なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ダムドのドキュメンタリー映画DVD『地獄に堕ちた野郎ども』

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英国のパンク・バンドであるDAMNEDの昨年日本でも公開されドたキュメンタリー映画のDVD。


本編に関しては既にたくさん書いたから、
映像特典について軽く触れておくと以下のとおりである。

●オリジナル予告編。
●キャプテン・センシブル(g/b/vo)とフレッド・アーミセンのトーク+の街頭演奏等。
●ゆかりの地を訪れるなど場所を変えながらDAMNEDデビュー前を18分ほど語り倒す
キャプテンの“独演トーク”(コンサート・ホールでの仕事+DAMNEDの前のJOHNNY MOPED時代+
曲を作ったスタジオ+生家の前での昔話など)。
●キャプテンやラット・スキャビーズ(ds)らが明かす、
SEX PISTOLSとの76年の“アナーキー・ツアー”にまつわる秘話が約13分。
キャプテン/ラットや関係者がマルコム・マクラーレン批判も展開。
●キャプテンとラットとヘンリー・バドウスキー(元CHELSEA~DOOMED)が語る、
DAMNED一時解散中に行なったDOOMEDの頃の話を約8分。
●キャプテンの60歳のバースデイ・パーティ・ステージ他における「Smash It Up」のライヴ。

こちらでもやっぱりキャプテンの“ハッピー・トーク”が聞きどころだ。


★『地獄に堕ちた野郎ども』(キング KIBF 1456)CD
本編約111分+特典映像計約49分。


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OLEDICKFOGGY『歯車にまどわされて』(DVD)、OLEDICKFOGGY × ILL-BOSSTINO (THA BLUE HERB)『弾丸さえあれば』(CD)

東京拠点のバンドOLEDICKFOGGY(オールディックフォギー)関連の2タイトルの作品が
1月25日に発売されている。


OLEDICKFOGGY『歯車にまどわされて』(DVD
まずオールディックフォギーのDVD『歯車にまどわされて』の本編は昨年公開された映画
DVDをセットすると映画自体にはなかった伊藤雄和(vo、マンドリン)の独白が自動的にリピートされる作りも面白い。
約32分の特典映像は、
昨年8月の東京シネマート新宿初日舞台挨拶映像(ステージに向かって左下からのワンカメラ撮影)
+映画予告映像+本作の映像とリンクするMV「シラフのうちに」。
舞台挨拶ではメンバー6人全員の砕けたトークが楽しめる。
川口潤監督と伊藤雄和のコメントが載った4ページのインナー付。


『弾丸さえあれば』
OLEDICKFOGGY × ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)の『弾丸さえあれば』の方は、
OLEDICKFOGGYとTHA BLUE HERBのILL-BOSSTINOがコラボレートしたCD。
歌詞は伊藤雄和とILL-BOSSTINOの共作で
作曲が伊藤、
編曲がOLEDICKFOGGYの5分30秒1曲入りの作品である。

ラップ/トーキング・ヴォーカルで言葉数の多い曲だが、
簡潔に要所を締める言葉とキャッチーな歌メロにより
OLEDICKFOGGYらしい日本語パンク・ロックに仕上がっている。
世界中の不条理な死に思いをはせてしまう言葉も綴られるが、
歌声と弦楽器と打楽器と鍵盤楽器の響きにOLEDICKFOGGYの思いがこもっている一曲だ。
ジャケットの紙質にも味がある。


★オールディックフォギー『歯車にまどわされて』(DIWPHALANX PX315)DVD
★OLEDICKFOGGY × ILL-BOSSTINO (THA BLUE HERB)『弾丸さえあれば』(同 PX316)CD


Bib『Bib(Demo)』

Bib.jpg


米国ネブラスカ州のハードコア・パンク・バンドの6曲入り。
正式なデビュー7”EPも先月ぐらいには日本にも入ってきているが(まだ未入手)、
今回は2015年のデモ・テープを7”EP化したレコードを紹介する。


クラストとかアナーコとかそういう細かいジャンル名を必要としない猛烈ハードコア・パンクである。
緩急の使い方が上手く、
ちょいBAD BRAINSのHRを思い出すヴォーカルもなかなか破天荒でよろしい。
SSDやDYSやSIEGEあたりの初期ボストン・ハードコアが渾然一体になったような、
灼熱のミディアム~スロー・テンポのパートも燃える。

デモ・レコーディングだが、
やはりデモCD-Rではなくデモ・テープの音質で、
適度にこもっているところもプラスに働いている。
混沌が渦巻き、
狭いスタジオ・ライヴで圧迫されている気分にもなる。


先ごろの米国大統領選挙で興味深かった一つが、
トランプが選挙人を獲得した州には
昔からパンク/ハードコアが盛んなことで知られる州がほとんどないことだ。
このBibが拠点にするネブラスカ州も含めて米国中部はトランプの独占状態で、
クリントンが勝った州は海沿いの州が大半だった。
カリフォルニアやニューヨークなどの日本によく情報が伝わってくる“洗練された地域”ではなく、
トランプ支持者が多い田舎こそがアメリカの肝ってことがよくわかった。

そんな土地から産まれたBib。
たとえポリティカリー・コレクト連中に差別用語と言われようが、
“土人”とか“混血”とかいう原始の言葉が似合うモノほど強力ってことをあらためて思い知らされる。
たのもしい蛮族の一枚。


★Bib『Bib(Demo)』(DERANGED DY292)7”EP
インナー封入。


SPIKE SHOES『Spectriddim』

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93年から仙台拠点に活動を続ける5人組のパンク・バンドが
自分たちのレーベルから約3年ぶりに出した5作目のアルバム。

“SDC(Sendai City)ハイブリッドHCサウンド・システム”、
“ラガ・スラッシュ・イン・ユア・フェイス”、
“パンク・ハードコア・ダブ・ロック”と自称しているフレーズがピッタリのサウンドだ。
2人のギタリストを擁する編成を強みにし、
ハードコア・パンクを基本にしつつ今回はさらにどこまでも広がっていく多彩な曲で攻める。


どの曲も“王道”から外れた混血ハイブリッド感覚に胸がすく。
気合の入ったメロディック・ハードコア・パンク(notメロコア)で勢い止まらずに走る曲でも、
くねるリズムとグルーヴ込みで持っていかれる。
ハードコア・パンク+レゲエwithファンクやドゥーム・ロック/スラッジコア+ダブといった曲でも、
2分ちょいの曲の中に数曲分のアイデアを詰め込み・・・いや溶かしこんでいる。
1曲の中で“場面転換”するにしても奇をてらったふうに聞こえず、
わざとらしくも取って付けたサウンドではない。
ギターのメロディの浮かび上がらせ方iにも嫌味がない。

色々なジャンルを混ぜてはいるが、
“つぎはぎ感”がないのは加速度をキープするドラムをはじめとして音楽センスも大きいが、
何より気持ちにブレがなく地に足が着いているからである。
あざとさを感じないし器用貧乏に陥ってないし
すべてが天然ナチュラル・ブレンドだ。


甲高い声も濁声も“ラガマフィン歌唱”も意識の流れのように放つヴォーカルも自然体だし、
ありのままだ。
日本語と英語を組み合わせた歌詞は曲によってどちらかの言語オンリーになるが、
日本語の比重が高いとはいえ多かれ少なかれ日本で暮らす人は日常生活で自然と両方使っているではないか。

歌詞の視野も広い。
オープニング・ナンバー「SLAM DOWN YOUR GABEL」の“マジョリティのクズとマイノリティのカス”と、
澄みわたったまったり歌もの日本語エモーショナル・パンク・ロック!(not EMO)のラスト・ナンバー「AWAKE」の
“俺は俺の朝を始めたい”というフレーズが特に好きだ。
こういった言葉が躍動の音とまぐわって命のグルーヴを生み出している。


一秒で場の空気が変わる音像で奥行きのある音の仕上げも特筆したい。
他の楽器に埋もれることなく各パートがしっかり聞こえてくるミックスで、
わざとらしいノイズでごまかすことなく正々堂々と勝負している。


個人的には音楽で楽しむことがますますなくなっている昨今、
このアルバムで久しぶりに音楽で楽しんだ。
気持ちいい刺激ももらえて頭の風通しも良くしてくれる。
約35分10曲入りながらいい意味で長く感じる濃いアルバムであり、
旅をしている気分になるナイス!なパンク・アルバムだ。


★SPIKE SHOES『Spectriddim』(TINY AXE TAXE-0002)CD
歌詞が載った12ページのブックレット封入の三面デジパック仕様。


GEWALTBEREIT『Ein Leben Lang Verreckt』

GEWALTBEREIT『Ein Leben Lang Verreckt』


ドイツのハードコア・パンク・バンドのファースト・アルバム。
エナジーが放射され続ける混沌の音像に飲み込まれていく凄まじいレコードだ。

グレイトなすべての作品に共通するように何かに似ているというのが思いつかない。
一般的なアメリカン・ハードコアみたいなカラッとしたサウンドとは真逆のガビガビの臭気が漂う。
米国を除く80年代初頭の世界中のハードコア・パンク・バンド、
特にラテン系やスカンジナビア半島のバンドの質感に近いが、
空気感としては80年代前半までの英国ブリストル産のDISORDERもイメージした。
“out of control”な切迫感に駆りたてられて何か物が飛んできそうなサウンドなのだ。
細かく分類された特定のパンク/ハードコアのジャンルを“研究”してこしらえた“優等生”じゃなく、
“パンクの五線譜”から、はみだしている。

ぶっこわれた扇風機みたいなドラムを核に加速するプリミティヴ極まりないサウンドの一方で、
勢い一発でもなく西欧や南欧のハードコア・パンク・バンドの流れをくむように、
よく練られていてツボを突く曲展開にも引き寄せられる。
簡潔なギター・ソロがさりげなくメロディアスで、
ミディアム・テンポの曲も渋く、
何しろ曲そのものがカッコいい。

濁声ヴォーカルもポーズ一切無し。
ほとんどの曲がドイツ語で歌われるというのもあって、
英語のスムーズ感とは違うゴツゴツ硬い語感のヴォーカルの響きがまた強烈なのだ。

まさに血湧き肉躍る。
これぞハードコア・パンク。
レコードの特性が活かされた彫りの深い音質も素晴らしすぎる。


★GEWALTBEREIT『Ein Leben Lang Verreckt』(ABFALL A.R.06)LP
味のある紙質のジャケットで二つ折り歌詞カード封入。


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プロフィール

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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