NOWON『Pop Destroyed Pop』
2019-01-30

DOUBLE BOGYS、元MOGA THE ¥5のエスカルゴ(vo)、
元ANTI JUSTICE、LAST LAUGHのフジオカ(ds)、
元CREEP、元flash light experience、LAST LAUGHのトシロー(b)、
元FRANTIC STUFFS、STEALMATEのナオキ(g)
による関西出身のバンド“ナウオン”のファースト・アルバム。
少なくても2019年の日本のロック部門ベスト・アルバム・トップ10入り当確の快作だ。
メロディアスな日本語パンク・ロックである。
初期から中期までのHUSKER DU、LEATHERFACE、
後期MINOR THREAT、DAG NASTYのニュアンスを、
曲によってはツー・ビートを絡めながら日本語で増幅したようなアルバムだ。
バンド名義でクレジットされているソングライティングにまず舌を巻き、
これまでの音楽歴が焼き付いたアレンジ・ワークも見事と言うほかない。
ベテランのメンバーを擁するバンドならではだが、
もちろんレイドバックとは無縁である。
何より元気だし、
もちろん押しつけがましくなく切なく躍動している。
エスカルゴの歌唱はますます思い切りがいい。
年輪を重ねた蒼さがまばゆい光を放つ。
日本語の歌詞とはいえ、
日本語の歌詞をギター弾き語りで曲と一緒に作る日本のフォーク風の作詞作曲ではなく、
日本語歌詞のハードコア・パンクに多い“歌詞後乗せ”パターンの作りならではのスピード感だ。
70年代からの日本のロックの伝統を自然と受け継いだかのように、
英語のワン・フレーズを適宜織り込むセンスもナチュラルで一気に聴かせる。
ヴォーカルが前面に出たバランスの作りながら、
70年代なソロ演奏が粋なギターも、
ドライヴするベースも、
回転力の高いドラムも、
ガンガン前に出たバランスのミックスが素晴らしいレコーディング仕上げだ。
ヴォーカルに加えてすべての楽器がリズム・センス抜群の味のある音でよく“歌い”、
緩急織り交ぜた曲を加速させるべく疾走し続けている。
羅針盤や渚にてでの演奏で知られる吉田正幸のキーボードでりゲスト参加も、
DICKIES風のいいアクセントである。
もっと爽やかなジャケットにする手もあっただろうにホラーでキメたアートワークのデザインは、
S.O.Bの最初の2作のジャケット画で知られ、
BLOW ONE’S COOL~FIRST ALERT~LIQUID SCREENでプレイもしてきているカズヒロだ。
オススメ。
★NOWON『Pop Destroyed Pop』(HARDCORE KITCHEN HCK-043)CD
16ページのブックレットも丁寧な作りの計36分31秒の11曲入り。
プラケース・パッケージの裏面写真の“顔部分”は、
DISCHARGEの『Hear Nothing See Nothing Say Nothing』のジャケットの
“キャベツ男人間”に対するオマージュか。
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