なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

AT THE DRIVE-IN『Relationship Of Command』

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米国テキサス州エル・パソ出身のポスト・ハードコア/オルタナティヴ・ロック・バンド、
AT THE DRIVE-INの最終作になったサード・フル・アルバムのリイシュー盤。
日本のみ2枚組CDでの再発だ。


本作のリリース前に、
AT THE DRIVE-INがプロモーション+αで日本を訪れたときのことを思い出す。
ぼくがライナーを書かせてもらったセカンド『In/Casino/Out』の日本盤が出た直後だから
99年か98年だった記憶がある。
数曲披露した“初来日公演”もその際に行なったが、
会場の渋谷のライヴ・ハウスのO-WESTは日本の業界関係者が集まっていた。
といってもライヴがメインではなく一般の観客は不在。
当時日本のレコード会社が自由に契約できる状況の中での一種のオーディションで、
70年代から80年代初頭の歌手スカウトのテレビ番組『スター誕生』みたいな雰囲気だった。
といってもけっこう寒々とした空気でメンバーも戸惑っていて何事もなく終わったように見えただけに、
数か月後に突然日本でも引っ張りだこになったことが奇妙に感じられた。


既に5年以上リリースやライヴを重ねてきたバンドにもかかわらず、
瑞々しく初々しい佇まいだったそのステージが蘇ってきた。


もともとはGRAND ROYALから2000年にリリースされ、
BEASTIE BOYSのレーベルでメジャー配給ということもありメインストリームでも注目度が急上昇し、
日本でも突如あちこちのメディアから注目を浴びて人気を集めるも2001年に活動停止。
オマー・ロドリゲス・ロペス(g)とセドリック・ビクスラー(vo)はMARS VOLTAで活動していくが、
AT THE DRIVE-INは2011~2012年に期間限定で再編してライヴを敢行。
そういった流れの中でのリイシューである。


複雑怪奇なMARS VOLTAに馴染んだ耳にはかなり取っつきやすい。
膨大な枚数を抱えるレコード店の棚にCDを入れるとしたらオルタナティヴ・ロックのコーナーだが、
ポスト・パンクやポスト・ハードコア通過後のパンク・ロックと言いたいサウンドだ。
変則リズムを使いつつ頭デッカチじゃなく肉体的でストレート。
ハジけていて快活だ。
曲によってはダブみたいに音が浮遊する点も含めて
80年代のFUGAZIがスコーン!と突き抜けたみたいな爽快感なのである。
セドリック以外もヴォーカルをとる声の掛け合いと絡み合いも聴きどころで、
ギターらしからぬ音を出すことを意識しながら弾いていたと言うオマーの演奏もイイ意味で若い。
イギー・ポップの参加もひそかに話題になった。

ボーナスCDは
昨年の再編ライヴ2曲と当時スプリットEPや単独作のEPのサブ・トラックで発表した3曲で構成。
前者はやや遠めに聞こえる音質だが各パートの音がちゃんと聞こえる。

あらためて聴いて本編の音作りが2013年の今けっこう新鮮だ。
KORNとの仕事でイメージが固まってしまったロス・ロビンソンが
モダン・グルーヴの音作りだけが売りではないことを示したプロデュース力を発揮し、
メジャー感のあるヘヴィ・サウンドの仕上げで知られるアンディ・ウォラスがミックス。
アンダーグラウンド臭さが払拭されたわけだが、
今思えばAT THE DRIVE-INの当時のリアルな姿をレコーディングしていたと言える。
乾いたビートとムードがヒップホップの音像みたいで
ラテン系のメンバーが中心のバンドならではと言えるドライな味わいがクールだ。


★アット・ザ・ドライヴイン『リレイションシップ・オブ・コマンド』(デイメア・レコーディングス DYMC-191)2CD
日本盤は前述のボーナスCD付で厚手の二つ折り紙ジャケット仕様。
12曲の歌詞の和訳を印刷したインナーシートを封入。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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