の比重が高くて3曲がインスト・ナンバーだが、
そもそもどの楽器の音もよく歌っており、
1曲で挿入するラップ・スティールもいい味を出している。
穏やかなトーンの繊細な歌声もこういう系統のサウンドには異色だ。
日本語で歌われるというのもあってヴォーカルがGSっぽくもあり、
沢田研二と萩原健一を擁したPYGも想起するほどである。

KING CRIMSONの「Moonchild」のカヴァーでは、
他の3曲でコーラスをとっているYeYeがリード・ヴォーカルを担当。
彼女の声が見事にハマっている。

中村宗一郎による録音~ミックス~マスタリングも適度に柔らかな仕上がりに一役買い、
ヴィンテージものとは一線を画す現在進行形の音の好盤だ。


★アザラク『ディギン』(HELLO FROM THE GUTTER HFTG-086)CD
内側に歌詞が印刷された6面デジパック仕様の約55分8曲入り。


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BIRUSHANAH『蟲の牢獄』

BIRUSHANAH『蟲の牢獄』


メタル・パーカッション奏者を擁する大阪拠点の異形の“ヘヴィ・ロック・バンド”BIRUSHANAHが、
結成20年目の昨年12月にリリースした約4年ぶりの5作目のフル・アルバム。
しばらく空席だったベースのメンバーが加入して中低音がより強靭となり、
破格のアウトサイダー・サウンドに磨きを掛けたグレイト!!!!!な作品である。

ギター、ベース、ドラム、メタル・パーカッションが基本楽器で、
一般的なロック・バンドの編成か外れているから前衛的なイメージも持たれるかもしれない。
だがBLACK SABBATHの中に
KING CRIMSONと『South Of Heaven』あたりのSLAYERが割り込んだみたいな、
スロー&ミディアム・テンポのリフがまずクールだ。
反覆基調の曲ながらキメのフレーズたっぷりだし打音もフック十分で、
和のメロディも心に残る。
だからいきなり9分の曲でも一気に聴かせ、
アルバムの最後まで持っていかれるのだ。。

これほど高揚する“ドゥーム・ロック”を僕は知らない。
尺八が入るプログレ・スラッジ・インスト・ナンバーも渋い。
原始的なリズムでお祭りの音楽の香りが漂おうが、
いわゆるお祭りノリでもない。
意外とクールに突き放し
一人一人勝手に盛り上がってくれ!みたいなの自由さが僕には居心地いい。

メタル・パーカッションが中核のサウンドであろうが、
ドイツのEINSTURZENDE NEUBAUTENと同じく無機的ではない。
人間力たんまりなんである。
むろん伝統芸能の類いとは一線を画し、
音楽として進化だけでなくたっぷり深化もしている。

ダイナミックかつデリケイトな録音も見事で、
各楽器がどういうことをやっているか聞こえてくるミックスの仕上がりもバッチリだ。
目立ちすぎずにバンドを適度にコントロールしているメタル・パーカッションの音量も的確で、
他のパートと絶妙にも溶け合いながら情感が滲み出ている。
全楽器からも“歌”があふれている。

我流で喉を震わせるヴォーカルの歌いっぷりも実にいい。
ほぼ全編日本語の歌詞は音が共振し、
「明滅」「獣流れ弾鉄屑の瓦礫の山の上から」「廃坑」「死崩落喰らう星」「君影草」「蟲の牢獄」
「三千世界行進曲」といった曲名からイメージできるリアルな万華鏡を描き抜く。

一般の方々からしたら過激な音楽かもしれない。
だが誤解を恐れずに言えば、
ほんとNHKの紅白歌合戦の舞台にも似合う大衆性に僕は惹かれる。
今年の大晦日に期待したい。

大スイセン。


★BIRUSHANAH『蟲の牢獄』(REIHO MUSIC RHMS-003)CD
歌詞が載った四つ折りインサート封入のデジパック仕様の約47分7曲入り。
↑の画像はインサートのもので、
ジャケットはこれとほぼ同デザインながら上下が多少切れた横長になっています。


SLIPKNOT『The End, So Far』

SLIPKNOT.jpg


米国の“ハイブリッド・メタル・バンド”、
SLIPKNOTによる約3年ぶりの7作目のオリジナル・アルバム。
今回も間違い無し!の12曲入りだ。

バンドと共にプロデュースしたのは、
前々作『.5: The Gray Chapter』(2014年)をミックスしたジョー・バレシ。
QUEENS OF THE STONE AGEやISISの代表作など、
アンダーグラウンドのエッセンスをクリアーに音楽化することに定評のある人だけに、
まさに!の仕上がり。
とはいえもちろんクリーンな音作りとは一線を画し、
歌詞からも感じられるウクライナ戦争以前からの世界中の混沌を吸い込んだみたいな、
メンバーの思いが暗雲サウンドの中で激しく生々しく息をしている。

自分をアゲアゲにする時によく聴く馬鹿っぽさが最高な
4作目『All Hope Is Gone』(2008年)の「Psychosocial」ほどキャッチーな曲はないが、
ヘヴィであっても全曲フック十分。
作曲者のクレジットは今回もSLIPKNOTである。
まさにバンド全体で作った事に納得させられる複雑怪奇なのに明快な楽曲群は誰にもマネできない。
SLIPLNOTが引き合いに出されるバンドが意外と少ない事実は、
SLIPKNOTがいかに唯一無二のでヴァラエティに富んだ音楽性かを物語る。

ピアノが聞こえてくる静かめの曲で始まり、ラストも近いトーン。
その間にはブラスト・ビートぶち込んだ曲をはじめ烈火のパートが燃え上がる曲あり、
モダンなR&BをSLIPKNOT流に炸裂させたような曲あり。
9人のメンバーが内から出した不穏なサウンドを贅肉削ぎ落しながら適度に整理し、
一つのバンドとしてクラスター(爆弾)の如く放射させている。

ときおりハードコアなスクリームも放つが、
しっかりした歌唱で歌い抜くヴォーカルはますます強靭。
スタイリッシュに陥ることなくストロングな喉を震わせ、
バンドのフロントマンは、かくあるべし!と思わされる。
やっぱり“心”が大切なのだ。

“ええじゃないか!”ってなノリも、
1999年のファーストや2000年の初来日公演の時から変わってない。
もちろんシリアスなのが前提で甘えがあったらこういう音楽は生まれ得ないわけだが、
僕がSLIPKNOTをずっと好きなのは、
一種のお祭りノリだとあらためて思ったしだい。
チャントみたいな歌のパートでもお囃子みたいに聞こえる。
ある意味、根がポップなバンドなのだ。

エグさとポピュラリティのバランス感覚も好きだし、
抜けのいい音の質感、ささくれだった響き、
冷ややかなのに熱いところも好きだ。
いつだってSLIPKNOTは僕をワクワクさせる。
それこそロック覚えたての頃みたいに、
理屈抜きで感覚と肉体でロックを楽しめる。
本作のスロー・チューンも、
セカンドの『Iowa』(2001年)のアルバム・タイトル曲の延長でじっくり耳を傾けさせ、
やっぱり元気になる。

聴きごたえ、たんまり。
オススメ。


★スリップノット『ジ・エンド、ソー・ファー』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-18550)CD
約58分12曲入り。
歌詞やクレジットが載った20ページのオリジナル・ブックレットの他に、
日本盤は歌詞の和訳が載った16ページのブックレットも封入。


MASTODON『Medium Rarities』

MASTODON『Medium Rarities』


2000年代以降の新型ヘヴィ・ロックを代表する米国のMASTODONが結成20年目を迎え、
2001年以降のレア音源を編集した約71分16曲入り。
2ヶ月前の発売ながら最近こればっかのへヴィ・ローテーションCDだ。

ほとんどがシングルのいわゆるB面曲で、
4曲のインスト・ナンバー
(2017年の『Emperor Of Sand』に収めた「Jaguar God」のインスト・ヴァージョン含む)
と5曲のライヴ・テイク(音質良好)、
サントラ提供曲も込み。
だがもちろん捨て曲無しで、
フックのある楽曲クオリティの高さとアレンジ・センスに惚れ惚れするのみだ。
曲の並びも山あり谷ありでよく考えられていヴァラエティに富んで楽しめる。

アメリカン・ロック伝統の泥臭い風味とブリティッシュ・ロック伝統のロマンを効かせ、
アンダーグラウンド・ミュージックのフリーキーなテイストを吸いながら、
メタルとプログレをクールかつエネルギッシュにブレンド。
“プログレ・ハード”という言葉にふさわしいのはMASTOSONだと再認識する。

今回唯一の未発表曲のオープニング・ナンバーには
NEUROSISのスコット・ケリーが作詞とヴォーカルで参加。
ここ数年の彼らを思えばありえないだろうが、
NEUROSISが進むべき方向性のサウンドと言いたい佳曲だ。
カナダ生まれのシンガーソングライターFeist、
ポップ・サイケ系オルタナティヴ・ロック・バンドのFLAMING LIPS、
METALLICA(「Orion」)のカヴァーにも、
MASTODONのミュージシャンシップの高さが表れている。
BUTTHOLE SURFERSのギビー・ヘインズ参加の変態疾走チューンにも痺れる。

基本的に3人がヴォーカルをとる体制でツイン・ギターを活かし、
やわらかいベース・ラインと加速度の肝である手数の多いドラムも肉体化したすべてが
拮抗と調和を繰り返す。
ヴォーカルにも音にも歌心がバッチリだから理屈なんか要らない。
たとえ歌詞の内容がわからなくても豊潤なサウンドだけですべてを言っているから。

まさにグレイト。


★MASTODON『Medium Rarities』(REPRISE 093624892809)CD
曲ごとのクレジットが詳しく載った9つ折りのインサート封入の二つ折り紙ジャケット仕様。


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DEFTONES『Ohms』

DEFTONES『Ohms』


北カリフォルニア出身のオルタナティヴ系ヘヴィ・ロック・バンド、
DEFTONESの約4年半ぶりの9作目である。

プロデュースと録音とミックスはテリー・デイト。
エンジニア業の初期には
ACCUSEDの『Martha Splatterhead's Maddest Stories Ever Told』(1988年)を手掛け、
その後SOUNDGARDENやPANTERAの作品のグルーヴィな作りでメタルの音を塗り替え、
ここ10年ほどの間にはBRING ME THE HORIZONの『Sempiternal』も担当している。
SLAYERの最終作『Repentless』のプロデュース以降テリーの話をあまり聞かなくなったが、
本格的な仕事は今回のアルバムが久々だろうか。

もちろん『Adrenaline』(1995年)、『Around the Fur』(1997年)、
『White Pony』(2000年)、『Deftones』(2003年)という最初の4作で、
DEFTONESサウンドを方向づけるのに大きな貢献をした人である。
原点回帰とまでは言わないが、
初めてDEFTONESを聴いた瞬間のことが蘇ってくるフレッシュな音像だ。

まさにDEFTONES以外の何ものでもない。
もちろんスロー・パート中心で、
スケール大きいサウンドのダイナミクスに飲み込まれてゆく。

手数の多いベースが曲をリードし、
タイトで抜けのいいドラムがゆっくりと曲を進め、
今回メタリックなリフが目立つギターと多彩なキーボードが曲に表情を付け、
ニュー・ウェイヴの流れをくむ耽美性でコーティングしたグルーヴィなヘヴィ・ロックである。
ところによってアンビエント音楽も溶け込み、
ところによってヒップホップのビート感も組み込み、
伝統的なヘヴィ・メタルの臭みを“昇華”した音のヘヴィ・ミュージックである。
たとえゴリゴリの音やシャウトを使ったとしても、
ある種の“歌もの”に仕上げるヴォーカルとキャッチーなソングライティングも健在だ。
彼らにしては泥臭いラスト・ナンバーもいい味を出している。

DEFTONESにハードコアっ気はないしこのアルバムにも疾走チューンはないが、
ストーナー・ポップとも呼ばれるフロリダのTORCHEを想起した。

ほぼ初期からメジャー・フィールドの活動でそういう音の仕上がりだったとはいえDEFTONESは、、
ISISのリーダーが主宰するHYDRA HEAD Recordsなどが
2000年代以降に世に送り出してきた“ヘヴィ・ロック進化系サウンド”の
先駆けだったんだなとあらためて思わされもする。

貫禄の一枚。


★デフトーンズ『オームス』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-18359)CD
歌詞が載った16ページのブックレット封入の二つ折り紙ジャケット仕様の約47分10曲入り。
『White Pony』をはじめ以前からDEFTONESと仕事をしてきた
フランク・マドックスがアートワークのデザイン等を担当。
日本盤には歌詞の和訳が載った12ページのブックレットも付いている。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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