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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

PALM『TO LIVE IS TO DIE, TO DIE IS TO LIVE』

PALM.jpg


現在欧州ツアー中の大阪拠点のハードコア・バンドが、
フル・アルバムとしては約6年ぶりにリリースしたサード。

録音は、
前作の時にメンバーではなくエンジニアとして関わり、
最近だとSWARRRMの最新作も手掛けているAkira Inada(g他)。
ミックスはテイラーヤング(NAILS他)、
マスタリングはブラッド・ボートライト(元WORLD BURNS TO DEATH他)が務めている。

そういう制作陣の手腕の功績以上にPALM自身の意識とミュージシャンシップにより、
特定の“ムラ社会”に留まらないスケールの大きいダイナミズムにあふれ、
日本のバンド離れした胸のすく仕上がりである。


エクストリーム・メタルと噛み合ったハードコア・パンクだ。
CONVERGE meets 『Chaos A.D.』までのSEPULTURA meets BOLT THROWER
とでも言いたくなるサウンドながら、
スラッシュ・メタルのスタイルはあまり聞こえてこない。
簡潔なソロ・プレイを適度に織り交ぜるデス・メタリックなギターが鈍く光る、
カオティックなハードコア・パンクだ。

メタルの影響も取ってつけた感じではなく溶け込んでいる調子で、
いわゆるビート・ダウン系ともニアミスしつつパンク・ロックのニュアンスの強い音である。
適宜ブラスト・ビートを絡めるバンドの核のドラムはツー・ビートもエイト・ビートもお手のもので、
抜けが良くて小回りの効いたこのビート感がパンク・ロック・テイストを強め、
ガチガチの音作りにならず適度にゆるいテイストを加味している。

アルバム全体の加速度が格別だ。
ツー・ビートのパートが中心であくまでもストレートに迫り、
緩急のテンポを織り交ぜつつ慣性で進みサウンドが止まらないから一気に聴かせる。
一曲一曲しっかり練り上げられた全12曲を36分強に凝縮。
いい意味で長く感じるヴォリューム感のアルバムの構成も言うこと無しだ。
一曲でギター・ソロを弾いたGRIDLINK~元MORTALIZEDのマツバラなどの、
ゲストの参加もいいアクセントである。

いかついシャウト&スクリーム一筋でもヴォーカルはタフ・ガイ系とは一線を画す。
METALLICAの曲名「To Live Is To Die」を思い出すアルバム・タイトル曲をはじめとして、
個人的なモチーフが多そうな“ファック・ユー!”アティテュード全開ながら、
おのれ自身もその対象で歌詞が綴られている。
サビのフレーズの一部以外は日本語とはいえいい意味で日本語に聴こえない。
リズミカルに言葉を放つも、
感情が膨張しているがゆえにヴォーカルがレッド・ゾーン振り切れっぱなしだからだ。


初回限定版には、
2013年のオーストラリア・ツアーの模様を収めた約67分のDVDも付いている。
一緒にライヴをしたバンドのインタヴューも含むが、
英語で話している部分は日本語字幕が表示される。
単なるライヴDVDとは違ってバンドの裏のキャラもうかがえ、
プロフェッショナルな編集の“ロード・ムーヴィー”に仕上がっている。


安っぽい薄手のやつじゃなくて印刷も鮮やかな質感の厚手の二つ折り紙ジャケット仕様で、
日本語部分は縦書きになっていて裏面には英訳が載った四つ折り歌詞カード封入。
ジャケットのデザイン等は、
BL’ASTの『Blood!』も手掛けたSamantha Muljatが担当している。
すみずみまで自分たち自身の表現にこだわった作品だ。


★PALM『TO LIVE IS TO DIE, TO DIE IS TO LIVE』(DELIVER B DVBR-001)CD+DVD
↑のカタログ・ナンバー等は初回限定仕様版で、
CDのみの通常版もリリースしている。


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ASPIRIN『ONE BAND'S SPLIT』

ASPIRIN『ONE BANDS SPLIT』


東京拠点のハードコア・パンク・バンドが結成12年目にリリースした10曲入り。
3人編成時のASPIRINと4人編成時のASPIRINがCDをシェアした作品で、
各々でメンバーが違うところがポイントだ。


前半の5曲は、
アダチ(vo、作詞、作曲~DUDMAN、BEYOND DESCRIPTIONDARKSFEAR他)、
マエダ(g、作曲~ENCROACHED、BOYCOTTT SENTENCE、TOO CIRCLE Records)、
マンドコロ(b~オリジナル・メンバー)
ヤスシ(ds~DARKSFEAR、元ハンマー)によるレコーディング。
ジャパニーズ・スタイルのハードコア・パンクにスラッシュ・パンクやUSスタイルをミックスし、
一ひねりしたような曲と音だ。
S.O.BやOUTOが頭をよぎるキャッチーなフックとコーラス・パートもチャーム・ポイントで、
集中力抜群でフラストレイション満々のヴォーカルも気合十分である。


後半の5曲は、
マンドコロ(vo、b~オリジナル・メンバー)、
ブー(g~ASBESTOS、DEATHBLAST)、
モリ(ds~CHOKE)によるレコーディング。
さらにジャパニーズ・ハードコア・バンク・スタイル寄りで、
80年代後半から90年代前半にかけてのキャッチーな関東のハードコア・パンクを彷彿とさせる。
DEATH SIDEと日本のBASTARDに
CONCRETE SOXやSACRILEDGEのメタリック・フレイヴァーが入り込んだような、
構築された曲展開と厚みのあるサウンドで持っていく。
CRUCKを思い出すやや字余りな日本語ヴォーカルで畳みかける節回しにも、
トラディショナルな日本のハードコアの味がある。


歌詞はどちらも自分を奮い立たせるような感じで、
意識してなくても自然とリスナーへの鼓舞叱咤激励みたいにもなっているが、
恫喝系とは一線を画して曲によっては内省的な一面も。
と同時に飲み屋がモチーフと思しき「金子屋ホッピー」みたい砕けた歌詞も、
ジャパニーズ・ハードコア・パンクの伝統なのであった。

引くところがないサウンドからは、
副題のような感じでジャケットなどに記されたフレーズの
“We Do Painkilling To Your Anger”というニュアンスも伝わってくる。
東京都西東京市のスタジオのノイズルームにおけるレコーディングの仕上がりもバッチリだ。


★ASPIRIN『ONE BAND'S SPLIT』(Heal up HuR-002)CD
歌詞が読みやすく載った8ページのブックレット封入の約26分10曲入り。


SPIKE SHOES『henceforth』

SPIKE SHOES『henceforth』


“SDC HYBRID HC SOUND SYSTEM
RAGA-THRASH IN YOUR FACE”を標榜し、
パンク・シーンの枠を超えて活動を続ける仙台出身のSPIKE SHOESの新作。
活動25年目の年に放った6作目のアルバムだ。

おごそかに幕を開けておのれを“浄化”していく意識の流れを作品化したかの如き
ドラマチックなCDである。

“SCATHA meets ISIS"+ダブ、
TRAGEDY meets GAUZE
といった調子の曲の連発でまず顔面アタック。
エモを凌駕した叙情アルペジオに導かれて
“メロディック・クロスオーヴァー“とも言いたくなりつつ、
CONFLICTをはじめとするメロディアスなアナーコ・ハードコア・パンクも思い出す曲が続く。
後半はまずレゲエ with ファンクをアレンジしたようなパンク・ロック・チューンが躍り、
ブラック・メタル系ブラスト・ビートが走る劇的な激情系にプログレなギターもブレンドした曲が連なる。
締めはレゲエの歌ものでまったりと佇むのであった。

練り込まれたアレンジで一気に聴かせる。
ヴァラエティに富んでも散漫に聞こえないのは、
メンバー一人一人が自己主張して自分自身の音を持っているからだ。
曲の表情をふくらませる彩り豊かなツイン・ギター、
音で歌うベース、
手数多く抜けのいいウルトラ・パワフルなドラムの、
鮮やかなサウンド・ハーモニーに貫かれている。

何人シンガーがいるんだろ?と思うほどヴォーカルは“多色”で、
ブックレット等に“vocal”ではなく“koe”とクレジットしているのも何となく納得できる。
激しいパートだといい意味で日本語に聴こえないほど感情が膨張して響き、
レゲエ・ナンバーでは人が変わったみたいに飄々と歌い漂うが、
メビウスの輪みたいな感情の移ろいがリアルだ。

歌詞も示唆に富んでツボを突いてなかなか深い。
現在進行形の世の中もモチーフと思われる内容ながら、
SPIKE SHOESは“免罪符”を必要としない。
サウンドと共振してホット&クールな言葉は、
外来語/英語を自然な感じで多少入れつつ、
侘び寂びの効いた漢字を多用して和の情趣をふくらませている。

開放的な彼らの意識そのままに音の奥行きも広がりも十分で、
各パートがしっかり聞こえてくるレコーディングの仕上がりも特筆したい。
約27分6曲入りのヴォリュームながら聴き応えありありだし、
SPIKE SHOESの核が凝縮されたダイナミックな一枚。


★SPIKE SHOES『henceforth』(Tiny Axe TAXE-0003)CD
歌詞が縦書きで載った12ページのブックレット封入の3面デジパック仕様の約27分6曲入り。


LOW CARD de la morte『el paris radio massacre sessions』

LOW CARD de la morte


元FLASH GORDON~ADA+MAXのギタリストを含む4人編成で
名古屋を拠点に活動しているハードコア“スラッシュ”パンク・バンドの新作。
“本編”の曲の“reh take”の4曲を含む約19分のCDながら
アルバムと言ってもいいヴォリュームの濃密な20曲入りで、
今年の5~6月にレコーディングした録れたてホヤホヤの新鮮な曲が詰まった快作だ。

2015年に出た“3way Split”CDや昨年の7”レコードから担当楽器のコンバートも含めてメンバーが変わり、
新ヴォーカルも含めてとにかく活きがいい。


キャッチーな激速ハードコア・パンクが基本で、
初期の方のS.O.B、後期HERESY、SLIGHT SLAPPERSも思い出す。
メタル色は限りなくゼロに近い音だが、
佇まいがいわゆるクロスオーヴァー・バンドに限りなく近く、
コーラスもバッチリでポップといっても過言ではないほどハジけている。

やや高い声域で頓智風味のヴォーカルが飛ばす歌詞は本作に乗せていないが、
曲名は英語でユーモラスなタイトが多い。
「Viagra Boys」なんて曲もやっとる。

「Picnic With OxLxD」なんて曲は
EARACHE Recordsから何枚も出していたOLDがOLD LADY DRIVERSと名乗っていた頃を思い出す。
重箱の隅をつついたようなセンスが心憎い。
曲やサウンドもひっくるめて、
ポップでもかなり速くてユーモアの効いた80年代後半のハードコア・パンク・バンド、
たとえばSPAZZTIC BLURRやDOCTOR AND THE CRIPPENSあたりの渋い感覚である。
90年代以降ものでは、
オーストラリアのRUPTUREも意識し、
彼らほど毒ガス激臭ではないにしても確かに臭ってくる音だ。
余韻を残さずに唐突に終わるエンディングはパワー・ヴァイオレンスっぽく、
メンバーが好むLACK OF INTERESTっぽいフェイントも効かせる。

ネタが尽きないとはかりにアレンジがよく練られていて次から次へと曲が出てくるのに
飽きずに最後まであっというま。
闇鍋をつついているみたいな面白さがある。
平均タイム1分以下の曲の中に色んな音楽のダシを濃縮。
曲によってはオールド・ロックのスパイスも効いとるし、
ブルースも効いとるし、
ラテンも効いとる。
CD盤のバンド名の字体デザインが英国のサイコビリー・バンドのMETEOSを思い出すだけに
サイコビリー味もチラ見せである。

20種類のテイストで作られたピザみたいに次々と楽しめる快盤。
ジャケットでピン!ときたら間違いなしだ。


★LOW CARD de la morte『el paris radio massacre sessions』(HARDCORE KITCHEN HCK-046)CD
https://hardcore.exblog.jp/
に載っているインタヴューも参考に書かせてもらいました。


TURBONEGRO『Rocknroll Machine』

TURBONEGRO『Rocknroll Machine』


80年代末から活動しているノルウェーのパンク・ロックンロール・バンドが、
『Sexual Harassment』から約6年ぶりに出した新作。

曲はリーダーのハッピー・トム(b)、
90年代半ば以降の中核メンバーでプロデュースもしているユーロボーイ(g)、
前作から参加したシルヴェスター(vo)が書いているが、
新加入のキーボード奏者が今回のポイントの一つになっている。

ジャケットからイメージできるスペーシーなオープニングだが、
HAWKWINDというよりはニューウェイヴっぽいキーボードの音だ。
そもそもアルバム全体のアレンジやメロディが
80年代前半のアメリカのメイン・ストリーム・ロック直系である。
曲のサビもあえて当時のUSAのヒット・チャートものみたいに作ったと思えるほどだ。

一方でポップ&キャッチーなのにクセの強いTURBONEGROの肝はもちろん健在だし、
今回AC/DCっぽいリフの曲が多めながら疾走ロックンロールもバッチリである。
これまでの様々な“ロックンロール・ナンバー”のフレーズが
わざと漏らした元ネタみたいにチラリチラリと聞こえてくるのも楽しい。
四つ打ちもやるドラムのリズム・センスもまたまた抜群だ。

キワモノのようでしっかり作られている曲や音だけでなく、
歌をしっかり聴かせるバンドでもある。
英語で綴られている歌詞もわかりやすいようで一筋縄ではいかない。
もちろん生の表現を去勢する“ポリティカリー・コレクト”なんか知ったこっちゃなく、
「On The Rag」ではホモ(fags)もアナル・セックスも歌い込む。
「Skinhead Rock & Roll」なんて曲もやっている。
「Hot For Nietzsche」ではニヒリズムのフリードリヒ・ニーチェ、
「John Carpenter Powder Ballad」では映画監督のジョン・カーペンターを歌ったのだろうか。

ってな流れで意味深なタイトルのラスト・ナンバーである「Special Education」の
“Show me how to walk, Show me how to talk, Show me how to rock, Show me how to fuck,
Special education”
というサビのフレーズがしっくりくるのであった

実はこのアルバムも
最初に聴いた時は“too much 80’s”な音に「あれっ・・・・?」と思ってしまったのだが、
それもアルバム全体のテーマと関係ありそう。
70年代のALICE COOPERやTUBESを思い出すシアトリカルな展開にも持っていかれる。
噛めば噛むほど味が出るように聴けば聴くほど美味しい。
またまた愛聴盤になりそうだ。


★TURBONEGRO『Rocknroll Machine』(SCANDINAVIAN LEATHER No Number)CD
約39分11曲入り。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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