なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『ザ・ストーン・ローゼズ:メイド・オブ・ストーン』

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ファースト・アルバム『The Stone Roses』(89年)をはじめとして話題が話題を呼び、
80年代の終盤から90年代の初頭にかけてロック・シーンの注目の的になった、
マンチェスター出身の“UKロック・バンド”であるSTONE ROSESの映画。
監督は映画『ディス・イズ・イングランド』(2006年)の監督・脚本で知られるシェイン・メドウズだ。

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ドキュメンタリーといえばドキュメンタリーではある。
80年代初頭の結成前夜からSTONE ROSESとして活動を始めて96年に(一時)解散するまでの流れは、
貴重なライヴ映像や写真、
インタヴュアー泣かせの寡黙だがキラリと光る発言多数の当時の会見を交えて紹介。
でもSTONE ROSES自身の意識と共振しているかのように過去の栄光にすがる作りではなく、
あくまでも2011年に再始動したSTONE ROSESの映像がメインだ。
再編会見のシーンも含むし
もちろんリハーサル中などのトークが盛り込まれているとはいえ、
新規で行なったバンド・インタヴューでメンバーに過去の言い訳や説明をさせるシーンは一切ない。
練習シーンも含めてパフォーマンスのシーンと簡潔なオフステージの場面だけで、
なぜ再編したのかをさりげなくパワフルに伝える映画なのである。

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マニアックすぎずメインストリームに媚びることもない監督のアティテュードが表われている。
7年前の名作『ディス・イズ・イングランド』のように、
メドウズ監督のピュアで正直な気持ちが活きている作品だ。
なにしろふつうのファンの視点なのである。
ヘタレだったから(一時)解散前のライヴを観てなかったことを告白する監督のファン気質がまぶしい。
メンバーから撮影を指名してもらった喜びを隠さない自身の姿も惜しげもなくさらし、
映画やライヴを見る人と一緒に嫌味無きミーハー体質で一ファンとして盛り上がっていることが伝わってくる。

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といっても撮り方はプロフェッショナルで、
一見だらだらしているように見えるシーンでもポイントをビシッ!と押さえている。
2012年夏のヒートンパークにおける“正式な復活ライヴの本番前”のステージとして設けられた、
再編第一弾フリー・ライヴの日のショットが特に生々しい。
STONE ROSESのレコード/CDやオフィシャルTシャツなどを持参した人のみが入場可と突如告知され、
必死で集まってリスト・バンドをもらえたファンの映像と談話にかなり時間を割いているのだ。
もちろんライヴでも熱狂したファンを映し出す。
と同時に演奏シーンも大切にしており、
リハーサル場面も含めて数曲完奏した姿も見せてくれる。

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ぼくは渋谷陽一に絶対な影響を受けていたから『ロッキンオン』がバイブルだった人間だが、
ハードコアの類がほとんど載らなかった80年代に入ると少しずつ読まなくなっていった。
NAPALM DEATHをはじめとするパンク/ハードコア勢が苛烈していった80年代後半は惰性で買っていたが、
そんな時期に『ロッキンオン』が持ち上げていたのがSTONE ROSESだった。
みんなが飛びつくものは政治も音楽もおかしいという意識が既に自分の中でできあがっていたからか、
STONE ROSESのライヴを観に行くことはなかったが、
ファーストの『Stone Roses』は愛聴した。

60年代のサイケをUKパンク~ポスト・パンクの流れで薄めたようなサウンドではあるが、
この映画を見て名曲多数のソングライティングを再認識。
適宜日本語字幕で和訳が映し出されるから歌詞もメディアの格好のネタになったことがわかるが、
“ロック用語”を並べたバンド名の流れをくむ大胆不敵な歌も
同時代のCREATION Records勢とは違うでかさを物語っていた。

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『ディス・イズ・イングランド』と同じく
イギリスの空気をたたえたシャープな映像力は特筆すべきだろう。
ネタバレを避けるべく詳しくは書かないが、
新規で撮り下ろした大半の映像は場面ごとに振り分けてモノクロとカラーの特質を活かしており、
モノクロは彫りが深くてカラーは鮮やかだ。
それはやはりライヴ・パフォーマンスのシーンで際立つ。

ドキュメンタリーだから再結成ツアー中に起きたトラブルも織り込まれている。
でも音楽的にもキャラ的にもこの4人でしかSTONE ROSESはありえないこともあらためて思う。
エンドロールには“日本のファンへのプレゼント”も入っているから、
“本編”が終わってもすぐ席を立たないように。

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★映画『ザ・ストーン・ローゼズ:メイド・オブ・ストーン』
2013年/イギリス/原題『The Stone Roses/Made Of Stone』/カラー&モノクロ/96分
2013年10月19日(土)~25日(金) ※連日21時開映
東京:TOHOシネマズ渋谷、名古屋:TOHOシネマズ名古屋ベイシティ、大阪:TOHOシネマズなんば、
ほか全国順次公開。
© Channel Four Television Corporation, BMSW Ltd. and Warp 1989 Ltd. 2013
http://www.tsrmos.com/


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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