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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

片山広明×石渡明廣×藤掛正隆『8 Seasons』

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2012年5月13日に東京・仙川のジェニーズ・キッチンで行なったライヴを8曲収めた約46分のCD。
片山広明(テナー・サックス)は渋さ知らズで活動してきた以外にソロ・アルバムも強力で、
石渡明廣(エレクトリック・ギター)は片山や渋谷毅のグループなどでも活動し、
藤掛正隆(ドラムス)はZENI-GEVAや#9を経て最近は渋さ知らズを含む多彩な活動を展開している。

かつての剛腕ぶりをキープしつつ飄々と図々しく胆力十分の
片山のサックスがメロディをリードするジャズ・アルバム・・・・と思いきや、
そうとも言い切れない。
片山の演奏はいわゆるフリー・ジャズとは一線を画す自由形のジャズと言えるかもしれないが、
季節が変わるように曲が進むにつれて表情が推移し、
石渡と藤掛の中から民俗音楽やらダブやらファンクやらのグルーヴが薄っすらと芽を出していくのだ。

石渡はジャズ・ギターっぽい演奏があまりなく音が浮遊し、
ベースのような音で転がりながらうねるパートが多い。
藤掛はジョン・ボーナムを敬愛してイギー・ポップの後ろで叩きたがっていることも納得ながら
繊細なタッチでドラムを震わせる。
片山は太いシャープかつ優雅な太い響きで応える。
日常生活だけでなく音楽も他人の“音の声”に耳を傾けながらの交感がいかに大切かも見えてくるし、
四季ならぬ“八季”を描いていく人間も見えてくる演奏だ。
豪放磊落でありながら軽妙洒脱で粋なパフォーマンス、
ジャズの細道をぶっとく進む名演である。

本作リリース・レーベルの主宰者でもある藤掛による録音と編集に加え、
中村宗一郎によるマスタリングで盤石の仕上がりの一枚。


★片山広明×石渡明廣×藤掛正隆『8 Seasons』(FULLDESIGN FDR-2017)CD
薄手のブラケース仕様。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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