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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Elvis Presley『LOVE ME TENDER The Greatest Hits』

Elvis Presley『LOVE ME TENDER The Greatest Hits』


テレビ・ドラマ『高嶺の花』の主題歌にもなった「Love Me Tender」で幕を開ける
約80分30曲入りのベスト盤。
今日発売のCDである。


ファンクラブの“エルヴィス・プレスリー ソサエティ・オブ・ジャパン”の人が
レコード会社のスタッフと選曲したセレクションがまず素晴らしい。
バラードからロカビリーまで有名曲の連発である。
ほぼ時系列で曲が並べられているが、
CD全体でひとつの流れができているのもプレスリーの魔法ってもんだろう。

プレスリーは、
歌っている時の腰使いがワイセツとかその手の観点で
“politically correct”みたいな当時の連中にイチャモンをつけられたらしい。
それはともかく本能に忠実でひそかにクレイジーな歌とはいえ、
歌詞が“18禁仕様”じゃなくても音声だけで淫らなことをイメージさせるものがある。
わざわとらしくエロい歌い方しなくても素の歌唱が艶っぽいのだ。
いつも書くように一番大切なのは響きだってことをあらためて思わされる。

DEAD KENNEDYSがカヴァーした「Viva Las Vegas(邦題:ラスヴェガス万才)」も、
もちろん収録。
「A Little Less Conversation(かつての邦題は「おしゃべりはやめて」)を
68年のオリジナル・ヴァージョンではなく、
オランダのJUNKIE XLが2002年にリミックスしてヒットした
“JKLラジオ・エディット・リミックス”で収めて締める作りも特筆したい。
プレスリーの音楽がノスタルジックな存在ではなく現在進行形ということを示してもいる。


エピソード満載でわかりやすくポイントを押さえた全曲長文解説も読み応えあり、
同じく見やすいレイアウトで全曲の歌詞と和訳が載った44ページのブックレット封入。
ちょい厚めのプラケースで分厚いブックレットもすんなり収納できるパッケージで、
お値段も抑え目で至れり尽くせりである。

曲自体はネットを漁れば聞ける(≠聴ける)ものが多いのかもしれないが、
こうやって丁寧に作られたトータル・パッケージで歌詞や曲解説を眺めながら耳を傾けると、
より深く味わえる。
気軽に楽しめる曲ばかりながら、
じっくり向き合いたくもなるブツだ。


★エルヴィス・プレスリー『ラヴ・ミー・テンダー~グレイテスト・ヒッツ』(ソニー・ミュージック SICP 31174)CD[一般のCDプレイヤー等で再生可能な-specCD2]


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Bob Dylan『Live 1962-1966 Rare Performances From The Copyright Collections』

Bob Dylan Rare


ボブ・ディランのタイトルどおりの時期のライヴ音源をほぼ時系列でまとめた2枚組。

ディスク1は71分22秒の16曲入り、
ディスク2は82分49秒の14曲入り
(日本盤は本編未収録の「Like A Rolling Stone」をバンド録音で追加)だ。
2012年以降に“The 50th Anniversary Collection”等のタイトルで発表された
膨大な数の音源(通称“コピーライト・コレクションズ”)から抜粋した“ベスト盤”で、
ほとんどが日本盤で正式発売されてない音源とのことである。
曲のダブりは無しだ。


ドキュメンタリー・タッチの録音状態で“生”である。
もちろん音質は良好で歌声もギターもはっきり聞こえる。
固唾を呑んで聴き入って曲が終わるや否や鳴らす観客の拍手が適度に入る編集も的確だ。

レコード・デビュー前後のパフォーマンスからスタートするが、
やはり初期は格別だ。
曲も歌詞もいわゆるディランのパブリック・イメージそのものの時期で、
初々しくも骨っぽい歌声もさることながらギターのユニークなリズムもフレッシュである。

ディスク1は全曲アコースティック・ギター弾き語り+ハーモニカで、
女性コーラスが入る一曲以外は独演。
この時期からフォークは越えていて戦前のブルースっぽい曲もある。
ルー・リードはボブ・ディランと比較されることを嫌がっていたが、
VELVET UNDERGROUNDの静かな曲との接点が聴こえてくるギターの曲も新鮮だ。

ディスク2は3分の1近くがバンド演奏である。
The SMITHSみたいな曲もやっていて、
エレクトリック・ギターが使われている曲はやっぱりロックンロールだ。

このCDの終盤の方は早くも爛熟の佇まいだが、
だからこそどんどん自身をアップデートしていったのである。
ポリティカルでありゴリゴリした内容の歌詞を見ながら聴くと、
こういう言葉をこういう裸の音でクールに歌い放っていたことにあらためて驚かされるCDだ。


★ボブ・ディラン『ライヴ:1962-1966~追憶のレア・パフォーマンス』(ソニー・ミュージック・ジャパン インターナショナル SICP31180~1)Blu-spec CD2[一般のCDプレイヤー等で再生可能]2枚組
昔ながらの分厚い2枚組CD用のプラケース仕様。
日本盤は曲ごとの解説と歌詞/和訳などが載った64ページのブックレットも封入。


INNOCENCE MISSION『Sun On The Square』

INNOCENCE MISSION『Sun On The Square』


ジャケットも担当の女性ヴォーカルを擁して
米国ペンシルヴィニア州拠点に30年近く活動している夫婦中心のアコースティック・バンド、
The INNOCENCE MISSIONによる『Hello I Feel The Same』以来の約3年ぶりの新作。
12作目に数えられそうなアルバムで、
英国では
元COCTEAU TWINSのサイモン・レイモンドのレーベルであるベラ・ユニオンからのリリースである。


女性のヴォイスと二人のミニマルなギターが中心で、
カレン・ペリスとドン・ペリスの夫婦は
各々ピアノ、バンプ・オルガン(≒ハーモニウム)、アコーディオン、そしてドラムも演奏。
曲によって、
結成前からの友人のマイク・ビッツがアップライト・ベース、
ペリス夫婦の二人の子どもがヴィオラとヴァイオリンで参加している。

いわゆるフォーク・スタイルの一種の歌ものの作りながら、
楽器もよく歌っていてヴォーカルとハーモニーを織りなしている。
録音やレコーディングの仕上げもたいへん繊細に行なわれ、
どの曲もシンプルだからこそ雄弁な楽器構成にもかかわらず
オーケストラに聞こえる音像と音空間に目が覚める。
素朴を超えて研ぎ澄まされ、
すべての響きがデリケイトこの上なく息を呑む。
ギターも弦の震えや動きが見えてくるほどだ。

浮世離れしているわけではないが、
浮き世を超えて普遍的である。
巷のポピュラー・ミュージックが流行り歌で世間の動きに一喜一憂して流されるのとは違って、
世の動きに惑わされない。
ポピュラリティの高いメロディ・ラインの楽曲であるにもかかわらず、
世の喧騒に煩わされず動揺することもない。
たいへんソフトなのに揺らぐことがない。
このグループに似合わない言葉をあえて使うと、
こわれもののようで強靭だ。

タイトルからもイメージがふらんでいくから“邦題”とともに本編の曲名を書き出してみる。

「Records From Your Room(きみの部屋からレコードが)」
「Green Bus(みどり色のバス)」
「Look Out From Your Window(窓から外を見て)」
「Shadow Of The Pines(松の木の影)」
「Buildings In Flower(花の中の建物」
「Sun On The Square(広場に日が射す」
「Light Of Winter(冬の光)」
「Star Of Land And Sea(陸と海の星)」
「An Idea Of Canoeing(もしもカヌーに)」
「Galvanic(電光)」

歌詞も木漏れ日がまぶしい。

ヴォーカルもまさに“生”の響きである。
“清涼感”とか“天使の声”とか書くと安っぽくなってしまうほどの生まれたての声。
しかも30年歌ってきてやはり研ぎ澄まされ、
心を静かにころがす歌声だ。

80年代のスザンヌ・ヴェガが甘くなったようなリズムでも歌われるが、
60年代のフォーク/ポップスを思い出す。
正反対の声質ながら歌手デビューの頃の60年代のニコや、
同じく60年代のマリアンヌ・フェイスフルのロック感も滲み出す。
無意識のうちにアシッド・フォークの気配を匂わせつつ、
アコースティック・ポップスとして空間に広がる。
アルバム・タイトル曲は
アストラッド・ジルベルトや60年代のボサノヴァにインスパイアされたとのことだが、
他の曲にもそういうニュアンスが感じられたりもする。
佇んで終わらずに躍動している。

いわゆる米国のインディ・ロックみたいな小ぢんまり感とは一線を画し、
おくゆくかしくダイナミック。
内向きの息苦しさから解放される。
グレイト。


★ジ・イノセンス・ミッション『サン・オン・ザ・スクエア』(Pヴァイン PCD-25742)CD
内側に歌詞が載った三つ折りのインサート/ジャケットがプラケースに封入された仕様。
日本盤は1曲「Mary Wilson」追加の36分12曲入りで、
毎度ていねいな仕事の喜多村純による歌詞の和訳(ボーナス・トラックは除く)と
メンバーの言葉も挟み込んだ無記名ライナ~が読みやすく載った
8ページのブックレットも封入。


SpecialThanks『HEART LIGHT』

SpecialThanks『HEART LIGHT』


エレクトリック・ギターを弾く女性シンガーソングライターがフロントに立ち、
マイ・ペースでコンスタントに活動を続ける愛知県出身のバンドが出した5曲入り。
サード・フル・アルバム『Anthem』以来のニュー・レコーディングCDだ。

“KEMURI meets Hi-STANDARD”なメロディック・パンクに、
ギター・ポップとパワー・ポップとギター・ロックをブレンドしたようなサウンドに磨きをかけている。
ファンキーなフレーズで前のめりになったかと思えばソフト・ロックのまったり感でも進み、
飛ばすだけでなく一曲の中でも彩り豊かな表情を音楽で見せてくれる。
ほんと純なイイ曲ばかりで、
5曲に凝縮された濃密な作品に仕上がっている。

メジャーな“J-POPロック”ともニアミスするキャッチーな曲ながら、
やっぱりこのバンドはちょっと違う。
音がのっぺらぼうじゃないし無臭ではないし滅菌もされてないし、
ギターをはじめとして何気に音が骨っぽい。
何よりヴォーカルがふわふわしていて線が細いようでさりげなく生々しい。
新境地でラップ/トーキング・スタイルも絡めつつ適宜声の重ねも行ないながら、
たおやかにキュートで艶っぽい“生”の歌声が疾走しながら漂流する。

ソリッドなのに柔らかい楽器の音作りと共振し、
英語と日本語が混ざっている歌詞もそういう感触の“サウンド”にもなっている。
自己主張のエゴを削ぎ落して音と溶け合っているからいい意味で言葉が聞き取りやすくなく、
すべて英語で歌っていた頃のようにヴォーカルも一種の楽器のように響きつつ、
記憶のかけらのように日本語が聞こえてもくる。
もしかしたら歌のモチーフは日常のことかもしれないが、
気持ちは自分の半径30センチ以内に留まることはなく、
ある意味“宇宙レベル”の言葉を多用してスケール大きく包み込む。

ページごとに色が違うドリーミーなデザインの8ページのブックレットには
イラストを添えて手書き書体で歌詞が載っているが、
そういうところも大切な表現。
すべてがブレンドしている素敵な攻めの一枚だ。


★SpecialThanks『HEART LIGHT』(KOGA KOGA--208)CD


DIZZY MIZZ LIZZY『Livegasm!』

DIZZY MIZZ LIZZY『Livegasm!』


デンマークの国民的ベテラン・ロック・トリオの最新ライヴ盤。
デンマークでの2回とノルウェーでの1回という、
2016年夏の3回分のフェスのステージから15曲を抜粋編集して仕上げられている。

スタジオ録音盤でもそれほど凝ったことはしてないとはいえ、
やっぱりライヴだとストレートにバンドの肝が伝わってくる。
“BEATLES meets LED ZEPPELIN”とも言うべき曲とサウンドの中に、
ブログレやスラッシュ・メタルのスパイスも少々の“パワー・ポップ・ハード・ロックンロール”だ。

過半数の8曲が2016年の復活最新サード・アルバム『Forward in Reverse』の曲というところに、
懐メロ・バンドとは一線を画す現在進行形の心意気が表れている。
何しろ元気元気。
適度に洗練されていて、
適度に泥臭く、
ツボを突く曲を連発する。
ソングライターがティム・クリステンセン(vo、g)一人で曲がキャッチーだろうが、
メンバー全員のケミストリーがハンパなければロック・バンドとしてのダイナミズムも生まれ得るのだ。

歌詞は英語だからヴォーカルの響きにもクセはなく、
曲によっては合唱も自然発生の観客のリアクションも程良くで入って、
ステージの様子をイメージさせる。
ほとんどが母国でのライヴだから時おり入れるMCが英語じゃないところも面白い。

策を弄した底の浅い作品にウンザリすることが多い昨今、
真正面から生のコミュニケーションに挑むポップなストロング・スタイルに胸がすく一枚。


★ディジー・ミズ・リジー『ライヴガズム!』(ソニーミュージック SICP 5640)CD
日本先行発売の約78分15曲入り(海外では12月8日にLPとデジタル・データでリリースらしい)。
CDのフォーマットでのリリースは日本のみとのことで、
歌詞/和訳やライヴ写真などで彩った28ページの日本特製ブックレット封入。
初回限定の二つ折り紙ジャケット仕様だ。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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