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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

CROSS STITCHED EYES『Autosarcophagy』

CROSS STITCHED EYES『Autosarcophagy』


米国と英国とドイツのメンバーによるダーク・パンク・ロック・トリオ、
CROSS STITCHED EYESの新スタジオ録音盤。
これがまたとんでもない傑作である。
収録曲は8曲だが、
12”レコードでのリリースだし中身の方も濃密だから9年ぶりのアルバム!と言い切りたい。
2007年のデビュー7”EPを出したドイツのレーベルからのリリースである。


メンバーは以下のとおり。
★ジェンソン・ウィラー(vo、ds)
90年代後半から基本的には
ALARICなど北カリフォルニアのパンク/ハードコア・シーン拠点に活動しつつ、
2006年の初来日公演時も含めてUK SUBSで時々ドラムを叩いたり、
HAWKWINDニック・ターナーのバックで演奏もしてきた。
近年は元DEAD KENNEDYSのジェロ・ビアフラが今やっているバンドの、
Jello Biafra And The Guantanamo School Of Medicineでも演奏し、
今年CDが出た最新アルバム『Tea Party Revenge Porn』でも叩いている
(ビアフラは、
CROSS STITCHED EYESの前2作のアルバムをリリースした
ALTERNATIVE TENATCLES recordsの主宰者でもある)。

★ティム・シャプランド(g、シンセサイザー、vo、プロデュース他)
80年代後半から活動し、
AMEBIXのスティグとスパイダーが在籍したZYGOTEでは
ティム・クロウの名でベースを弾いていた。

★スティーヴ・ダニエルズ(b)
LOST WORLDの女性ヴォーカルらと
2000年代にはポリティカルなパンク・ロック・バンドのENDROPHOBIAで活動していた。


デス・ロックとも呼ばれるダークなパンクにハードコア・パンクがブレンドしたかのようだ。
初期CHRISTIAN DEATH、
サードの『Revelations』(1982年)や4作目『Fire Dances』(1983年)の頃のKILLING JOKE、
WARSAW時代とダブる極初期の速い曲や後期のスロー・チューンにおけるJOY DIVISION、
あとHIS HERO IS GONEも思い起こす。

だが、
とにかくイージーな焼き直しとは完全に別物の創造力のミュージシャンシップが素晴らしい。
片面は小回りの効いたエイト・ビート主体のつんのめるアップ・テンポの曲で、
もう片面はよりヘヴィかつミニマルな展開も含むが、
ポスト・パンクの色が滲もうと
すべてダークなパンク・ロック以外の何ものでもないのがまた素晴らしい。
音と共振してヴォーカルも陰りを帯びてデリケイトであると同時に、
やはりハードコアの苦渋と気合のエナジーが横溢してところによっては噛みつかんばかりだ。

適度に暗い新世代ポスト・パンクは2000年代以降にゴロゴロ出てきて一時かなり買っていたが。
ある程度の演奏技術と経験があればそれなりのものができるのか“70点”ぐらいの作品が続き、
途中で止めた。
けどこれはルーツになったバンド/ミュージシャンの精神性までていねいに“消化”している。
そして何より、あくまでもパンク・ロック。
パンク・ロックの無限の可能性を感じさせるのが嬉しい。

録音をはじめレコードの仕上がりも最高。
昔のアルバムの再発売盤も含めてここ最近作られたレコードの中でも極上だ。
盤として完成するまでどこかで失敗して死んだ音で仕上がったレコードに出会い続け、
しかも高騰しているからレコードをあまり買わなくなってしまっているが、
まだこういう音でレコード作れるんだ!と思わされもした。
もちろん33回転盤でも極上の鳴りのレコードは無数存在しているが、
これは12”のレコードの45回転盤で、
彫りの深いダイナミック・レンジの広い音を久々も味わえたことも特筆したい。

高い値段でもそれだけの価値のある一枚。
お早めに。


★CROSS STITCHED EYES『Autosarcophagy』(RUIN NATION BOLLOX 056)12”レコード+ダウンロード・クーポン
ていねいに作られたインナー・スリーヴ付の8曲入り。
僕が買ったレコードは銀色盤だが、紫色盤も発売されているようだ。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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