espaço『First Impression』
2019-05-28

ポルトガル語で“空間・宇宙”を意味するespaço(エスパソ)を名乗る、
東京拠点のジャズ・バンドが15年ぶりにリリースしたサード・アルバム。
柳原たつお(ダブル・ベース)が唯一のオリジナル・メンバーで、
石田幹雄(ピアノ)、
青木秀明(テナー/ソプラノ・サックス)、
小野寛史(ギター、ギター・シンセサイザー)、
上村計一郎(ドラムス)の5人組だ。
小野が作った1曲以外は柳原が作曲。
主旋律はやっぱりサックスやギターだが、
決して攻撃してくる音ではないとはいえ、
ダブル・ベース奏者が作った曲が大半だけにさすがパーカッシヴでナチュラルな音圧も十分だ。
しっとりまったりもしつつ快走するパートが際立ち、
ダイナミック&デリケイト&パワフル。
ジャズという言葉からイメージできるスタイルで、
フォー・ビートに留まらず多彩なリズムを絡めながらもシンプルに聴かせ、
転がっていくサウンドに胸がすく。
何しろ楽曲がいい。
ポピュラリティに富んで親しみやすく、
俗っぽくなりすぎずに程良く凛としていて品格も十二分。
ジャズのノスタルジーに陥らずに現在進行形なのは瑞々しい響きに表れている。
いい意味でジャズらしいイイ湯加減の一枚。
★espaço『First Impression』(May MRCD-1003)CD
タバコのヤニがこびりついているようなジャズ喫茶・新宿サムライのレコード棚の写真の、
厚手の二つ折り紙ジャケット仕様の約70分11曲入り。
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