BLACK FORK『The First Fork Years』
2009-11-30

女性ヴォーカルを擁したサンフランシスコ近郊のベイエリアのパンク・バンドによるレア音源集。
活動したのは93~97年と短くて彼の地のシーンの中でも目立っていたわけではないが、
鮮烈で大好きだったからうれしいリリースである。
地元の“先輩”のCHRIST ON PARADEとGRIMPLEとBLATZを混ぜてスピードアップさせたかのようで、
フリーキーなギターをはじめとするKilled by Punkな音の“ハードコア・パンク・ロック”だ。
BIKINI KILLのエッセンスも感じられる。
特にヴォーカルはBIKINI KILLがレイジング・ハードコア化したみたいな脳天をつんざく声。
ただただひたすら凄まじい。
得体の知れないフラストレイションが爆発して破片が飛び散り続けている。
かわいくポップで時にグロテスクなアートワークもKILL ROCK STARS Records周辺のバンドが頭をよぎり、
精神性も近いものを感じる。
A面には95~96年にレコーディングした3枚の7”EPの15曲が入っている。
すべて超raw。
キャパシティ50人のスタジオ・ライヴみたいなのだ。
そのうちLOS CANADIANSとのスプリット7”EP『Tour Of The Curse』の曲は、
96年にビリー・ジョー・アームストロングが録音している。
GREEN DAYのアルバムだと『Insomniac』『Nimrod』の間でブレイク後の疲労困憊の時期。
地元の友達のバンドを録音することで原点を見つめ直しつつ精神状態をリセットしたかったのかもしれないが、
キョーレツな仕上がりになっているそのテイクがBLACK FORKの最後のレコーディングのようだ。
97年にLOOKOUT! Recordsから出した95年録音の『Rock For Loot』もビリー・ジョーが手がけていたが、
その唯一のアルバムがリリースされてからまもなく解散したらしい。
B面には未発表音源と思しき94年の3曲と、
デモとして制作したライヴ5曲(うち3曲は94年録音)を収録。
初期はツー・ビートをあまり使ってなかったことがわかる。
もっともBLACK FORKはスラッシュの音ではない。
やっていくうちに激しい気持ちに駆られて速くなったサウンドだ。
ハードコアというよりパンク・ロックの加速。
最後にライヴで入っているMOTORHEADの「Ace Of Spades」のカヴァーも妙に納得できるのであった。
進化もへったくれもない。
本物に古いも新しいもない。
これがパンク・ロックだ。
サイコーです。
●BLACK FORK『The First Fork Years』(MESS ME UP MMU001)LP
発売に伴って数回再結成ライヴをやったようである。
LOOKOUT Recordsからはもう買えないのかもしれないが、
ちょっと探せば『Rock For Loot』もまだ入手可能みたいだからチェックしていただきたい。
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