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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

C.C.C.C.『Phantasmagoria』

『Phantasmagoria』


70年代の末から女優として多数の作品で主役を務めていた日野繭子を中心に、
1990〜1998年に活動していた日本のノイズ・ユニットであるC.C.C.C.の約47分1曲入り。
1992年の6月27日に新宿シアターPOOで行なったライヴを収め、
自主レーベルから同年にカセットで出した作品のCD化である。
BASTARD NOISEにも参加していた米国のジョン・ウィーゼのHELICOPTERと
TRONIKSの共同リリースによるリイシューだ。

C.C.C.C.のメンバーは、
近年TRANSPARENTZでも活動していたマユコ・ヒノ(エレクトロニクス、ヴォイス)、
現在はASTROなどで活動しているヒロシ・ハセガワ(シンセサイザー、ヴォイス)、
当時は非常階段の準メンバーやINCAPACITANTSのメンバーとしても活動していて
今も後者のメンバーのフミオ・コサカイ(エレクトロニクス、ヴォイス)、
そのコサカイと宇宙エンジンをやってきているリュウイチ・ナガクボ(ベース)である。

今回のCDはハセガワが今年6月にリマスタリングした音を使用。
C.C.C.C.をかなり久々に聴いたということを抜きにしても、
かなり鮮烈な響きのフレッシュなノイズで驚いた。
すがすがしくもなるほど初々しくてピュアなのだ。

いわゆるハーシュ・ノイズ・スタイルの轟音だが、
雑音を突き抜けた優美とも言えるほどの光を放っている。
中央に凝縮されて途切れることなくジェット水流のような勢いで直線的に放射されるノイズは
スペーシーでありコズミックでもあり、
クールに熱を帯びていく銀河の激流のようだ。
どこからともなく声も漏れ聞こえてくる。

いい意味でニュー・ウェイヴ/ポスト・パンクの冷めたニュアンスも感じられる。
と同時に研ぎ澄まされているノイズだから
体の中が洗われる感覚に“襲われ”、
浄化と言っても過言ではない。

CDタイトルもピッタリだ。
CURVED AIRやDAMNEDもアルバム・タイトルにした言葉で、
まさに“走馬灯のように移り変わる幻影”
“熱に浮かされた時のように脈絡のない奇妙な一連の心象”だが、
そのすべてが加速している。

本作も含めてC.C.C.C.がアートワークで多用した灰色・・・いやシルヴァーのイメージであり、
昔も今も他にない唯一無比のノイズとあらためて思わされるCDだ。


★C.C.C.C.『Phantasmagoria』(HELICOPTER/TRONIKS HEL 81001/TRO-308)CD
約47分1曲入りのデジパック仕様。
実際のジャケットの色合いは↑の画像より黒が濃いめです。


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INCAPACITANTS/K2『we are all stupid』

INCAPACITANTS/K2『We Are All Stupid』


日本のベテラン・ノイズ・ユニット2組のガチンコ対決盤。
もともと1998年にギリシャのレーベルからCD-R作品としてリリースされたアルバムだが、
これは新アートワークのデジパック仕様で数か月前にCDリイシューされたものだ。
INCAPACITANTSK2も単独プレイでの15分強の曲を提供し、
最後に1997年の東京・三軒茶屋ヘヴンズドアでの合体ライヴが34分強収録されている。


英国のWHITEHOUSEをはじめ性的なテーマを打ち出すノイズ・ユニットは少なくない。
ノイズのそういう“伝統”を意識したのかどうかは定かではないが、
普段あまり“そういう匂い”を感じさせない2組が
本作ではいつになくエロいイメージを喚起させる曲名で勝負している。

デュオのINCAPACITANTSが披露した曲は深読み可能な「Milk & Milk」。
スペーシーな表情もたたえながら鉛色の重厚ノイズがゆっくりと放射され、
やがて音響彫刻みたいな彫りの深いノイズが加速していく。
もちろんノイズの中で溺れながら張り上げる恍惚悶絶ヴォイスもバッチリだ。

ソロ・プロジェクトのK2はモロなタイトルとも解釈可能な「Soap For Wet Vagina」をカマす。
滑らかそうな曲名とは裏腹に硬質ノイズで痛そうなイメージを醸し出し、
しばいているみたいなサディスティック・プレイだ。
加速しつつ断続的にノイズが繰り出されてダブっぽい解体のズタズタ感も聴きどころである。

ライヴは、
INCAPACITANTSの剛腕ノイズにK2の変化球が絡んでINCAPACITANTSが迎え撃つ様相。
・・・という単純なパフォーマンスではないが、
空中戦みたいな戦闘状態から和解・融合していくような流れが見えてきて、
普段はお堅い仕事をしている男性3人ならではの阿鼻叫喚のノイズ宴にも聞こえる。


謙虚なアルバム・タイトルも最高だ。
世界中のみんながこういう意識なら世界中に平和が訪れるかもと確信した。


★INCAPACITANTS/K2『we are all stupid』(NEW FORCES NF092)CD
BASTARD NOISEのメンバーでもあったジョン・ウィーゼがアートワーク担当のデジパック仕様。
計約65分3曲入り。
https://kinkymusik.thebase.in/


K2『Polygon You Dream』

k2 カセット


現在は静岡県拠点のノイズ・ミュージック・ユニットのK2
米国のレーベルからリリースした64分カセットの4曲入り。
昨年の11~12月にレコーディングとミックスを行なった作品で、
もちろんパッケージ全体がしっかりした作りである。

“内容はモデュラーをふんだんに使った電子音楽のハードコア、
即ちElectro-core❗”とのことだ。

昔のAMラジオや短波放送の混信みたいな音声で幕を開け、
音も曲もアルバム全体も緻密に作り上げつつ、
構築的というよりもダイナミックな聴きごたえのノイズ“ミュージック”である。
「Panic For Micro-Plastic」というタイトルはマイクロ・プラスチック問題をイメージし、
内向きになっていられず世界中で起こっている事象に向き合うことを
あらためて思わされる、
全体的にモダンな音の感触はSF映画風だが、
重厚そして耳にやさしい音が
クール&スリリングな佇まいで上昇と下降を繰り返す。

音のひきつり方や響きの形が見えてくるアナログの“触感”と“食感”もポイント高く、
とりわけ中低音にゾクゾクするカセットだ。


★K2『Polygon You Dream』(Gristle Audio mind-067)Cassette
僕の手持ちのものは、
カセット本体が薄手の黒い紙に包まれ、
布らしきものに紙片を張り付けた小さなブツもプラケース内に収納されていた。
https://kinkymusik.thebase.in/


K2/Astro/V.O.E.R.『Subconscious Error』

K2/Astro/


日本のK2
90年代はC.C.C.C.で活動していたハセガワを含むユニットのAstro、
スウェーデンのV.O.E.R.が2曲ずつ提供した60分弱6曲入りのノイズ系CD。
シンガポールのレーベルからのリリースだ。

まずK2は昨年の8~10月に録音された芯の太いハードコア電子音楽である。
1曲目の「Fear Of Hagibis」は、
曲名に編み込んだ令和元年東日本台風の恐怖が電子音から伝わってくる。
こういうサウンドを聴きなれない方からすればノイズになるのかもしれないが、
構成が行き届いていてノイズ・ミュージックと呼ぶのが似つかわしい。
2曲目の「HAARP」は曲名になった米国の高周波活性オーロラ調査プログラムがイメージでき、
これまた空恐ろしい音像。
近未来的のようで現在進行形のリアル“ホラー”ミュージックだ。

続くAstroは昨年5月にミックスとマスタリングを行なった音源。
「Daylight Delirium」は、
ストロング・スタイルと言いたくなる轟音ノイズ放射が滝や川の上流のような激しさで押し寄せ、
まさに“白昼夢のせん妄(精神錯乱)”の空漠荒涼絵図だ。
「Unlimited Agglomerations」も曲名どおりにまさに“集塊”。
クレジットされているエレクトリック・ヴァイオリンの音は僕には聞き取れなかったが、
苦悶の声が混ざっているような重低音がうろつき走る蹂躙ノイズである。

そしてV.O.E.R.は昨年と今年クリエイトした音源。
“The Garden Of Eden”と“A Garden Of Flesh”という曲で、
かつてマーク・スチュワート(The POP GROUP)も引用した英国ロマン派アーティストの
ウィリアム・ブレイクの“リリック”が使われている。
ジリジリしたノイズと語りに近い“歌”がブレンドして生々しく、
静かなパートも不気味なほど効果的で深刻なグレイト・チューンだ。

CD全体の流れも上手くできあがっているオススメ盤。

★K2/Astro/V.O.E.R.『Subconscious Error』(4iB 4iB CD/0220/048)CD
“BIRTH”“LIFE”“DEATH”“HOME”と書かれた
8ページの風景写真集風のブックレット封入。
デジパック仕様。
https://kinkymusik.thebase.in/


BIRGIT×MAKIGAMI KOICHI『a world apart』([ホッピー神山&藤掛正隆]×巻上公一)

BIRGIT×MAKIGAMI KOICHI


ホッピー神山と藤掛正隆によるBIRGIT(ビギアッテ)が巻上公一と組み、
横浜のストーミーマンデーで行なったライヴ音源を編集したCD。

三人とは思えないサウンドだ。
神山はミニ・ムーグ、マイクロ・コルグ、グラムポット、ヴォイス、
藤掛はドラムス、エレクトロニクス、
巻上はヴォイス、テレミン、コルネット、尺八、ホムス(khomus~口琴の一種)を操り、
5~6人編成のバンドみたいなパフォーマンスになっている。

ミニ・ムーグとドラムを核にしてどんどんどんどん曲をふくらませているようなプレイで、
ドイツのクラウト・ロック全般が日本でフリークアウトしたみたいでもある。
ジャジー、ファンキー、コズミック、フリーな躁状態で疾走しながら、
コミカルな和製ホラー映画とサスペンス映画がまぐわった情景も描き出す。

特に目立つのが巻上。
行方知らずの“怪ヴォイス”は言わずもがな(神山とのデュエットと思しきパートも聴きどころ)、
演奏でも“怪演”を繰り広げて奇才ぶりを発揮し、
神山と藤掛を鼓舞しているステージの様子が目に浮かぶ。
ヴォイスと同じく“口”を使ったコルネット、尺八、口琴の演奏は言わずもがな、
テレミンでもエレクトリック・ギターのインプロヴィゼイションのように“歌って”いる。

根がポップでダイナミックな痛快盤だ。


★BIRGIT×MAKIGAMI KOICHI『a world apart』(FULL DESIGN FDR-2041)CD
薄手のプラケース仕様の役62分5曲入り。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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