COMES『No Side』
2016-01-28

初期東京のハードコア・パンク・シーンを代表する一つだったThe COMESが、
パンク雑誌DOLLのインディ・レーベルだったCITY ROCKER Records傘下のDOGMA Recordsから
83年にリリースしたファーストの紙ジャケット&リマスタリングSHM-CDでの新装リイシュー。
5000字ほどのライナーを書かせてもらいました。
例によってここではその内容とあまりダブらないように紹介する。
本編の11曲に、
ライヴ・オムニバスLP『Outsider』に提供した82年9月録音の3曲が追加されている。
今回のジャケットは、
内外のメジャーのレコード会社でもあまり見ない特殊な素材だった
キャンバス+和紙の肌ざわりに近いオリジナル盤の厚手の質感を極力再現。
現物は黒色がやや薄めで地が真っ白というより油絵等のキャンバスの色に近いが、
↑に貼った画像のニュアンスは出ている質感の仕上がりだ。
元々付いてなくて今回付けられた帯の紙もジャケット本体と同じアノ手触りになっている。
オリジナルLPはシングル・ジャケットだったが、
今回のリイシュー盤は二つ折りのダブル・ジャケット仕様だ。
LPでは紙一枚で封入されていた歌詞カードが内ジャケットの右側に“復刻プリント”され、
ちゃんと読める字の大きさになっている(ボーナス・トラックの歌詞は非掲載)。
音の方もオリジナル盤を極力再現。
以前の再発CDとは根本的に違う。
SHM-CD効果かグン!と生々しくなって音像の平べったさはあまりなく、
レコードに近い彫りのある音の質感。
オリジナルLP(正確には45回転の12”EPフォーマットだった)と同じぐらい
ステレオ等のヴォリュームつまみを上げないと音量も上がらない仕上がりで、
音圧を無理やり上げてないナチュラルなリマスタリングなのだ。
内容の方は、
女性ヴォーカルを擁したスラッシュ(not メタル)・タイプのハードコア・パンクの世界的な先駆者ならではの、
当時の日本のハードコア・パンク・バンドの中で群を抜くスピード感と“ポップ感”が際立つ。
一切のポーズがない前のめりのシャウトも切なく瑞々しく、
DEAD KENNEDYSを思わせるロッキン・テイストも美味だし、
ポイントを突いた鋭い歌詞も含めてどこをとっても似たバンドは世界中どこにもない。
飛び抜けた個性に目が覚める。
(一時)解散後、
ナオキ(g)とミノル(b)はLIP CREAMを結成。
マツムラ(ds)はGASTUNKの前期のドラマーになる一方
チトセ(vo)と共に新しい形でCOMESを再始動させたが、
これが第一期COMESの活動当時リアル・タイムで発表した音源のすべてである。
★The COMES『No Side』(SS RECORDINGS SS 965)SHM-CD
計23分14曲入り。
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