なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『タワーリング・インフェルノ』

タワーリング


スティーブ・マックイーンとポール・ニューマンという大スター二人が主役をシェアした、
“これぞハリウッド!”な1974年のアメリカ映画。
まさに泣く子も黙る問答無用の名作なわけだが、
まもなく“新・午前十時の映画祭”の一環で12月まで3回に分けてDCPデジタル上映される。


現代に置き換えてもトップクラスの高さである
138階建て超高層ビルの竣工式のパーティを襲った大火災が舞台の作品だ。
今の防災技術ではありえないように見えて、
利益を上げようとしたための不備やhuman errorによる“事故”は世界中で起こり続けているから、
40年ほど前の映画にもかかわらず示唆に富みリアリティ満点である。
災害の根本も救出の手段も原始の時代からまったく変わらずプリミティヴということだ。
ボヤから決死の“final solution”の終盤まで、
シンプルなストーリーながらもダイナミックかつ緻密な脚本と映像でじわじわと迫る。

一般的なホラー映画がジョークに見えてくるシーンもたっぷりで圧倒しまくる派手なシーンも多いが、
愛とエゴが支配する人間の心理もじっくりと描いていく映画だから、
ほとんどが数時間の出来事のシーンにもかかわらず165分を擁するのは必然である。
名声や見返りのためのやさしさなんかとは次元が異なる、
超高層ビルの消化作業と救出劇の中に人生と命を懸けた自己犠牲の精神を読み取ることも可能だ。
すべての人間にとってのハッピーエンドとは言い切れない後味の苦さが残り、
ビルの中の人物の数だけ繰り広げられる彫りの深い“人間ドラマ”にウソがない。
シーンや心情と共振してゆっくりしたところはゆっくりと加速するところは加速といった具合に、
鼓動のようなリズム感に貫かれているからこそ生命力あふれる映画になっている。

消防隊の隊長を演じたスティーブ・マックイーンと
高層ビルの設計者を演じたポール・ニューマンという
いぶし銀の演技と声がクールな二人をはじめとして、
真に役者揃いの俳優陣の立ち振る舞いも一気に100本映画を見た気分の濃密さである。
炎だけでなく関係者すべてのエネルギーも熱い。
見終った後にイイ意味でグッタリするほど気合いが入っている。

最近の映画を見てエンディングのテロップが長すぎると思うことも多いが、
『タワーリング・インフェルノ』は本編が終わってもすぐ席を立つ気にはならない余韻を残す。
でもそれこそが映画。
腹八分目で済まさない過剰なまでのハリウッド・スピリット全開なのだ。
“まさに映画・・・”と心地よい疲れに襲われながら見終ったあと、
飽きもせずに繰り返される人間の馬鹿馬鹿しい所業が全部くだらないことに思えてくる。
超巨大スケールの映像と落差が激しい展開のストーリーで、
単なるカタルシスに終わらずポジティヴに諸行無常の思いをあらたにした。

もちろんDVDでいくらでも見ることができる大メジャー映画ではあるが、
ストーリーを追うだけじゃ映画である必要はない。

何より今回の『タワーリング・インフェルノ』はDCPデジタル上映なのが最大のポイントだ。
奥行きのある映像と間近に感じる音声に震撼して息を呑みっぱなしなのである。
一瞬一瞬が命がけの人々と容赦なく暴走する炎の映像の緊迫感を無限に増幅するのが、
炎が燃え盛る音、ガスに引火して爆発する音、ヘリコプターの音、洪水のような音、
そして生きている人の声。
見るだけでなく、
音を肌で感じているうちにスクリーンの中に引きずり込んでいく。
“触覚”でも全神経を脅かしながら感動に導くのも映画の醍醐味ってやつである。

見る者の視覚と聴覚に挑むかのようなスケールだから、
恐怖もスリルも劇場のでかいスクリーンと音響システムだと十割増しだ。
試写会であらためて見て破格の映画だと再認識。
一度は映画館で体験したい作品である。


★映画『タワーリング・インフェルノ』
1974年/アメリカ/165分
“新・午前十時の映画祭”
2013年4月6日(土)より全国42劇場にて開催。
『タワーリング・インフェルノ』は
2013/04/06(土)~2013/04/19(金)
2013/08/10(土)~2013/08/23(金)
2013/11/30(土)~2013/12/13(金)
に全国の14の劇場に分散して計42劇場で上映される。
http://asa10.eiga.com/


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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