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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

WORM/Retortion Terror split CD

WORM/Retortion Terror split CD


MORTALIZEDGRIDLINKなどで活動してきたマツバラ(g)が中心のRetortion Terrorと、
岐阜拠点のWORMが5曲ずつ提供したトータル約16分のCD。


WORMはハードコア・パンクとヘヴィ・メタルを
ブラスト・ビートとグルーヴ感でクロスオーヴァーしたような雑種サウンドだ。
グラインドコアのスピード感の中に
ドゥーム・メタル、ハード・ロック、ファンク、ブルースのグルーヴが息づき、
KING CRIMSONっぽい展開も絡めながら走り抜ける。
ミクスチャー・ロックというよりもクロスオーヴァー/グラインドコア寄りで、
英語中心で歌っているヴォーカルは語りも巧みだ。

Retortion Terrorは、
日本語も聞こえてくるヴォーカルにBALL BUSTARSのJr.、xグラインドハアフxの1z3、
NODAYSOFFのSUWA、WORMのYASUDAを迎え、
ドラムに元COHOLでMASTICATIONのKYOSUKEを迎えたレコーディング。
こちらもグラインドコアにグルーヴィな“ブラック音楽テイスト”がブレンドされたかのような音で、
やはりKING CRIMSONを思い出す三連のリフも絡めて目まぐるしくリズム転換しつつ、
どの曲もあっという間にケリをつけるエッセンス凝縮の凄まじい流れだ。
マツバラがこれまでやってきたことが緻密かつダイナミックにアップデートされ、
このCDを聴くと作品やライヴごとに“ゲスト”と組んで“新世界”が広がるとも思った。


味のある紙質のジャケットと帯が付き、
鉈やチェーンソー、鞭などがクールにデザインされたアートワークも心憎いセンスだ。
エクストリーム・ミュージックの可能性を提示した一枚。


★WORM/Retortion Terror split CD(HARDCORE KITCHEN HCK 048)split CD


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S.D.S/MISERY split CD

SDS.jpg


日米のメタル・クラスト系ハードコア・パンク・バンドのS.D.SとMISERY
6曲ずつ提供した1992年1月リリースのスプリットLPの初CD版。
当時からイージーな音源発表とは一線を画していたS.D.S絡みの作品だけに
今回も音やアートワークもこだわりの仕上がりで、
どちらも“代表作”の一つと言い切れる初期レコーディングのグレイト・リイシューだ。


岐阜~愛知周辺を拠点として90年代の初頭~終盤中心に活動していたS.D.Sは、
ANTISECTの『In Darkness, There Is No Choice.』へのオマージュが感じられるジャケットに
『The Future Stay In The Darkness Fog』というタイトルを付けている。
音楽的には『Out From The Void』の頃のANTISECTや初期HELLBASTARDに
1984年頃までのDISCHARGEが突っ込んだかのようだ。
ツー・ビートのファスト・チューンを核にしつつ、
程良くメタリックなギター・リフがリードするミディアム・テンポを効果的に織り込んだサウンド。
アレンジの妙味もあってけっこうヴァラエティに富み、
ラストは6分半にもおよぶ大曲ながらこれまた一気に聴かせる。
ときおり発声に凝るとはいえヴォーカルの気合もバッチリだ。

ミネソタ州ミネアポリス拠点のMISERY側のジャケットには
『Pain In Suffering』というタイトルが描かれている。
最近もMISERYのフェイスブックの更新は時々行われているが、
ギター/ヴォーカルのジョンはここ数年TAU CROSSの方の活動が忙しいと思われる。
それはさておきこのレコーディングは曲も音も実にグレイトだ。
楽曲もアレンジもよく練られ、
もちろんツー・ビート主体ながらアップ・テンポのパンク・ロック・チューンも渋く、
2010年代のMISERYに通じるメロディも滲む曲がまた泣ける。
完膚無きまでにブッつぶれたメタル音が臭うノイズィーなグルーヴがまたたまらない。
複数のメンバーがとるヴォーカルも汚濁テイストでこちらも気合十分だ。


S.D.Sも含めて英語で歌われている歌詞は共に、
82年までのDISCHARGEや80年代のANTISECTのラインのドゥームな意識のポリティカル路線と言える。

音の鳴りへの気遣いもうれしい。
WORLD BURNS TO DEATHのジャック・コントロールが今年リマスタリングを行ない、
ひとつひとつの音の押しが強い仕上がりだ。
ノイズの粒立ちもはっきりと聞こえ、
CDの音の特性を活かしていい意味で磨きをかけた音作りになっている。

パッケージもプラケースではなく“特殊紙ジャケット”だ。
オリジナルLPはシングル・ジャケットだったが、
今回は7”レコードのジャケット大のゲートホールド仕様。
歌詞はジャケットの内側の左右に両バンドに縮小転載されているだけでなく、
LPの歌詞カード大の赤色の紙にプリントされたものが四つ折りで封入もされている。

約40分じっくり向き合って楽しめる聴き応え十二分の大スイセン盤だ。


★S.D.S/MISERY split CD(MCR Company MCR-050CD)CD


V.A.『Chain Of Karma』

CHAIN OF KARMA “ HARDCORE CROSSOVER GUERRILLA 6way split


西日本中心のハードコア・パンク系の6バンドが3曲ずつ提供した約38分18曲入り。
“HARDCORE CROSSOVER GUERRILLA”という副題が付いているように、
メタルとクロスオーヴァーしたサウンドが揃っている。


大阪拠点のCYCOSISは聞き応えありありで目が覚めるトップ・バッター。
楽曲も音作りもアレンジもまたまたハイ・クオリティで、
80年代後半のニューヨーク・ハードコアとの接点もバッチリだし、
楽器の音だけじゃなくヴォーカルもパーカッシヴだ。

奈良拠点のB-SIDE APPROACHは
苦渋と苦汁のクロスオーヴァー・サウンドで生々しくドゥーム・メタルも絡まっているが、
メタルに成りすぎない80年代後半のニューヨークのハードコア・パンクに通じる熱情が
一曲一曲から横溢。
英語ながら今回唯一歌詞を公表している主張の思いがサウンドからも伝わってくる。

90年代から活動している大阪拠点のHARD CORE DUDEはかなり久々に聴いたが、
以前の音源よりもメタル濃度を高めつつ“外した”作りは健在だ。

2000年代頭までSWARRRMと掛け持ちしていたハタダがヴォーカルの神戸拠点のgamyは、
迷い無き首尾一貫の歯切れのいいクロスオーヴァー・サウンドがストイックなほどクール。
ストロングな喉を震わせて絞殺シャウト声スクリームもさすがのアタック感だ。。

90年代後半に活動したグラインドサアフのメンバーも含む福岡拠点のミミレミミ(≒EEVEE)は、
メジャー感すら漂うダイナミックな音像に飲み込まれていく作りで、
オールド・ロック風味が滲む展開も見事と言うほかない強靭なサウンド。
曲によってはブラスト・ビートも効いている。

トリは2000年代の頭には活動が本格化していた東京拠点のSAIGAN TERROR。
80年代後半のUSハードコア・パンク/クロスオーヴァーもパワー・ヴァイオレンスも消化され、
3曲で一つの展開もベテランならではの上手さだ。
昨年12月の東京・新代田FEVERにおける音質完璧録音でライヴなのがわかるラストも心憎い。


各々レコーディング仕上げにもこだわり、
スタイル的にはアメリカン・テイストながらドライに成り切らないのが日本風味。
ジャケット周りのアートワークはS.O.B.の最初の2枚の画も描いた
カズヒロ・イマイ(BLOW ONE’S COOL~FIRST ALERT~LIQUID SCREEN)が担当している。
CD一枚全体で完成度が高く、
内外問わずクロスオーヴァー好きには間違いない一枚。


★V.A.『Chain Of Karma』(HARDCORE KITCHEN HCK-047)CD
1バンドにつきアートワーク等が1ページ分割り振られて個々のキャラが表れた
8ページのブックレット封入。


PLOTINOS OF TODAY/臓物ヘドロガス『極北! ゲバルトアジテーション』

PLOTINOS OF TODAY/臓物ヘドロガス『極北! ゲバルトアジテーション』


東京拠点に活動しているポリティカルなパンク・バンドの約14分のファーストCD。
PLOTINOS OF TODAYの8曲に前身バンドの臓物ヘドロガス時代の1曲を加えた9曲入りだ。
実質的に男性デュオの編成でレコーディングされ、
ヴォーカル、打ち込み、ギターを使い、
8曲でドラム・マシーン、3曲でベースも用いている。

ハードコア・パンクが基調ながらかなりユニークな作品だ。
“PLOTINOS OF TODAY/臓物ヘドロガス”という名義と
『極北! ゲバルトアジテーション』という作品名の言葉から湧き上がるイメージを裏切らない。
古代ギリシャ哲学者の名前とYOUTH OF TODAYを組み合わせたようなバンド名からして
タダ者じゃない、

最初と中間部と最後の3曲がラップの小曲で繊細に言葉が飛ばされる。
ハードコア・パンク・チューンもちょいCRASS風の音色のギターとストレンジなリズムが印象的で、
ヴォーカルもけっこうつんのめっている。
速めの曲ながらハードコア・パンクから脱線したアシッド・パンク・チューンもある。
SORE THROATの『Disgrace To The Corpse Of Sid』の前半の曲をタイトに延ばしたような、
ほのかにメロディも聞こえてくる高速ファスト・コアもある。
The POP GROUPの『For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?』のサウンドの
腰が砕けたみたいなファンク・ラップ・チューンもある。
臓物ヘドロガスの頃の曲は、
rawというより80年代に日本のパンク・バンドがリリースしたソノシートのような趣きを感じる。

不揃いのサウンドは、
フランスの天安門89レーベルからリリースされてきた様々な国の“辺境パンク”も思い出す。
多少気負った歌詞は、
80年代後半にREALとよく対バンしていた日本のポリティカルなパンク・バンドも思い出した。
2曲のラップ・チューンは日本語のみで他の9曲は英語のみが使われているが、
どちらのリリック/歌詞も韻を踏んでいる。
いわゆる左翼イメージの内容で、
自民党、核兵器、日本国憲法第九条、三島由紀夫、日本社会党の鈴木義男など、
日本関連のモチーフは豊富。
“CD派バンクスの主張”の曲や、
政治性を超えて普遍的な「Bloody Sanity Bloody(血まみれの正気)」の歌詞も興味深い。

細分化したパンクのどのジャンルからもハミ出たアウトサイダー・パンク。
憎めない9曲入りである。


★PLOTINOS OF TODAY/臓物ヘドロガス『極北! ゲバルトアジテーション』(THANATLOGY TTG01)CD
歌詞(英詞にはその和訳付)が読みやすく載った12ページのブックレット封入の約14分9曲入り。


zine(自主雑誌)『Debacle Path vol.1』

『Debacle Path vol1』


WE MUST BURN、無我(後期)、TECHNOCRACY(後期)などでバンド活動をしてきて、
UNHOLY GRAVEやVoĉo Protestaで助っ人として演奏してきて、
MAXIMUM ROCKNROLLやEL ZINEなどで執筆してきている、
鈴木智士が中心になって作ったzine『Debacle Path(ディバクル・パス)』の創刊号。


おおまかな内容は表紙(↑の画像)に書かれているが、
多少付け加えておく。

小特集の“日本のポリティカル/アナキスト・ハードコア・パンクを回顧する”インタビューは、
対面インタヴューとメール・インタヴューの2パターン。
相手は90年代以降にハードコア・パンク・バンドをやってきて、
いわゆるアクティヴィストとしても活動してきた人たちである。
●マイク小林はTDF~POWER OF IDEAのリーダーで
Tribal War Asiaレーベルを主宰してABC Partisan Gigを主催していた人だ。
●松原弘一良はARGUE DAMNNATIONで活動してF.F.T.レーベルを主宰し、
現在Mobsproofの編集長を務めて雑誌等を作っている。
●松井達浩はRESULTと無我でバンド活動していた人。
●植本展弘はVoĉo Protestaのメンバー。
関連原稿として黒杉研而(Voĉo Protesta、ATF、Deformed Existence)が寄稿している。

インテリジェンスに富む文体で定評のある“編集長”鈴木もいくつか書いているが、
ANTISECTの長文が読み応え十分だ。
鈴木の和訳で5月刊行予定のMDCのデイヴ・ディクター回想録本からの抜粋や、
本誌の編集協力者でもあるA.K. アコスタ執筆のBIKINI KILL再結成にまつわる文章もあり。

といった具合にCRASS周辺云々のいかにもなアナーコ・パンクものに留まることなく多彩だ。
鈴木自身が音楽趣味も含めて色々と柔軟で、
“資本主義うんたらかんたら”とか言うバンドに否定的なメンバーを含むバンドとの付き合いも深い。
僕が無我を好きということにも合点がいった。
元RESULT~無我の松井の話は短めながら僕もしっくりきたし、
松井がヴォーカル/ギターで鈴木がギター/ヴォーカルの後期の無我は2日続けて観に行ったほど
(しかも一つは自転車で行ける武蔵境スタットながらもう一つは横浜市内のどこかのスタジオ)
特に惚れ込んだことを思い出した。


読んでいくと「ふぅ~っ……」と考えさせられる本である。
政治主張や告発がビッシリ載ったパンク/ハードコアのレコードは山ほど買って、
バンド関係に限らずアクティヴィスト/活動家の人とプライヴェイト含めて付き合いもした。
一方でマーク・スチュワートに影響されつつ灰野敬二友川カズキからも大いに触発された。
そんな感じで56年間生活してきた僕の“こういうこと”に関する思いは、
まったく関係ないように見える映画の紹介記事も含めてこのブログでも書いてきたから、
ここではひとまず割愛させていただく。


読みやすいレイアウトでしっかりした体裁の作りだ。
あえてバーコード付きで売る点にも言及し編集後記からも制作者の意気込みが滲む。


A5版 並製 143ページ
日本語 各記事の概要あり(英語)
https://graywindowpress.com/
の“SHOP”の部分からも購入可能。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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