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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Lou Reed『Hassled In April』

Lou Reed『Hassled In April』


まだまだ続くルー・リードのセミ・オフィシャル・リリース。
78年4月14日のシカゴでのライヴ8曲と
同年同月26日のクリ―ヴランドでのライヴ2曲から成る約74分のCDだ。
音のヴォリューム感は多少違うが、
ソロ8作目『Street Hassle』発売2か月後のステージということで一続きでも大きな違和感はない。
ラジオ放送用の録音だから音質良好。
メンバーは『Street Hassle』と次作『The Bells』(79年)の間のバンド・メンバーで、
『Live: Take No Prisoners』(78年)のメンバーとほぼ同じの
ソウルフルな二人の女性コーラス隊とルーを含めて8人編成のバンドでのライヴである。

収録曲の半数が『Street Hassle』の曲ってことで特濃のパフォーマンスだ。
代表曲のひとつである「Walk On The Wild Side」も『Transformer』のアレンジとはかなり違う。
VELVET UNDERGROUNDのアルバムで発表した曲が「Sweet Jane」「Rock & Roll」というのも、
地に足の着いたグルーヴが音を前に進めるこのライヴを象徴しているし、
その2曲も他のライヴ盤以上に『Loaded』とはかなり違う肉厚の音で攻めてくる。
「Satellite Of Love」「Coney Island Baby」はデリケイトな味わいをキープした演奏だが、
全体的にかなり野蛮な音がたまらない。

ふてぶてしく重厚。
ステージの環境は違うが、
しゃべくりすぎてルー初心者に敷居が高いとはいえ名作ライヴ盤『Live: Take No Prisoners』の
1か月前のライヴ。
というわけで同じような極めて熱度が高いトゥー・マッチなエナジーにむせかえる。
『Live: Take No Prisoners』ほどではないにしろブラック・ミュージックの反復を応用したプレイだけでなく、
ヘヴィ&メタリックなギターも目立っている。

この時期のレコーディングにしてはギターのウエイトもかなり高めで、
ルーとスチュアート・ヘンリックのツイン・ギターの絡みも楽しめる。
マイケル・フォンファラが音の面のリーダーだからキーボードは活躍しているしサックスは入っているし、
もちろん「I Wanna Be Black」という曲をやるのもハマっているソウルフルなサウンドの時期だが、
なかなかヘヴィ・メタリック。
エレクトリック・ギタリストに再度目覚めた80年代以降以上に弾きまくっている。
それこそエリック・ワグナーらがギターだったバンド時代に匹敵、
いやその頃のライヴの『Rock 'n' Roll Animal』『Lou Reed Live』以上にギンギンで、
ギラギラと金属音が輝き轟くハード・ロック音だ。
それこそ本作の、
いや『Street Hassle』のグラサン・イメージそのままのヤクザなメタリック・ギターに痺れる。
このあと数年ほどルーのギターが大人しくなることを思うと興味深いパフォーマンスだ。
そんでもってグルーヴィなもんだからかなりブッ飛んだサウンドなのである。
精力絶倫躁状態で熱くパラノイアなムードが漂っている。
ルーのヴォーカルもノリノリでたいへん元気だ。

セットリストは渋めだが、
名演だからルーのファンは必聴。


★Lou Reed『Hassled In April』(SMOKIN’ SMCD926)CD
スリップ・ケースとライナー付。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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