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なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

裏窓『Featuring Session 2012‐2019』

裏窓『Featuring Session 2012‐2019』


30年以上東京のアンダーグラウンド拠点に活動しているバンド、
裏窓の“別プロジェクト”的な作品(GAROのカヴァー含む)。
2004年頃から裏窓と並行して開始している変名義ユニット“裏窓FeaturingSession”で
2012年からのライヴにほぼレギュラー的に参加しているメンバーによる即興コラボレーションを、
アルバムにまとめた5トラック入りのCDである。

これがなかなか興味深い出来だ。
久保田祐司(g、vo~裏窓)、
IronFist辰嶋(ds~DIE YOU BASTARD!他)、
忘八門土(g、moize~AURAL FIT)、
南部輝久(ds~AURAL FIT)、
村上ジョージ(b、A-guitar)という、
参加ミュージシャンのメンツからしてタタでは済まない。
“本家”裏窓のリーダーの久保田以外は曲によって多少入れ替わり、
IronFist辰嶋はオープニング・ナンバーのみで演奏している。


その1トラック目の「イントロダクション~嵐の通夜」は、
雷鳴豪雨の音に続いてIronFist辰嶋のビートが“リード・ドラム”の如く走り続け、
16分強にわたって3人だけの音が加速していく曲。
ドラムはツー・ビート中心ながらいつのまにかリズムが転換してブラスト・ビートにもなるが、
むろんトランシーなビートのループとは別次元の肉体ビートで貫き、
ギターはジャズ速弾きフレーズからジミ・ヘンドリックス、高柳昌行、灰野敬二成田宗弘
パンクな“混声”の如き音に。
弛緩無き気合持続強力ナンバーだ。

続く2曲は4人での演奏。
まず2曲目の「交差線」も12分半の長尺で、
スローなヘヴィ・ロック調で始まり渋いギター・ソロも飛び出しながら、
全体がゆっくり滑らかに疾走していくインプロヴィゼイションである。
3曲目の「甘痺な戯れ」も10分近い曲で、
これまたスロー・テンポのリフでスタートするが、
やっぱりドゥームとかストーナーとかスラッジとかのスタイルを想定してない自由形。
ジャズを応用したような手数多いドラムのスピード感とドライヴ感で、
揺らめくギターの音も光る。

以上3曲は僕にはヴォーカルが聴こえてこなかったが、
ボーナス・ナンバーの位置づけの以降2曲はトリオ編成による歌入りのプレイ。
70年代の日本のフォーク・ロック・グーループであるGAROのカヴァー2曲で、
他界した元メンバーの堀内護と日高富明に追悼の意を込めて捧げている。

まず4曲目は1972年のシングルに入っていたGAROの代表曲「学生街の喫茶店」。
これまた11分弱にわたる長尺プレイで展開しているのだが、
ブルージーなヘヴィ・ロック・サウンド基本に
70年前後のハード・ロックっぽいインタープレイも込みのアレンジの中から、
ちょいサイケデリックな味わいが滲む。
普段の裏窓からは想像できないほど繊細なヴォーカルが胸を打ち、
まっすぐな歌い方だからストレートに思いが伝わってくる。

そしてCDラストの5曲目「地球はメリーゴーランド」は1972年のシングルのA面曲。
6分弱にふくらませたちょいサイケデリックなフォーク・ロック調で、
これまた歌心が湧き上がるストレートな歌唱がイイのであった。


スタジオ・レコーディングで、
適度に粗く適度に塊状で分離もいいダイナミックな音の仕上がりもバッチリ。
AURAL FITも出したPSF Recordsからリリースされたとしても違和感のない一枚だ。


★裏窓『Featuring Session 2012‐2019』(URAMADO 1989 URAMADO 1979-008)CD
実際のジャケットは↑の画像よりもややカラフルな色合いです。
https://ameblo.jp/1989uramado/


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早川岳晴『四色の蛇(Snakes Of Four Colors)』

早川岳晴


仲井戸麗市のバンドやEDGEなど、
最近も実に多彩な活動を展開しているベース弾き音楽家の独演盤。
楽器はエレクトリック・ベース/コントラバスのみの一発録りの9曲入りだ。


他のミュージシャンとだと全体のバランスを思いやりつつ我を醸し出すプレイの印象の人だが、
このCDは“我”が全開である。
アルバム・タイトルどおりにカラフルな音色の官能的な響きで、
メロディを奏でながら弾むベースが落ち着いたトーンで静かに躍動している。
と同時にいい意味でおくゆかしくて慈しみにあふれる演奏だ。

早川が書いた4編のオリジナル曲は全てインストだが、
70年前後のブルースがかった自由形のハード・ロック/プログレを思わせ、
繊細かつダイナミックな“ヘヴィ・ロック”ナンバーである。
ベースのみでuniverse(≒宇宙)を創造し、
ブラックホールみたいな空間を生み出している。

5曲のカヴァーもすべてお見事だ。
わり最近出た共演盤『蛸のテレパシー』にも収録の翠川敬基作曲の「あの日」では、
デリケイトな“歌心”がこぼれ落ちる。
デューク・エリントンの「Caravan」ではベースが踊る。
渋い喉を震わせるベース弾き語りも2曲披露し、
ミシシッピ・フレッド・マクダウェルの「You Gotta Move」は
ヤフー翻訳を活用した日本語の歌詞でも歌っているヘヴィ・ブルースで、
レナード・コーエンの「Hallelujha」は夢野カブによる日本語の歌詞を大胆に歌い抜く。
そしてHAPPY HOURなどで活動を共にしていた故・片山広明の「March」を
曲名どおりに力強く前向きに演奏して本作を締める。


親しみやすくディープな早川のミュージシャンシップたんまりのオススメ盤だ。


★早川岳晴『四色の蛇』(地底 B84F)CD
二つ折りの薄手のペーパー・スリーヴ仕様の約47分9曲入り。


湊雅史×藤掛正隆(MINATO×FUJIKAKE)『Awkward Waltz』

藤掛 湊FCDR2036j


ドラム・デュオという珍しい作品である。

80年代後半にDEAD ENDで叩いて現在は多彩な活動を展開している湊雅史と、
元ZENI GEVA~#9で現在はEDGEや渋さ知らズなどで多彩に活動している藤掛正隆が、
昨年8月に横浜ストーミーマンデーで行なったライヴの音源を編集。
湊はチンリング、
藤掛はエレクトロニクスもあやつっている。

ジャズっぽいドラムもちょろっと聞こえてくるが、
どちらも根が豪快だからジャズになることはなく、
静けさを司りながらプリミティヴに加速していく。

曲によってはスペーシーな味わいも滲み出ていてメロディも漏れ聞こえてくる。
“二人クラウト・ロック”と呼びたくなる趣も醸し出され、
クラウト・ロックがかった祭り太鼓っぽいリズムのドラムでゆっくりゴロゴロ転がってもいく。
地域不詳の民俗音楽みたいな曲もあるし、
それぞれ別々のリズムで始めながらいつのまにかドラムがハーモニーも織り成す。
もちろん反復中心ながらいわゆるトランス・ビートとは一線を画す肉体的なリズムばかりで、
緩急織り交ぜてグルーヴィなドラムがずっとドライヴしていくのであった。

ドラムが踊り、
ドラムが躍る。
“ドラム交感”でしか生まれ得ない大胆かつ繊細なダイナミズムがとても新鮮だ。

ドラムのセッティングが見えてきそうなほど立体的な音の仕上がりも特筆すべきで、
とにかく“鳴り”のイイ一枚。


★湊雅史×藤掛正隆(MINATO×FUJIKAKE)『Awkward Waltz』(FULLDESIGN FCDR-2036)CD-R
約41分7曲入り。
CD-Rながら盤面もデザインされた工場“プレス”の“プロコピー”の作りで、
薄手のプラケースもしっかり“シールド”されたパッケージである。
ライヴ会場と一部店舗/ネットショップのみの販売予定とのことだ。


The NEW BLOCKADERS & INCAPACITANTS『As Anti As Possible』

The NEW BLOCKADERS INCAPACITANTS『As Anti As Possible』


The NEW BLOCKADERSとINCAPACITANTSという
英日のノイズ・デュオによるコラボレーションCD。
INCAPACITANTSとしては
最新単独作『Ostracized Enigmatic Conqueror』よりわずか前の発売で、
シンガポールのレーベルからリリースした46分弱の2曲入りである

エレクトロニクスとヴォイス中心に仕上げていったと思しきサウンドだが、
ファイル交換で作り上げたとはいえ、
海を越えての“時間差”の交感で生まれたライヴ感のある出来だ。
今回も底無し沼のノイズ地獄がどっぷり味わえる。

むろんオギョーギのいい端正なインダストリアル・ノイズとは別種で、
ギミック無しの素行不良ハーシュ・ノイズの剛腕ストロング・スタイルだが、
INCAPACITANTSファンから見ればいつもより音数多めなのが新鮮である。
しばきメッタ刺しみたいなイントロダクションに続き、
おのれの中からまっすぐ搾り出される金属質のノイズ放射は焼けつくほど熾烈。
にもかかわらず“ハーモニー”が聞こえてくるのは僕だけだろうか。
2曲目はより爆轟音で膨張する直線的ノイズの波状攻撃だが、
フリー・ジャズのベース・ギターみたいな音がドライヴし、
高速ノンストップ・ノイズが研ぎ澄まされた濁流を成している。

ジャケット内側の左右に載った対照的な2組のライヴ写真も本作のテイストを象徴する。
Tシャツ姿(メンバーの一人のF.小堺はグラインドコア・バンドのASSUCKのTシャツ)で
自分らが発するノイズにより朦朧としながら恍惚とした表情でプレイし、
二人とも腕白小僧みたいなルックスがまぶしいINCAPACITANTS。
目出し棒にスーツ姿でテロリストの如く
クールに職務を遂行するようにプレイしてるいThe NEW BLOCKADERS。
そんな両者のキャラもブレンドされた一枚である。


★The NEW BLOCKADERS & INCAPACITANTS『As Anti As Possible』(4iB 4iB CD/0618/033)CD


坂田明×坪口昌恭×早川岳晴×藤掛正隆『坂田明×トリプルエッジ』

坂田明×トリプルエッジ


坂田(アルト・サックス、クラリネット、ヴォイス)、
坪口昌恭(ピアノ、シンセサイザー)、
早川岳晴(ベース)、
藤掛正隆(ドラムス)
が2017年の8月に東京・阿佐ヶ谷のイエロー・ヴィジョンで行なったプレイを収録。
約50分5曲入りのCDである。


インプロヴィゼイションらしいが、
その場でいわゆる曲として練り上げていったかのようで、
平均時間が約10分とやや長めながら個々のトラックも構成が行き届いた作りだ。

1曲目はサックスがメロディをリードしてミニマルなピアノが静かに追走する
軽妙で品のあるまさにジャズ!で始まるが、
ドカドカうるさいバンカラなドラムとよく動くベースがジャズに留めず、
フリーキーなジャズ・ヴォーカルで坂田が応戦するエキサイティングなナンバーだ。
ジャズに敬意を表しつつ気取ったジャズはアッカンベェ~みたいなノリが楽しい。

この4人が一緒にやってジャズに収まるわけがない。
ヘヴィなベースが導く2曲目のオープニングはドゥーム・ロックが迷宮入りしたみたいだが、
KING CRIMSONちっくな緊迫プレイに転換する中でサックスが甲高い音で滑走。
楽曲としてはエキセントリックなようでどのパートも歌心バッチリだ。

3曲目は、うなり声から始まる“坂田節”全開のアブナイ即興歌唱が核。
ゆとり”と一味違う柄の悪い原始プレイで新種のクラウト・ロックみたいになっている。
4曲目はドラムとベースがファンキー&ダイナミックで、
シンセサイザーがポップに飛んだかと思えばピアノが優雅に走り、
サックスが熱くて景気がイイ。
ラストは楽器をほっぼり出したような坂田が傍若無人に不気味な声を飛ばしつづける中、
他の3人がダイナミックかつデリケイトなジャズ演奏で迎え撃つみたいなパフォーマンスだ。


立体感十分のレコーディング仕上げも申し分なしの一枚。


★坂田明×坪口昌恭×早川岳晴×藤掛正隆『坂田明×トリプルエッジ』(FULLDESIGN FDR-1040)CD
薄手のプラケース仕様。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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