脳不安、FOMO=FAVEL、木端微塵『PAST/OUT 1981 to 1993』
2019-02-26

北海道の東部の釧路市を拠点に活動していたパンク/ポスト・パンク・バンド、
脳不安、FOMO=FAVEL、木端微塵の計約77分22曲入り。
東陽一(b)が小元孝裕(vo)らと1981~1993年にやっていた3バンドの音源集で、
全曲初CD化だ。
過去に発表した5枚の7”レコードの曲の大半は入っているが、
関係者のみに配ったレコードの収録曲も含み、
レコード化してない音源も6曲追加。
でもSEX PISTOLSの「Pretty Vacant」の“ポスト・パンク・リメイク”以外に曲のダブりはない。
すべてリマスタリングされ、
スタジオ・レコーディングもライヴも、
ヴォーカルもギターもベースもドラムもしっかり聞こえてくる仕上がりだ。
ライナーで色々たくさん書いているから、
ここでは簡潔に紹介していくことにする。
脳不安は1981年の3回分の録音の8曲を収録。
東が16歳の時のバンドで、
ハードコア・パンク前夜のハード・パンクとポスト・パンクのミックスみたいな
前のめりiにハジけたサウンドがなかなか痛快だ。
前記のSEX PISTOLSの他に
PUBLIC IMAGE LTD.の「Public Image」をカヴァーしたところにも方向性が表れている。
FOMO=FAVELは1982~1983年の3回分の録音の11曲を収録。
緩急織り交ぜたポスト・パンク・チューンでベースがリードした曲が目立ち、
ヴォーカルもスカしてないのがいい。
同時代の東京のこういう系統のバンドは、
スノッブなムードの“オシャレ”なサウンドとヴォーカルになりがちだった。
当時のそのへんのバンドの話を総合すると
東京に出てきた地方出身者が気張って気取った感じになっていたようだが、
今回のCDの3バンドはイイ意味で洗練されてなくゴツゴツしている。
そして木端微塵は1991~1992年の2回分の録音の3曲を収録。
東たちの中でもともと内包したポップ感が解き放たれ、
いい意味でメジャー感ばっちりの曲が躍っている。
3バンドとも手探りで作ったみたいな曲をすっぴんのプレイでやっている。
特定のスタイルを手際よくオベンキョーして作って完成度だけ高くて
わざとらしくrawに仕上げた最近多い“パンク優等生”の無味乾燥なのじゃなく、
鉄砲玉みたいな面白さがいっぱい。
一度耳にした覚えるほど頭に残る曲が多いのも好ポイントだ。
ハード・カヴァーのブック状のデジパック仕様で、
一部の歌詞やメンバー写真も載った24ページのブックレット封入の丁寧な作り。
限定250枚で今月19日に発売されてもう売り切れ店が続出している状況だから、
バーコード無しのパンク自主制作盤を扱うショップでチェックお早めに。
★脳不安、FOMO=FAVEL、木端微塵『PAST/OUT 1981 to 1993』(PAST/OUT no number)CD
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