なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

AT THE GATES『At War With Reality』

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90年代初頭結成のスウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドによる新作。

4作目の名盤『Slaughter Of The Soul』(95年)がリリースされた際も
あまり話題になってなかった気がするが(特に日本では)、
96年に活動停止してからDARKEST HOURをはじめとするメタル・ハードコア系含めて影響力が露わになり、
2000代後半に復活してからの初作でもある通算5作目のフル・アルバムだ。
ほぼオリジナル・メンバーによるレコーディングで、
3作目の『Terminal Spirit Disease』(94年)以来不変の5人。
むろんThe HAUNTEDの2人も在籍である。
録音は『Terminal Spirit Disease』から一緒に仕事をしているフレドリック・ノルドストロームだ。

独特のリズム・パターンのビートとギターで即AT THE GATES!とわかるアルバムだ。
前作からの19年間にメンバー5人が様々なバンドで培ってきた要素も凝縮した、
手練とも言うべきAT THE GATESサウンドが楽しめる。
明らかにデス・メタル通過後の音ながら、
いわゆるデス・ヴォイスではないシャウト・スタイルも含めて、
どちらかと言えば実際はスラッシュ・メタルに近く、
“メロディック・ダーク・スラッシュ・メタル”とも呼びたくなる。
そういう突貫チューンが目立つ『Slaughter Of The Soul』の流れをくみつつ、
ジューシーな音にメランコリックな感情が染みわたったミディアム・テンポも目立ち、
アルペジオを使ったリリカルなパートも含んでアルバム全体がリアリスティックな映画みたいだ。

アルゼンチンの作家エルネスト・サバトの著作から引用した言葉のオープニングが
アルバムのテーマを象徴している。
トーマス・リンドバーグ(vo)がセカンド以降ヴォーカルを務めてきたバンドで
NAPALM DEATHのシェーン・エンバリーがベーシストを務めるLOCK UPのギタリスト、
アントン・ライゼネガー(チリのPENTAGRAMの元メンバー)がナレーションしているのだ。
VENOMの84年の3作目『At War With Satan』に引っかけたかのようなアルバム・タイトルだが、
“悪魔”ではなく“現実”を暗喩で描いている。
AT THE GATESは昔からクラスト系ハードコア・パンクからの影響を隠さないバンドだった。
かつてAT THE GATESでカヴァーしつつトーマスは現在の彼らを全面肯定はしてないが、
DISCHARGEの“出口ナシ”のダークネスな認識を読み取ることが可能な歌詞も興味深い一枚。


★アット・ザ・ゲイツ『アット・ウォー・ウィズ・リアリティ』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10065)CD
日本盤は
カナダのSACRIFICEの「Re-animation」のカヴァーを含む3曲追加の約57分16曲入りで、
その曲以外の全曲の歌詞の和訳付。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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