VOIVOD『Synchro Anarchy』
2022-02-21

カナダ東部のケベック出身の“パンク・プログレ・へヴィ・メタル・バンド”、
VOIVODが約4年ぶりにリリースした15作目。
これがまた胸のすく快作である。
『Islands』あたりも含む70年代のKING CRIMSONやVAN DER GRAAF GENERATORなどの、
パーカッシヴなプログレッシヴ・ロックの色が今回も強い。
それは不安感が醸し出されている不穏なコード進行によるところが大きく、
変則的なリズムが繰り出されるも変拍子ビシバシでもないドライヴ感が魅力だ
速いパートが多くてスラッシーなほど走っているし、
プログレ展開をしようが曲もフック十分で音の抜けが良く、
誤解を恐れずに言えば音のハジケ方はポップですらある。
変態ねじれサウンドであろうが確かにロックしているサウンド、
そこが何より重要だ。
プログレ要素の強い“メタル”であっても、
DREAM THEATERみたいなバンドのようにスキのないガチガチのサウンドとは一線を画す。
その核はもちろんアウェイのドラム。
結成時からTAU CROSSの一員でもあったアウェイのドラムがVOIVODの肝であり、
ビシビシとキメつつクールな体温の歌心が滲むビートがたまらない。
タイトでありながら程良く“ゆるい”のはパンクからの影響であり、
もっと言えば“ロックンロール”なのである。
色々と深読みができるリアリスティックな歌詞もまたまた見事だ。
閉塞感が滲みつつ、
これまたすべてを突破する。
程良く突き放したスネイクのヴォーカルも絶好調だ。
コロナも影響しているのか、
排他的なほど内向きで自分のサークルや身内しか相手にしてない作品等がますます目につく昨今、
この作品は開かれた意識がすべてに表れている。
力になるアルバム。
オススメだ。
★ヴォイヴォド『シンクロ・アナーキー』(ソニー・ミュージックエンタテインメント SICP 6442)CD
歌詞に加えてアウェイが描いた画もたっぷりの16ページのブックレット封入で、
国内盤はポイントを突いた奥野高久(BURRN!)執筆のライナーと
歌詞の和訳が載った16ページの日本特製ブックレットも封入。
約48分9曲入りで2月23日(水)発売。
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