The POP GROUP『Honeymoon On Mars』
2016-10-28

英国のポスト・パンク・バンドのThe POP GROUPが『Citizen Zombie』以来リリースした
オリジナル・アルバムとしては4作目。
語りたいネタがいっぱいのアルバムだが、
来月発売の某誌で記事を書かせてもらっているので、
今のところここでは客観的な事実中心に書かせていただく。
プロデューサーは二組。
79年のファースト・アルバム『Y』以来というか、
正確にはその次のリリースだったシングル「We Are All Prostitutes」以来のプロデュースの
デニス・ボーヴェルが8曲、
PUBLIC ENEMYとの仕事で知られるハンク・ショックリー+ニコラス・サンサノが3曲手がけている。
後者は“PRODUCED”ではなく“REDUCED”とクレジットされているのも興味深い。
“RECORDED”+“PRODUCED”という意味にも思えるし、
実際“REDUCED”という感じの作業で仕上げたようにも聞こえる。
ちなみにニコラスはSONIC YOUTHの『Daydream Nation』などのロックも手掛けているが、
マーク・スチュワート(vo)は彼に対しての関心はあまりなかったようである。
『Y』を思い出すアルバムのオープニングの音でいきなり目を覚まされる。
日本盤は1曲追加の計11曲が放たれる。
マーク・スチュワートはMAFFIAと作った83年の『Learning To Cope With Cowardice』で
ウィリアム・ブレイクを引用したが、
今回は米国のジェイムズ・ラッセル・ローウェルの詩を引用した曲が入っている。
そして日本盤のみ最後にアイルランドのトラッド・ナンバー「Stor Mo Chroi」が収録されており、
これが絶品。
ボーナス・トラックの追加がアルバムの余韻のブチ壊しになることも少なくないが、
本編のラスト・ナンバーで終わるより、
はっきり言ってこの曲で締める方が今回のアルバムの流れにそっている。
いつにもなくジャケットの色使いが鮮烈でポップだ。
アルバム・タイトルは“火星”だが、
裏ジャケットに土星がデザインされているのも謎である。
歌詞に関して今ここで書くのは自粛しておくが、
サンクス・リストに英国の団体CAMPAIGN AGAINST ARMS TRADEを挙げているのも納得の曲も含まれている。
もちろん決して“頑張れ!ソング”ではない。
けど個人的には、
またまた歌詞にも触発される。
しんどい時にマーク・スチュワートの言葉にインスパイアされるのは高校時代から変わってない。
サウンドと一緒に、何度も、何度も、浴びたい。
巨大な音像の作りも手伝い、
強靭な音楽の力に開かれていく自分を感じる。
守りに入ることはない。
ロックの可能性をあらためて知る。
★ザ・ポップ・グループ『ハネムーン・オン・マーズ』(JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント VICP-65423)CD
デジパック仕様。
日本盤は1曲追加の約47分11曲入りで歌詞付。
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