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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

TOXIC HOLOCAUST『Primal Future:2019』

TOXIC HOLOCAUST primal


米国ポートランド出身の
スラッシュ・メタル/ハードコア・パンク・クロスオーヴァー・プロジェクトによる、
『Chemistry Of Consciousness』以来の6年ぶりの6作目のオリジナル・アルバム。
ライナーを担当させてもらいました。

既に色々書いたからここでは簡潔に紹介する。


もともとジョエル・グラインド(vo、g、b、ds、syn)のソロ・プロジェクトとして始まり、
最初の日本ツアーはABIGAILのメンバーがバックを務めていた。
ここ数年は固定メンバーのバンド形態でレコーディングしていたが、
TOXIC HOLOCAUSTスタートから20周年を迎え、
原点に立ち返ったかのように作詞・作曲、ヴォーカル・演奏を一人でやっている。

ヴォーカルも含めて重ね録りをして仕上げたわけだが、
録音、ミックス、マスタリングも一人でやっている。
完成品のCDで聴くと音のパーカッシヴなアタック感が格別だ。
ヴォーカルもギターもベースもドラムも音が前によく出たバランスも良く、
シリアスなムードの中でアメリカンならではの抜けのいい鮮烈かつ硬質な響きもピッタリ。
ジャケットからイメージできるシャープな近未来感を放つ音作りもたまらない。

ツボを突くフックばっちりのソングライティングが光り、
ミディアム・テンポのパートも絡めつつ加速度が絶えないスラッシュ・チューンの連発。
ギター・ソロも渋い。

40分弱のヴォリュームとは思えぬ聴き応え十分で核が凝縮され、
まさに満を持したクールなオススメ盤だ。


★トキシック・ホロコースト『プライマル・フューチャー:2019』(ビクター・エンタテインメント VICP-65556)CD
歌詞が載った8ページのブックレット封入の約40分10曲入り。
日本盤は歌詞の和訳も読みやすく載ったクールなデザインの8ページのブックレットも封入の
プラケース仕様だ。


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STUPID BABIES GO MAD×ABIGAIL split CD

STUPID BABIES GO MAD×ABIGAIL split CD


日本の凶器パンク/メタル・サウンドのバンド同士のスプリットCD。
どちらも今夏レコーディングした音源で、
日本のバンドのカヴァーを一曲ずつ収録している。


静岡拠点のSTUPID BABIES GO MADは4曲提供。
いかにもの“MOTORHEAD meets DISCHARGE”なスタイルとは完全に一線を画し、
日本語ヴォーカルもいい。

まずは80年前後に活動していたシルバースターズの「ぶちころせ」をカヴァー。
謎の存在として知られるバンドで『Rape Noise』というアルバムに収めた曲だけに
STUPID BABIES GO MADにピッタリで、
ミディアム・テンポから加速していくハードコア・パンク・ロックに仕上げている。
2曲目は高速ノイジー・パンク・ロックだが、
中間部ではKING CRIMSONちっくな変則リズムを使っていてサビにはメタルなコーラスも。
3曲目は高速パンクで哀愁のコーラスも絡む。
そして6分半を越える4曲目はフリーキーに凝っているがこの曲でもスピード感をキープし、
ノイジーな中にメタルな“泣き”のギター・ソロも滑り込ませている。


一方の東京拠点のABIGAILは3曲提供。
今回もズバ抜けたセンスを発揮し、
パンク・ブラック・メタルなヴォーカルも冴えわたる。

1曲目は不穏な音色の高速メタル・パンクで飛ばし、
聴かせどころを設けても加速度が絶えない曲作りもさすがで、
キャッチーなフックもさりげない。
続くは米国のSHITFUCKERとのスプリットEP収録曲「Bloody Your Lovely Pussy」だが、
日本語ヴァージョンのリメイクでこれまたクールだ。
ラストはSIGHの「式神/Shikigami」のカヴァー。
日本出身ながら世界規模の活動でブラック・メタルもキーワードの一つという点も含めて、
近いフィールドのバンドの曲である。
しかもSIGHのリーダーのMiraiのフルート、ストリングス、ハモンド、ティンパニーの音も入れ、
じわじわと狂気が沸き立つカオティックなミディアム・テンポ仕上げでお見事なのであった。

オススメ。


★STUPID BABIES GO MAD×ABIGAIL(HELLO FROM THE GUTTER HFTG-044)split CD
薄手の二つ折りペーパー・スリーヴ仕様の計約24分7曲入り。


宗 AND THE NOWHERE GYPSYS『RIPPER』

宗


90年代の後半からPAINTBOXのヴォーカルを務めてきた宗(Mune)がフロントに立つ“バンド”が、
粗削りで仕上げた計8分弱の3曲入りの“デビュー”CD。
当初は、
宗以外の3人が在籍するTHEE CONTINENTAL KIDS名義で発表する予定だったらしい。
でもそのバンドの中心であるアキラが休養中に制作した楽曲のため、
THE CONTINENTAL KIDSの1988年のアルバム・タイトルが頭をよぎる
宗 AND THE NOWHERE GYPSYS名義でのリリースになったという。

1曲目のCDタイトル曲は、
STOOGESの「1970」とIggy and the STOOGESの「I Got A Right」が混ざったような調子で
突っ込んでいく“ハードコア・パンク・ロック”ナンバー。
KATSUTA☆とTETSU↓LOWが1曲ゲスト・コーラスで参加している。
2曲目の「Reborn」は
PAINTBOXを思い出すキャッチーなメロディのハードコア・パンクチューンながら、
泥臭いギターも高ポイント。
最後の「No More Trouble」はヴォーカルとギターのみでディープに勝負し、
スライド・ギターが鈍く光るカントリー・ブルース・サウンドと共振して渋く喉を震わせる濁声は
あくまでも天然である。

聴いて一秒で宗!とわかるワイルドな歌唱も健在だ。
ここ数年の宗の心境をイメージできる歌詞だからPAINTBOX時代以上に生々しく迫る。

次作はアルバム・サイズのヴォリュームで、是非。


★宗 AND THE NOWHERE GYPSYS『RIPPER』(MCR Company MCR-293)CD
二つ折りの歌詞カード封入の紙ジャケット仕様。


WORM/Retortion Terror split CD

WORM/Retortion Terror split CD


MORTALIZEDGRIDLINKなどで活動してきたマツバラ(g)が中心のRetortion Terrorと、
岐阜拠点のWORMが5曲ずつ提供したトータル約16分のCD。


WORMはハードコア・パンクとヘヴィ・メタルを
ブラスト・ビートとグルーヴ感でクロスオーヴァーしたような雑種サウンドだ。
グラインドコアのスピード感の中に
ドゥーム・メタル、ハード・ロック、ファンク、ブルースのグルーヴが息づき、
KING CRIMSONっぽい展開も絡めながら走り抜ける。
ミクスチャー・ロックというよりもクロスオーヴァー/グラインドコア寄りで、
英語中心で歌っているヴォーカルは語りも巧みだ。

Retortion Terrorは、
日本語も聞こえてくるヴォーカルにBALL BUSTARSのJr.、xグラインドハアフxの1z3、
NODAYSOFFのSUWA、WORMのYASUDAを迎え、
ドラムに元COHOLでMASTICATIONのKYOSUKEを迎えたレコーディング。
こちらもグラインドコアにグルーヴィな“ブラック音楽テイスト”がブレンドされたかのような音で、
やはりKING CRIMSONを思い出す三連のリフも絡めて目まぐるしくリズム転換しつつ、
どの曲もあっという間にケリをつけるエッセンス凝縮の凄まじい流れだ。
マツバラがこれまでやってきたことが緻密かつダイナミックにアップデートされ、
このCDを聴くと作品やライヴごとに“ゲスト”と組んで“新世界”が広がるとも思った。


味のある紙質のジャケットと帯が付き、
鉈やチェーンソー、鞭などがクールにデザインされたアートワークも心憎いセンスだ。
エクストリーム・ミュージックの可能性を提示した一枚。


★WORM/Retortion Terror split CD(HARDCORE KITCHEN HCK 048)split CD


S.D.S/MISERY split CD

SDS.jpg


日米のメタル・クラスト系ハードコア・パンク・バンドのS.D.SとMISERY
6曲ずつ提供した1992年1月リリースのスプリットLPの初CD版。
当時からイージーな音源発表とは一線を画していたS.D.S絡みの作品だけに
今回も音やアートワークもこだわりの仕上がりで、
どちらも“代表作”の一つと言い切れる初期レコーディングのグレイト・リイシューだ。


岐阜~愛知周辺を拠点として90年代の初頭~終盤中心に活動していたS.D.Sは、
ANTISECTの『In Darkness, There Is No Choice.』へのオマージュが感じられるジャケットに
『The Future Stay In The Darkness Fog』というタイトルを付けている。
音楽的には『Out From The Void』の頃のANTISECTや初期HELLBASTARDに
1984年頃までのDISCHARGEが突っ込んだかのようだ。
ツー・ビートのファスト・チューンを核にしつつ、
程良くメタリックなギター・リフがリードするミディアム・テンポを効果的に織り込んだサウンド。
アレンジの妙味もあってけっこうヴァラエティに富み、
ラストは6分半にもおよぶ大曲ながらこれまた一気に聴かせる。
ときおり発声に凝るとはいえヴォーカルの気合もバッチリだ。

ミネソタ州ミネアポリス拠点のMISERY側のジャケットには
『Pain In Suffering』というタイトルが描かれている。
最近もMISERYのフェイスブックの更新は時々行われているが、
ギター/ヴォーカルのジョンはここ数年TAU CROSSの方の活動が忙しいと思われる。
それはさておきこのレコーディングは曲も音も実にグレイトだ。
楽曲もアレンジもよく練られ、
もちろんツー・ビート主体ながらアップ・テンポのパンク・ロック・チューンも渋く、
2010年代のMISERYに通じるメロディも滲む曲がまた泣ける。
完膚無きまでにブッつぶれたメタル音が臭うノイズィーなグルーヴがまたたまらない。
複数のメンバーがとるヴォーカルも汚濁テイストでこちらも気合十分だ。


S.D.Sも含めて英語で歌われている歌詞は共に、
82年までのDISCHARGEや80年代のANTISECTのラインのドゥームな意識のポリティカル路線と言える。

音の鳴りへの気遣いもうれしい。
WORLD BURNS TO DEATHのジャック・コントロールが今年リマスタリングを行ない、
ひとつひとつの音の押しが強い仕上がりだ。
ノイズの粒立ちもはっきりと聞こえ、
CDの音の特性を活かしていい意味で磨きをかけた音作りになっている。

パッケージもプラケースではなく“特殊紙ジャケット”だ。
オリジナルLPはシングル・ジャケットだったが、
今回は7”レコードのジャケット大のゲートホールド仕様。
歌詞はジャケットの内側の左右に両バンドに縮小転載されているだけでなく、
LPの歌詞カード大の赤色の紙にプリントされたものが四つ折りで封入もされている。

約40分じっくり向き合って楽しめる聴き応え十二分の大スイセン盤だ。


★S.D.S/MISERY split CD(MCR Company MCR-050CD)CD


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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