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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

KIDS IN GLASS HOUSES『In Gold Blood』

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イギリス南西部ウェールズ出身の5人組のロック・バンドによるサード・アルバム。

ハイプ臭いバンドもいまだ持ち上げられるメインストリームの英国ロック・シーンだが、
彼らはいわゆるUKロックの流れとは一線を画しているバンドだ。
このアルバムもメタルの音ではなくポップだが、
ROADRUNNER Recordsが世に送り込んだバンドならではの
理屈もトレンドも超えたロック魂がクールに燃えている。

キャッチーな曲を書いてストレートにプレイしているアーティストは意外と埋もれてしまう。
いわゆるインディ・シーンでポップな音楽をやる日本の知り合いのミュージシャンも苦労を口にする。
策を弄した“パフォーマンス”の方に目が引かれてしまうのは悲しい。
だがKIDS IN GLASS HOUSESは逃げてないからまっすぐだ。
まっすぐ中央突破を図る。

何しろ活きがいい。
蒼いヴォーカルもひっくるめて“初期FUGAZI meets U2”が加速したかのようである。
あと「Hey Jude」「Come Together」が元ネタみたいな曲も聞こえてくるからBEATLES、
ゴス色から脱却してヘヴィになった80年代のCUREをシャープにミックスしたような音だ。
さらに初期POLICEのような歯切れのいいスピード感にも貫かれている。
日本盤に、POLICEのファースト・アルバム『Outlandos d'Amour』(78年)の1曲目の
必殺ナンバー「Next To You」のカヴァーが追加されているのもウルトラ・グッド・ジョブ!である。

あまりにダイナミックで歯切れがよく、
ニューウェイヴもエモもヘッタクレもないパワフルなサウンドだ。
ほとんどがアップテンポで
ツイン・ギターとタイトなリズム隊のダイナミズムで疾走する。
メジャー感を感じさせつつメジャーに行き切らないバンドならではの
染まらない必死さが表れたサウンドに打たれる。
ポップだからNGなんてことは全くない。
耳を傾けるのは響きの刃先だから。

UKチャートのトップ30には食い込んだアルバムだが、
まだまだもっともっとイケる。


★キッズ・イン・グラス・ハウス『イン・コールド・ブラッド』(ワーナー・ミュージック・ジャパン WPCR-14153)CD
日本盤はボーナス・トラック1曲入りの約46分12曲入りで、
本編の歌詞の和訳付。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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