なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

AC4『Burn The World』

AC4_BurnTheWorld.jpg


またまた胸がすく非常にクールな北欧ものである。
el zine誌 vol.13の表紙+巻頭特集にもなっている、
スウェーデンのハードコア・パンク・バンドが約3年半ぶりに放ったセカンド・アルバムだ。
CDオンリーのフォーマットでもリリースされるようだが、
LPにも同内容のCD盤が封入されている。


まずメンバーが刺激的だ。
デニス(vo)はNY VAG Recordsを主宰して地元ウーメアのクールなバンドを多数世に送り出し、
FREE FALLのドラマーも在籍のThe(INTERNATIONAL)NOISE CONSPIRACYや
昨年のフジ・ロック・フェスティヴァルにも出たREFUSEDなどでもフロントマンを務める人である。
カール(g)はVEVTORS、
ジェンズ[イェンズ<Jens>](ds)はVECTORSやREGULATIONSなどでプレイ。
そして通称“138”の新メンバーのクリストファー(b)は
D.S.-13、BRUCE BANNER、INPERAL LEATHER、SONIC RITUALなどで活動してきた。


MINOR THREATをはじめとする80年代前半のUSハードコア全般をベースに、
英国だけでなく80年代半ばの欧州ハードコア・パンクのひねりを加えたようなサウンドではある。
だが何回も何度でも聴きたくなる。
出尽くされた様式にもかかわらず、
こういうスタイルを聴き慣れた人間もうならされるフレッシュな感覚はなんなんだ!?

やっぱりメンバーの耳がいい。
ハードコア・パンクといったってジャケット黒でいかにもなヤツばかりじゃないわけだし、
そんなもんしか聴いてない底が見える自己保身なバンドとは百万光年かけ離れている。
意識が前へ!前へ!だからこそ音そのものの前にのめる。
ハードコア・パンク・オンリーのリスナーではない人間がやっているからこそ、
あっちこっちで微妙に道を外したアウトローな曲展開と音の微妙な間(ま)の感覚に痺れる。
聴けば聴くほど味が出る。
シンプルであるにもかかわらず、
否、
シンプルだからこそ奥深い。
小回りの効いドラムをはじめとして緩急織り交ぜたリズム・センスに痺れる。
パンクとかハードコア以前にロックに馴染んでいる滋味深い響きにとろける。
押してばかりじゃなく“引き”のワザを心得ている点で、
MOTORHEADの“ロックンロール・サウンド・マナー”も心得ている。

前作に引き続き録音とミックスを手がけたフレデリックは
AC4の今春のツアー・ドラマーを務めることになっている。
LPは肌触りのいい音、
CDはアタック感の強さが際立つ音に仕上げていて、
それぞれのフォーマットの音の特筆が活かされている。
80年代を焼き直すことなく、
わざとらしくrawにしたり人工的にノイジーな音のオシャレでキメることなく、
あくまでも現在進行形でナチュラル&オーガニック。
いい意味でキャッチー&ポップにハジけてもいる。

ケヴィン・セカンズ(7 SECONDS)を思わせるデニスのヴォーカルもいい意味で色っぽい。
免罪符と自己愛に満ちた“怒号”と百万光年かけ離れた喉が曲の上と中を泳いで疾走する
英語で綴られた歌詞はシンプルな“ファック・オフ”アティテュードの内容だが、
色々考えさせて示唆も与える。
単なるプロテストに終わらず触発のためのハードコア・パンクなのである。

デニスのNY VAG Recordsとジェイク・バノン(CONVERGE)のDEASHWISH Recordsとの共同リリース
という点も興味深い。
CONVERGEファンの方がどんどん深く入ってキャパシティを広げるきっかけの作品になるとさいわいだ。
音楽は解き放たれていて無限なのだから。

他のジャンル以上にパンク/ハードコアは意識の幼さが表れたものに出会うと落ち込むが、
AC4は音にも言葉にも甘えはない。
“行間”や“余白”の響きや言葉までが表現になっているから
約30分16曲入りでもいい意味で長さを感じさせるほど濃密だ。
それでいて突き抜けまくっている恐ろしさ。
ひとつの作品としてじっくり聴かせるまさにグレイト!なアルバムなのである。


★AC4『Burn The World』(NY VAG/DEATHWISH NY VAG #133)LP+CD
レコード袋封入。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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