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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

TRAP THEM『Darker Handcraft』

Trap-Them.jpg


変則的な音源発表をしているアメリカのパンク/ハードコア・バンドだが、
これはサード・フル・アルバムに数えられそうな作品。
今回も間違い無しのオススメ盤である。


カート・バルー(CONVERGE)が今までのアルバムと同様にプロデュースとエンジニアを務め、
スコット・ハル(AGORAPHOBICNOSEBLEED、PIG DESTROYER)のマスタリング。
押しが強くて中低音が目立つ仕上がりになっている。

同じくカート・バルーが手掛けた最近のDISFEARやBLACK BREATHに
ENTOMBEDの“デス&ロール”のエキスを注入して324が突っ込んだかの如き、
ヘヴィ・ハードコア・パンクである。
スラッシーなリフも絡めてブラスト・ビートも絡めるが、
いわゆるクロスオーヴァーものでもグラインド・コアでもない。
NAPALM DEATHのシェーンが最近のお気に入りバンドとして挙げているのも納得の練った曲で、
変則的なリフも噛ませつつ感電と発熱を繰り返しながら加速するウルトラ・パワフルなサウンドだ。
終盤はミディアム~スロー・チューンが2曲続くが、
哀しみを放射するスローなラスト・ナンバーでもダイナミズムが消失することはない。

ドラマーは、
TORCHEとの合同日本ツアー時のCOLISEUMのステージで叩いていたクリス・マッジオ。
あの超絶ドラムが蘇るのである。
キックとスネアのタイミングがカッコいいし、
手数が多くて曲のスピード感が止まらないのだ。

ニュースクール・ハードコアの強靭なスクリームにクラストのラフな感覚を加味したようなヴォーカルも、
喉を心配してしまうほど全力である。
すべて「Day 数字:~」と題された謎のタイトルが付けられた曲の歌詞は不明だが、
この声そのものがメッセージだ。
イージーなプロテスト・ソングなんかいらない。
欲しいのは絶対的な本気の声なのだ。


★TRAP THEM『Darker Handcraft』(PROSTHETIC 10091-2)CD
ケースとは別の画が描かれた表紙と“光無きところにカオスあり”と訳せる言葉が書かれた裏表紙以外、
中身がすべて真っ黒な12ページのブックレット封入。
スリップケース付の約31分12曲入り。
HOPE CONSPIRASYのケヴィン・ベイカーがゲスト・ヴォーカルで1曲参加している。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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