なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

LIGHTNING BOLT『Earthly Delights』

ライトニング・ボルト


米国東海岸のロードアイランド州出身のドラム/ヴォーカル+ベースのデュオによる5枚目のアルバム。

この編成だと真っ先に思い浮かぶのは現在実質的に活動停止中のRUINSだ
(注:吉田達也[ds、vo]は一人でRUINS ALONEとして継続中)。
LIGHTNING BOLT は90年代の半ばの結成だから世代的にも“RUINSチルドレン”と言ってもいい。
ただし長い曲もやるとはいえLIGHTNING BOLTにはプログレっぽさがない。

ドラムとベースのデュオ編成はここ何年かの間のバンドだと、
以前のBIG BUSINESS(オリジナル・メンバーの二人は目下MELVINSと掛け持ち)がそうだったし、
ここ数年のFRICTIONもそうだ。

けどやかましいドラム+ベース・デュオとしてはLIGHTNING BOLTが世界一だろう。
だがむろんやかましいだけではない。


ぼくがLIGHTNING BOLTを知ったのは彼らも参加した98年のオムニバス盤『Fruited Other Surfaces』だ。
AMPS FOR CHRIST、BASTARD NOISE、DROPDEAD、MEN’S RECOVERY PROJECTも入っていて、
リリース元はBORN AGAINSTのヴォーカル主宰のVERMIFORM Records。
ポリティカルな異形のパンク/ハードコア/フリー・ミュージック・シーンから出てきた精神性は変わってない。

ディスク・ユニオン発刊の無料冊子『FOLLOW UP』の2009年11月号(Vol.29)に、
ブライアン・チッペンデール(ds、vo)のインタヴューが載っている。
店舗のある関東圏以外の方は入手しにくいのかもしれないが、
どーでもいい身内ネタがゼロの普遍的な話でまとめた秀逸な記事だから機会あれば是非。

そこで彼はMETALLICA、MEGADETH、ANTHRAX、SLAYERなどのメタルで育ったことを明かす。
というわけで彼らのバンドの名前とセカンド・アルバム『Ride The Skies』(2001年)のタイトルが、
METALLICAのセカンド・アルバム『Ride The Lightning』へのオマージュとも解釈できるのであった。
根が“高速ヘヴィ・ロック”ということが隠しようもない具が詰まったサウンドといい、
ダイナミックな楽曲といい、
うなずける話だ。

そして90年代初頭あたりにBOREDOMS、RUINS、MASONNA、MERZBOWなどにハマったという。
今やっていることと比べての優劣とかを抜きにして、
テクノに侵される前の当時そのあたりのアーティストたちは心底エキサイティングだったから、
そりゃ聴けばハマるはずだ。
欧米圏のバンドで超えられない一線とノイズを突き抜けた当時の日本の面々の破天荒なスピード感は、
LIGHTNING BOLTの中で発酵しながら光速化した。

聴きまくっている人たちのようだから他にも影響された音楽は山ほどあるだろうが
単純にスラッシュ・メタルと日本の奇天烈サウンドとの“ありえないミックス”ということを考えただけでも、
突然変異で加速したチャーミングな奇形のヘヴィ・ロックになることは納得できたりもする。
手数が多いドラム、
バーストしまくりながら旋律も奏でるベース、
アジテーションする電気くらげみたいに揺れるヴォーカルが凝縮された、
中低音の振動で伸縮するサウンドである。
策を弄せず虚勢もハッタリない。
しっかり芯がある肉体派だ。

底が見えるわざとらしいノイズでごまかすことなく、
四六時中楽器をいじって四六時中セッションして産み出されたようなモンスターの如き曲も健在だが、
『Earthly Delights』は緻密な作曲に磨きをかけたこともうかがえる。
色覚検査の“画”のようなデザインのCDの盤面をはじめとして淡くカラフルなアートワークも健在で、
メタル的なevilな感覚とは対極のポップ・センスに覆われており、
爆音の中には甘いメロディもまぶされている。
前述のインタヴューでSUBLIME FREQUENCIES Labelのリリースものもお気に入りと言っており、
そういう各国の“大衆民俗音楽”のテイストを爆音の中に溶かし込んでいるのも本作の特徴。
12分を越えるラスト・ナンバーも重量感と圧迫感で押し切るのであった。


LIGHTNING BOLTはステージ上に立たずフロアーでライヴをやることでも知られている。
2004年の日本公演では、
一つ前の出演バンドが終わると同時にフロアーで演奏を始めた。
フロアーの端とかにドラム・セットが置いてあると思うから、
来月の日本公演を間近で見たい方はそのそばで待機することをオススメする。
ただし鼓膜には注意。
音の破片にヤられるから。
3年前の日本ツアーが中止になっているからその反動でみんなの飢えが強まっていて、
前にも増してカオティックな状況になってマトモに観られない可能性も。
だが真ん前で歯を食いしばって体感した経験上、
体力と気力に自信がある方はメンバー二人が飛ばす汗を浴びながら観るをオススメする。


●ライトニング・ボルト『アースリー・ディライツ』(Pヴァイン PCD-4397)CD
今回も間違いなし!なのであった。


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プロフィール

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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