なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

JEX THOTH『Blood Moon Rise』

JEX THOTH『Blood Moon Rise』


SABBATH ASSEMBLYのファーストにも全面参加していた女性音楽家ジェックス(vo、kbd)が率いる、
米国のドゥーム・ロック・バンドが約5年ぶりにフル・アルバムとして放った2作目。
プロデュースと録音は、
アーシーな音になってからのEARTHの諸作やAKRON/FAMILYの新作でお馴染みのランダル・ダン。
JEX THOTHのデリケイトな鳴りをしっかりと作品化した素晴らしい仕事である。

今回も絶品きわまりない。

ドゥームなテンポで歌がゆっくりと曲をリードしていく。
ファーストとは演奏者がすべて違うとはいえドゥーミーなロックであることに変わりはないし
ヘヴィな音の曲も含まれているが、
メタル以上にトラッド系のプログレの精が息づく。
JEX THOTH が2010年のEP『Witness』でカヴァーした「Mr Rainbow」の原曲者である、
SLAP HAPPYが2013年ヴァージョンでドゥーム化したような趣だ。

歌詞は載せていないが、
言葉の意味性に頼っているようでは音楽である必要はない。
音楽は意識に働きかけるものだから。

時にエレクトリック・ギターが光るたおやかな音の粒が舞う中で凛とした歌が悠然と屹立している。
吐息のように彼女のなかの奥から解き放たれる蠱惑の歌声に吸い込まれながら耳を傾けているうちに、
彼岸の彼方に飛んでいく。
曲によって日本語の歌詞がすぐ乗りそうなほど昭和歌謡ともニアミスしたメロディが漏れてくるのは
人の心の“ブルース”が震えているからである。
だがむろんこの音楽の哀切は研ぎ澄まされている。

70年代などの過去のロックへの憧憬といったものを突き抜けた世界がここで鳴っている。
地を揺らして水が湧いてくる生命の音楽。
地平線の先、
水平線の向う、
桃源郷の淵に届き、
永遠の深さまで沈みながら
永遠の高さにまでのぼりつめていく。
祈りの挽歌にも聞こえる。
終末を超えるための葬送曲にも聞こえる。

声も音も艶っぽく、
ディープにサイケデリック。
ひたすら全身で浸りとろけて
ゆっくりと果てまで覚醒される。
音楽を聴いていてよかったと心から思える珠玉の一枚。
まさにグレイト。


★JEX THOTH『Blood Moon Rise』(I HATE IHRCD107)CD
約47分9曲入り。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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