PRIMAL SCREAM『Demodelica』
2021-10-27

1991年に出したサード・アルバム『Screamadelica』のデモ・トラックなどを収めたCD。
収録されているデモのほとんどをアンドリュー・イネス(g他)がプロデュースし、
一部の曲はバンドがプロデュースしている。
1990年の初の日本ツアーを渋谷クアトロで観てTシャツを買ったほど
僕はPRIMAL SCREAMのファンだった。
MC5やSTOOGESをUKニューウェイヴっぽく仕上げた作りの、
当時の最新作のセカンド・アルバム『Primal Scream』(1989年)を気に入っていたのも大きい。
分岐点になったアシッドなシングルの「Loaded」(1990年)も、
『Where The Pyramid Meets The Eye (A Tribute To Roky Erickson)』(1990年)で先行公開した
13TH FLOOR ELEVATORSの「Slip Inside This House」のカヴァーも大好きだ。
けど『Screamadelica』で一気に離れた人間でもある。
当時エクストリーム・メタルにのめりこみ、
灰野敬二をはじめとする日本のサイケデリック勢などにハマっていったというのもあったが、
よりハードなロックを求めていたから『Screamadelica』は受け付けなかった。
今あらためて聴くと、
MC5の『High Time』やSTOOGES『Fun House』あたりのグルーヴを感じなくもないから、
セカンドからの流れも多少くんでいたと言える。
でも『Demodelica』の方が好きだ。
試行錯誤の感覚が伝わってきて意外と生々しいから。
CDタイトルもデモ云々となっているが、
一般的なデモ・トラックとは一線を画してしっかり仕上げられている。
一つ一つどういう状態の音源なのかは、
ボビー・ギレスピー(vo他)とアンドリュー・イネスがライナー中で詳しく語っている。
『Screamadelica』はアシッド・ハウス云々という観点でも語られてきたが、
『Demodelica』はシンプルなサウンドの曲あり、
よりイケイケのサウンドの曲あり。
これがまた疲れた今の自分にとても気持ちいい。
サイケデリックとR&Bが溶け込んだ音に、
ヘタレた甘ったるいヴォーカルもハマっているのであった。
サウンドと共振した脳天気な歌詞も今ならOK。
こうありたい……と切に思う。
ブックレットの内容もバッチリの好リイシュー盤。
★プライマル・スクリーム『デモデリカ』(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル SICP 6403)CD
ボビー・ギレスピーとアンドリュー・イネスによる曲解説を盛り込んだ、
ジョン・サヴェージによる長文ライナーが載った16ページのブックレット封入。
日本盤はその和訳と『Screamadelica』の歌詞/和訳が28ページのブックレットも封入し、
2つの音源を追加した計約69分18曲入り。
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