なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

CHURCH OF MISERY『Thy Kingdom Scum』

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東京拠点の真正ドゥーム・ロック・バンドの4作目のオリジナル・フル・アルバム。
約4年前のサード『Houses Of The Unholy』に引き続き、
リー・ドリアン(CATHEDRALSEPTIC TANK)主宰のレーベルからのリリースである。

今や海外にもフォロワーが現れ、
特にパンクが根のドゥーム・ロック・バンドのレヴューで
CHURCH OF MISERYを引き合いに出すことも増えている。
これまたヘヴィ・ローテーションの一枚だ。


Burrn!誌6月号に掲載されたインタヴューによれば
「メジャー感のある感じで、楽器の分離を良くして、入りやすいサウンド」にしたかったという。
果たせるかな!である。

むろんメジャー・マスタリングの日本ものCDによくあるような、
つるつるののっぺらぼうの響きで音を殺したやつや
汚いところを殺して血の通ってないエコなやつとはまったく別次元の仕上がりだ。
録音/ミックス・エンジニアやマスタリング・エンジニア(中村宗一郎)の力も大きいのだろうが、
やはりメンバーの耳がいい。
感覚を鍛えて研ぎ澄ましている。
特に各中低音の旨みとバランスが魔術的なほど素晴らしい。

インディものやパンクものも含めて
結局はいわゆる“日本のロック”のジャンルの中で完結しているようなのが、
ほんと小ぢんまりと聞こえてしまう。
そんな“身内”に甘えたバンド/ミュージシャンとは違って本作は、
あかの他人に聞かせようという意識のプロフェッショナルな姿勢のレコーディングだ。
たび重なるツアーによって外国でも知名度がかなり高くなっているとはいえ、
自分たちを知らない地で何度もライヴをやってきた経験も大きいと思われる。
ひょっとしたら日常生活がロクデナシのメンバーを含むのかもしれないが、
音楽に対する責任と自己表現に対する責任に満ちているアルバムだ。
根っこの視野が広いから開けたサウンドなのである。

ロックならではの音の塊でありながら、
クリアー(not クリーン)な音の仕上がりによって広がりも奥行きも見えてきて、
ドゥーミーに躍動する響きがとても生々しい。
なによりCHURCH OF MISERYがどういうことをやっているのかが
細かいところまではっきりと伝わってくるのが嬉しい。

前作のレコーディング後に失踪したヒデキが復帰し、
ヴォーカル+ときたまアナログ・シンセでまたまた大活躍。
サイケデリックな感覚に加えてブギも感じさせる新ギタリストのカワベも懐が深い。
ルックスに加えて演奏もどことなくイアン・ペイスを思わせるナリタのドラムは
スネアもキックもたいへん滋味深くパワフルだ。
そしてリーダーのミカミのコシのあるベースが動きまわり眩惑されて痺れっぱなしである。
やっぱりメンバー全員が一プレイヤーとして自分自身のサウンドを出せるバンドは強い。
音そのものの説得力が格別だから能書きも理屈も必要としないのだ。

クリアーな音質は楽曲の良さも浮き彫りにしている。
クールなリフで進めるミカミのグレイトなソングライティングはやや長めの曲でスリリングに加速する。
13分弱のラスト・ナンバーも含めてトータル約50分で7曲の長さだが、
まったく飽きさせない。
英国のギターレス・プログレ系バンドQUATERMASSの71年のシングル曲「One Blind Mice」も
CHURCH OF MISERYならではのグルーヴでカヴァーしている。

カクテルみたいに味わい深く殺しの体液が味わい深くブレンドされた香り高いサウンドで
怪しいSEも適宜挿入してじわじわと追いつめる。
ヒデキのヴォーカルもパンク系バンド上がりゆえの多少わざとらしさも感じた以前とは違い、
まっすぐにひんまがってはじけている。
ゲロみたいな嫌悪感を歌心に昇華している。
声の豊かな表情がナチュラルになってきて、
一曲一曲のタイトルの横に書き添えられたシリアル・キラーを演じているかのようだ。

例によって歌詞は載ってないが、
音楽そのもので不穏に持っていく。
心にもない主張でエゴや邪心を隠蔽したメッセージなんか信用してない。
なぜならCHURCH OF MISERYは免罪符を必要としてないから。

ウソがないから百万年後でも楽しめるアルバム。
ドゥーム云々以前にまずロックとしてカッコいい。
オススメ。


★CHURCH OF MISERY『Thy Kingdom Scum』(RISE ABOVE RISE CD 163)CD


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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