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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ハルヲ ウエダ+JOJO広重『五行幻想』

ハルヲ ウエダ+JOJO広重『五行幻想』


水を飲まない女でもUHの名で活動している電子音楽作家のハルヲ ウエダ(syn)と、
“キング・オブ・ノイズ”非常階段のリーダーのJOJO広重(g)によるコラボレーションCD。

二人は占い師の師弟関係のようで、
BIG PINE名義で2010年に出したウエダのソロ・アルバムに広重は協力もしている。
というわけでスピリチュアルな交感で綴り織られているアルバムだ。


ウエダのシンセサイザーと広重のエレクトリック・ギターが融合した作りだが、
スティールパンのような音も聞こえてくる。
極一部分でギラリと光る以外、
いわゆるノイズ・ギターはほとんど聞こえてこない。
広重のギターがどこで鳴っているのか意識して耳を傾けなければ気づかないほど、
やさしく寄り添ってエレクトロニクスの音ととけあっている。
まさにハーモニー、
いや調和と言うべき佇まいの音の連なりだ。

中国の五行思想をイメージした作品とのことで、
収録された曲のタイトルは“木”“日”“土”“金”“水”である。
すべて曜日を意味する言葉なのは偶然ではない。
ちなみにアルバム・タイトルの英題は“Five Elements”で、
曲の英題は“tree”“fire”“earth”“metal”“water”。
これまたすべてプリミティヴなロックに関連する言葉なのも偶然ではない。
さりげなくロックのヴァイブレイションを感じさせるのも必然と言える。

たおやかなエレクトロニクスとギターが心あたたまるメロディをはらむ音を生んで育み、
ミニマルな反復のオーガニックなコズミック・サウンドの流れはけっこうリズミカルでポップ。
70年代前半のジャーマン・エレクトロニック・ミュージックも思い出すが、
アンビエントというにはさりげなくアクが息をしている。
そしてなにより、
たそがれた郷愁の旋律は童謡みたいだ。

これほどおだやかですべてを包み込んで受け入れるサイケデリック音楽は聴いたことがない。


★ハルヲ ウエダ+JOJO広重『五行幻想』(アルケミー ARCD-243)CD
約42分5曲入り。
11月11日(水)発売。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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