なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

RUSSIAN CIRCLES『Geneva』

ロシアン・サークルズDYMC-105


シカゴ拠点のインスト・トリオのサード・アルバム。
麗しいポスト・ロック的な色彩を帯びたヘヴィ・ミュージック進化形を呈しているサウンドだ。

曲によってはチェロやヴァイオリン、トランペット、トロンボーンが加わり、
プロデューサーのブランドン・カーティス(SECRET MACHINES)はピアノを挿入。
演奏での貢献もさることながらブランドンが音作りで担った役割は大きい。
70年代の初頭までのPINK FLOYDの現代化みたいな薄っすらとしたサイケデリック・テイストが、
スティーヴ・アルビニ所有のスタジオのエレクトリカル・オーディオにおける録音ならではの空間の中、
凛とした響きで広がってゆく。

元BOTCHで現在THESE ARMS ARE SNAKESのメンバーでもある、
ブライアン・クックが前作からベースを弾いていることもポイントだ。
『Geneva』はPELICANを思い起こすヘヴィな叙情性もたたえているが、
彼の強靭なベースがBOTCH流れとも言えるカオティック・ハードコア的なニュアンスも醸し出し、
リリカルかつハードなギターとダイナミックなドラムが絡んでゆく。

SIGUR ROSみたいなゆっくりゆっくりした曲もあるが、
『Times Of Grace』の頃のNEUROSISが前のめりになって加速するような曲が特にカッコいい。
BATTLESを思わせる軽快な疾走感もはさみこんで物語をふくらませてゆく。

ベースがジョン・ウェットンみたいだから、
『Lark's Tongues In Aspic』~『Red』あたりの70年代初頭のKING CRIMSONのメロディアスな曲も想起。
KING CRIMSONはけっこうインストもやっていたし、
ハードコア以降のプログレとも言えそうな一枚である。
だが『Geneva』はリズム主体でドラマチックな楽曲を織り成してゆく。

PELICANはリリースしたばかりの新作『What We All Come To Need』の1曲に、
遂に初めてヴォーカルを入れた。
それはそれでホント佳曲に仕上がっているのだが、
RUSSIAN CIRCLESは現在までのところヴォーカルを入れるスペースがないほど楽器だけで綴る。
「Fathom」「Geneva」「Melee」「Hexed All」「Malko」「When the Mountain Comes to Muhammad」「Philos」
という英語中心ではないだけに意味深なタイトルの曲の世界を歌なしで描く。
いやクールに見えて楽器が歌っているのだ。

あらゆる意味での“冬”を抜け出さんとするストーリーを描く映像的なアルバムである。


●ロシアン・サークルズ『ジェネヴァ』(デイメア・レコーディングス DYMC-105)CD
約46分7曲入りのデジパック仕様。


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コメント

行方さん、こんにちは。
輸入盤で聴いたのですが、ベースのどこがジョンウェットン的なのかがわかりません。
具体的にどんなあたりのフレージングがどうウェットンなのでしょうか?
出来れば単なる印象批評でなく、具体例を挙げていただきたいです。

横恋慕イェリコさん
特に「Melee」「Malko」「When the Mountain Comes to Muhammad」あたりの曲ですかね、ヘヴィなコシの強さなどの点で。
そういう曲のベースも、ところによってはたとえばDISCHARGEのレイニーやBLACK FLAGのチャックを、ぼくは思い出したりしますが、彼らよりはジョン・ウェットン(KING CRIMSONとUK時代)かなと。
ただ申し訳ないですが、混ざっていますからどの部分か等を指摘するのは難しいので印象を書く感じになってします。その代わりというわけではないですが、自分が思いついたバンド名やミュージシャン名をなるべくたくさん書くようにしています。未知のアーティストはそういう固有名詞をきっかけに聴くようになることが、ぼくは多いので。

要するに具体的なプレイ比較をしているのではなく、なんとなく自分の知っている範疇に当てはめているんですね。
ライターさんって楽でいいですね。おっと、「文士」さんですかw

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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