なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

MEGADETH『Killing Is My Business And Business Is Good The Final Kill』

MEGADETH『Killing Is My Business And Business Is Good The Final Kill』


アルバム・デビュー前にMETALLICAをクビになったデイヴ・ムステイン(vo、g)率いる
LA出身のへヴィ・メタル・バンドが85年にリリースした、
デビュー作『Killing Is My Business... And Business Is Good!』の新装リイシュー盤。
結成35周年記念盤とも言える。

アルバム・タイトルがマイナー・チェンジされ、
アルバム・カヴァーは2002年のリイシュー盤のジャケット画を生々しくアップデート。
曲順とデモ3曲追加も2002年版を基にしつつ、
本作のオリジナル曲の1986~1990年のライヴ(音質まずまず)が本作の曲順で追加された。


新ミックスとリマスタリングでもって音のメリハリ五割り増し。
神経質で気難しく粗削りのギター・リフのソリッド感が際立ち、
インダストリアル・メタルの質感を先駆けたとも言えるメカニカルな金属感がしぶきを上げる。
と同時に高い声域のヴォーカルとグルーヴ感がLED ZEPPELINの流れであることも、
再認識させられる。

METALLICAの「The Four Horsemen」の“原曲”である「Mechanix」をはじめとして、
スリリングな展開を見せつつスラッシュ・メタルの“primal scream”そのもののサウンドだ。
アルバム・タイトルのイメージどおりの歌詞以前に、
ヴォーカルも含めてサウンドがフラストレイションでギラギラとげとげしい。
サウンドの破片から放射されるデイヴ・ムステインの気合と気負いがまぶしく、
ヒリヒリした熱情が混沌の渦を巻いている。

ボーナス・トラックのライヴ・テイクも含めて音が十分に分離された仕上がりである。
これで音質がどーこー言うのなら、
そんなに毒抜きされた音のロックが欲しいか!?って感じである。
角が立った音ってのはこういうもんだ。
タイトルが偽りじゃなく殺気立っている。
METALLICA、SLAYER、ANTHRAXとともにスラッシュ・メタル四天王と呼ばれる中で、
結局一番殺伐としていたのはこの時期のMEGADETHではないか。

2002年のリイシュー盤と同じく今回も本編ラストに入っている
「These Boots」の“新調ヴァージョン”も興味深い。
ナンシー・シナトラの1966年の大ヒット曲「These Boots Are Made For Walkin'」を
“リメイク”するも、
ソングライターのリー・ヘイズルウッドが歌詞等にクレームを付けてきて、
2002年のリイシュー盤では問題部分が“ピー音”で消されていた曲だ。
今回ヘイズルウッドの歌詞を尊重して新たなヴォーカルで録り直されており、
そういう処置もMEGADETHらしい。

というわけで非常にブレの多いバンドだが、
それもまたMEGADETHの、
というかデイヴ・ムステインの人間味に思えてくる必殺盤。


★メガデス『キリング・イズ・マイ・ビジネス-ザ・ファイナル・キル-』(ソニー・ミュージックエンタテインメント SICP-31164)CD[BLU-SPEC CD2]
3面デジパック仕様で10曲のボーナス・トラックを含む約72分18曲入り。
日本盤のみ、
BLU-SPEC CD2で、
歌詞とともに8ページのブックレットに小さな文字で書かれたデイヴ・ムステインと
PANTERAのヴィニー・ポールのコメントの和訳付。


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BROILER『Bestialized In Dystopia City(魔境)』

BROILER.jpg


2012年から東京拠点に活動している“ベスチャル・パンク・メタル”バンドのアルバム。

デス・メタルとブラック・メタルの黎明期の精をパンクの窯にブチ込んで
スピードアップさせながら再構築したようなサウンドだ
グラインドコア・バンドとしてスタートした名残は時おり入るブラスト・ビートに表れているが、
カナダのBLASPHEMYをはじめとするベスチャル・メタルなどからの影響の
怪しく変態性の高い曲で押していく。

音の方は“bestial”な調子とは一味違い、
一般的なメタルとは別次元の下品な獣性をプンプン振りまきつつも、
わざとらしくノイジーに仕上げてないところに好感を持つ。
緩急織り交ぜて凝縮した曲もアレンジもよく練られていて、
ギターがけっこうテクニカルでソロも聴かせて全体的に整合感のある作りもメタルらしい。

ヴォーカルは、
やはり黎明期のデス・メタルやブラック・メタル、もちろんキング・ダイアモンド、
あと英語の歌詞をダミ声で歌っていた日本の初期ハードコア・パンク・バンドを思い出す。
いい意味で“芸達者”と言いたくなるぐらいヴォーカリゼイションがユニークで、
ユーモラスにも聞こえるほど一種のエンタテイメントになっているところはホラー映画に通じる。
英語の比率の高い歌詞もエクストリーム・メタルの期待を裏切らない内容で、
やはりリアリスティックなホラー映画もイメージする。
日本語で歌う曲がジャパニーズ・ハードコア・パンクっぽくて好きだ。

完成度の高い一枚。


★ブロイラー『魔境』(HELLO FROM THE GUTTER HFTG-028)CD
カードボード状の二つ折り紙ジャケット仕様の約30分12曲入り。
歌詞(英語部分は和訳付)と痛快なメンバー写真で彩る12ページのブックレット封入。
90~2000年代にトイズファクトリーが発売したメタル系CDのデザイン直系の帯も泣かせる。


AT THE GATES at 渋谷TSUTAYA O-EAST 5月29日

at the gates


メロディック・デス・メタルの先駆でありつつパンク/ハードコアっ気も強い、
スウェーデンのへヴィ・メタル・バンドのAT THE GATESによる日本ツアーの初日。
出たばかりの6作目『To Drink from the Night Itself』のリリースに伴う
世界ツアーの初日でもある。

まずはサポート・アクトとして東京拠点のSURVIVEHELLCHILDがプレイ。
特に19時スタートで最初に登場のSURVIVEはしっかり前を向いたステージングが印象的で、
エクストリーム・メタルを中心に様々なヘヴィ・メタルの肝を吸収したフック十分の楽曲を繰り出し、
海外ツアーで鍛えられた“魅せる”パフォーマンスと確かなサウンドで未知の観客も引き込んだ。


セット・チェンジに時間がかかると観る側の気持ちもダレてしまいがちだが、
セッティング・スタッフの尽力によってサクサク準備が進み、
AT THE GATESは20時35分頃に現る。

パーフェクトだった。
もう鳴らしてるサウンドそのものがすべてを語っていた。
そのすべてが確信だった。


まずエイドリアン・アーランドソンのウルトラ・パワフルなドラムにまたまた殺られた。
夢に出てきそうなほど超絶だった。
大柄ゆえにドラム・セットをちょっと見おろすような高さでの演奏というのもあって、
ドラムを組み伏すような体勢で叩きまくる見た目も圧巻。
HAUNTEDでも叩いているとはいえ怪力は同じであってもリズム・パターンは別で、
“AT THE GATESビート”と言うべき独特のリズムがこのバンドの核だとあらためと思い知らされた。
手数足数多くラフなのに緻密で、
ミディアム~スロー・テンポの曲でも加速度をキープ。
この前のめりのドラミングによって、
たとえMCがときおり入ってもライヴ全体のスピード感もキープされているのがAT THE GATESだ。
そういう点でRAMONESのライヴとリンクするといっても過言ではなく、
メタル以前にロックとしても素晴らしいスピード感の持続だ。

ヨナス・ビョーラーのベースも強力だ。
メロディック・デス・メタルとも呼ばれるサウンドにもかかわらず、
リズムがAT THE GATESの肝であることをあらためて知らしめるリズム隊の一角として音が目立ち、
作曲の中核にもなっている人だけにバンドをリードしてステージでも前方で演奏。
少々かっぷくのいいボディもトレード・マークとしていい味を出していた。

そのヨナス・ビョーラーの双子兄弟のギタリストであるアンダースがバンドを去ったことが不安だったが、
まったくの杞憂であった。
新ギタリストのヨナス・ストールハマールはリード・ギターのパートを多く担当し、
適宜バッキング・ヴォーカルもとって単なる後釜以上のプレイで魅せ、
メガネ+長いアゴ髭+長髪+スリム・ボディのヴィジュアルもなかなかだ。
もう一人のギタリストのマーティン・ラーソンとのコンビネーションもバッチリである。
AT THE GATESのギタリストは意外と目立たずバンドの“両脇”を固めるようなポジションだが、
俳優なら“バイプレイヤー”のプレイで緩急の曲にメロディックなエッジを効かせていた。

もちろんトーマス・リンドバーグ(vo)も元気元気だ。
髪や髭に白いものが目立ったが、
映画『サスペリア』の音楽で知られるイタリアのプログレ・バンドのGOBLINのTシャツを着用し、
ちっこいキャップをかぶりながら“見せる”ステージングで場内に渦を巻き起こす。
極端に派手なアクションはしないが、
しばしば曲を始める前にドラムに向き合って人差し指を突き出した右腕を高く上げてから始め、
しばしば曲を始める前にマイク・スタンドをパフォーマンスの“武器”として駆使。
ハードコア・パンクとデス・メタルとブラック・メタルが混在したヴォーカリゼイションも健在で、
血が滲むほど喉を震わせていた。


代表作の95年の4作目『Slaughter Of The Soul』と
復活作の2014年の前作の『At War With Reality』の曲が多かったが、
新作からも同じぐらいの曲数を披露して以前の曲にしっかり馴染んでいた。
最初の3作の曲を盛り込んでファンを湧かせたことも言うまでもない。

全曲クライマックスだったから、
ほんとライヴが始まって1秒ですべての観客のマグマは一気に炎上した。
神風じゃないが、
一瞬にしてステージからの得体の知れないサウンドの“風圧パワー”に飲み込まれていた。
尊重し合いながら大モッシュ・サークルもできあがっていた。
曲間では“AT THE GATESコール”が飛び出し、
みんな思い思いの形でAT THE GATESを歓待。
バンド側もエナジーのフィードバックをしっかり受け止め、
ビシッと観客に向き合ったパフォーマンスでビ応え、
熱い鋼鉄の交感が生まれていた。

“ヘビメタ”だの“メタル”だのといった中途半端な省略言葉じゃなく、
これぞヘヴィ・メタル!な重金属音にトータル90分酔いしれた。
まさにグレイト。


MAMMOTH GRINDER『Cosmic Crypt』

MAMMOTH GRINDER『Cosmic Crypt』


POWER TRIPではドラムを叩くクリス(b、vo)が2000年代後半からやっている
米国のデス・メタル・バンドが今年1月にリリースしたアルバム。
IRON REAGANのマーク(g)とライアン・パリッシュ(ds~元DARKEST HOUR)の加入後に録った、
4作目である。

むろんローファイな作りではなく音は分離されているが、
一般的なバンド・サウンドのバランス感なんか知ったこっちゃないとばかりに全パートの音がでかい。
特に傍若無人なほどドラムの音が大きくてリード楽器と化している。
ライアンの超絶ドラムはMAMMOTH GRINDERでもいかんなく発揮され、
このアルバムの異様なダイナミズムの核になり、
バス・ドラムが目立っていて巨大な四つ打ちみたいに響いてくる。
もともとメタルのタイト感とは一味違うドラムの人だが、
ある意味たいへん景気が良くて笑っちゃうほど混沌へと誘う蛮行のビートで押せ押せなのだ

AUTOPSYにCOFFINSが混ざったようなゆるい加速度と流れが絶えない死の大河のようである。
ギターは残虐一筋であり、
ヴォーカルも呪詛の念を感じさせる。
ブラスト・ビートを使わずいわゆるグラインドコアの道から外れた音楽スタイルだが、
まさに名は体を表す“マンモス・グラインダー”というバンド名と
このアルバム・タイトルとこのジャケットが非常にふさわしいサウンドだ。
小ぢんまりとまとまらずに行儀が悪くてやかましく、
どこをどう聴いてもデス・メタル以外の何ものでもないにもかかわらずメタルに聴こえない原始の響き。
こじゃれたハードコアの百万倍パンクな全身運動盤である。


★MAMMOTH GRINDER『Cosmic Crypt』(RELAPSE RR7381)CD
約28分11曲入り。


ARCH ENEMY at EXシアター六本木 2月20日

ARCH ENEMY


スウェーデン出身の“メロディック・エクストリーム・メタル・バンド”ARCH ENEMYの東京公演の初日。
北海道や九州も回る約10日間の日本ツアーの2日目にあたる。

ARCH ENEMYのライヴとしては18回目の来日とのことだが、
観たのはそのうちの3分の1回分ほどとはいえ僕にとっては今までのベスト・ライヴで、
バンドとしてベストの状態をアップデートしていると確信した。


とにかくライヴ・ショウとしてグレイトだった。
別にカジュアルな格好でも動かなくてもいいのだが、
目と耳と体で同時に感じる事こそがライヴの醍醐味だとあらためて実感させられたしだい。


まずメンバー全員長髪のルックスが、
オールド・ロックからの流れをくむヘヴィ・メタル・バンドとしてクールだ。
しかもみんな太りすぎず痩せすぎずのボディで
他のメンバーはシャーリー・ダンジェロ(b)ほどではないにしろ全員大柄に見える。
もちろん堂々とプレイしていたからに他ならない。
リーダーのマイケル・アモット(g、バッキング・ヴォーカル)も
機材トラブル一つであたふたしていた初期とは比べ物にならないほど自信に溢れている。
あいかわらずギター・ソロは前かがみで弾くことが多いのだが、
そこから上体を起こした瞬間は内なるものを外に解き放ったように晴れやかな顔を見せてくれる。

そのマイケルが昔より見た目に気を使っていることも大きい。
最近も母国の伝説的なバンドのSKITSLICKERSをカヴァーしたようにハードコア・パンクも好み、
スタイリッシュでないところが彼らしいクラスティなファッションでキメていた。


やはり三代目シンガーのアリッサ・ホワイト-グルーズ(vo)が強烈だ。
ハリウッドのアクション映画の主役を張れるほど存在感十分だし、
何かのコスプレの如きストロングなヴィジュアルで、
たてがみのように髪を振り乱す様は女獅子のようだった。
ポイントを押さえて女王様みたいに立ち回ってダイナミックに動き、
ロック・バンドのフロント“ウーマン”としてカッコいい。
と同時にメタル・クイーンというより“メタル・ミューズ”であり、
“メタル・ディーヴァ”と呼びたいほど輝いている。

平昌五輪スピードスケート女子500メートルで金メダルに輝いた小平奈緒選手のインタヴューで、
テレビ・アナウンサーが彼女の滑りを“獣のよう”と表現したことが最近話題になったが、
アリッサのヴォーカルはまさに獣である。
迷いがない。
そんな中でこの夜の僕のハイライトは、
ノーマル・ヴォイス主体で歌い抜く「Reason To Believe」。
昨秋リリースした10作目のオリジナル・アルバム『Will To Power』に収録の新境地の曲だが、
生で体験してさらに可能性を感じて痺れたのである。


ダニエル・アーランドソン(ds)のビートだけでなく
スタジオ録音アルバムよりもサウンド全体がパーカッシヴに迫ってきた。
いい意味でメロディが前面に出てなくて滲み出る音のバランスで、
曲がアグレッシヴにアップデートされていた。
適度に挿入した“泣き”のインスト・ナンバーはもちろんのこと、
研ぎ澄まされたギターの掛け合いと絡みが速い曲でも絶妙で、
4年前に加入のジェフ・ルーミス(g、バッキング・ヴォーカル)の彩り豊かな魅力を
マイケルは引き出してもいた。

最低限に抑えたアリッサのMCを適度に入れつつ数曲続ける進行で、
適度にアリッサが短時間ステージ袖に引っ込むところもいいアクセント。
起伏がありながらライヴ全体の流れがスムーズでゆっくりずっと加速していたから、
ダレることなく緊張感もキープされて最後まで突き抜けていったのである。
毎回違うライヴもいいが、
ストイックなほどプロフェッショナルなステージ・パフォーマンスにひたすら目が覚めた。


“メタル”という言葉が軽くなってしまっているからこう言おう。
ARCH ENEMY史上最強のメンバーで
現在進行形の“ヘヴィ・メタル”を深化させ続けていると確信した一夜だった。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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