LED ZEPPELIN『The Complete BBC Sessions』[3CD/DELUXE EDITION]
2016-09-25

LED ZEPPELINによる69~71年の6つのBBCセッションを編集したリイシュー盤。
数種類のフォーマットでリリースされているが、
ここでは僕が買ったCD3枚組のものを紹介する。
4作目までの曲+アルバム未収録のカヴァー等を収録。
約74分14曲入りのディスク1と約78分10トラック入りのディスク2から成る97年発売のものに、
約49分9曲入りのディスク3を新たに加え、
ジミー・ペイジ(g)が緻密なリマスタリングを施している。
半数近くの曲で観客の拍手等が聞こえてくるライヴ・レコーディングだ。
オリジナル・アルバムでレコーディグしたヴァージョンのアレンジを尊重しつつ、
スタジオ録音のプレイを繰り返す“ポップス”とは違い、
攻めが身上のロックだから日々アレンジをアップデートしていて“オギョーギ”が悪い。
テイク違いながらCD3枚の中で同じ曲が何度か出てきて、
D.O.A.やDICKIESやIDORAがカヴァーしたことが象徴するようにパンク/ハードコアに直結する曲の
「Communication Breakdown」は5回披露されるが、
やっぱり全部違う。
同じ演奏や同じヴォーカルは二度とない。
ディスク3は、
全体の完成度を高めるためか前回発売時のCDから外されたのも一応うなずける“ワケありテイク”が多い。
数曲は若干フェイドアウト気味だが、
もちろん全曲問題ないし、
まさに蔵出しテイクの面白さである。
“暴れん坊”の頃の初期のパフォーマンスということも相まって、
凝った作りで仕上げたオリジナル・アルバムとは一味違う五線譜をはみ出したダイナミズムが格別だ。
音質に多少バラつきがあり一部良好とは言いがたかいテイクを含めているからこそ新たな発見もある。
モコモコした音のテイクの音像は、
MINOR THREATやFUGAZIをはじめとする
ワシントンDCのハードコア・パンク/ポスト・ハードコアのDISCHORD Recordsの作品も思い出す。
こなれる前の80年代のスティーヴ・アルビニの録音物みたいでもある。
いわゆるコンプした最近のCD等の音圧に慣れた耳には貧相に聞こえるかもしれないが、
これぞ原始の音。
ひるまずに横着しないで可能な限りヴォリュームつまみを上げて聴いてくれ!と、
人力車みたいな馬力で発熱するこのサウンドが言っている。
ロックの魔力に打ちのめされて解放される3枚組だ。
★LED ZEPPELIN『The Complete BBC Sessions』[3CD/DELUXE EDITION](ATLANTIC 8122794389)3CD
97年発売時のライナーと新規ライナー/詳細なデータ等が載った24ページのブックレット封入の、
三つ折り紙ジャケット仕様。