なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『2重螺旋の恋人』

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一人の女と双子の男が織りなす“前代未聞の三角関係”を描くフランス映画。
フランスならではの官能美に覆われた心理ミステリー&サスペンス作品で、
どこもかしこもフランスの匂いがたまらない。

1967年パリ生まれのフランソワ・オゾン
[『8人の女たち』(2002年)、『スイミング・プール』(2003年)他]が監督・脚本。
オゾン監督の『17歳』の主役を務めたマリーヌ・ヴァクト(2013年)が主演を務め、
『最後のマイ・ウェイ』(2012年)で主役を務めたジェレミー・レニエが双子二役を演じている。

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クロエは原因不明の腹痛に悩む25歳の女性。
精神分析のカウンセリングを受けることで痛みから解放された彼女は、
お世話になった分析医のポールと恋に落ちて同居を始める。
そんなある日、クロエは街でポールそっくりの男を見かけ、
まもなくポールの双子の兄で同じく精神分析医のルイと判明。
ポールがルイの存在を隠していることに疑心暗鬼になったタイミングで、
クロエは“謎”を探るべく偽名を使ってルイのクリニックに通い始めるも、
優しく穏やかなポールとは反対に傲慢でサディスティックなルイに引きつけられていく。

オフィシャル・サイトに載っているあらすじを多少アレンジして転載させてもらったが、
ここから中盤に話が展開していくストーリーだ。

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やさしい男と付き合うも冷たい男に惹かれていくストーリーは“定番”ではあるし、
双子がキーワードになると物語もふくらむものだが、
じっくり練られたシナリオの妙味に最後まで持っていかれる。
静かな映画でありながらテンポがいい場面展開も特筆したい。

双子の二人とも“表”と“裏”、
そして“過去”がある。
二人とも精神分析医だけに
無意識そして意識的に“患者”であり“恋人”“愛人”のクロエを翻弄していく。
一時安定してきた精神が揺さぶられて肉体に溺れていく流れは、
切っても切れない“body and sou”の関係そのもの。
クロエの肉体に“秘密”が眠っていたことも明らかになっていく。

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ストーリーだけでなく映像も観ている者の肉体と精神に揺さぶりをかけてくる。

いきなり“とある部分”の拡大映像がスクリーンに映し出されて何事か!?と驚かせるが、
この映画が心理的なだけでなく肉体的な映画でもあることを示唆するかのようだ。
以降も要所要所で大胆な映像が観る者を引き込み、
R-18指定も納得のセックス・シーンも強烈だ。
それが淡泊な映像だとこの映画は締まらないほど大切だが、
もちろんダラダラ必要以上に長引かせず、
ある意味ストイックな見せ方でエロチック(not エロ)な動きを鮮やかに見せる。

フレームの切り取り方やカメラ・アングルも絶妙だ。
映画の大半の部分を占める“二人”の映し方も含めて、
要所にシンメトリーがスクリーンに広がり、
映画を観ている者が“目撃者”となる。
ひんやりしたクールな映像の色調も映画全体の緊張感をひそかに高めている。

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フランス語の響き自体もやっぱりエロチックだ。
フランス語は落ち着いたトーンにも聞こえるし、時に傲慢にも聞こえ、
そういった特徴が双子のポールとルイのキャラの違いに表れている。
さりげなく映像に溶け込んでいくアンビエントな音楽も心理描写に一役買っている。

映像、脚本、音声、演技などなど、
総合“アート”表現の映画の醍醐味が堪能できる佳作だ。

★『2螺旋(らせん)の恋人』
2017/フランス/1時間47/カラー/スコープ/5.1ch/原題:Lamant Double/ 日本語字幕:松浦美奈  
84()、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開。
配給:キノフィルムズ R-18
©2017 - MANDARIN PRODUCTION - FOZ - MARS FILMS - PLAYTIME - FRANCE 2 CINÉMA - SCOPE PICTURES / JEAN-CLAUDE MOIREAU 
www.nijurasen-koibito.com

 

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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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