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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ROTTEN SOUND『Cursed』

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90年代前半からフィンランドを代表するグラインド・コア・バンドの
約3年ぶりでオリジナル・アルバムとして5枚目に数え上げられそうな作品。
様々な形態でたくさんの音源を発表しており単独作も多いが
NAPALM DEATHのカヴァー3曲を含む一種の企画盤『Napalm』に続く
RELAPSE Recordsからのリリースである。

2005年の『Exit』をプロデュースした故ミエツコ・タラーツィクがフロントに立って
北欧グラインドを共にリードした、
NASUMの“遺志”を受け継ぐかのような硬質サウンドだ。
ジャケットの色合からもイメージできよう。

デス・メタルとクラスティーなハードコア・パンクの間を行くグラインド・コアで、
ENTOMBEDなどのスウェーデンのデス・メタルの“デス&ロール”のテイストもたっぷり内包した
地を這う重低音のドライヴ感も高ポイント。
80年代初頭のいわゆるスカンジ・ハードコアの肌触りではないが、
メタルというよりはハードコア・パンク寄りの曲が、
スコット・ハル(AGORAPHOBIC NOSEBLEED、PIG DESTROYER)のマスタリングも手伝い、
RELAPSE Recordsならではのシャープな“メタル・パンク”音質に仕上げられている。

英語で綴った歌詞は、
“尊大”“虚栄心”“強制”“報復”“搾取”“恐怖”という6章にわたり、
生きるために否応なく政治と社会に左右されて世界的に支配/被支配から逃れられないヒトという種を描く。
敵が見えないからこそ普遍的な視座で綴られていてディープだし、
デス・ヴォイスというよりは荒れ果て腫れ果てたシャウトのヴォーカルも生々しく渾身だ。
DYING FETUS/現MISERY INDEXのジェイソン・ネサートンや、
ENTOMBEDのL-G ペトロフらもゲスト・ヴォーカルで盛り立てる。

北欧グラインダーならではの凍てついて歪んだ響きに目が覚める一枚。
聴き応え十二分である。


★ロッテン・サウンド『カースド』(リラプス・ジャパン YSCY-1205)CD
バンドの世界観が表れたアートワークの16ページのブックレット付。
日本盤は歌詞の和訳とボーナス・トラック2曲もプラスされた約31分18曲入りだ。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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