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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

川島誠『枯葉』

川島誠 枯葉


埼玉県を拠点とする1981年生まれの音楽家・川島誠(makoto kawashima)の新作。
Permianで行なったアルト・サックス独演のCD-R作品だが、
奥行きと広がり十分の録音で聴きごたえあり!の濃厚な9分強の1トラック入りだ。

静かに立ち現れるサックスから、
まさに枯葉の調べが解き放たれてくる。
インプロヴィゼイションとのことだが、
イヴ・モンタンで知られる同タイトルのシャンソン・ナンバーを思い出す。

後半、感極まったかのように、むせぶ。
おのれと向き合って奥底から紡ぎ出し、
のびやかで彫りが深く骨太のサックスはソウル、
いや霊魂の震え。
繰り返し耳を傾けて、
心に深く沁みるメロディの純情な“歌”に何度も聞き惚れる。

これから発売になる阿部薫の本に寄稿しているという川島だが、
やはり阿部からの影響は多少なりとも感じられる。
だがデリケイトだからこそ響きがさりげなく男臭い。
そしてSEX PISTOLSも大好きな人だけに、
物悲しい曲だろうが“しでかしてやる!”ってな思いが熱く静かにメラメラと燃えている。

これぞハードコアな表現。
ただひたすらグレイト。

川島誠 枯葉ジャケ

★川島誠『枯葉』(Homosacer HMSD-006)CD-R
読み取り面が真っ黒で表の面がレコード盤のように溝が彫られているCD-R盤使用で、
実際に販売される作品は一番上の画像とは違って手書きでタイトル等が書かれている。
レコードのインナースリーヴを思わせる体裁の↑の画像の厚手の黒紙ジャケット仕様。
https://kanpanelra.wixsite.com/homosacerrecords


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ソルジャーガレージ『レインカーネーション』

SORDIER GARAGE


PSF Recordsからも2012年にCD『赤い星」をリリースした、
ソルジャーガレージ(SOLDIER GARAGE)の『レインカーネーション(Reincarnation)』。
計10分弱の2曲入りのCD-R作品ながら聴き応え十二分の佳作だ。

ソルジャーガレージは清水沙(Migiwa Shimizu)によるソロ・ユニット/プロジェクトである。
清水は“イラストレイター”としても知られ、
青林工藝舎のアックス第122号(2018年)には漫画も掲載され、
最近も週間新潮や小説野性時代で毎号挿絵を描いている。

今回の作品もエレクトリック・ギター弾き語りに聴こえる。
やはりCD『慈しみ』(1992年)などのエレキ弾き語りの時の灰野敬二も頭をよぎるが、
音と一緒にエゴも研ぎ澄まされているかのような響きだ。

たゆたう静謐の佇まいで、
ゆっくりと、ゆっくりと、心象を紡いでゆくようなサウンドである。
もちろんノイズではなく誤解を恐れずに言えば歌ものであり、
おぼろげではなくメロディもしっかりしている。

たおやかな表情をたたえた“和”の情趣が滲む。
はかなげなようで持続する意思が強靭なギターに貫かれている。
誰かさんをなぞることなく自分自身の律動や間合で歌うヴォーカルも相まって、
放射状となったサウンドが無限の彼方に広がっていく。

歌詞は聞き取れないが、
「また来ん春(Wish For Coming Spring Again」と
「レインカーネーション(Reincarnation)」という、
今の世に響く曲名にもすべてが表れている。
浮ついた歌を超えている。
だから今、なおさら、世界中のどこでも心に響く。

光が見えてきて、
しだいに光が射し込んでくる。

まさにリアル・サイケデリックな一枚。


★ソルジャーガレージ『レインカーネーション』(SGR-9)CD-R
CD-R盤が紙に包まれたパッケージ。
http://www.shimizumigiwa.com/


THE NOISE BIRDS『The Dark Sea Hides A Bright Light』

NOISE BIRDS 1


東京のサイケデリック・ロック・バンドである水晶の舟の紅ぴらこ(g)と影男(g)が、
CHARNEL MUSICを主宰して日本のアーティストの音源も90年代初頭から多数出してきた
メイソン・ジョーンズ(g)や、
メイソンとNUMINOUS EYEをやっているマイク・シャウン(ds)と作ったアルバム。
メイソンらの拠点のサンフランシスコで一昨年5月にレコーディングを行ない、
ロンドンのレーベルからリリースされている。

A面1曲目が「When the Light Showers Down it Gives us a Sign (10:03)」、
A面2曲目が「Beyond the Ocean, Flying In the Sky (11:00)」、
B.面が「A Dance Loved by a Lost Friend (20:55)」
という構成。
インプロヴィゼイションとのことだが、
あらかじめ作られていた曲のようにフック十分の演奏である。
長尺のインスト3曲入りながらまったく長さを感じさせず、
曲名どおりのイメージが広がる至福の作品だ。

僕が聴いた限りここ数年の間にプレスされたレコードは音がデッドな状態のものが多いが、
こんなにダイナミック・レンジの広いLPは久々だ。
レコードならではの音像のナチュラルな奥行と広がりや、
ひとつひとつの音の彫りの深さと質感の柔らかさに惚れ惚れする。

うっすらしたきらめきのオープニングから光が射し込むが、
木漏れ日と呼ぶには強い響きでゆっくりと4人が命を紡いでいくかのようであり、
1曲目は胎動にも聞こえる。
2曲目もゆったりと進みつつゆっくりと加速し、
たゆたいながら熾烈なギターが重なり合いつつ漏れるメロディがやさしい表情をたたえ、
さりげなくグルーヴも醸し出されている。
レコードのB面のすべてを使ったラスト・ナンバーは、
たおやかな“歌”を3本のエレクトリック・ギターとドラムが編んでいき、
心に残るメロディがおくゆかしく滲み出し、
ベース・ギターを使ってなくても程良い音圧のサウンドのヴォリューム感にも持っていかれる。

聴いているうちに濃厚なリアル・サイケデリック感覚に覆われていくレコードだが、
黒のアートワークとは裏腹に昼間も似合うアルバムだ。
大スイセン。


★THE NOISE BIRDS『The Dark Sea Hides A Bright Light』(RIOT SEASON REPOSELP089)LP
実際のジャケットの色は↑の画像より暗めです。
https://www.facebook.com/suishounofune/


3 points inverted(立花秀輝×加藤一平×藤掛正隆)『3 points inverted』

3 points inverted(立花秀輝×加藤一平×藤掛正隆)『3 points inverted』


渋さ知らズのメンバーでもある、
立花秀輝(アルト・サックス)、
加藤一平(エレクトリックギター)、
藤掛正隆(ドラムス、エレクトロニクス)
によるライヴCD。
昨年5月に東京・中野のAjaで行なったインプロヴィゼイションの演奏を
61分弱収めた9トラック入りである。

お互いの手の内を探っているようなオープニングから緊張感が転がり、
奇矯な音も繰り出しながら滑走。
緩急織り交ぜて静と動を司り、
ユーモアを交えて渡り合っていく。

サックスが艶やかに望郷の旋律を奏でるところなどジャズが香るパートも目立つが、
加速するにしても
ありきたりのフリー・ジャズの道は逸脱している。
全体的に音数少なめで、
ギターかエレクトロニクスが出していると思しき幻想的な音浮遊の音も淡く光る。
マーク・スチュワートのダブみたいな反復を聴かせる部分あり、
ファンキーな曲あり、
新種のサンバみたいに躍るところもありだ。

起伏のある構成で、
風通しが良く立体感のある全体の作りもナイスである。
ジャケットからイメージできる繁華街から離れた夜の都会みたいな作品。


★3 points inverted(立花秀輝×加藤一平×藤掛正隆)『3 points inverted』(FULLDESIGN FDR-2039)CD
薄手のプラケース仕様。


V.A.『Silent Running』

hftg_-050_012020.jpg


2001年から活動を続ける日本のインディ・レーベルの
HELLO FROM THE GUTTERがリリースした50作目記念の約72分のオムニバスCD。
すべて2019年の最新音源を収録とのことで、
久々に聴いたバンドは以前の曲とけっこう印象が違ったりするのも面白い。

CDタイトルはHELLO FROM THE GUTTER主催の企画ライヴ名でもある。
19組+α収録のアーティストたちは以下のとおりだ。

CHILDISH TONES feat 宇佐蔵べに、and more、YOUNG PARISIAN/、CxPxS、
TRANSPARENTZ(山本精一+日野繭子+HIKO+isshee)、AVA、SAKA-SAMA、Azarak、LEARNERS、
Americo、boris、MASONNA、STUPID BABIES GO MAD、イライザ・ロイヤル&ザ・総括リンチ、
TEXACO LEATHERMAN、VIVIAN BOYS、サーファーズSUN、Mortify、REDSHEER

HELLO FROM THE GUTTERからこれまで音源を発表してない者も含み、
“謎の音源”も入っている。

日本のTACOの歌謡アイドル・ポップス・ナンバーみたいな曲あり、
ノイジーなハードコア・パンクあり、
グラム・ロック風あり、
けだるい日本語パンクあり、
新種のノイズ・グラインドあり、
へんてこローファイ・グラインドあり、
ストーナー・ロックンロールあり、
ホップ・ガレージ・ロックありだ。
HELLO FROM THE GUTTERらしく
音楽スタイル様々ながらニッチな存在感のアーティストが多い。

サーファーズSUNのクレジットにはサーファーズオブロマンチカのメンバーの名前が記されている。
7曲目はSAKA-SAMAの「ライト・ナウ!!」がクレジットされているが、
borisに聞こえるのは僕だけではないだろう。
borisの「終曲 -Shadow of Skull-」がクレジットされている11曲目と入れ違っているみたいだが、
“SAKA-SAMA”というフレーズに引っ掛けて故意に“逆さま”にしたようだ。

やっぱSTUPID BABIES GO MADはカッコいいなー。
余計なこと考えずに変わらず深化&激化しているところが素ン晴らしい。
あと強力なのはやっぱりトリのREDSHEER。
こういう音のバランスで次のアルバムをレコーディングすることを期待したい。


★V.A.『Silent Running』(HELLO FROM THE GUTTER HFTG-050)CD
シークレット・トラック入りの三つ折りデジパック仕様。
アーティストごとに簡潔な録音データや参加者等のクレジット付。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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