MUFFS『Whoop Dee Doo』
2014-07-27

女性シンガー/ギタリストが率いる米国LA出身の“パワー・ポップ・ロックンロール・トリオ”、
The MUFFSのオリジナル・アルバムとしては約10年ぶりの6作目。
メンバーは95年のセカンドから不変だ。
ファースト・ネームが同じだからというわけではなかろうが、
PIXIESはオリジナル・ベーシストのキム・ディールの脱退に伴って昨年後半に
キム・シャタック(vo、g、オルガン)をベース/ヴォーカル担当として加入させかけた。
けど結局“めでたく”御破談になり、
MUFFSの本格的な再始動になったわけである。
今回もキムが全曲書き、
彼女がプロデュースし、
ほとんどの曲のエンジニアも務めている。
1曲作るのに何年もかけるバンドではないと思うが、
まさに満を持したリリースと言える素ン晴らしい出来だ。
これぞエヴァーグリーン!なブレのないソングライティングにまず痺れる。
80年代後半のPANDORAS時代から考えればキムの方がキャリアも長いが、
メジャー・レーベルと契約していた90年代半ばはレーベル・メイトだったGREEN DAYのビリー・ジョーに、
勝るとも劣らない。
ロックンロールとガール・ポップとソウル・ミュージックとパワー・ポップとパンク・ロックのダシの効いた、
スウィート&ワイルド・サウンドが美味しすぎる。
“音の行間”にまで詰まった旨みがジューシーに滲み出てくるのだ。
適度にガレージーなキムのギターは言うまでもないが、
風通しがよくタイトな男性陣のベースとドラムのリズム・センスもイイ。
彼らのヘヴィな音のパンチ力が曲を後押ししている。
相手を支配するようなガチガチの音ではない強くしなやかな演奏だし、
コーラス・ワークもバッチリだ。
キムの実際の食生活は知らないが、
ギターと同じく歌声もリスナーに対して肉食の食らいつきようで、
と同時に太い喉にもかかわらず甘く艶っぽく、
はすっぱ味がたまらない。
例によって60年代のガレージ・パンク直系のスクリームもときおり飛び出す。
ちょっと調べたら、キム、僕と同い年だった。
半世紀以上生きている。
だからこそこの滋味なんだと納得もさせられたが、
アートワークのライヴ写真から察するにニーソックス姿でステージに立つファッションも健在のようで、
たのもしい限りである。
問答無用にグレイト。
★MUFFS『Whoop Dee Doo』(CHERRY RED CDBRED619)CD
約37分12曲入り。
スポンサーサイト