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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

KAYO DOT『Plastic House On Base Of Sky』

Kayo Dot ‎ Plastic House On Base Of Sky


2003年にジョン・ゾーンのレーベルからアルバム・デビューしたボストン出身の“アヴァン・ヘヴィ・ロック・バンド”、
KAYO DOTの約2年ぶりで10作目に数えられそうなアルバム。

作曲とプロデュースも行なう男性のトビー・ドライヴァー(vo他)のプロジェクトの色が強く、
他に3~4人がコア・メンバーと思われるが、
アルバムによって作風が違って参加ミュージシャンが増減するバンドだ。
本作では総勢23人が演奏しているようなクレジットになっている。
とはいえ今回はその大半を占めるストリングなどのいわゆるオーケストラの楽器より、
シンセサイザー、ギター、ベース、ドラムがメインのバンド・サウンドだ。

カッチリしたサウンドではない。
ルーズではなく緻密に作られているが、
空間を覆い尽くすようにシンセサイザーらしき音が浮遊して動き回り、
ドラムやベースがシンセとのユニゾンを狙ったかようなリズムを刻んでさりげなく加速させ、
ちょっと異様な音像だ。
音とヴォーカルの波と連なりは、
個人的にはミュージック・マガジン誌のインディ・コーナーによくCD-R作品を送っていただいた
愛知県拠点のニセク檸檬を思い出した。

洗練されているが、
売れ線の洗練ではなく字義どおりの洗練の優雅なサウンドである。
ただストレンジな音がずっと溶け込んでいて、
極端な耽美テイストでありながら不安感をゆっくりと煽っていくかのようだ。
ヴォーカルもスノッブ紙一重の歌い方ながら、
音と同じく微妙に精神病質者風がハマっている。
注射器と包丁がデザインされたCD盤面のアートワークもビッタリである。

シンセサイザーを使った80年代ニューウェイヴ/ポスト・パンクを
最新の機材を使って2016年にアップデートしたようなヘヴィネスが面白い一枚。


★ケイヨ・ドット『プラスティック・ハウス・オン・ベイス・オブ・スカイ』(デイメア・レコーディングス DYMC-264)CD
薄手の二つ折り紙ジャケット仕様。
日本盤は本編の曲のリミックス2曲を追加した約52分7曲入りで歌詞の和訳付。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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