なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

OLEDICKFOGGY『オールディックフォギー名作撰 破戒篇』『オールディックフォギー名作撰 絶海篇』

破戒


東京拠点に精力的な活動を続けているロック・バンドのOLEDICKFOGGYが、
現メンバーでベスト・セレクション・ナンバーを再録音した2種類の15曲入りCDをリリース。
どちらもアルバム・カヴァーの面にタイトルの漢字がエンボス加工された三面デジパック仕様で、
歌詞が読みやすく載ってメンバー一人一人の顔アップ写真が彩る16ページのブックレット封入だ。

音源発表がけっこう多いバンドだけに後追いでファンになると曲をフォローするのも大変だから、
ステージでよくやる曲を中心に収めた今回の企画はありがたい。
一昨年の8月にyossuxi(アコーディオン、キーボード)が正式加入し、
新しいケミストリーが生れてネクスト・レベルに進んだ体制でリレコーディング。
昔の曲ばかりながらライヴで練り続けて鍛え続けた楽曲群だからたくましくなり、
凝ったアレンジや仕掛けはしてない録音だから現在進行形のライヴの感覚も味わえる。

スッキリした作りで音がポップにハジけ、
OLEDICKFOGGYにもともと内包しているいい意味でのメジャー感も自然と醸し出され、
いわゆる日本のロックが好きな方もいけるはずだ。
クリアー(not クリーン)な音質で音の分離が良く、
ヴォーカルと楽器のバランス感もいい。
だから個々のパートのサウンドの味わいや楽曲の良さや歌詞の面白さもはっきりと直で伝わってくる。

絶海

サウンドのタイプで楽曲を振り分けたというよりは、
それぞれのCDタイトルのテーマに沿って歌詞や音のベクトルも考慮しながら曲を構成したと思われる。
パッケージの色のイメージで誤解を恐れずに言えば、
約63分の『破戒篇』は“黒魔術”、
約55分の『絶海篇』は“白魔術”のようなアルバムだ。

バンジョーやマンドリン、ウッドベース、アコーディオンが活躍するサウンドだから
ラスティックストンプとも呼ばれる音楽性だが、
日本語パンク・ロックとしても楽しめる。
と同時に日本のロックとしても楽しめるが、
もっと言えばバンド・サウンドで日本の叙情を綴る歌ものとしても楽しめる。
『絶海篇』の最後の曲の「郷愁と残像」なんか友川カズキのリリカルな曲も思い出すほどだ。
映画『歯車にまどわされて』の中でも歌をチラリと披露していたが、
尾崎紀世彦が好きというのも納得の伊藤雄和のクールな熱唱も聴きどころで、
1970年代・・・いや昭和40年代の歌謡曲やテレビ・ドラマの主題歌みたいな曲も少なくない。
J-POP以前の侘び寂びの効いた日本語の歌を
ラスティックな音で聴かせるのがOLEDICKFOGGYの魅力、
ということもよくわかるCDなのだ。

巧くなったのかもしれないが、
歌も演奏も“旨く”なっていることが大切。
そんなところにも耳を傾けたい2枚である


★オールディックフォギー『オールディックフォギー名作撰 破戒篇』(DIWPHALANX PX320)CD
★同『オールディックフォギー名作撰 絶海篇』(同 PX321)CD


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WARWOUND/WAR//PLAGUE『孤独』

WARWOUND.jpg


英米のベテランが組んでいるハードコア・パンク・バンドの2組を収めたスプリット作。
日本盤CDはそれぞれ1曲ずつ追加された計約18分6トラック入りである。


英国のWARWOUNDは2年ほど前にBOSS TUNEAGE Recordsから83年のデモのCDが発売されたバンドで、
数年前に復活している。
現メンバーは、
元VARUKERSでSACRILEDGEのダミアン(g)、
HELLKRUSHERのメンバーだったスティーヴィー(ds)、
2000年代の半ばから10年ほどDISCHARGEのフロントマンも務めたVARUKERSのラット(vo)、
元DECADENCE WITHINで
英国パンク史本『Burning Britain』シリーズの著者としても知られるイアン・グラスパー(b)だ。

D-beatハードコア・パンク/クラスト・コア・スタイルが基本ながら、
最近のDISCHARGEBROKEN BONESに近いメタル・テイストが加わった調子である。
大半のパートをツー・ビートで走るとはいえ適度に起伏を設けて最後まで持っていき、
ビシッ!としたサウンド・プロダクションで聴き応えありだ。
ちなみに2トラック目には2曲続けて入っていて、
ボーナス・トラックの「War Crime」は英国のDOOMの同名曲のカヴァーではない。


かたやWAR//PLAGUEは2000年代の終盤からコンスタントに音源を出している
米国ミネアポリス拠点のバンド。
メンバーは、
元PROVOKEDのルッツ(vo、g)、
同じく元PROVOKEDで本作やAMEBIXMISERYの近作のジャケットも手掛けて
TAU CROSSの一員としても知られるレフトン(g)、
そしてヴァーン(b)とチャド(ds)だ。

ミッド・テンポのパートとD-beatを絡めたメタル・クラスト・パンクを基調に緩急織り交ぜ、
最後はAMEBIXのようなドラマチック・ナンバーで迫る。
いい意味でじっくりも聴けるし、
頭の上ではなく腰のあたりで拳を握りしめて頭を振りながら楽しめる曲がクールだ。
クリーンとは違うが濁りすぎず音の分離のいい仕上がりで、
中低音がしっかり聞こえてきてヘヴィな空気感も伝わってくる。


どちらも歌詞はバンド名からイメージできる言葉も使われているが、
ナイーヴな“反戦ソング”とは一線を画した普遍的な内容で、
冷厳でインディヴィジュアル(individual)な視座ゆえに触発される。
曲と同じくよく練られた言葉で綴られていてナイスだし、
気持の入った喉を震わせているから深く入ってくる。

CDタイトルの“孤独”がしっくりくる重み十二分の一枚。


★WARWOUND/WAR//PLAGUE『孤独』(MCR COMPANY MCR-287)CD
歌詞と和訳が載った8ページのブックレット封入。


ダムドのドキュメンタリー映画DVD『地獄に堕ちた野郎ども』

damned_DVDjk.jpg


英国のパンク・バンドであるDAMNEDの昨年日本でも公開されドたキュメンタリー映画のDVD。


本編に関しては既にたくさん書いたから、
映像特典について軽く触れておくと以下のとおりである。

●オリジナル予告編。
●キャプテン・センシブル(g/b/vo)とフレッド・アーミセンのトーク+の街頭演奏等。
●ゆかりの地を訪れるなど場所を変えながらDAMNEDデビュー前を18分ほど語り倒す
キャプテンの“独演トーク”(コンサート・ホールでの仕事+DAMNEDの前のJOHNNY MOPED時代+
曲を作ったスタジオ+生家の前での昔話など)。
●キャプテンやラット・スキャビーズ(ds)らが明かす、
SEX PISTOLSとの76年の“アナーキー・ツアー”にまつわる秘話が約13分。
キャプテン/ラットや関係者がマルコム・マクラーレン批判も展開。
●キャプテンとラットとヘンリー・バドウスキー(元CHELSEA~DOOMED)が語る、
DAMNED一時解散中に行なったDOOMEDの頃の話を約8分。
●キャプテンの60歳のバースデイ・パーティ・ステージ他における「Smash It Up」のライヴ。

こちらでもやっぱりキャプテンの“ハッピー・トーク”が聞きどころだ。


★『地獄に堕ちた野郎ども』(キング KIBF 1456)CD
本編約111分+特典映像計約49分。


OLEDICKFOGGY『歯車にまどわされて』(DVD)、OLEDICKFOGGY × ILL-BOSSTINO (THA BLUE HERB)『弾丸さえあれば』(CD)

東京拠点のバンドOLEDICKFOGGY(オールディックフォギー)関連の2タイトルの作品が
1月25日に発売されている。


OLEDICKFOGGY『歯車にまどわされて』(DVD
まずオールディックフォギーのDVD『歯車にまどわされて』の本編は昨年公開された映画
DVDをセットすると映画自体にはなかった伊藤雄和(vo、マンドリン)の独白が自動的にリピートされる作りも面白い。
約32分の特典映像は、
昨年8月の東京シネマート新宿初日舞台挨拶映像(ステージに向かって左下からのワンカメラ撮影)
+映画予告映像+本作の映像とリンクするMV「シラフのうちに」。
舞台挨拶ではメンバー6人全員の砕けたトークが楽しめる。
川口潤監督と伊藤雄和のコメントが載った4ページのインナー付。


『弾丸さえあれば』
OLEDICKFOGGY × ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)の『弾丸さえあれば』の方は、
OLEDICKFOGGYとTHA BLUE HERBのILL-BOSSTINOがコラボレートしたCD。
歌詞は伊藤雄和とILL-BOSSTINOの共作で
作曲が伊藤、
編曲がOLEDICKFOGGYの5分30秒1曲入りの作品である。

ラップ/トーキング・ヴォーカルで言葉数の多い曲だが、
簡潔に要所を締める言葉とキャッチーな歌メロにより
OLEDICKFOGGYらしい日本語パンク・ロックに仕上がっている。
世界中の不条理な死に思いをはせてしまう言葉も綴られるが、
歌声と弦楽器と打楽器と鍵盤楽器の響きにOLEDICKFOGGYの思いがこもっている一曲だ。
ジャケットの紙質にも味がある。


★オールディックフォギー『歯車にまどわされて』(DIWPHALANX PX315)DVD
★OLEDICKFOGGY × ILL-BOSSTINO (THA BLUE HERB)『弾丸さえあれば』(同 PX316)CD


Bib『Bib(Demo)』

Bib.jpg


米国ネブラスカ州のハードコア・パンク・バンドの6曲入り。
正式なデビュー7”EPも先月ぐらいには日本にも入ってきているが(まだ未入手)、
今回は2015年のデモ・テープを7”EP化したレコードを紹介する。


クラストとかアナーコとかそういう細かいジャンル名を必要としない猛烈ハードコア・パンクである。
緩急の使い方が上手く、
ちょいBAD BRAINSのHRを思い出すヴォーカルもなかなか破天荒でよろしい。
SSDやDYSやSIEGEあたりの初期ボストン・ハードコアが渾然一体になったような、
灼熱のミディアム~スロー・テンポのパートも燃える。

デモ・レコーディングだが、
やはりデモCD-Rではなくデモ・テープの音質で、
適度にこもっているところもプラスに働いている。
混沌が渦巻き、
狭いスタジオ・ライヴで圧迫されている気分にもなる。


先ごろの米国大統領選挙で興味深かった一つが、
トランプが選挙人を獲得した州には
昔からパンク/ハードコアが盛んなことで知られる州がほとんどないことだ。
このBibが拠点にするネブラスカ州も含めて米国中部はトランプの独占状態で、
クリントンが勝った州は海沿いの州が大半だった。
カリフォルニアやニューヨークなどの日本によく情報が伝わってくる“洗練された地域”ではなく、
トランプ支持者が多い田舎こそがアメリカの肝ってことがよくわかった。

そんな土地から産まれたBib。
たとえポリティカリー・コレクト連中に差別用語と言われようが、
“土人”とか“混血”とかいう原始の言葉が似合うモノほど強力ってことをあらためて思い知らされる。
たのもしい蛮族の一枚。


★Bib『Bib(Demo)』(DERANGED DY292)7”EP
インナー封入。


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プロフィール

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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