なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

TURBONEGRO『Rocknroll Machine』

TURBONEGRO『Rocknroll Machine』


80年代末から活動しているノルウェーのパンク・ロックンロール・バンドが、
『Sexual Harassment』から約6年ぶりに出した新作。

曲はリーダーのハッピー・トム(b)、
90年代半ば以降の中核メンバーでプロデュースもしているユーロボーイ(g)、
前作から参加したシルヴェスター(vo)が書いているが、
新加入のキーボード奏者が今回のポイントの一つになっている。

ジャケットからイメージできるスペーシーなオープニングだが、
HAWKWINDというよりはニューウェイヴっぽいキーボードの音だ。
そもそもアルバム全体のアレンジやメロディが
80年代前半のアメリカのメイン・ストリーム・ロック直系である。
曲のサビもあえて当時のUSAのヒット・チャートものみたいに作ったと思えるほどだ。

一方でポップ&キャッチーなのにクセの強いTURBONEGROの肝はもちろん健在だし、
今回AC/DCっぽいリフの曲が多めながら疾走ロックンロールもバッチリである。
これまでの様々な“ロックンロール・ナンバー”のフレーズが
わざと漏らした元ネタみたいにチラリチラリと聞こえてくるのも楽しい。
四つ打ちもやるドラムのリズム・センスもまたまた抜群だ。

キワモノのようでしっかり作られている曲や音だけでなく、
歌をしっかり聴かせるバンドでもある。
英語で綴られている歌詞もわかりやすいようで一筋縄ではいかない。
もちろん生の表現を去勢する“ポリティカリー・コレクト”なんか知ったこっちゃなく、
「On The Rag」ではホモ(fags)もアナル・セックスも歌い込む。
「Skinhead Rock & Roll」なんて曲もやっている。
「Hot For Nietzsche」ではニヒリズムのフリードリヒ・ニーチェ、
「John Carpenter Powder Ballad」では映画監督のジョン・カーペンターを歌ったのだろうか。

ってな流れで意味深なタイトルのラスト・ナンバーである「Special Education」の
“Show me how to walk, Show me how to talk, Show me how to rock, Show me how to fuck,
Special education”
というサビのフレーズがしっくりくるのであった

実はこのアルバムも
最初に聴いた時は“too much 80’s”な音に「あれっ・・・・?」と思ってしまったのだが、
それもアルバム全体のテーマと関係ありそう。
70年代のALICE COOPERやTUBESを思い出すシアトリカルな展開にも持っていかれる。
噛めば噛むほど味が出るように聴けば聴くほど美味しい。
またまた愛聴盤になりそうだ。


★TURBONEGRO『Rocknroll Machine』(SCANDINAVIAN LEATHER No Number)CD
約39分11曲入り。


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D.O.A.『Fight Back』

DOA FIGHT BACK


名実ともにカナダを代表するパンク・バンド、
D.O.A.が結成40周年を迎えて放った3年ぶりのアルバム。
NOMEANSNOやSNFUなど他にもカナダの様々なバンドを手掛けてきた
セシル・イングリッシュがエンジニアを務め、
唯一のオリジナル・メンバーのジョー・キースリー(vo、g)とプロデュースしている。


80年代初頭からハードコアを自称してきたのもうなずける気骨に貫かれ、
今回もツー・ビートの曲をけっこうやっている。
色々と“昔気質”のバンドで、
伝統的なアメリカン・ロックと
伝統的なレベル・ミュージックが根っこにあるパンク・ロック・バンドだ。
ブルース/ロックンロールをベースとし、
オリジナル曲でもカントリー・ミュージック風のパンク・ロックをやっている。
毎回のように収録するカヴァーにもバンドのキャラが表れており、
今回はボブ・ディランが書いてジョニー・キャッシュが歌った「Wanted Man」で
田舎っぽい疾走を聴かせる。

ポリティカルな色の強い歌詞はナイーヴに感じるところもあるが、
意識の違いが面白かったりするものだ。
何か“一大事”が起こるとコロッと変わるバンドは論外で、
こういう歌詞を相変わらずやっていること自体が筋金入りってことだし、
やっぱりサウンドそのものの強度で信頼できる。
声と音はウソをつかない。

カナダの“盟友”SUBHUMANSの代表曲「Fuck You」をカヴァーするも、
「(同じくカヴァーした米国東海岸のメタル・バンドの)OVERKILLは楽曲使用料を払ってくれたが、
D.O.A.はそうじゃなかった」
みたいなことをSUBHUMANにセルフ・ライナーで書かれたことがある。

けどデジパックのトレイに写っているジョー・キースリー(vo、g)の不変のヴィジュアルで、
やっぱり信頼できる。
還暦を越えてもなおコンスタントに曲を書き続けてコンスタントにアルバムを作り、
ハイ・クオリティの熱いパンク・ロックをキープしていることにインスパイアされる。
オシャレなシーンなんか知ったこっちゃないパンクだからこそロックだ。

元気な歌心たんまりの快活躍動盤だが、
ラスト・ナンバーの「World's Been Turned Upside Down」は切ない一枚。


★D.O.A.『Fight Back』(SUDDEN DEATH SDR-0121)CD
デジパック仕様の約31分13曲入り。
歌詞カードの類いはなく、
歌詞を読みたかったら自主レーベルのSUDDEN DEATH Recordsからダウンロードする合理的なやり方も、
D.O.A.らしい。


NO FUN AT ALL『Grit』

NO FUN AT ALL


スウェーデンのメロディック・パンク・バンドが約10年ぶりに出した6作目のフル・アルバム。
90年代前半に結成され、
2000年代以降は断続的な活動ながらまた新作が聴けてうれしい。
最近のへヴィ・ローテーションの一枚である。


調子がいいメッセージなんか吐かない(がさりげなく“主張”している)歌詞もひっくるめて、
正直だから大好き。
サウンドもひっくるめてNO FUN AT ALLにはウソがない。
わざとらしいポーズもない。

94年のファースト・フル・アルバム『No Straight Angles』から、
僕の中では快作の次にイマイチのアルバムを出すバンドというイメージもあった。
というわけで10年前の『Low Rider』が快作だったから今回は不安だったが、
杞憂であった。

BAD RELIGIONのスタイルを“本家”以上にアップデートしている。
潔く迷いもないから突き抜けている。
ポップスをソリッドな音でもって速くやっている感じだが、
シングル等の編集盤CD『EP's Going Steady』収録のカヴァーに現れた彼らの“パンク・センス”は
今回もバッチリだ。

盟友MILLENCOLINのマティアス・ファームがプロデュースと録音とミックスを行なっている。
かつてNASUMもSKITSYSTEMもPEEPSHOWSも手掛けた人だけにバランス感が良く、
NO FUN AT ALLの魅力をしっかりレコーディングしている。

正確に言うと唯一のオリジナル・メンバーであるミカエル・ダニエルソン(リズム・ギター)の
曲作りにブレがない。
全曲ツボを突く。
いい感じでヘタレたイングマーのヴォーカルも健在。
リード・ギタリストとベーシストのメンバー・チェンジがあろうが、
バンドの屋台骨のドラマーがレコード・デビュー当時の人というのも大きい。
やっぱりバンドはドラマーで決まるのだ。
とにかく簡単にマネできそうで誰にもできない“NO FUN AT ALL節”に磨きをかけている。
チラリと聴かせるツイン・ギターのハーモニーもバッチリだ。

中核メンバーがオッサンになったバンドならではの円熟テイストも滲みつつ変わらず瑞々しい。
NO FUN AT ALLをずっと聞いてきて良かった。
胸がすく一枚。


★NO FUN AT ALL『Grit』(BIRD ATTACK BAR-049)CD
カードボード状の三つ折り紙ジャケット仕様の約33分12曲入り。


NEW YORK DOLLS『Personality Crisis: Live Recordings & Studio Demos 1972-1975』

NEW YORK DOLLS『Personality Crisis Live Recordings


レア音源集の決定版とも言うべきCD5枚組。

完全未発表ものではない。
僕がわかるだけでも、
権利関係はクリアして発売されたと思しき80年代初頭以降リリースの
カセットやレコードやCDで世に出た音源が多い。
必ずしもまるっきり同じ曲目ではないが、
『Lipstick Killers』『A Hard Night's Day』『Butterflyin'』『Red Patent Leather』の曲の
大半とダブっていると思われる。
とはいえそういうものを一つ一つフォローするのは今でも大変だから便利な編集盤だし、
リマスタリングされているからパーカッシヴに迫ってきて、
ジョニー・サンダース(g、vo)のワガママなエレキもまさにギンギンだ。
どれも音質良好である。


約72分18曲入りのディスク1と約71分18曲入りのディスク2は
1972年の6月と10月、1973年3月録音の3回分のデモを収録。
そのうち1973年の23曲のデモを聴くと、
ファーストの『New York Dolls』レコーディング直前でありながら
既に1974年のセカンド『Too Much Too Soon』の曲の大半ができあがっている、
ビリー・ムルシアがドラムの1972年の13曲はテンポが遅いのも興味深いが、
ジョニー・サンダースが数年後にHEARTBREAKERSを一緒に組むジェリー・ノーランが
ドラマーとして加入したことがいかに大きかったことが1973年のデモでわかる。
スピード感が五割り増しで、
リズム隊のコンビとしてアーサー・キラー・ケインのベースのヘヴィネスも五割り増しなのだ。

サニー・ボーイ・ウィリアムソンII、オーティス・レディング、チャック・ベリー、
マディ・ウォーターズ、SHANGRI-LASのカヴァーの他、
オリジナル・アルバム未収録のオリジナル曲も含まれている。

約80分23曲入りディスク3と
約78分17曲入りのディスク4と
約67分16曲入りのディスク5には、
1973~1975年の6回のライヴ音源の曲が入っている。
収録時間制限ギリギリかつ合理的に曲を詰め込んで一回分のライヴがCD2枚に分割もされているが、
一つのライヴ以外はフル・セットに近い収録と思われる。

全体としてまさにギンギンのうなりを上げるエレキのジョニーのギターが炸裂し、
オリジナル・アルバムのR&Bっぽさは薄れてHEARTBREAKERSの原型のパンク色が濃い。
ライヴは特にサウンドそのものが素行不良である。
こういうものを体感すると、
たとえ極悪イメージを打ち出していてもメタル的整合感の音のテクスチャーがえらく行儀良く聞こえる。
といっても1975年のライヴは疲れ気味で分裂寸前の空気感も伝わってくるのであった。


同じ曲が何度も出てきて通して聴くとゲップが出そうなほど
猥雑なロックンロールの肝が詰まった小箱である。


★NEW YORK DOLLS『Personality Crisis: Live Recordings & Studio Demos 1972-1975』(CHERRY RED CRCDBOX52)5CD
小箱ボックス仕様。
すべて別デザインの紙ジャケットにCDが収納され、
雑誌の表紙やポスター等の写真と長文ライナーなどで彩った28ページのブックレットも封入。


FUGAZI『INSTRUMENT フガジ:インストゥルメント』DVD

FUGAZI『INSTRUMENT フガジ


数か月前に劇場上映も行なわれたFUGAZIの映像作品の日本盤DVD。


日本盤だけのジャケット/パッケージ・デザインで、
発言部分と歌入りの曲の大半の部分には日本語字幕が表示できる。
117分の本編に関してはこのブログでも書いたから今はあらためて触れないが、
イアン・マッケイ(vo、g)も主宰者の一人でこのDVDのオリジナル盤のリリース・レーベルの
DISCHORD RecordsによるフルHDリマスターが行なわれている。

音圧を上げすぎてないにもかかわらず演奏場面ではパーカッシヴな音に仕上げられていると同時に
この映像作品のバックで使うために作られたFUGAZIのインスト・ナンバーも深く染みてくる。
映像は妙に鮮明すぎず彫りが深く、
カラー映像も含めてフィルム感の高いトーン。
実際白黒映像も適宜使っているが、
モノクロ写真の味わいだ。
コンセプト先行の頭デッカチとは対極の映像そのものが表現だから何度観ても飽きない。

映像作品における編集センスの大切さも再認識する。
ストイック、しかしユーモアもさりげなく、
FUGAZIの映像作品らしい。


映像特典は、
米国批評とも解釈できるイメージ映像「Little Flag」「Glue Man」
(FUGAZI、イアン・マッケイ/ジェム・コーエン監督の音楽入り)に加え、
「Waiting Room」「Turn Over」「Long Division」のライヴが各々フルで入っている。

日本盤には16ページの特製ブックレットも封入。
イアン・マッケイのコメントの原文と和訳、
ジェム・コーエン監督の長文プロダクション・ノート/サム・ロジカル・ノーツの和訳、
観たい部分が出しやすい48に区切られたわかりやすい“contents表”(≒目次≒chapter)
等で構成されている。


★FUGAZI『INSTRUMENT フガジ:インストゥルメント』(キュリオスコープ/キング KIBF 1577)DVD


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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