なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』

メイン:Metallica_CHAOS - small
(C) Metallica Through the Never, Courtesy of Picturehouse


モンスター・ロック・バンドのMETALLICAがこの映画のためにカナダで行なった昨年のライヴ映像と
アクション映画がミックスした3D作品である。
監督・脚本は最近だと『プレデターズ』2010年)を手がけたニムロッド・アーントン。
METALLICAのメンバー4人と共に主演を務めたのは、
『クロニクル』(2012年)でも主役に抜擢されたデイン・デハーンである。

METALLICAが演奏シーンでたっぷり登場し、
3Dならではのサイバー感覚が味わえるユニークな映画だ。

サブ1metallica-through-the-never-MTTN-0002_rgb_軽
Photograph by Ross Halfin (C)Metallica Through the Never, Courtesy of  Picturehouse

使い走り役として雇われたトリップ(デイン・デハーン)はMETALLICAのライヴが始まってまもなく、
バンドにとって大切な荷物を取ってくる任務をまかされる。
それ無しではステージを終えられないということでタイム・リミットは90分。
トリップは急いで会場を後にして飛び出すも街中は異様な空気に包まれていた。
愚連隊と機動隊の衝突の現場に出くわして巻き込まれ、
さらにトリップは異様な騎士に命を狙われる。
『バイオレンスジャック』や『北斗の拳』の2013年ヴァージョンのような世紀末の光景の中を
トリップが必死でくぐりぬけている最中も、
METALLICAはライヴを続けているのであった。


METALLICAのライヴと街中の近未来的アクション・シーンの時間比率は半々ぐらい・・・、
いや大半の曲は完奏されているからMETALLICAのステージ・シーンの方が多い印象だ。
その両方が共振、
いやそれぞれが影響しあっている。
METALLICAの速い曲とアクション・シーンのスピーディな場面、
METALLICAのスローな曲とトリックが出くわすデリケイトな場面という具合に、
関係しあっているのである。
ステージで披露している曲の歌詞も、
ライヴ会場の外でトリックが悪戦苦闘している気持ちとリンクしているように思える。

ただしバンドの意向によって歌詞の日本語字幕は出ない。
それも納得できる。
ほぼライヴ・シーンのみで出演のMETALLICAのメンバーだけでなく、
物語を進める主人公のトリップにもセリフがほとんどない映画ゆえに、
歌詞の和訳がスクリーンに出ると目立つし“目にうるさい”からだろう。
もっと言えば言葉による説明の類を必要とせず、
映像とサウンドだけで持っていくパワーの映画なのである。

サブ2MTTN-0003_rgb_small
Photograph by Ross Halfin (C)Metallica Through the Never, Courtesy of  Picturehouse

ここ20年程の間のMETALLICAに対して“いかがなものか”と思うぼくみたいな人間も
彼らを見直すきっかけになりそうな作品でもある

お馴染みの演出も使いつつ、
この映画のために設営された特別なステージの作りも特筆したい。
もともと脚本に書かれていたことかどうかは不明だが、
ライヴでは“ハプニング”も起こる。
例によって『Metallica』以前の曲がセットリストの過半数を占めるとはいえ、
ぼくにはほとんどが引っかからない『Load』以降の曲も生き生きと鳴り響いている。
現メンバーでのMETALLICAが“エゴのバランス”でもイイ感じに進んでいるように見えた。

ロバート・トゥルージロ(b)加入後の初の日本ツアーを観てno moreな気持ちになったぼくだが、
キャラも含めてロバートの存在がMETALLICAを“大衆メタル・バンド”の道を推し進めたと再認識。
でもこれはこれで“あり”なのでは?と思わせるステージである。
TRIVIUMの最新作ところでも書いたように、
もとからMETALLICAはMOTORHEADVENOMみたいなmeanやevilな気質ではなかったのだから。
なにしろライヴの完成度が高くて起伏に富み、
3D効果を活かして様々な角度からとらえた映像が立体感抜群で音も臨場感抜群ゆえに、
うならされること請け合いだ。
ビールの銘柄にたとえればサッポロ黒ラベルでもキリンのラガーでもなく、
アサヒのスーパードライみたいな感覚でスカッ!と喉ごしスッキリの映画である。

DVDやブルーレイで自宅鑑賞したらまた別な印象を抱くだろう。
映像の色合いも含めて映画館でしか味わえないショッキングな感覚の作品なのだ。
見られる環境の方であれば、
是非ビッグな音とビッグスなクリーンで体験していただきたい。
METALLCA自体が何かにつけビッグなことが大好きなバンドなのだから。


★映画『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』
2013年/アメリカ/92分/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル
11月22日(金)から全国で順次ロードショー。
配給:ポニーキャニオン
http://metallica-never.jp/


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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