WITCH MOUNTAIN『Cauldron Of The Wild』
2012-07-27

女性ヴォーカルを擁して90年代後半から米国北西部オレゴン州ポートランドを拠点に活動する、
ドゥーム・メタル系バンドの約1年ぶりのサード。
前作『South Of Salem』に引き続き
“ストーナー・ロック・マスター”のビリー・アンダーソンがプロデューサー&エンジニアで、
万全の仕上がりである。
といってもsmokeまみれの音色とは違い、
いい意味で透明感もあり硬質で粗く生々しい響きだ。
ブルージーなギター・ソロも絡めて米国産ならではの土臭さもほんのりと香らせつつ、
樹木の光合成が見えてくるような光も放つ。
じっくりと編み上げていくプレイで12分近くの曲や9分半の曲もドラマチックに進め、
マジカルな空気感にうっすらと包まれていく。
SLEEPの後期にLED ZEPPELINのスロー・ナンバーが混ざったような音も聞こえてきて、
ほのかにサイケデリックなのだ。
ヴォーカルも本格派である。
メタルな押しの強い歌唱とは一世を画し、
タメの利いた楽器のリズムと共振したスピードで奇をてらわずナチュラルでまっすぐな喉を震わせ、
たおやかで線は細め、
だがダイナミック。
哀しみをたたえながら暗喩に富む言葉をクールに放つ歌声は、
静かなパートだとディープなアシッド・フォークのよう響き、
艶っぽい歌心がたまらない。
リリースしたアルバムは少ないが、
活動歴15年ならではの渋みの利いた佳作である。
★WITCH MOUNTAIN『Cauldron Of The Wild』(PROFOUND LORE PFL 098)CD
8ページのブックレットが封入されたデジパック仕様の約46分6曲入り。
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