BETWEEN THE BURIED AND ME『The Parallax Ⅱ: Future Sequence』
2012-11-30

米国南東部ノース・カロライナ州出身の“ハードコア・メタル・プログレッシヴ・ロック・バンド”の、
7作目のオリジナル・アルバム。
昨年の『The Parallax: Hypersleep Dialogues』の続編・・・いや、
彼らのアルバムにしては短かったからその作品は導入部と言える。
今回のアルバムで
何百光年も離れた場所に存在しながらも魂を共有する二人の男の物語の核心に入っていく。
ある意味2002年のデビュー・アルバム『Between The Buried And Me』の時点で完成されていて
プログレッシヴだったから
わざとらしく変化する必要はない。
前作はメイン・プロデューサーを変えたが、
初期からずっと一緒にアルバムを作ってきているジェイミー・キングと今回は共同プロデュースし、
ますます深化している。
もともとメタル・ハードコアのバンドだから激しい部分も目立つが、
プログレッシヴ・メタルと呼びたくなるパートありメタル・プログルと呼びたくなるパートありで、
その絶妙のミックスにより70分以上を一気に聴かせる。
やっぱりDREAM THEATERが一番近いと言えば近いとはいえ、
RUSHのポップ感やKING CRIMSONの三連リフのリズム、
70年代のYESやPINK FLOYDのドラマ性も秘めている。
ときおりシンガーが弾くキーボードも効果的で、
曲によってはゲストが
バス・クラリネット、フルート、サックス、チューバ、ヴァイオリンも演奏しているようだ。
そうやって民謡のような旋律をブレンドする一方で時にブラスト・ビートも突っ込み、
スラッシュ/デス・メタルやハードコアの強度によって従来のプログレが表現し切れなかった
ブルータルな情感表現も成されている。
シンフォニック系オンリーのプログレ・ファンの方はキツイかもしれないが、
つなぎのような曲として1分台の3曲も挟みながら終盤には15分に及ぶ曲もやり、
これまで以上に滑らかに展開する楽曲クオリティも含めてプログレ・ファンの方もオススメだ。
メロディアスなヴォーカルがさらに増えた。
“デス・グロウル”で要所要所を締めつつ、
ところによってRUSHのゲディ・リーやYES時代のジョン・アンダーソンも思い出す穏やかな喉を震わせ、
歌心が格段に増したところにも魅せられる。
聴くたびにまだ見たことのない映画を見ている気分になる。
かたちのない物語と新しい映像を音と言葉で編んで意識を広げるのも音楽のマジック。
佳作である。
★BETWEEN THE BURIED AND ME『The Parallax Ⅱ: Future Sequence』(METAL BLADE 3984-151482)CD
26ページのブックレット中綴じ仕様の二つ折り紙ジャケット仕様の約73分13曲入り。
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