なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

PRIMITIVE MAN『Scorn』

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米国西部コロラド州デンバー出身のスラッジ・コア・トリオのデビュー作。

バンド名が“原始人”で、
アルバム・タイトルが怒りと嫌悪に満ちた“軽蔑”。
怖い物なしである。

どう聴いても本気の響きだ。
いきなり12分近くの曲でヘイト・フィーリングの放射と拡散を繰り返す。
憎しみの水銀と復讐のヘドロがうなりを上げる鉛色のスロー・パートがほとんどだが、
たまにハードコア・パンクで問答無用にブッ飛ばす。
ウルトラ・ヘヴィ・リフを叩きつけるパートの鈍重パワーが凄まじく、
馬鹿力頼りではなくドラムもベースも微妙なニュアンスのリズムで守り立てる。
ギターから湧き立つ虚無の叙情性ですべての欺瞞が塗り込められ、
フィードバック音などの“ノイズ”コントロールや不気味なミニマル・チューンも見事で、
殺伐とした風情を高めている。
死臭漂うデス・メタルのエキスもギターの血管に注入されている。

EYEHATEGODはブルースのグルーヴに貫かれているだけにあたたかい。
CORRUPTEDがとてもヒューマンに聞こえる。
GREENMACHiNEみたいにロックにハジけることもない。
GRIEFに近いだろうか。
いやPRIITIVE MANはもっとずっと余裕がない正直な原人の叫びである。
苦汁を吸い続けて破裂しそうなほど肥大化した苦渋の思いで“ファック”“ヘイト”と吐き捨てる。

特定の国や民族を罵倒する巷のヘイト・スピーチなんて甘ちゃんである。
PRIITIVE MANにとって人種も国籍もヘッタクレもない。
なぜならすべてのものとすべての人を憎むのだから。
城卓矢に「骨まで愛して」という歌があるが、
どうせなら“骨まで憎め”なのである。

『Everyone Should Be Killed』という秀逸なタイトルのアルバムを出したANAL CUNT
あるいはRUPTUREの素晴らしき俗悪の精神性を引き継ぐが、
彼らが持っていたファニーなかけらも木端微塵に自爆した。
どこまでも救いようのない精神の荒野が続く八方塞がりの泣ける一枚。


★プリミティヴ・マン『スコーン』(リラプス・ジャパン YSCY-1266)CD
味のある紙質の3面デジパック仕様の約40分7曲入り。
日本盤仕様版は歌詞の和訳付。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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