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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Crispy Camera Club  at 下北沢シェルター 10月9日

Crispy Camera Club『ROMA』


京都出身のCrispy Camera Clubの『ROMA』リリース・ツアー東京編。
初めて観たバンドだが、
なんだかわからない思いがこみ上げてきて1曲目から目が潤んできた。
そこそこ長いこと生きてきてたくさんライヴを観てきた中で、
こんなこと初めてだ。

メンバー4人がステージに現れて曲を始める前にギターを鳴らした瞬間に全身が痺れてとろけ、
僕は2秒でこのバンドの虜になった。
ナイス!な仕上がりのCDも素敵だが、
ライヴはギター・ポップの域をはるかに超えるほどロックしていた。

“ガレージ・ジャングリー”なミサト(vo、g)のギターと、
変則フレーズを絡めながらストイックにスパイスも効かせる稲本裕太(g、コーラス)のギターのコンビネーションで、
世界が開ける。
シンプルな極上ギター・ロック・バンドでもあるとライヴで再認識した。
中根トモヒロ(b)はフィンガーピッキングで、
ガレージ・サイケのニュアンスを醸し出しつつBYRDSを思い出す瞬間も。
りんすけ(ds、コーラス)のドラムは、
女性ならではと言える程良くルーズな風通しのいいリズムのパワフルに躍るビート。
その二人が曲をドライヴさせる。

MCもダラダラせずシンプルで、
ほっこりした緊張感をキープ。
ドラム・セットのトラブルとミサトのギターの弦が切れて張り替えている時の間の持たせ方も上手く、
特に後者の時間には稲本がスピッツの「ジュテーム?」をエレキ弾き語り。
その稲本とりんすけのコーラスも絶妙でミサトに寄り添う。

しっかりした発声で思いをクールに伝えるミサトのヴォーカルは、
曲をただなぞっている巧いだけの歌唱力とは別次元のリアルに揺れる歌心があふれ、
ポップで胸を突く音とビター&スウィートなブレンドをしていた。
これがCrispy Camera Clubだけの“魔法”だ。
でかいグレッチのギターを弾く姿がカッコいいミサトを中心に、
コントラスト抜群の4人のヴィジュアルもいい。

トラブル・タイムとアンコール含めてトータル約50分。
とても大切な体験をした気がする。
MCから察するに拠点を東京に移すようで、
ライヴを観られる機会が個人的には増えそう。
この晩披露された新曲もバッチリだったから新作もほんと期待している。


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LIGHTNING BOLT『Sonic Citadel』

LIGHTNING BOLT『Sonic Citadel』


米国のドラム/ベースの奇天烈“ノイズ・ロック・デュオ”が
アルバム・デビュー20周年の年に放った『Fantasy Empire』以来の約4年半ぶりの7作目。
もちろんメンバーは
ブライアン・チッペンデイル(ds、vo)とブライアン・ギブソン(b)で変わらず、
今回も間違い無し!である。


例によってスタジオでのジャムから創り上げるパターンが多いようだが、
これまで以上にフック十分の聴かせどころを設けてよく練られた楽曲クオリティが高く、
LIGHTNING BOLT史上最もキャッチーなアルバムだ。
ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの味わいが最も濃厚なアルバムでもある。
一般的なハード・ロック/ヘヴィ・メタルのファンの方からするとノイズすぎるのかもしれないが、
一般的なイメージの“ノイジー”なサウンドとは一線を画し、
とめどないエナジーの噴出でサウンドが膨張した異次元空間を創造。
やはりバンド名の“稲妻”みたいな電撃音の持続であり、
加速も躍動も止まらない。

無数の情報量の音楽が細胞分裂と交わりを繰り返しているかの如き音像は健在だが、
これまで以上にハード・ロック/ヘヴィ・メタルっぽく聞こえるのは、
オープニングや“キメ”の部分で
“それっぽい”クールなフレーズやリフを大胆に織り込んでいるからである。
70年代の“ハード・ロック”が苛烈したかのようで、
ルーツに敬意を表しているからリフをそのまま借りるなんてことは当然してない。
あらかじめ作曲した曲を増幅してよく動く音がフリーキーなドライヴ感は、
飼いならされる前のハード・ロック本来のダイナミズムに貫かれている。
今回も極々シンプルなドラム・セット使用と思しき手数多いビートと共振しながら、
いわゆるベースの音域の音もハジき出しつつ
ギターに聞こえるベース音が際立って哀愁のサイケデリック・メロディの濃度も高い。

くぐもったヴォーカルをキープしつつ、
けっこう“歌”が目立つアルバムだ。
パンクな歌詞も踊っている。
ユーモアは音にも曲にも炸裂していて人を食った曲名もチラホラ。
HÜSKER DÜを思い出すタイトルの「Hüsker Dön’t」は切なめで、
EAGLESのメンバーと関係あるのか「Don Henley In The Park」は田舎臭さがたまらない曲だ。
ラスト・ナンバーの「Van Halen 2049」は“LIGHTNING BOLT節”全開で、
乱痴気オープニングから70年代ハード・ロックのインタープレイみたいな演奏になだれ込み、
いつのまにかカオティックにスピードアップしていく。
いわばLIGHTNING BOLT流のロックンロール・アルバムなのだ。

体力勝負の演奏は我流で十二分にテクニカルだし、
反復していようがトランスと呼ぶには汗臭く泥臭い。
耳にやさしく気持ちいい爆裂音圧仕上がりも見事である。

アルバム・タイトルどおり、まさに“音速城塞”。
大スイセン。


★ライトニング・ボルト『ソニック・シタデル』(P-VINE PCD-24879)CD
約53分11曲入りの二つ折り紙ジャケット仕様で、
歌詞とクレジットが手書き書体で読みやすく書かれた四つ折りインサート封入。
日本盤は米国でのリリース・レーベルのTHRILL JOCKYによる解説文と歌詞の和訳(by 喜多村純)付。


Crispy Camera Club『ROMA』

Crispy Camera Club『ROMA』


女性がフロントに立って2016年に結成された京都拠点の4人組のバンドが、
『SWAG』以来10ヶ月ぶりにリリースしたセカンド・ミニ・アルバム。
約18分6曲入りながら聴き応えありありで、
もうちょい聴きたくなる欲望を募らせる心憎いヴォリュームだ。


ギター・ポップにインスパイアされているのかもしれないが、
今回も普遍的に音楽として素晴らしい。

ファーストの時から男性の正式メンバーが一人増えた。
女性ヴォーカル/ギター、
男性ギター/コーラス、
男性ベース、
女性ドラム/コーラス
という編成になって“細分化されたジャンルの様式美”を軽やかに超えている一因だ。
性別にはNASHVILLE PUSSYとは真逆のステージの立ち位置で、
派手なルックスじゃなくても女性2人を男性2人が挟むヴィジュアル・バランスが映える。
例外はあるにせよ女性と男性の肉体的、精神的、感覚的な違いは音楽の方も表われるもので、
そういった絶妙の交わり具合がたまらない。

本作には未収録で僕も聴いてないが、
STONE ROSESの「Elephant Stone」やSUNDAYSの「Here's Where The Story Ends」の
カヴァーもレコーディングしたらしい。
なるほどニューウェイヴ/ポスト・パンク流れの
80年代後半のいわゆる“UKロック”のニュアンスも感じさせる。
ジャングリーなネオアコ感やサイケ・ポップ感も漂うが、
緩急織り交ぜた楽曲にビシッ!とした芯がさりげなく貫く。
こそばゆくシャープなソロ・プレイも光るギター、
60年代ガレージ・サイケ風のフレーズが耳に残るベース、
UKインディ・ロックっぽいドコズミックなリズム感のドラム。
ギターやヴォーカルもハーモニーも聴きどころだ。

語感や響きやリズムが活かされた日本語の歌詞の曲が大半で、
ほっこりまったり具合が70年代前半の日本のポップなフォーク・ソングも思い出す。
日本語メインで歌っているほとんど曲でも多少英語のフレーズを織り交ぜているところは、
伝統的な日本のロックの歌詞の組み立て方に通じる。
もちろんエゴ丸出しのヴォーカルが前面に出て演奏が伴奏でしかない日本語ロックとは無縁で、
淡い色合いの歌声とデリケイトな音のブレンドが木漏れ日のサウンドを生み出している。
全編英語で歌う一曲もあえて洋楽感を醸し出したようでクールだ。

「ネイビー・ショア」「エンディングロール」「BIG EASY」「ひとりぼっちのレイニーレイン」
「Peggy Jean」「ティンセルタウン (ROMA mix)」
といった曲名からもイメージが広がる。
歌詞に人称名詞をほとんど使ってないところも興味深く、
けれんみのないクールな青春映画みたいな世界観がサウンドと相まって胸をすく。
ジャケット+帯の全体のデザインも70年代のポピュラー・ミュージックのアルバムの再発盤を思わせる。

ていねいに仕上げられていて、
やわらかい質感の音作りも特筆したい。
もちろん“養殖”ではなく天然。
光合成しているみたいなCDなのである。

これまたライヴが観たくなるオススメ盤だ。


★クリスピー・カメラ・クラブ『ロマ』(KOGA KOGA-215)CD


つしまみれ『まみれマニア20』

つしまみれ『まみれマニア20』


コンスタントに活動を続ける女性トリオ・バンドつしまみれが結成20周年を記念し、
“ベスト・アルバム”と位置づけてリリースした20曲入りのCD。

つしまみれは2014年にもベスト・アルバムの定義のCD『つしまみれまみれ』を出しているが、
そこに収めた曲とは一曲もダブってない。
今回は自分たちのレーベルのMojor Recordsを立ち上げてから録った
2010年12月以降の8枚の作品からセレクト。
一般流通してないCDの曲やシングルのサブ・トラックも含み、
初期に作った「うつ病」と「献血ソング」もアルバム収録ヴァージョンで入っている。
現ドラマーのマイコが叩いた曲が3分の1近くを占め、
2つの新曲も加えている。

それらの新曲がオープニングというところにバンドの自信が見え隠れしている。
1曲目の「THE 給料日」は歌謡ポップス調(≠J-pop)のロックで妙な疾走が彼女たちらしい。
2曲目の「絶対☆ダイジョーブ」もパワフルだが、
日本の民謡風の旋律も絡めつつ後半は手作りのループ状の音とヴォーカルのやり取りがストレンジだ。

新曲が最初ということが示すように曲順は時系列ではなく、、
既発表の曲中心に再構成した“ニュー・アルバム”のような流れになっている。


あらためて聴いて、
ポップなニューウェイヴとオルタナティヴ・ロックが
日本語の歌でブレンドされたユニークな個性が息をしている。
リズム隊・・・特にベースがリードする曲が多く、
曲によってはサーフ・ロックもソフト・ロックもラテンも顔を出し、
女性オンリーのバンドならてはの発想で石頭をくすぐり倒す。

流行りすたりに関係なく我が道を行く。
スノッブなギョーカイ全体が推す“インディ・トレンド”にかすりもしないのが素晴らしい。
サブカルにも媚びを売らないし卑屈にもならない。

高い声域でしっかりと発声するポップなヴォーカルの歌い方が象徴するように、
エキセントリックに見えてまっすぐなバンドだ、意外と。
けっこうヘヴィにロックしている。
やっぱりトリオ・バンドならではのギリギリ感に裏打ちされているのだ。

ところによってはシアトリカルになるが、
ふざけているようでリアリズムこぼれ落ちる真面目な歌ばかり。
と同時に怪しい歌ばかり。
へんてこなポップスばかり。
いい意味で年相応じゃなく若作りもしてなくて年齢不詳の曲と歌ばかり。
わざとらしく曲げようとしなくても自然とちょい屈折したような曲の数々。
ちょっとばかり切なく愛おしい。
名曲「Crazy for you」をはじめとしてポップな歌心があるからだ。

“王道”をやっていてもいつまにか天然でハズしてしまうのが、つしまみれ。
実際はチャーミングなルックスなのだから
ストレートなアー写っぽいジャケットにする手もあるだろうに、
今回も“ビミョー”なジャケットなのがまた、つしまみれらしい。


★つしまみれ『まみれマニア20』(Mojor DQC-1631)CD
16ページのブックレット封入の約75分20曲入り。
パッケージ裏には曲名の英語タイトルも載っている。


そこに鳴る『一閃』

そこに鳴る『一閃』



2011年に大阪で結成以来コンスタントに活動し、
一歩一歩進んで海外展開も本格的になってきた“そこに鳴る”の7曲入りの新録CD。

コンパクトに凝縮されたミニ・アルバムのヴォリュームで一年に一作のペースでリリースを続け、
昨年ライヴ開場で販売された3トラック入りCD『re:program』の表題曲も収録されている。
もちろん7曲だろうが今回も聴き応えありありだし、
CD全体の構成や曲の流れもドラマチックだし、
いい意味で長く感じる濃厚な仕上がりだ。


鈴木重厚(g、vo)と藤原美咲(b、vo)を核とし、
志雄(ds)が“アディショナル・ミュージシャン”としてクレジットされ、
今年2月に決行した初のヨーロッパ・ツアー前の意気込みまでもレコーディング。
もちろん欧州のステージに立とうが日本語表現で押すのは変わらず、
歌詞だけでなく作品のクレジット等も含めて日本語でほぼ統一し、
自分たちの魅力が日本の土壌から出てきたことを強みとして活かしている。
と同時に手垢にまみれた日本らしさを売りにすることなんて全然なく、
持ち前のヨーロピアン・テイストの凍てついた空気感に覆われ、
なおかつ内向的のようで外向き全開のダイナミズムに満ちている。

例によってスクリームの類いのヴォーカルはないが、
メタルコアの凛としたポップ・ヴァージョンみたいな曲とサウンドに磨きをかけている。
もちろんメタル・バンド!とは言わないしメンバーもそう思ってないだろう。
けど僕がそこに鳴るに惹かれるのは、
メタルの意匠を利用しているにすぎないやつとは一線を画し、
メタルの本質のヘヴィネスもサウンドそのもので体現されているからだ。

よりキャッチーに!より複雑に!という感じである。
一曲の中での展開もますます激しくなりつつ随所に聴かせどころも設け、
やっぱり頭で作っている曲と違うナチュラルな作りだ。

いわゆる速弾きの類いのテクニカルな演奏をアクセントに使って勢いをつけ、
必要とあらばギター・ソロも入れるが、
いずれも簡潔にというところがポイント。
“メタル meets シューゲイザー”といったトーンののギターに対し、
やはりなかなかテクニカルな技も挿入するベースは図太く音も大きく、
アタック感も十分で元気に暴れている。
ドラマーは今回も手数足数多く助っ人以上のウルトラ・パワフルな活躍で、
二人のメンバーに言われたことをただやっているだけにはとうてい聞こえず、
そこに鳴るのロック感を高めて肉体派のサウンドに一役買っている。

二人のヴォーカルも単なる合唱やハーモニーだけでなく、
ますますユニークな絡みや掛け合いを噛ませている。
甘くメロウな感触も強い歌声はクールに突き放しているようにも聞こえ、
そこに僕はポスト・パンクの佇まいを覚える。

NEW ORDERを思い出すキーボードっぽい音も聴こえてくる作品だが、
似てはいないにしろ、
たとえるなら歌詞はJOY DIVISIONを聴いて元気になるような感覚だ。
サウンドと共振して力の光が放たれ、
『一閃』というCDタイトルもピッタリだ。

最高傑作、
もちろん現時点までの、である。
これまたライヴが観たくなるオススメ盤。


★そこに鳴る『一閃』(KOGA KOCA-97)CD
歌詞が見やすくデザインされた8ページのブックレット封入の約24分7曲入り。
CD盤面もCDタイトルそのものので思わずさわりたくなるデザインだ。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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