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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

EL ZINE VOL.0

EL ZINE


末期DOLLの編集者(+デザイナー+営業担当+∞)だった山路健二の責任編集のファンジン。
実質的な創刊号が遂にリリースされた。

ぼくは歴代15人前後のDOLLの編集者とやり取りしてきたが、
“ありえない仕事ぶりの人”もいたとはいえ、
一番最後にDOLLに入社した彼が一番“プロフェッショナル”に仕事をしていたのが事実である。
というか他誌も含めて、ぼくが知る編集者の中でもトップ・レベルの丁寧かつ熱心な仕事への取り組みだった。

ぼくが初めて会った時に彼はGLOOMのTシャツを着ていて、
彼がDOLLで手がけた最初の特集が“東京クラスト・シーン”の記事だったから、
てっきり“その筋の人”かと思っていた。
けどまもなくNO FUN AT ALLやKEMURIも大好きということを知る。
最近面白いことをやっている日本のハードコア・パンク・バンドは、
いわゆるメロコア(+いわゆるニューヨーク・ハードコア)から入って“進化”していった20代半ば~30代頭の人が多いが、
彼にも近いものを感じる。
パンク/ハードコア関連が多いとはいえ色々な国のバンドを幅広く聴き、
いい意味での柔軟な感覚をもっている。
でもEL ZINEの内容が示すように核はコテコテ。
実はかなりの辛口。
だからこそぼくは彼の音楽センスはけっこう信頼していて、
彼経由で知ったバンドもたくさんある。


EL ZINE VOL.0の中身は以下のとおりだ。

[インタヴュー]
●女性ヴォーカルを擁するポーランドのハードコア・パンク・バンドのUTOPIA(3p)
●10月に再来日公演を行なうオーストラリアのハードコア・パンク・バンドのPISSCHRIST(4p)
●東京クラスティーズのアベfrom LIFE(6p)
●GORILLA ANGREBやMASSHYSTERIもリリースしたFeral Wardレーベルの主宰者としてのヤニック[元URANUS~HIS HERO IS GONE、現TRAGEDY](2p)
●愛知の女性ヴォーカルのハードコア・パンク・バンドであるACUTE(4p)
●札幌のハードコア・バンドのREALIZED(8p)
●ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドのINFECTED(3p)

[書き原稿]
●近年のポーランドのディスク紹介[by山路健二](1p)
●探偵小説趣味[by山路健二](1p)
●デンマークのパンク・ロック・バンドのGORILLA ANGREBのその後[by 元GORILLA ANGREBのTommas](1p)
●YOKOHAMA BAD TWINS~雷電結成秘話[by RYDEEN/SYSTEMATIC DEATHのマサアキ“コバ”スウェーデン](4p~貴重なグラビアも含む)
●米国テキサスでのパンク/ハードコア・フェス“CHAOS IN TEJAS 2009”のレポート[by フェスの主催者TIMMY氏](6p)
●イスラエル その政治状況下における地下音楽について[by POOCHLATZのRani](2p)
●リアルライフ・イン・ブラジル[by N.E.K.のRAFA氏](2p)
●SLASHING SPEED DEMONS~ディスク・レヴュー[by 大越よしはる](2p)
●KISS THE DISC~ディスク・レヴュー[by 行川和彦](2p)


EL ZINEの大きさはDOLLと同じサイズ。
全60ページすべてモノクロなのだが、手に取った瞬間に、即、思い浮かんだものがある。
継続中の日本最古のインディでもある京都府舞鶴のパンク・レーベルのMCRカンパニーが、
昔よくリリースしていた7”EPの四つ折りジャケットだ。
そう思うのはぼくだけではないはずである。
表紙の紙質といい、手触りといい、インクと紙が混ざった匂いといい、つや消しの黒の色合いといい、
目次の部分の写真のつぶれ方といい、そのままだ。
“CROSS THE BORDER”というステイトメントでさりげなく主張しているファンジンだけに、
国籍も分け隔てなくリリースしてきているMCRの意識と何か通じ合うものがあるのだろう。
EL ZINEはCDではなくレコードの趣の作りとも言えるし、
前述したように大げさでなく五感で感じられるのだ。
インターネットでは体験できない侘び寂びの魅力が滲み出ている。
全ページがモノクロならではの味わい深さもあいまって、なにしろ重みがある。
その重みは作り手の意志に違いない。
だって隅々までのすべてが表現だから。
編集後記のところの写真も意味深だ。


ぼくが書いた“KISS THE DISC”はDOLLの連載の続きみたいな感じでもあるが、
EL ZINEの他のページとあまり違和感のないセレクションだからコテコテ。
けどすべて日本のレコード店で買ったものだ。
あとREALIZEDのインタヴューの質問作成と記事構成も手がけさせてもらった。
大好きになるバンドは言うことが違うなと再認識。
REALIZEDの最新音源は昨年リリースの↓である。
Split With Enslave(剛毅レーベル-002)
ENSLAVEとのスプリットLP(剛毅レーベル 002)[ジャケットはREALIZED側]


EL ZINEの販売店は以下のとおりだ。
ANSWER(愛知)、BASE(東京)、BOY(東京)、DISK UNION(関東に数店舗)、HARDCORE KITCHEN(兵庫)、
K-CLUB(高知)、MISERY(広島)、NAT(東京)、PUNK AND DESTROY(大阪)、TIMEBOMB(大阪)。

500円でも高くない。



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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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