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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Katayama Hiroaki & HAPPY HOUR『Last Order Live at CLOP CLOP』

HAPPY HOUR


片山広明(sax)、石渡明廣(g)、早川岳晴(b)、湊雅史(ds)によるバンドのセカンド。
東京・西荻窪で行なったライヴを約51分6曲収めている。
全員UNDERGROUND FUNK UNIVERSEのメンバーでもあり、
マスタリングもそのメンバーの藤掛正隆が行なっている。

楽曲の良さを引き立てて即興とは一味違うストロング・スタイルで勝負。
グルーヴィなジャズにパワフルなプログレ風味を効かせたようなサウンドで、
片山のサックス・ソロだけでなく各パートの聴かせどころを設けたアレンジが施されている。
なかなかデリケイトなレコーディング仕上がりで各パートの響きが繊細に伝わってきて、
豪放白熱のプレイでは終わらない地に足の着いたパフォーマンスだ。

片山と石渡それぞれが作曲したオリジナル曲の他に、
ローランド・カークの「Lady’s Blues」、
エディット・ピアフの「Hymne a L’Amour」(邦題:「愛の讃歌」)、
レナード・コーエンの「Hallelujar」、
美空ひばりの「りんご追分」
といった有名曲のカヴァーも披露。
カヴァー曲は原曲の旨みを活かしつつ、
インプロヴィゼイションっぽい演奏を絡めながら独自のアレンジの妙味で曲をふくらませている。

“スモーキーなバーボン”みたいな味のアルバムとでも言おうか。
メンバーはみな酒飲みらしいが、
ジャケットに並ぶボトル群の銘柄からイメージできるように
大衆酒場というよりは小粋なバーの佇まいの一枚。


★片山広明&ハッピーアワー『ラストオーダー』(地底 B80F)CD
薄手の二つ折りペーパー・スリーヴ仕様。


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UNDERGROUND FUNK UNIVERSE『Underground Funk Universe』

UNDERGROUND FUNK UNIVERSE


林栄一、片山広明、藤掛正隆、辰巳小五郎、後藤篤、加藤崇之、早川岳晴、石渡明廣、湊雅史、
桑原延享による、
“ジャズ・ファンク・ロック・バンド”のデビュー・アルバム。

メンバーの担当パートは以下のとおりだ。
林栄一(アルト・サックス)
片山広明(テナー・サックス)
辰巳小五郎(トランペット)
後藤篤(トロンボーン)
加藤崇之(ギター、ジャケット画)
石渡明廣(ギター)
早川岳晴(ベース)
湊雅史(ドラムス)
藤掛正隆(ドラムス、ミックス)
桑原延享(エレクトリック・トランペット、ヴォイス)

東京・吉祥寺の老舗スタジオのGOK SOUNDでのレコーディングだから録音は近藤祥昭だが、
ミックスは本作リリース元のレーベル主宰者でもある藤掛。
“FULLDESIGN Recordsオールスターズ”とも呼びたくなるメンバーを仕切り、
“曲者”“強者”の音の“交通整理”をしながらビシッ!とまとめ上げている。


10人のミュージシャンが演奏していようが一過性のユニットでもプロジェクトでもない。
数年前からライヴもやっているバンドだ。
全8曲のうち、後藤が3曲、早川が2曲、早川と藤掛によるThe EDGEが2曲書き、
フックのある曲で一続きの流れになっている。
メンバー一人一人が長年あちこちでやってきている音楽の期待を裏切らない作品で、
逆に言えば10人各々の個性が漏れなくブレンドされている作品ということだ。

バンド名はOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDに対抗したわけじゃないだろうが、
もちろんこちらは開放されていてスケールでっかい自由形。
おしゃれなんか知ったこっちゃない豪放音楽である。
ドラムが聴こえてこない曲や逆に“ドラム・デュオ”がしばらく続く曲も含むが、
その2曲はインプロヴィゼイションのようだ。
ほとんどの曲はメンバー全員が演奏していると思われ、
ラッパ5本、ドラム2台、ギター2本、ベース1本の
せめぎ合いとハーモニーがクールに熱い。

静かなパートありで金管楽器が入る点も含めて70年代のKING CRIMSONともニアミスし、
いわゆる“エレクトリック・マイルス”時代のマイルス・デイヴィスとも接触している。
ロック畑のメンバーが少ないバンドがロックをやっているようなサウンドでもある。
ロックをあまり知らないミュージシャンが集まって演奏したら、
いつのまにかジャズやファンクが入り混じった混血ロックになった様相なのだ。

唯一はっきりと声が聞こえてくるラスト・ナンバーのエンディングで、
桑原がアンダーグラウンド・ファンク・ユニバースの“マニフェスト”を“宣誓”する。
そう、これはまだ始まりの一枚なのである。


★アンダーグラウンド・ファンク・ユニバース『アンダーグラウンド・ファンク・ユニバース』(FULLDESIGN FDR-1038)CD
二つ折りのペーパー・スリーヴ仕様。


藤田亮(Ryo Fujita)『UNDRUMCE)』(どらむすとぅは?)

藤田亮


大阪市出身の“ドラム音楽家”藤田亮のソロ・デモ音源・第4弾。
今年3月にスタジオで録音した17分14秒1トラック入りで、
例によってシンプルなドラム・セットと1種類のスティックのバチのみだ。


いわゆるロックのドラム・ソロを思わせるパートも中盤にあるし、
ある意味雑種の音楽という点でも“念”の面でもロックを感じる。
でもたとえジャズや民俗音楽を含む無数のジャンルに“ニアミス”したとしても、
何からも解き放たれている。

今回も数秒で藤田亮のドラムとわかる“行間”と響きで転がる。
あくまでのおのれ自身の律動だ。
インプロヴィゼイションのようで作曲された曲にも聞こえ、
ひそかに加速しつづけているドラムが物語を語っていく。

おおかた静かな佇まいだからこそ、
ここぞという時にキックもスネアもミゾオチに響く。
シンバルは研ぎ澄まされている。
品行方正かどうかはわからないが、
おくゆかしく品性がある。

潔癖でストイックな音入れと音出しに息を呑む。
集中力も含めてハードコア・パンクで培った人間ならでは。
そして、
やっぱりドラムを慈しみ、
愛でている。
ひとつひとつに気持ちが入った打音だ。

本物だからこそ策を弄さぬストロング・スタイルである。
アカデミックものや小難しい現代音楽系とも一線を画し、
不思議と人なつこい。
ところによっては祭祀的でシャーマニックにも聞こえるが、
シャーマンがお祭りで叩いているみたいなエナジーが舞い上がり、
覚醒される。

風通しのいい空間の中で音が広がるレコーディングの仕上がりも特筆したい。
ドラム・セットの形が見えくてるほど立体感十分で、
ひとつひとつのデリケイトな響きが命を宿した生き物として伝わってくる。

思い切り小さな音を出して思いきり大きな音を出すところでも共通する灰野敬二じゃないが、
“一瞬一瞬にケリ”をつけるドラム。
クール。


PS
CD-R作品ながら今回も厚手のしっかりたしジャケットが薄手のプラケースに封入されている。
ジャケット表の元ネタは80年のオムニバスLP『終末処理場』で、
右上では自民党本部の看板をいじり、
下は90年に兵庫県の高塚高等学校で起きた校門圧死事件の門とのこと。
裏面はHANATARASHIっぽい。
アートワークの中にも描かれている作品タイトルの“どらむすとぅは?”は、
80年前後にライヴ・スペースでもあった京都のロック喫茶“どらっぐすとぅあ”へのオマージュか。


★藤田亮『UNDRUMCE』(どらむすとぅは?)[レーベル、番号なし]CD-R
ライヴ会場や
https://www.facebook.com/rfujita3
での本人からの直接購入分には限定で被せ帯付き。


Fukuoka Rinji/Michel Henritzi『Desert Moon』

Desert Moon


OVERHANG PARTY魔術の庭を率いてきて本作リリース元のレーベルの主宰者でもある
東京拠点の音楽家・福岡林嗣(ヴォーカル、エレクトリック・フィドル、エフェクツ他)と、
フランス在住で同じくレーベル主宰者でもある
ミッシェル・アンリッツィ(ラップ・スティール・ギター、エフェクツ他)の、
“ユニット”の新作。


OVERHANG PARTYや魔術の庭における演奏ではエレクトリック・ギターが中心の福岡だが、
バンドを離れた時には様々な楽器を手にしており、
本作ではエレクトリック・フィドルがメインだ。
P.S.F. Recordsから2011年に二人の最初のコラボレーションCD『Outside Darkness』が出た頃、
ミッシェルのギターに惚れ込んだ友川カズキが激賞の言葉を綴ったこともあるが、
それも納得のラップ・スティール・ギターをミッシェルが奏でる。

インプロヴィゼイションにも聞こえるが、
“composed by FR & MH”となっているとおりの曲のテクスチャーだ。
二人は骨まで溶け合い、
心に焼けつくメロディがうっすらと漏れてくる。

VELVET UNDERGROUNDの『The Velvet Underground and Nico』の、
「Venus In Furs」「All Tomorrow's Parties」「The Black Angel's Death Song」のドローンを、
アップデートして研ぎ澄ましたようなサウンドにも聞こえる。
13分近くの「Song For Nico」という曲は、
そのファーストで歌っていたニコに捧げた曲のようだ。
そのニコがソロ活動で演奏していたハーモニウムの冷厳な響きと共振している。

インスト・パートが中心だが、
ジョン・ケイルを思い出すヴォーカルの“詠唱”と反復音のめくるめく調べの曲もたのもしい。
「暗い日曜日」という邦題で知られて日本でもたくさんの人が歌い演奏してきた、
1930年代に書かれたシャンソン・ナンバー「Sombre Dimanche」もカヴァー。
その曲ではフランス在住スペイン人のDana Valserのポエトリー・リーディングと
非常階段のJUNKOの“スクリーミング・リーディング”も、
確かなる磁場を生み出している。

高濃度のサイケデリックな空気感に覆われ、
静謐な、しかしアグレッシヴな歌心に包まれ、
深く覚醒される。

強力。


★Fukuoka Rinji/Michel Henritzi『Desert Moon』(Pataphysique DD-016)CD
カードボード状のペーパースリーヴ仕様の約48分6曲入り。


BANTEAY AMPIL BAND『Cambodian Liberation Songs』

BANTEAY AMPIL BAND『Cambodian Liberation Songs』


カンボジアのバンドが1983年にLPとカセットでリリースしたアルバム。
昨年2月ごろにリイシューされたCDである。


カンボジアは70年代後半にポル・ポトの超恐怖政治で支配されていて、
アメリカとの戦争“勝利”後に進出したベトナムに“解放”されるも、
今度はベトナムに“支配”された感じになる。
BANTEAY AMPIL BANDは、
大まかにいうとそのベトナム傀儡政権を打倒する政治組織が作ったバンドだ。

ポル・ポト政権(クメール・ルージュ)時代は知識人や文化人が特にターゲットで粛清され、
映画人だけでなくミュージシャンもことごとく殺された。
そんな中でまさに生き残りの一人の音楽家が若い人とバンドを組んで制作したアルバムである。
そのリーダーはヴァイオリンとキーボードをプレイし、
他にギターとベースとドラムの計5人が演奏。
男女5人が曲によってデュエットや合唱をしながら歌っている。

基本的には組織のプロパガンダのための音楽だったようだが、
そういう趣旨の音楽特有のたいへんわかりやすい曲の連続だ。
ちょい勇ましいトーンが滲む曲があるにしても、
切なくも穏やかなムードに包まれている。
彼の地の民謡をイメージするメロディを含みつつ、
日本の昭和の歌謡曲を思い起こし、
ところによっては演歌っぽい。
時に軽快で、
バンド編成のハイカラなアレンジがまた心憎い。

歌詞はわからないが、
クレジットされている以下の強烈な曲名だけでも歌の内容が想像できる。
「My Last Words」「Please Take Care Of My Mother」「Tuol Tneung (The Hillock Of The Vine)」
「Don't Forget Khmer Blood」「Sereika Armed Forces」「Follow The Front」
「I'm Waiting For You」「Please Avenge My Blood, Darling」「Destroy The Communist Viet!」
「Look At The Sky」「Vietnamese Sparrows」「The Vietnamese Have Invaded Our Country」

こういう曲調と歌唱でこのタイトルか!っていうギャップが、
逆に恐ろしくもインパクトがある。
“侵略者/支配者”というだけでなくヴェトナムが共産主義という点でも反発もあったことがうかがえる。
歌声がおおらかだけに怖い。
もちろんパンクでよくある芝居がかったわざとらしい歌い方なんて一つもない。
ゆとりありまくりのムードの曲のようで、
そんな“余裕”なんかこれっぽっちもない感情の震えの歌の連続なのである。

もちろんポル・ポト時代とは比べられないにしろ
ここのところまた統制が厳しくなっている今のカンボジアも根っこが変わらず、
このアルバム・タイトルと音楽がリアルに響いてしまうのが悲しい。


★BANTEAY AMPIL BAND『Cambodian Liberation Songs』(AKUPHONE AKUCD1004)CD
約52分12曲入り。
60~70年代を中心にカンボジアの政治/文化状況が英語とフランス語で綴られた長文ライナーと
メンバーと思しき写真が載った、
36ページのブックレット封入のデジパック仕様。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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