DEFTONES『Ohms』
2020-09-28

北カリフォルニア出身のオルタナティヴ系ヘヴィ・ロック・バンド、
DEFTONESの約4年半ぶりの9作目である。
プロデュースと録音とミックスはテリー・デイト。
エンジニア業の初期には
ACCUSEDの『Martha Splatterhead's Maddest Stories Ever Told』(1988年)を手掛け、
その後SOUNDGARDENやPANTERAの作品のグルーヴィな作りでメタルの音を塗り替え、
ここ10年ほどの間にはBRING ME THE HORIZONの『Sempiternal』も担当している。
SLAYERの最終作『Repentless』のプロデュース以降テリーの話をあまり聞かなくなったが、
本格的な仕事は今回のアルバムが久々だろうか。
もちろん『Adrenaline』(1995年)、『Around the Fur』(1997年)、
『White Pony』(2000年)、『Deftones』(2003年)という最初の4作で、
DEFTONESサウンドを方向づけるのに大きな貢献をした人である。
原点回帰とまでは言わないが、
初めてDEFTONESを聴いた瞬間のことが蘇ってくるフレッシュな音像だ。
まさにDEFTONES以外の何ものでもない。
もちろんスロー・パート中心で、
スケール大きいサウンドのダイナミクスに飲み込まれてゆく。
手数の多いベースが曲をリードし、
タイトで抜けのいいドラムがゆっくりと曲を進め、
今回メタリックなリフが目立つギターと多彩なキーボードが曲に表情を付け、
ニュー・ウェイヴの流れをくむ耽美性でコーティングしたグルーヴィなヘヴィ・ロックである。
ところによってアンビエント音楽も溶け込み、
ところによってヒップホップのビート感も組み込み、
伝統的なヘヴィ・メタルの臭みを“昇華”した音のヘヴィ・ミュージックである。
たとえゴリゴリの音やシャウトを使ったとしても、
ある種の“歌もの”に仕上げるヴォーカルとキャッチーなソングライティングも健在だ。
彼らにしては泥臭いラスト・ナンバーもいい味を出している。
DEFTONESにハードコアっ気はないしこのアルバムにも疾走チューンはないが、
ストーナー・ポップとも呼ばれるフロリダのTORCHEを想起した。
ほぼ初期からメジャー・フィールドの活動でそういう音の仕上がりだったとはいえDEFTONESは、、
ISISのリーダーが主宰するHYDRA HEAD Recordsなどが
2000年代以降に世に送り出してきた“ヘヴィ・ロック進化系サウンド”の
先駆けだったんだなとあらためて思わされもする。
貫禄の一枚。
★デフトーンズ『オームス』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-18359)CD
歌詞が載った16ページのブックレット封入の二つ折り紙ジャケット仕様の約47分10曲入り。
『White Pony』をはじめ以前からDEFTONESと仕事をしてきた
フランク・マドックスがアートワークのデザイン等を担当。
日本盤には歌詞の和訳が載った12ページのブックレットも付いている。
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