AUDREY HORNE『Youngblood』
2013-03-31

アメリカのテレビ・ドラマ『ツイン・ピークス』に登場する女性の名をバンド名にした、
ノルウェーの“メタル系ロック・バンド”の4作目。
SAHGのトーマス・トフトハゲン(g)や
ENSLAVEDのアイス・デイル[アルヴ・イスダル](g)といった、
ブラック・メタルやドゥーム・メタルのバンドのメンバーを擁している。
でもやっているのはキャッチーなメタルというのがポイント。
たいていの人間は色々なことをやりたいわけで
何にしても一つの“族”みたいなのに縛られているとしまいにゃ窒息する。
歌っている人や演奏している人や音を作っている人だって、
心から解放されていれば興味が広がっていくのは自然ってもんだ。
ジャンル関係なくグッド・ソングはグッド・ソングに変わり無し。
ふいにラジオから流れてきてオッ!と思うような曲が並ぶアルバムである。
JUDAS PRIESTの「The Hellion」みたいに始まり、
IRON MAIDENのギター・ハーモニーの中で
UFOとKISSと70年代のMOTORHEADがブレンドしたみたいなサウンドは、
シンプルに“ハード・ロックって言えばいいじゃん!”という明快なパワーでいっぱいだ。
スラッシュ・メタルとかデス・メタルとかいうふうな細かいジャンル名が使えず、
王道ゆえに意外とたとえようがないスタイルなのだ。
ブルースの要素が薄めでパンチの効いた音の感触は
80年代のヘヴィ・メタル/ハード・ロックを思わせる。
英語で歌うトッシー(vo)のメロディアスなヴォーカルが前面に出た作りだから、
メジャー・テイストのアメリカン・ハード・ロックの欧州解釈にも聞こえる。
適宜ゲストがキーボードを入れて時折パーカッションの音も乱舞し、
シンプル曲でも単なるノリがいいバンドで終わらず何気にアレンジが凝っているのも心憎い。
ちょっとマニアックなメタルをやっている人間が童心に返ってカマしたような純なメタル。
一歩間違えば・・・いや何かタイミング合えばブレイクしそうなほどツボを突く一枚である。
★オードリー・ホーン『ヤングブラッド』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10032)CD
手書き書体の歌詞とイラストも載った16ページのブックレット封入。
日本盤は本編の歌詞の和訳が付き、
ボーナス・トラック3曲追加の約55分13曲入りだ。
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