ScreenTones『孤独のグルメ season 7 オリジナル・サウンドトラック』
2019-04-27

原作者の久住昌之を中心にした“スクリーントーンズ”による、
テレビ・ドラマ『孤独のグルメ』のサントラ盤の第七弾。
昨年放映のseason 7の13話と特別編の2話のドラマなどから30曲を抜粋してまとめている。
久住をはじめとする5人での録音ながら今回も曲によって演奏者が異なり、
バンド・メンバー全員から独演までと様々だ。
久住がアコースティック・ギターとプログラミングを担当した他に、
ソプラノ/テナー・サックス、ソプラノ・リコーダー、オルガン、シンセサイザー、
エレクトリック・ギター、マンドリン、ウクレレ、パーカッション、ドラムなどが使われている。
作曲者も曲によって異なり共作も多いが、
すべてがまさに“スクリーントーンズ”サウンドでぱらつきがまったくない。
番組の料理と同じく例によって色んなポピュラー音楽の雑食ながら、
統一感バッチリのスリリングな流れのアルバムに構成されている。
民俗音楽やジャズ、
タイトルどおりに「なんとなくメキシカン」な曲やブラジル音楽を含むラテンもたっぷりだ。
サッカーの応援歌っぽくもあるseason 7のテーマ曲の「Irish Spoon』をはじめとして、
快活デリケイトなアイリッシュ・テイストもチラホラ。
初の韓国ロケ編の曲「雨のソウル駅」は『冬のソナタ』系の韓流ドラマの甘い香りムンムン。
“京都チューン連発コーナー”も設けられ、
京都編3部作やDVD特典用に作られた曲の「この家に帰ってこよう」も含まれている。
「あんトースト」は名古屋出張編の曲で、
「五郎デンデケ」という曲は
神戸のモズライト・カフェから贈られたモズライト・ギターを使ったサーフ・チューン。
「鋼鉄のスプーン」という曲はタイトルどおりにScreenTones流のメタルだ。
ビートが効いている曲でも主旋律のしっかりした耳に馴染みやすい曲ばかりで、
ひとつひとつの楽曲クオリティの高さにもあらためて驚かされる。
もちろんアカデミックな臭いとはかけ離れているが、
明快なのに安っぽくもない。
大味とは真逆で、
おもてなしビシッ!とシンプルな素材の味を活かした確かな旨さが光る。
ふだんより
ちょい“ふんぱつ”して
食べ物屋さんで味わう大衆料理みたいな音楽だし、
“邦画”だけでなく欧州や中南米の映画にも似合いそうな音楽集である。
艶やかな響きの音のレコーディング仕上がりも高得点で、
こういう音楽にピッタリだ。
★スクリーントーンズ『孤独のグルメ season 7 オリジナル・サウンドトラック』(地底 B85F)CD
アルバム・カヴァーはseason 7の第一話に登場した埼玉県上尾市に実在する食堂の写真で、
スクリーントーンズの8年間を綴った8ページのブックレットと、
JASRACや著作権等に対して久住の考えをわかりやすく綴ったインサートを封入。
約61分30曲入り。
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