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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

BITCHEATER『Dystopia Of The Moon』(短冊8cmCD)

BITCHEATER.jpg


ABIGAILやBARBATOSなどで活動してきているYasuyukiと、
GORGONのMutsuakiによる
“ブラック・ドゥーム・ヘヴィ・メタル・バンド”のCD。
収録曲は2曲だが、
計約17分で聴きごたえありありだ。
縦長のいわゆる短冊ジャケットの8センチCDでのリリースである。

1曲目の「Dystopia Of The Moon」の未発表ヴァージョンは6分を越え、
新曲の2曲の「Night Of The Reaper」も10分近くだが、
まったく飽きさせない。
いわゆるプログレのような曲展開はなく、
エピック・ドゥム・メタル調のスローな曲でゆっくりと進んでゆく。
ヒリヒリした金属リフがリードし、
ギター・ソロもバッチリで哀切のメロディも滲み出て、
ブラック・メタル風のヴォーカルが突き刺さる。

倦怠、空漠、虚無といった言葉がイメージできる空気感に覆われ、
さすがのセンスの一枚。

ABIGAILとスプリット盤も出しているTERROR CROSSの来日公演の対バンで、
今月/14(土)にライヴ・デビューを飾る。
会場は東京・東高円寺二万電圧だ。


★BITCHEATER『Dystopia Of The Moon』(HELLO FROM THE GUTTER HFTG-115)3”CD


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TERROR CROSS『From Hell/フロム・ヘル』

From Hell


今月14日と21日に東京と大阪で来日公演を行なうフィンランドのメタル・パンク・トリオのCD。
2021年の11曲入りのファースト・アルバム『From Hell』に、
初期の曲等を2022年に再録音した『Skull Metal Armageddon - 10 Years Of Burning Tormentor Steel』を
プラスした形の約73分20曲入りである。
リリースしたレーベルは、
GALLHAMMERのファースト・アルバムのオリジナル盤も出したHELLO FROM THE GUTTERだ。


『From Hell』の本編は、
初期SLAYERと初期VENOMをハードコア・パンクで割って
ギター・ソロも渋いヘヴィ・メタルのスパイスの効いたアレンジを施したようなアルバムだ。
ノイジーであっても
いかにものローファイな軽い音に陥ることなくヘヴィな音作り。
速いパートが大半とはいえ勢いまかせではなく曲はヴァラエティに富み、
程良くドラマチックかつフック十分でキャッチーとも言えるし、
ディテールに凝っていて一つのアルバムとして流れができていて聴きごたえ十分だ。
小気味いい音だから、
誤解を恐れずに言えばポップなニュアンスも感じられる。

デス・ヴォイスというよりG.I.S.M.を思い起こすダミ声ヴォーカルが吐く歌詞は英語で、
期待どおりの世界が描かれているが、
ある種のメッセージ性も高いのであった。


『Skull Metal Armageddon - 10 Years Of Burning Tormentor Steel』の方は
もう少し曲のテクスチャーがシンプルでDISCHARGE~HELLHAMMERにも近く、
もっとノイズ・ハードコア・パンク寄りのサウンド。
でも録音時期が『From Hell』本編と比較的近いから違和感なく聴けるし、
こちらも全体の流れが行き届いた構成で仕上げられている。

ラスト・ナンバーは、
ピーター・スティールがTYPE O NEGATIVEの前に率いていたCARNIVOREの「Sex And Violence」のカヴァー。
EXPLOITEDの「Sex & Violence」は一種のパーティ・ソングだが、
CARNIVOREの「Sex And Violence」はCARNIVOREらしくかなり物騒な歌詞で
多少なりともセクシズムに抵触する。
“サディスティック・ラヴ”という観点で元祖メタル・パンク・ソングの一つとも言える歌詞だけに、
TERROR CROSSにハマっているのであった。


オススメ。


★TERROR CROSS『From Hell/フロム・ヘル』(HELLO FROM THE GUTTER HFTG-113)CD
『From Hell本編の歌詞やメンバー写真などで彩った8ページのブックレット封入。
曲の邦題と帯付き。
実際のジャケットは↑の画像よりイラスト等がシャープに描かれた作りです。


JURASSIC JADE『Nyx filia』

BTH81.jpg


メタルを超えた東京拠点の“リアル・エクストリーム・バンド”が、
『id -イド-』から2年4ヶ月ぶりにリリースする最新作。
正確には“Nýx filia”と表記する言葉で“ニュクス・フィリア”と読めるタイトルの、
約42分10曲入りのフル・アルバムである。

“アンケート形式のインタヴュー”を行なったうえで、
ライナーを担当させてもらいました。
というわけで例によってここでは内容があまりダブらないように書くが、
ライナーで使わなかった“インタヴュー発言のアウトテイク”も引用しながら紹介する。


前作リリース前のインタヴューの際にNOB(g)は、
「一つ心に決めていたことは、
これが我々(少なくともHIZUMIとNOBにとって)の最後のアルバムだろうということです」
と言っていた。
でも、それは当時のNOBの“勇み足”と“フライング”の“独り言”であったことをまず記しておく。
それぐらい『id -イド-』は精魂尽くしたアルバムだったわけだが、
『Nyx filia』はさらに精と魂が込められている。

「メンバーチェンジを経ずにフルアルバムを2作連続でリリースしたのは
(ベスト盤等を除くと)今回が初めてではないかと思います」というWATANABE(b)の言葉どおりに、
バンドの活動が加速している。
リリースのインターヴァルの短さに驚くほかない。
メンバーの半数が自分より年上で守りに入らずに進化と深化を絶やさず、
コンスタントに創作とライヴを続けていることに僕もインスパイアされるばかりだ。
むろん今回も濃厚極まりない。

ライナーを読む人はCDで曲を聴けるからライナーではあまり音楽ついては書かなかったが、
JURASSIC JADE以外の何ものでもない“デリケイト”なサウンドに磨きを掛けている。
SLAYER meets KORN with KING CRIMSON”と言ったら安直だが、
そこに日本のDOOMのグルーヴが入り込んだみたいでもある。
昔NOBに「えっ…!?」と思うほど伝説的な70年代のプログレのライヴを観に行った話を聞いたし、
HIZUMIがNOBを「昔からいわゆる“プログレ”大好きな人だったよネ」と言っているのも
納得の楽曲だ。
もちろんスラッシーなパートも含むが、
ツー・ビートに拘束されない異形のリズムで畳みかけながら“ドライヴ”していく。
激烈パートでは身震いし、
覚醒するほどしめやかなパートの“戦慄感”には身が凍る。

メンバーみなさん人間味あふれて基本的には特別禁欲的な生活をしているわけではないと思われるし、
清廉とは言わないが、
修行僧をイメージするほどやはりストイックな音だ。
贅肉を削ぎ落し殺ぎ落し、
骨と魂だけが激しく静かに息をしているような研ぎ澄まされたサウンド。
全パートのバランスも鬼気迫る。

ヘッドフォンで聴くとアンビエントな音も含めて細かいところが聞こえてくるし、
スピーカーから聴くと中低音の迫力に驚かされる。
ベースがうねるうねるうねる。
特にスピーカーで聴くと弾力感がたまらない。
スネア、キック、シンバルも、ドラムの音は必要最小限だ。
ギターは特に身を切り命を削っておのれの奥底から音を紡ぎ出している。
耳を傾けるたびに発見がある。
聴く人の心情によってその時々で聞こえ方が違う、まさに生きている音楽だ。


ライナーでは、一筋縄ではいかない綴り方だから歌詞等に関して字数を割かせてもらった。
「できるだけ聴き手に委ねたいです。多様性、重層性、時空を超えて想像して頂けたら幸いなんです♡」
というHIZUMIの発言を踏まえたうえで、
歌詞に出てくるキーワードを基に、
インタヴューの質問に対する彼女の回答を引用しながら僕なりのヒントを書かせてもらった。
とはいえ、自分自身の解釈をしていただきたい。

HIZUMIならぬ“泉”の表現にも思えた前作からさらに深く掘り下げられ、
音と共振して意識の流れを編んでいる。
もちろん“不都合な真実”を“出刃包丁で刺す”ような“超ポリティカル”な内容でもある。
これまでの歌詞からさらに一歩も二歩も三歩も踏み込んだ日本や中国からのモチーフ、
言うまでもなく現在進行形の世界情勢、
さらにHIZUMIのある種の“ライフワーク”のアダルトチルドレンのこと、
すべてがつながっている。
様々な状況下での子供の受難、今も昔も地域問わず、普遍的にリンクすることばかりだ。
ヒガミ屋なもんで僕が普段鼻白んでしまう“NO WAR”というフレーズも、
様々な“深手”の表現を続けてきたJURASSIC JADEと“その曲”だからこそ生で響いてくる。

オフィシャル・サイト
http://www2.odn.ne.jp/jurassic-jade/
の“WORKS”の部分をクリックしてそこの本作のジャケットをさらにクリックすると
歌詞とその英訳を見ることができるから、触れてみていただきたい
(ちなみに他のアルバム等の歌詞もそこでチェックできる)。

今回ますます胸元に迫り喉元を突かんとする言葉が綴られ、
まさにハードコアな表現だが、
音やヴォーカルと共振してエクストリームにエモーショナル…いやソウルフルな表現である。

フジタタカシ(DOOM)が今回も歌録りの際にアドバイスを行なっている。
「彼の存在が、自分たちが生み出した音楽に、自信や信頼感を与えてくれます。
彼がアドバイスしてくれることがは喜びと安心なのです。」とNOBが言うフジタは、
HAYA(ds)曰く「(HIZUMIの)安定剤」でもある。

HIZUMIの声があってこそさらに生きる言葉の連射。
NOBとHAYAとWATANABEの音や、
彼らと“仲間たち”の気合ほとばしるコーラスがあってこそ生きる言葉の放射。
ヴォーカルは言わずもがな、
楽器の音のひとつひとつにも意思や歌心が宿り得ることをあらためて知る。


媚びも驕りも甘えもない。

心からグレイト。


★JURASSIC JADE『Nyx filia』(B.T.H. BHT-081)CD
歌詞も載った12ページのブックレット封入の約42分10曲入り。
3月22日(水)発売。


LOCK UP『The Dregs Of Hades』

LOCK UP『The Dregs Of Hades』


NAPALM DEATHのシェーン率いるデス・グラインド・バンドのLOCK UPが、
ケヴィン・シャープとトーマス・リンドバーグによる“ダブル・ヴォーカル体制”になってからの、
初のオリジナル・アルバムの5作目をリリースしている。

ライナーを書かせてもらったから、
あまり内容がダブらないようにポイントのみを簡潔に書いていく。


現在のメンバーはシェーン(b)の他に、
ケヴィン・シャープ(vo~元BRUTAL TRUTH、現VENOMOUS CONCEPT)、
トーマス・リンドバーグ(vo~AT THE GATES他)、
アントン・レイセネッガー(g~CRIMINAL他)
アダム・ジャーヴィス(ds~PIG DESTROYERMISERY INDEX)。

前作『Demonization』(2017年)に参加したメンバーはシェーンとアントンとケヴィンで、
オリジナル・ドラマーのニック・バーカーが脱退してアダムが加入し、
二代目ヴォーカルのトーマスが再加入している。
呼び方はツイン・ヴォーカルでもダブル・ヴォーカルでもデュアル・ヴォーカルでもいいが、
こういうエクストリーム・ヴォーカルの掛け合いは、
今までのロック史の中でもあまりなかった。

曲の方はオープニング・ナンバーとラスト・ナンバーで新境地を見せつつ、
緩急織り交ぜながらデス・メタルがかったグラインドコアに磨きをかけている。
歌詞もコロナ云々に留まらず世界中のニヒリスティックな混沌をイメージせずにはいられない。

日本盤のボーナス・トラックではREPULSIONの「Radiation Sickness」のカヴァーが聴ける。
まさにLOCK UPのルーツ、グレイトだ。


★ロック・アップ『ザ・ドレッグス・オブ・ハデス』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10135)CD
本編の曲の歌詞等が載った12ページのブックレット封入で、
日本盤は本編の歌詞の和訳も載ったインサートを封入し、
ボーナス・トラック3曲追加の計46分17曲入り。


CARCASS『Torn Arteries』

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一か月ほど前にリリースされた8年ぶりの7作目のオリジナル・アルバム。
最近の超へヴィ・ローテーションだ。

CARCASSが今もなおクールにロックしていることに、
渾身のアルバムを再び出してくれたことに
またしても最高傑作を更新したことに感動すら覚える。

メンバーは、
ジェフ・ウォーカー(vo、b)、
ビル・スティアー(g、vo)、
ダン・ウィルディング(ds、vo)。
クレジットから察するに初期みたいなトリプル・ヴォーカル体制になっている。

トム・ドレイパー(g)もクレジットされているが、
正式なメンバーは現在3人のようだ。
SPIRITUAL BEGGARSのペル・ヴィバリもピアノとオルガンでひそかに参加している。


セルフ・プロデュースで
LEPROUSとの仕事で知られるデイヴィド・カスティロがエンジニア。
ソリッドなサウンドながら中低音がよく出ていて、
さりげなくグルーヴィだ。
誤解を恐れずに言えばMETALLICAの『Metallica』を思わすところも。
曲によってはビルがフロントマンを務めていたFIREBIRDを思い出すブルース・テイストも香る。
ダンの演奏も加入まもなく録った復活後の前作『Surgical Steel』よりCARCASSに深くハマっており、
ダークなビートなのに小気味いいリズムのドラムもかなり光る。
とにかく足腰のしっかりした歯切れのいいサウンドだ。

曲は、
サードの『Necroticism – Descanting The Insalubrious』(1991年)、
4作目の『Heartwork』(1993年)、
6作目の『Surgical Steel』(2013年)
をブレンドしながらヘヴィにアップデートしたかのようである。
スラッシーなパートとブラスト・ビートを適度に織り交ぜ、
ダイナミックかつドラマチックに展開。
激しく緻密に練り上げられた楽曲クオリティがホント高い。
メランコリックな華麗なるギター・ソロにも磨きをかけ、
聴かせどころだらけのアレンジにも舌を巻くのみだ。
10分近くに及ぶ曲も長さをまったく感じさせない。

本気だ。
サウンドに甘えがない。
じっくりと耳を傾ければわかる。
濃密、そして濃厚なのである。

苦み走った声で歌われる歌詞は、
デビュー作の『Reek Of Putrefaction』(1988年)と
セカンドの『Symphonies Of Sickness』 (1989)も含めて、
これまでのCARCASSを総括しているみたいな味わい。
一時封印していた臓器ネタが今回もちりばめられ、
世界視野での政治的/社会的なニュアンスも生々しく滲む。
例によってシニカル&ニヒリスティックに人間をえぐり出しているように映る内容だ。

ブックレットの作りもさすがの出来である。
載っている歌詞は読みやすいレイアウトだが、
言葉がパズルのような構成になっていて簡単に“解読”できない。
CARCASSならではの“面倒臭いユーモア”も健在なのだ。
めくっていくと、
ジャケットにもデザイインされている新鮮な“ヴェジタブル心臓”が徐々に弱っていき、
しまいには堵殺済みと思しき豚コラージュの心臓と化すまでの過程が見て取れる流れ。
これまた実にCARCASSらしいではないか。

だがもちろん自分を棚に上げて文句言ってるようなヤツじゃない。
何よりサウンドそのものがビシッ!と突き抜けている。

メタル、デス・メタル、エクストリーム・メタル以前に、
ロックとして素晴らしい。
聴いていると力になる。

ウルトラ・グレイト。


★カーカス『トーン・アーテリーズ』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10130)CD
24ページのブックレット封入の三面デジパック仕様。
日本盤は、
CRASSのジーがジャケットを手掛けた5作目の『Swansong』(1996年)を俗っぽくしたような
意味深タイトルの「NWOBHEAD」を追加の約52分11曲入りで、
歌詞の和訳とジャケット・デザインのステッカーも封入。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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