ROTTEN SOUND『Cursed』
2011-03-31

90年代前半からフィンランドを代表するグラインド・コア・バンドの
約3年ぶりでオリジナル・アルバムとして5枚目に数え上げられそうな作品。
様々な形態でたくさんの音源を発表しており単独作も多いが
NAPALM DEATHのカヴァー3曲を含む一種の企画盤『Napalm』に続く
RELAPSE Recordsからのリリースである。
2005年の『Exit』をプロデュースした故ミエツコ・タラーツィクがフロントに立って
北欧グラインドを共にリードした、
NASUMの“遺志”を受け継ぐかのような硬質サウンドだ。
ジャケットの色合からもイメージできよう。
デス・メタルとクラスティーなハードコア・パンクの間を行くグラインド・コアで、
ENTOMBEDなどのスウェーデンのデス・メタルの“デス&ロール”のテイストもたっぷり内包した
地を這う重低音のドライヴ感も高ポイント。
80年代初頭のいわゆるスカンジ・ハードコアの肌触りではないが、
メタルというよりはハードコア・パンク寄りの曲が、
スコット・ハル(AGORAPHOBIC NOSEBLEED、PIG DESTROYER)のマスタリングも手伝い、
RELAPSE Recordsならではのシャープな“メタル・パンク”音質に仕上げられている。
英語で綴った歌詞は、
“尊大”“虚栄心”“強制”“報復”“搾取”“恐怖”という6章にわたり、
生きるために否応なく政治と社会に左右されて世界的に支配/被支配から逃れられないヒトという種を描く。
敵が見えないからこそ普遍的な視座で綴られていてディープだし、
デス・ヴォイスというよりは荒れ果て腫れ果てたシャウトのヴォーカルも生々しく渾身だ。
元DYING FETUS/現MISERY INDEXのジェイソン・ネサートンや、
ENTOMBEDのL-G ペトロフらもゲスト・ヴォーカルで盛り立てる。
北欧グラインダーならではの凍てついて歪んだ響きに目が覚める一枚。
聴き応え十二分である。
★ロッテン・サウンド『カースド』(リラプス・ジャパン YSCY-1205)CD
バンドの世界観が表れたアートワークの16ページのブックレット付。
日本盤は歌詞の和訳とボーナス・トラック2曲もプラスされた約31分18曲入りだ。
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