zine(自主雑誌)『Debacle Path vol.1』
2019-03-24

WE MUST BURN、無我(後期)、TECHNOCRACY(後期)などでバンド活動をしてきて、
UNHOLY GRAVEやVoĉo Protestaで助っ人として演奏してきて、
MAXIMUM ROCKNROLLやEL ZINEなどで執筆してきている、
鈴木智士が中心になって作ったzine『Debacle Path(ディバクル・パス)』の創刊号。
おおまかな内容は表紙(↑の画像)に書かれているが、
多少付け加えておく。
小特集の“日本のポリティカル/アナキスト・ハードコア・パンクを回顧する”インタビューは、
対面インタヴューとメール・インタヴューの2パターン。
相手は90年代以降にハードコア・パンク・バンドをやってきて、
いわゆるアクティヴィストとしても活動してきた人たちである。
●マイク小林はTDF~POWER OF IDEAのリーダーで
Tribal War Asiaレーベルを主宰してABC Partisan Gigを主催していた人だ。
●松原弘一良はARGUE DAMNNATIONで活動してF.F.T.レーベルを主宰し、
現在Mobsproofの編集長を務めて雑誌等を作っている。
●松井達浩はRESULTと無我でバンド活動していた人。
●植本展弘はVoĉo Protestaのメンバー。
関連原稿として黒杉研而(Voĉo Protesta、ATF、Deformed Existence)が寄稿している。
インテリジェンスに富む文体で定評のある“編集長”鈴木もいくつか書いているが、
ANTISECTの長文が読み応え十分だ。
鈴木の和訳で5月刊行予定のMDCのデイヴ・ディクター回想録本からの抜粋や、
本誌の編集協力者でもあるA.K. アコスタ執筆のBIKINI KILL再結成にまつわる文章もあり。
といった具合にCRASS周辺云々のいかにもなアナーコ・パンクものに留まることなく多彩だ。
鈴木自身が音楽趣味も含めて色々と柔軟で、
“資本主義うんたらかんたら”とか言うバンドに否定的なメンバーを含むバンドとの付き合いも深い。
僕が無我を好きということにも合点がいった。
元RESULT~無我の松井の話は短めながら僕もしっくりきたし、
松井がヴォーカル/ギターで鈴木がギター/ヴォーカルの後期の無我は2日続けて観に行ったほど
(しかも一つは自転車で行ける武蔵境スタットながらもう一つは横浜市内のどこかのスタジオ)
特に惚れ込んだことを思い出した。
読んでいくと「ふぅ~っ……」と考えさせられる本である。
政治主張や告発がビッシリ載ったパンク/ハードコアのレコードは山ほど買って、
バンド関係に限らずアクティヴィスト/活動家の人とプライヴェイト含めて付き合いもした。
一方でマーク・スチュワートに影響されつつ灰野敬二や友川カズキからも大いに触発された。
そんな感じで56年間生活してきた僕の“こういうこと”に関する思いは、
まったく関係ないように見える映画の紹介記事も含めてこのブログでも書いてきたから、
ここではひとまず割愛させていただく。
読みやすいレイアウトでしっかりした体裁の作りだ。
あえてバーコード付きで売る点にも言及し編集後記からも制作者の意気込みが滲む。
A5版 並製 143ページ
日本語 各記事の概要あり(英語)
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