なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

AKRON/FAMILY『Sub Verses』

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ニューヨーク出身で今はメンバーがポートランドとLAとアリゾナ州ツーソンに住む、
“雑食ロック・トリオ”の6作目に数えられる約2年ぶりのアルバム。
彼らの作品の中でもヘヴィな聴き応えの一枚でぼくも非常にハマっている。


アートワーク・デザイン担当はSUNN O)))の片割れとしてお馴染のスティーヴン・オマリー。
プロデュースと録音とミックス担当はランダル・ダンで、
奥行きも広がりの無限の音の仕上がりでCDの可能性と潜在能力を引き出した仕事ぶりが見事だ。
SUNN O)))も手掛けたランダルはSABBATH ASSEMBLYのデビュー作もプロデュースした人だが、
彼と仕事をしてアーシーな方向に舵を切ったEARTHの2000年代後半のアルバムに連なる質感なのである。

『Sub Verses』は種々雑多な血の通ったポピュラー・ミュージックの伝統を踏まえたロックだが、
いわゆるアメリカのルーツ・ミュージックというよりは
いわゆるアメリカン・ゴシック(notゴシック・ロック)の精が宿っている。
民謡を含む民俗音楽やR&Bの血中濃度も高いが、
なにしろヘヴィ・ロックと言えるほどの音圧にヤられるのだ。
それこそBARONESSをはじめとするRELAPSE Records周辺の土臭いロックにも通じる。

たとえ雑食ロックでも
いわゆるミクスチャー・ロックとは違うし、
ジョン・ゾーンやマイク・パットンのトリッキーな手法とも違うし、
むろん“遺伝子組み換えみたいなサンプリングもの”とはまったく次元が違う。
このオーガニックなサウンドは呼吸を止めない。
レイドバックで終わらずパワー満満。
ナチュラルなヴァイブレイションがゆっくりと脈打つ。

“大きいことはいいことだ!”みたいなアメリカの精神性はネガティヴな意味に解釈される昨今だが、
ポジティヴな意味にも成り得る。
でかい音楽だ。
国全体が田舎のUSAならではの地平線と水平線が桃源郷に見える歌と音は身震いするほど雄大で、
研ぎ澄まされた音像はサイケデリックといっても過言ではない。
音楽だからこそ表現し得る無限の心象風景の奥深き世界に引き込まれる。
ライヴによってはお馬鹿なステージも繰り広げる砕けたキャラと背中合わせの、
終始引き締まった響きの渦にゆっくりと覚醒されていく。

彼らの初期のアルバムをリリースしたYOUNG GOD Records主宰者の
マイケル・ジラ(SWANS)が日本盤の帯に寄せた
“この雑食動物たちは人食い族である。(以下省略)”の言葉もナイスだ。
『The Burning World』以降のSWANSが鎧を脱ぎ捨てたかの如き大らかな佇まいもチャーミングなのだ。

そんな包容力に富む3人のヴォーカルが繰り出す、
達観しているかのような佇まいのシンプルな歌詞もたいへん素晴らしい。
米国の詩人ロバート・ピンスキーの言葉を使ったラスト・ナンバー「Samurai」の肯定性も息を呑むほどだ。
“しょうがない”という言葉“は否定的な意味と解釈されがちだが、
現・横浜DeNAベイスターズの野球選手のラミレスも好きな日本語に挙げているように、
“しょうがない”は前に進むためのひとつの美学であり生き方であり知恵でもある。

これまた解放される一枚。
まさにグレイト!


★アクロン/ファミリー『サブ・ヴァーシズ』(Pヴァイン PCD98697)CD
表に歌詞が載った6つ折りインナーシート封入の3面デジパック仕様の約51分10曲入り。
日本盤は歌詞の和訳と福田教雄(Sweet Dreams)執筆の4つ折りインナーシートも封入され、
パッケージ全体が丁寧な作りだ。
4月24日(水)発売。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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