なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Daniel Johnston『Is And Always Was』『Welcome To My World』

見る角度によっては金髪にも銀髪にも見える頭の“怪人”シンガーソングライター。
ダニエル・ジョンストンは1961年1月にカリフォルニアで生まれ、
二十歳の時にカセットで“アルバム・デビュー”して以来マイペースかつ精力的な活動を続けている。

各国各層で熱心なファンが多い。
ジェリー・オンリー(MISFITS)、イヴァン・ジュリアン(元VOIDOIS←リチャード・ヘルのバンド)、
デズ・カデナ(元BLACK FLAG)、マーキー・ラモーン(元VOIDOIS~RAMONES)がバックを務めるバンド、
OOSAKA POPSTARも2006年の『Osaka Popstar And The American Legends Of Punk』で、
ダニエルの極初期の曲「Wicked World」をカヴァーしていた。


今回は先月21日に日本盤が発売されたダニエル・ジョンストンの2枚のCDを紹介する。


pcd93299.jpg

まず『Is And Always Was』は二十数枚目の最新オリジナル・アルバム。
様々な伝説によりローファイなイメージもあるかと思うが、
タイトなポップ・ロックンロール・アルバムに仕上がっている。
ジェイソン・フォークナー(元THREE O’CLOCK~JELLYFISH)のプロデュース力も大きいのだろう。
コントロール不能とも言われるダニエルをあやつり、
メタボな腹に詰まったポップ・センス引き出して絶妙の“ロックンロール”に仕上げたのだ。

歌い口はときおりニール・ヤングも思い出すが、
ヨレヨレのようで芯のしっかりした喉をしている。
楽曲はBEATLESに加えてジョン・レノンやポール・マッカートニーのソロ作品を、
80年代以降に引き継いだかのようでもある。
むろんいかにものフレーズとかを使ったりしていないし、
豊潤なソングライティングが素晴らしい。
“メロウなロックンロール”のラヴソングが中心だが、
皮肉混じりの「Fake Records Of Rock And Roll」というバリバリのロックンロール・ナンバーにも痺れる。

ブラックホールみたいな音作りとアレンジ・ワークにも舌を巻くばかりだ。
肩凝りならぬ“心の凝り”や“神経の凝り”をゆっくりとゆっくりとほぐす。
普段あまりポップでメロディアスな曲を聴くことがない人間が言っても説得力はなかろうが、
ここ数ヶ月で聴いた中で一番の“ポップ・アルバム”だ。
グレイト!


pcd20049_convert_20091105182047.jpg

一方の『Welcome To My World』は、
音楽活動初期のカセット作品を中心に80年代の録音の音源から選曲した編集盤。
米国では2006年にリリースされたものだが、
洗練した作りの前述の『Is And Always Was』と対極ということで日本盤が同時発売されたとも推測できる。

なにしろ手作りの音だから素朴で生々しい。
録音した当時の部屋の匂いまでレコーディングしているかのようなぬくもりの音質である。
ほとんどは鍵盤楽器の弾き語りと思われるが、
骨董品みたいな足踏みオルガンの演奏なのか片手か足で何か打っているのか打楽器みたいな音も聞こえてくる。
ぶっ飛んだアレンジもある。
だがポップなメロディ・メイカーとしての魅力はこの頃から確かに放っている。
素っ裸でも姿勢を整えて礼儀正しくみたいな曲なのである。

音質も手伝って戦前のブルースみたいな匂いもするし、
怪しく妖しい響きは天然のアシッド・フォークと言いたくなるほどだ。
そしてダニエルの歌声は鼓膜に引っかかり焼きつく。
アルコール度数の高い酒をストレートで飲んだときの喉の感覚にも近い。
まるでティーンエイジャーみたいな、
いやティーンエイジャーになる前の子供みたいな声の響きである。
ぴかぴかするほど美しくピュア。
だが何かイタズラをたくらんでいるやんちゃな歌声なのであった。


●『イズ・アンド・オールウェイズ・ワズ』(Pヴァイン PCD-93299)CD
三面デジパック仕様。
日本盤は歌詞と和訳が載ったブックレット封入で米国アナログ盤収録の1曲がボーナス・トラックだ。
村尾泰郎執筆のライナーもわかりやすくポイントを押さえていて良。

●『ウェルカム・トゥ・マイ・ワールド』(同 PCD-20049)CD
日本盤はボーナス・トラック3曲追加の約73分24曲入りで、
こちらも全曲の歌詞と和訳が載ったブックレット付。

共に日本の制作者/関係者の愛が感じられる作りもうれしい。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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