FC2ブログ

なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

BEHEMOTH『I Loved You At Your Darkest』

BEHEMOTH『I Loved You At Your Darkest』


エクストリーム・メタルの域を超えて
ロックとしても名実ともにポーランドを代表するバンドのBEHEMOTHによる、
オリジナル・アルバムとしては『The Satanist』以来の約4年半ぶりになる11作目。

HIGH ON FIREも新作『Electric Messiah』の曲の中でも歌い込んだ
旧約聖書に登場する巨獣BEHEMOTHをネーミングしたバンドだけに、
もちろんタダモノじゃない。
決まりきったジャンルの中で安住することを潔しとしない音楽性も含めて、
外向きの意識に貫かれた佳作である。

プロデュースは
IN FLAMESとの仕事を重ねつつ前作をバンドと手掛けたダニエル・バーグストランドで、
前作に引き続きSLAYERDEFTONESも手掛けたマット・ハイドがミックス。
BEHEMOTHの多様性がしっかり表れた音の仕上がりになっている。


こういうサウンドと歌詞のバンドがチャートのトップになることに
BEHEMOTHの母国ポーランドの底力を見る。
国内にとどまらず米国も含めて世界的な支持が厚くなる一方だが、
今回いい意味でさらにリスナーの層を広げそうだ。

キリスト教~カトリックへの反発が主要モチーフの歌詞も熾烈な音も、
もちろん妥協無し。
ブラスト・ビートを絡めてブラック・メタルとデス・メタルの絶妙の混血サウンドを展開するが、
ブラック・メタルの色がやや強めのアルバムだ。
KILLING JOKEをはじめとする
ダークなポスト・パンクのクールな律動と旋律も随所から感じられ、
AMEBIXTAU CROSSのようなメタル・クラストの進化形のニュアンスも滲む。

贅肉を削ぎ落してコンパクトに凝縮した曲作りが素晴らしく、
抜けのいいドラムのリズムとビートをはじめとするアタック感の強い音作りも特筆したい。
曲によってオーケストラや子どもの合唱を適度に絡ませるなど、
アレンジ・ワークもツボを突く。
とにかくメリハリがある。

言葉を噛みしめながら声を発するヴォーカルは、
デス・ヴォイスともブラック・メタリックなスクリームとも違う苦い喉を震わせて“詠唱”する。
「溶解」「シベリアの狼」「ゴッド・イコール・ドッグ」「邪悪蔓延るカトリック教会」
「悪霊バルツァベル」「磔が緩かったなら」「アンジェラス13 ~闇の祈り~」「聖母哀傷」「無能者」
「ローマの信徒への手紙 5章8節」「我ら千年の月日」「凝固」「燃ゆる五芒星よ」といった、
直訳を基本にしつつ曲の本質を捉えた曲名の“邦題”がピッタリの世界を綴る。

歌詞に直接表れているわけではないが、
第二次世界大戦中に象徴されるポーランドの歴史の悲嘆も滲み出ている。
蹂躙してきたナチスやソ連などの強引な勢力を反面教師にもしてきた地で生まれ育ったバンドだけに、
サウンドそのものが押しつけがましくない。
デリケイトなのだ。

何度も何度も聴ける中毒性の高い一枚。
オススメ。


★ベヒーモス『アイ・ラヴド・ユー・アット・ユア・ダーケスト』(ビクターエンタテインメント VICP-65504)CD
↑の“ジャケット画像”はブックレットの表紙で、
実際のパッケージは表の面に穴の空いた漆黒のスリップケースに覆われている。
歌詞と曲解説のようなコメントが載った24ページのブックレット封入。
日本盤は1曲追加された約52分13曲入りで、
歌詞や曲解説の和訳とわかりやすくポイントを押さえた田村直昭執筆のライナーも載った
12ページのブックレットも封入されている。


スポンサーサイト

DOOM『No/Re:MORSE』

DOOM.jpg


日本のDOOMの新曲を収めた3曲入り。
METALLICAの初期の曲やMOTORHEADの84年の編集盤の表題の“No Remorse”を思い出す
作品タイトルの計14分弱のCDだが、
一つの作品として構成された濃密な流れで聴き応え十分である。


1曲目の「No/Re:MORSE」は、
82年頃のDISCHARGEにグルーヴィなヘヴィネス・パートや変拍子を織り交ぜたかのようだ。
熱くなりきらずにクールに走るところがDOOMらしい。

2曲目の「WAR DADDY」はジャケットからイメージできる音像だ。
中近東風のメロディのギター、混沌を歌うベース、変則リズムのドラムで幕を開け、
メタルというよりハード・ロックと言いたいダイナミックなリフを絡めながら
じわじわ迫りくる8分半近くに及ぶ重い曲である。
例によって歌詞は英語で、
苦み走ったヴォーカルのメロディに耳を傾けていると日本語の歌でも聴いてみたくなるが、
これまたDOOMにしかできない曲だ。

そしてラスト・ナンバーの「FREEZE」は、
祈りに聴こえるアコースティック/エレクトリック・ギターの切ないインストである。


DOOMのオフィシャル・サイトによれば、
先日始まったばかりの“No/Re:MORSE TOUR 2018”ツアーの各会場にて先行販売開始で、
ツアー終了後の販売は未定とのことだ。


★DOOM『No/Re:MORSE』(13th REAL RECORDINGS/REVONTULET RVR-0008)CD
歌詞カード封入の紙ジャケット仕様。
https://doom-real.com/index2.html


MARDUK『Viktoria』

MARDUK『Viktoria』


90年代初頭からコンスタントに活動を続けるスウェーデンのブラック・メタル・バンドが
約3年ぶりにリリースした14作目。

ベーシックなブラック・メタル・スタイルというか、
ブラック・メタル・サウンドをわかりやすく伝えているアルバムである。
トレモロ・ギターで押すよりは、
HELLHAMMER~DISCHARGEのラインのクラスティーなパンク音に近くてノリやすい。
ほとんどの曲でブラスト・ビートを使っているにもかかわらず曲のフック十分で、
ベテランならではの曲作りが光る。
ドゥーム・メタルをブラック・メタルにアレンジしたような曲や、
スローなフレーズで進めていく曲もいいアクセントだ。

効果音を挿入するなどアルバム全体が一つの流れになっている。
歌詞は英語で歌われていて
モチーフはナチス・ドイツ関連の第二次世界大戦中の出来事が軸と思われるが、
やはりなかなか刺激的。
ユダヤ人殲滅のネタとは一味違う戦争の血と鉄の匂いが渦巻く言葉で触発される。
ナイーヴな“愛と平和”云々より波紋を投げかけることがロックの本質だとあらためて思わされもする。

音も曲も歌詞もスウェーデンのバンドならではのバランス感で仕上げられているから、
ブラック・メタルの入り口としても最適な一枚。


★マルドゥク『ヴィクトリア』(ソニーミュージック SICP 5813)CD
約33分9曲入り。
歌詞が載った16ページのブックレットが封入され、
日本盤には歌詞の和訳も付いている。


MEGADETH『Killing Is My Business And Business Is Good The Final Kill』

MEGADETH『Killing Is My Business And Business Is Good The Final Kill』


アルバム・デビュー前にMETALLICAをクビになったデイヴ・ムステイン(vo、g)率いる
LA出身のへヴィ・メタル・バンドが85年にリリースした、
デビュー作『Killing Is My Business... And Business Is Good!』の新装リイシュー盤。
結成35周年記念盤とも言える。

アルバム・タイトルがマイナー・チェンジされ、
アルバム・カヴァーは2002年のリイシュー盤のジャケット画を生々しくアップデート。
曲順とデモ3曲追加も2002年版を基にしつつ、
本作のオリジナル曲の1986~1990年のライヴ(音質まずまず)が本作の曲順で追加された。


新ミックスとリマスタリングでもって音のメリハリ五割り増し。
神経質で気難しく粗削りのギター・リフのソリッド感が際立ち、
インダストリアル・メタルの質感を先駆けたとも言えるメカニカルな金属感がしぶきを上げる。
と同時に高い声域のヴォーカルとグルーヴ感がLED ZEPPELINの流れであることも、
再認識させられる。

METALLICAの「The Four Horsemen」の“原曲”である「Mechanix」をはじめとして、
スリリングな展開を見せつつスラッシュ・メタルの“primal scream”そのもののサウンドだ。
アルバム・タイトルのイメージどおりの歌詞以前に、
ヴォーカルも含めてサウンドがフラストレイションでギラギラとげとげしい。
サウンドの破片から放射されるデイヴ・ムステインの気合と気負いがまぶしく、
ヒリヒリした熱情が混沌の渦を巻いている。

ボーナス・トラックのライヴ・テイクも含めて音が十分に分離された仕上がりである。
これで音質がどーこー言うのなら、
そんなに毒抜きされた音のロックが欲しいか!?って感じである。
角が立った音ってのはこういうもんだ。
タイトルが偽りじゃなく殺気立っている。
METALLICA、SLAYER、ANTHRAXとともにスラッシュ・メタル四天王と呼ばれる中で、
結局一番殺伐としていたのはこの時期のMEGADETHではないか。

2002年のリイシュー盤と同じく今回も本編ラストに入っている
「These Boots」の“新調ヴァージョン”も興味深い。
ナンシー・シナトラの1966年の大ヒット曲「These Boots Are Made For Walkin'」を
“リメイク”するも、
ソングライターのリー・ヘイズルウッドが歌詞等にクレームを付けてきて、
2002年のリイシュー盤では問題部分が“ピー音”で消されていた曲だ。
今回ヘイズルウッドの歌詞を尊重して新たなヴォーカルで録り直されており、
そういう処置もMEGADETHらしい。

というわけで非常にブレの多いバンドだが、
それもまたMEGADETHの、
というかデイヴ・ムステインの人間味に思えてくる必殺盤。


★メガデス『キリング・イズ・マイ・ビジネス-ザ・ファイナル・キル-』(ソニー・ミュージックエンタテインメント SICP-31164)CD[BLU-SPEC CD2]
3面デジパック仕様で10曲のボーナス・トラックを含む約72分18曲入り。
日本盤のみ、
BLU-SPEC CD2で、
歌詞とともに8ページのブックレットに小さな文字で書かれたデイヴ・ムステインと
PANTERAのヴィニー・ポールのコメントの和訳付。


BROILER『Bestialized In Dystopia City(魔境)』

BROILER.jpg


2012年から東京拠点に活動している“ベスチャル・パンク・メタル”バンドのアルバム。

デス・メタルとブラック・メタルの黎明期の精をパンクの窯にブチ込んで
スピードアップさせながら再構築したようなサウンドだ
グラインドコア・バンドとしてスタートした名残は時おり入るブラスト・ビートに表れているが、
カナダのBLASPHEMYをはじめとするベスチャル・メタルなどからの影響の
怪しく変態性の高い曲で押していく。

音の方は“bestial”な調子とは一味違い、
一般的なメタルとは別次元の下品な獣性をプンプン振りまきつつも、
わざとらしくノイジーに仕上げてないところに好感を持つ。
緩急織り交ぜて凝縮した曲もアレンジもよく練られていて、
ギターがけっこうテクニカルでソロも聴かせて全体的に整合感のある作りもメタルらしい。

ヴォーカルは、
やはり黎明期のデス・メタルやブラック・メタル、もちろんキング・ダイアモンド、
あと英語の歌詞をダミ声で歌っていた日本の初期ハードコア・パンク・バンドを思い出す。
いい意味で“芸達者”と言いたくなるぐらいヴォーカリゼイションがユニークで、
ユーモラスにも聞こえるほど一種のエンタテイメントになっているところはホラー映画に通じる。
英語の比率の高い歌詞もエクストリーム・メタルの期待を裏切らない内容で、
やはりリアリスティックなホラー映画もイメージする。
日本語で歌う曲がジャパニーズ・ハードコア・パンクっぽくて好きだ。

完成度の高い一枚。


★ブロイラー『魔境』(HELLO FROM THE GUTTER HFTG-028)CD
カードボード状の二つ折り紙ジャケット仕様の約30分12曲入り。
歌詞(英語部分は和訳付)と痛快なメンバー写真で彩る12ページのブックレット封入。
90~2000年代にトイズファクトリーが発売したメタル系CDのデザイン直系の帯も泣かせる。


 | HOME |  古い日記に行く »

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (10)
HEAVY ROCK (261)
JOB/WORK (324)
映画 (296)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (48)
METAL/HARDCORE (51)
PUNK/HARDCORE (446)
EXTREME METAL (138)
UNDERGROUND? (114)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (139)
FEMALE SINGER (45)
POPULAR MUSIC (34)
ROCK (90)
本 (10)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん