SERPENTINE DOMINION『Serpentine Dominion』
2016-11-27

KILLSWITCH ENGAGEのリーダーのアダム・ デュトキエヴィッチが中心になった
米国の“新型エクストリーム・メタル・バンド”のデビュー作。
他のメンバーは、
CANNIBAL CORPSEのジョージ・コープスグラインダー・フィッシャー(vo)と、
BLACK DAHLIA MURDERのシャノン・ルーカス(ds)である。
アダムはこのアルバムでギター、ベース、ヴォーカル、プロデュース、録音、ミックスを担当。
歌詞はアダムとKILLSWITCH ENGAGEのジェシー・リーチが書き、
アートワークはKILLSWITCH ENGAGEのマイク・ダントニオが手掛けている。
以上のメンツから想像できる期待を裏切らない作品だ。
ジョージがリード・ヴォーカルだからというだけでなく
さりげなくジャズっぽい展開も含めてCANNIBAL CORPSEを思い出すデス・メタル・パート中心で、
ブラスト・ビート全開の猪突猛進パートや混沌のミディアム・テンポのパートで押す曲も含むが、
デス・メタルと言い切れないサウンドである。
メロディアスなインスト・ナンバーとアコースティックなインスト・ナンバーの2曲に加え、
曲によってはKILLSWITCH ENGAGEを思わせるメロディアスなサイド・ヴォーカルも入り、
叙情性もアクセントになっているのだ。
もちろん既存のメロディック・デス・メタルのスタイルとは一線を画す。
簡潔なギター・ソロで鮮血のメロディが噴き出し、
アダムの作曲ならではのフックがどの曲にも設けられていて暗雲の中から光も差し込んでいる。
音楽性はデス・メタル寄りでも歌詞はポリティカルなニュアンスが強い。
シリアをはじめとする中東、アフリカ北部、アフガニスタン~パキスタンなど、
世界中の紛争の現場をイメージする。
アルバム全体が哀切の念に貫かれていて悲嘆が簡潔に凝縮された聴き応え十分の一枚。
★SERPENTINE DOMINION『Serpentine Dominion』(METAL BLADE 3984-15490-2)CD
12ページのブックレット封入の約27分9曲入り。