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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

CATHEDRAL『Anniversary』

cathedral_box.jpg


89年7月の初来日公演を終えた直後にNAPALM DEATHを抜けたリー・ドリアンが結成した、
英国のドゥーム・メタル・バンドCATHEDRALの結成20周年記念のライヴ盤。
昨年12月3日にロンドンで行なった2部構成のステージを別々に収めた2枚組CDで、
音質、演奏、ヴォーカル、すべて言うことなしである。


サブ・タイトル『Back To The Forest』のディスク1は約60分8曲入り。
91年のファースト・アルバムの“再現ライヴ”で、
むろんメンバーもその『Forest Of Equilibrium』と同じ“スペシャル編成”である。
●リー・ドリアン(vo)
●ギャリー・ジェニングス(g)
●アダム・レハン(g)
●マーク・グリフィス(b)
●マイク・スマイル(ds)

『Forest Of Equilibrium』が世に出る前に
トイズファクトリー盤のライナーを書くためいち早くアルバムの音をもらって聴き、
ロック史に刻まれる瞬間ならではの衝撃を受けてとにかく誰かに話したくなったことを思い出した。
このライヴも問答無用の悶絶ピュア&フリーキー・ドゥーム・パフォーマンス。
“ドゥーム・マスター”ここにあり!なのである。

93年8月の初来日公演のときも5人でステージに立ったが、
既にマークは脱退していてベーシストは、
マイケル・アモットの後に一時ギターを弾いたCARCASSでも来日したマイケル・ヒッキーだった。
セットリストも当時の最新作のセカンド『The Ethereal Mirror』の曲が中心だった記憶がある。
もろもろの“初体験”に興奮を禁じ得ない。
CATHEDRALにとって17年ぶりのツイン・ギターでのステージだし、
当時の音楽的なキー・パーソンの一人だったマークのベースが聴けるのもうれしい。
このライヴ一回だけのための再編だったらしいが、
燃える曲ばかりとはいえ恐るべきバンド・マジックとケミストリー。
正直このオリジナル・メンバーがベストだとあらためて思ったし、
この5人での活動が続いていたらCATHEDRALはまったく違った歴史を進んでいたことだろう。


サブ・タイトル『Freak Winter』のディスク2は、
セカンドの『The Ethereal Mirror』(93年)から最新作『The Guessing Game』(2010年)までの曲を披露。
さすがに8枚のアルバムからまんべんなく曲を…とはいかないが、
CD収録時間の限界に挑むべく79分45秒で12曲やっている。

ステージに上がったメンバーは以下のとおり。
●リー・ドリアン(vo)
●ギャリー・ジェニングス(g)
●レオ・スミー(b)
●ブライアン・ディクソン(ds)
元NO DICE~STRANGEWAYSのデイヴィド・ムーア(kbd)もツアー・メンバーとしてサポートしている。

奥野高久執筆のライナーによれば、
活動スタンスの違いを理由にレオはこのライヴからまもなくクビになった。
だから今年4月の日本ツアーも不在だったわけだが、
“この4人の終末”直前ならではのテンションが張っている。
と同時に来年リリース予定のアルバムで自ら幕を下ろすのもうなずけた。
爛熟のパフォーマンスだからである。
毎回ライヴで絶対的に盛り上がる「Midnight Mountain」「Ride」といった、
ドゥームとしては“外道”のパワフルな曲が多くて演奏自体は熱い。
だが熟し切って朽ち果てて地面に落ちて形が崩れるよりも、
自らの手で首を斬って止める潔さを決意した葬送前夜のライヴとも言え、
こちらも異様な空気に覆われているのであった。


やっぱりファン必携のアルバムである。


★カテドラル『アニヴァーサリー・ライヴ 結成20周年記念の宴』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10016-17)2CD
それぞれのCDが別々の二つ折り紙ジャケットに入っており、
その2つが
『Forest Of Equilibrium』からのシングル・カット的12"EP『Soul Sacrifice』(92年)のジャケットの
色違いデザイン のスリップ・ケースに収納されたパッケージ。
日本盤は歌詞と和訳と『Back To The Forest』の方のジャケットのステッカー付だ。

ps
11月1日11時に本文の一部を手直しさせてもらいました。
ぼくの記憶違いで初来日時は4人ではなく5人でステージに立っていたので、
お詫びして訂正します。
指摘していただいた方、ありがとうございます。
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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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