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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DISCRIPT『未知』

DISCRIPT『未知』


東京拠点のBEYOND DESCRIPTIONのメンバーがやっているハードコア・パンク・バンド、
DISCRIPTの24年ぶりの音源発表で初の単独作になるカセット。
5曲で全体の流れが作られていて一種のEPと言っても差支えがない作品だ。

メンバーは、
ヒデユキ・オカハラ(vo)、
ヤスナリ・ホンダ(g)、
ユウスケ・アダチ(b)で、
ドラマーは現在募集中のようだ
(本作のドラム・パートは臨時でオカハラが叩いている)。

現メンバーの3人全員がBEYOND DESCRIPTIONのメンバーながら、
こちらの音楽性はクラスト・コア/D-beat系だ。
とはいえデス・メタリックなインストの小曲で幕を開け、
曲によっては若干のメタル・クラスト・テイストも挿入され、
ストレートに走るほとんどの曲もノイジーに逃げることなくアレンジが練られている。
中低音がよく出たサウンドのバランスで仕上げられ、
ドラムのリズムはクラスト・コア寄りでキックの音も前面に出ており、
スタジオ・ライヴを体験しているような音像だ。

歌詞はクラスト・コア/D-beatの“いかにも”の政治的なネタとは一線を画し、
たいへん簡潔寡黙ながら言葉はプリミティヴな日本のハードコア・パンクを思わせる。

悶々とした気持ちを突き抜けんとする勢いが渋い一本。


★DISCRIPT『未知』(F.A.R. F.A.R.-006)cassette
自宅ダビングではなくいわゆるプロコビー制作でカセット・テープにA/B面とも同じ5曲を収め、
スリップケース付のたいへん丁寧な作りのパッケージ
(↑の画像はカセットのジャケットを開いた表面)。
アダチ自身のレーベルからのリリースだ。
https://www.facebook.com/discript/


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U.C.A『MAD RIDER!! GO MAD!! RIDE ON!!』

UCA-001.jpg


福岡県飯塚市で1991年に結成されたハードコア・パンク・トリオのU.C.Aが
単独作としては約16年半ぶりに出した4曲入りCD。
昨年12月25日のリリースだ。


80年代のMOTORHEAD
80年代後半(特に『War All The Time』)のPOISON IDEA、
2000年代前半までの鉄アレイ
愚直にブレンドしたようなCDである。

“ハードコア・ドライヴィング・パンク”と呼びたいほどドライヴしたサウンドで、
ベースを中心によく走り、
手数多めのドラムも相まって加速度バッチリだ。
タメの効いたリズムで弾きつつ簡潔にソロ・プレイもキメるギターからは、
味のあるロックンロール・テイストも滲む。
ありがちなスタイルのようで、
ギリギリの編成である3人組ならではのアレンジ・ワークが光り、
各メンバーの個性が伝わってくるサウンドの分離が適切なレコーディングの仕上がりも上々だ。

歌詞も80年代の日本語のハードコア・パンクからの流れを感じさせ、
トータル約8分8秒に凝縮した本作の曲と同じく潔い。
時代に流されることもウソもないプリミティヴな“歌”なのだ。
必ずしも言葉が聞き取れるわけではないが、
ヴォーカルの思いの強さがすべての体裁を凌駕する。

トータル約8分8秒ながらイイ意味で長く感じる濃密オススメ盤。


★U.C.A『MAD RIDER!! GO MAD!! RIDE ON!!』(no label UCA-001)CD
薄手ながらしっかりした作りの二つ折り紙ジャケットの内側に歌詞もプリントされている。


NOWON『Pop Destroyed Pop』

NOWON.jpg


DOUBLE BOGYS、元MOGA THE ¥5のエスカルゴ(vo)、
元ANTI JUSTICE、LAST LAUGHのフジオカ(ds)、
元CREEP、元flash light experience、LAST LAUGHのトシロー(b)、
元FRANTIC STUFFS、STEALMATEのナオキ(g)
による関西出身のバンド“ナウオン”のファースト・アルバム。

少なくても2019年の日本のロック部門ベスト・アルバム・トップ10入り当確の快作だ。


メロディアスな日本語パンク・ロックである。
初期から中期までのHUSKER DU、LEATHERFACE、
後期MINOR THREAT、DAG NASTYのニュアンスを、
曲によってはツー・ビートを絡めながら日本語で増幅したようなアルバムだ。

バンド名義でクレジットされているソングライティングにまず舌を巻き、
これまでの音楽歴が焼き付いたアレンジ・ワークも見事と言うほかない。
ベテランのメンバーを擁するバンドならではだが、
もちろんレイドバックとは無縁である。
何より元気だし、
もちろん押しつけがましくなく切なく躍動している。

エスカルゴの歌唱はますます思い切りがいい。
年輪を重ねた蒼さがまばゆい光を放つ。
日本語の歌詞とはいえ、
日本語の歌詞をギター弾き語りで曲と一緒に作る日本のフォーク風の作詞作曲ではなく、
日本語歌詞のハードコア・パンクに多い“歌詞後乗せ”パターンの作りならではのスピード感だ。
70年代からの日本のロックの伝統を自然と受け継いだかのように、
英語のワン・フレーズを適宜織り込むセンスもナチュラルで一気に聴かせる。

ヴォーカルが前面に出たバランスの作りながら、
70年代なソロ演奏が粋なギターも、
ドライヴするベースも、
回転力の高いドラムも、
ガンガン前に出たバランスのミックスが素晴らしいレコーディング仕上げだ。
ヴォーカルに加えてすべての楽器がリズム・センス抜群の味のある音でよく“歌い”、
緩急織り交ぜた曲を加速させるべく疾走し続けている。
羅針盤や渚にてでの演奏で知られる吉田正幸のキーボードでりゲスト参加も、
DICKIES風のいいアクセントである。

もっと爽やかなジャケットにする手もあっただろうにホラーでキメたアートワークのデザインは、
S.O.Bの最初の2作のジャケット画で知られ、
BLOW ONE’S COOL~FIRST ALERT~LIQUID SCREENでプレイもしてきているカズヒロだ。

オススメ。


★NOWON『Pop Destroyed Pop』(HARDCORE KITCHEN HCK-043)CD
16ページのブックレットも丁寧な作りの計36分31秒の11曲入り。
プラケース・パッケージの裏面写真の“顔部分”は、
DISCHARGEの『Hear Nothing See Nothing Say Nothing』のジャケットの
“キャベツ男人間”に対するオマージュか。


VIBRATORS『The Albums 1979-1985』

The Vibrators - The Albums 1979-1985


結成43年目に突入したロンドン出身のパンク“ロック”バンド、
The VIBRATORSのタイトルどおりの時期のCD4枚組音源集。

レコード・コレクターズ誌で毎号枠をもらっている海外盤リイシュー・コーナーのレヴューで
漏らしてしまい、、
発売から8ヶ月近く経ってしまったとはいえドラマを感じるからここで紹介させてもらう。
単に過去のアルバムをまとめた作りのようで微妙に違い、
レア音源CDも既発売のCDとは微妙に中身が異なる内容だ。


DISC-4の『Rarities 1979-1980』が目玉である。
『Noise Boys』などの既発レアもの編集盤とダブる音源もあるようだが、
まとめられていてありがたい。
短期間でメンバーが移り変わった時期の貴重な記録で、
切ないパワー・ポップとヘヴィなハードコア前夜のブレンドのサウンドに磨きがかかっている。

特に“Third Album Demos”と題された前半の9曲がレアだ。
VIBRATORSはセカンドの『V2』後の1978年終盤に
エディ(ds)とノックス(vo、g)以外のメンバーが変わった。
ウェイン・カウンティのELECTRIC CHAIRSのメンバーだったグレッグ・ヴァン・クック(g)と、
マリアンヌ・フェイスフルと結婚直後のベン・ブライアリー(b~元Dave Goodman and FRIENDS)
が加入した時期で、
1979年のデモ・レコーディングと思われる。
サード・アルバム用の曲だったようだが、
まもなくバンド内が分裂。
まさに『V2』の次に来る作風だったにもかかわらず作品化されなかったのが残念でならない。
実際にリリースされた1982年のサードで録音された曲は「Fighter Pilot」のみだが、
「Goin’ Uptown」はノックスの1983年のソロ・アルバム『Plutonium Express』で録音され、
「Rain Rain Rain 」「Vipers In The Dark」は
ノックスがHANOI ROCKのメンバーと組んだFALLEN ANGELSの
1984年のセルフ・タイトルのファースト・アルバムで録音された。

でもその5人編成は1年で終わる。
フロントマンのノックスをはじめとする3人がバンドを去って一人残されたエディは、
元CANEのキップ(vo)、元EATERのイアン・ウッドコック(b)、
さらにエイドリアン・ワイアット(g)を迎えてVIBRATORSを続行。
そのその編成で録音した後半の9曲も聴きどころだ(1980年レコーディングと思われる)。
まずはSpencer Davis GROUPの「Gimme Some Lovin'」のカヴァーと
「Disco In Mosco」という1980年のシングルのA/B面曲。
前者のB面曲以外は、
DR. FEELGOODMOTORHEADの間にVIBRATORSの『V2』を手掛けたヴィック・メイルが
プロデュースで当然強力作だ。
終盤の5曲のデモがさらに聴きどころで、
お蔵入りになったのが惜しいほど当時不在のノックスが書く曲に匹敵する曲も多いが、
この編成も短命に終わる。


そしてDISC-1~3は、
今思えば強力なミュージシャン集団だったオリジナル・メンバーが再結集した3~5作目の
『Guilty』(1982年)、『Alaska 127』(1984年)、『Fifth Amendment』(1985年)。
ピーター・ゲイブリエルやピーター・ハミルとも組み始めたジョン・エリス(g~現STRANGLERS)と
既にプロデュース業がメインになっていたパット・コリアー(b)が復帰した時期で、
当時のシングル曲等の計5曲が追加されている。
お馴染みのロゴがジャケットから消えたことが象徴するように迷走期で、
当時のロック・シーンのトレンドだったニューウェイヴの甘く派手な音作りを乱用しつつ、
ハードコアの強い音も時に導入。
確かに微妙な仕上がりの曲も目立つが、
曲自体は悪くない。


様々なシーンとリンクした以上の時期の経験を経たからこそ、
ブレのない2000年代以降のVIBRATORSの作品群が生まれたのである。


★VIBRATORS『The Albums 1979-1985』(CAPTAIN Oi! AHOYBX356)4CD
各々薄手の紙ジャケットに収納された4枚のCDとともに、
ポイントを押さえたライナーと写真で彩る20ページのブックレット封入の小箱パッケージ。


assembrage/SWARRRM Split 7”レコード

assembrage/SWARRRM


関西から登場した2バンドが1曲ずつ提供した7”レコード。

大阪拠点のassembrageは今年8~9月にレコーディングを行ない、
静かなオープニングから反復のエンディングまで一曲で一つの作品に完結させている。
ENTOMBEDやDISMEMBERをはじめとした
90年前後のスウェーデンのデス・メタルを思い出す中低音の驀進にツイン・ギターが絡み泣き、
濁声ヴォーカルが押す。
北半球の民謡のような旋律も編み上げられたドラマチックな展開ながら、
ハードコア・パンクと言い切りたいサウンドだ。
歌詞を載せてない代わりに、
“killing the emotions, but the resentment rises high.”とジャケット内側に記している。

一方のSWARRRMは今年2月に一日でレコーディング。
これまた吸い込まれそうな静音のオープニングから息を呑み、
歌とブラスト・ビートの並走がブラック・メタルっぽい疾走パートへとなだれ込む。
もともとメタリックとは一線を画すフレーズと響きのバンドだが、
今回は麗しいギターも漏れ聴こえてきて簡潔なギター・ソロも滑らかに加速している。
ますます骨太になった日本語歌唱で迫り、
アレンジを変えれば熱い歌謡曲にもなりそうだし小林旭も似合うほどだ。
音と相まってポジティヴな表現で一曲を完遂させている。

グロテスクで冷厳なイメージのジャケットも2バンドの曲にハマっている一枚。


★assembrage/SWARRRM(BREAK THE RECORDS BTR089)split 7”+DLクーポン


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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