なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

MELT-BANANA『Fetch』

AZCD009_artwork.jpg


フォロワー多数の女性ヴォーカルを擁して20年以上世界的な活動を続ける、
東京出身のバンドによる7枚目のスタジオ録音アルバム。


しばらくライヴを観ないうちにベーシストも抜けてPCを使う二人組になっていた。

オリジナル・ドラマーの須藤俊明(現・奇形児、NASCA CARほか)や
二代目ドラマーの大島(元SATANIC HELL SLAUGHTER、現・別名WATCHMAN)が脱退してからの、
2000年代の半ばあたりからロック感が消えていった。
2ヶ月ほど前にGRID LINKのサポート・アクトとして出演したライヴを観ても思ったが、
バンド感も消えている。

よくヴォーカルやメイン・ソングライターの面々だけの取材のバンドがあるが、
昔からMELT-BANANAは基本的にメンバー全員でインタヴューを受けていたバンドである。
ただMELT-BANANAがYako(vo他)とAgata(g)の二人がいないと成り立たないことも明らかだ。
ROLLING STONESのミック・ジャガーとキース・リチャーズみたいなものである。
今回のアルバムを聴き、
ぼくにとってのMELT-BANANAは抜けたRika Mm'(b)だったのかもしれないと思ってしまった。
いわば演奏パートは違ってもROLLING STONESにおけるチャーリー・ワッツみたいなもので、
彼女の機械的ではないベースがMELT-BANANAのグルーヴだった。


どこに飛んでいくかわからない危うさを秘めた“そういった異分子たちとの音の軋轢”がなくなり、
初期からMELT-BANANA の中核で夫婦以上にクールな音楽的親密関係のYakoとAgataのユニットになり、
スムーズに走っている。
90年代のアメリカのハードコア・パンクやグラインド・コアをテクノの質感でコーティングしたかの如き
カッチリした“リズム隊”の速いビートをあちこちで使いつつ、
NEU!あたりのクラウト・ロックの2013年ヴァージョンとも言いたくなるトランス・テイストも濃い。
ドラマチックと言えるほど構築的なソングライティングも推し進めている。

いわゆるコマーシャルな音楽スタイルではないが、
ドリーミーなメロディで洗練されてメロウなキラキラした流線型サウンドである。
ますますハジけた音と曲でヴォーカルのポップな声質が活きており、
それこそPERFUMEにも通じるポップ感なのだ。
ところによって近未来的だが、
たとえばニック・ターナーのような生々しいスペース感覚とは違い、
MELT-BANANAはバーチャルなspaceを作り上げている。

成熟の一枚。


★MELT-BANANA『Fetch』(A-ZAP AZCD-0009)CD
三面デジパック仕様で、
内側に手書き書体の小さな文字で英語の歌詞がビッシリ載っている。


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コメント

MELT-BANANAも20年選手なんですね。
ベーシストは最初はメンバーだったみたいですが、途中からサポートになったようです。
近年は作詞作曲をメンバーの2人がやって、mp3とスコアを渡され、リハーサルとライブでベースを弾いていただけと、インタビューで言っていました。
私も行川さんと同じようにRikaがこのバンドをロックたらしめていたように感じます。
RikaはCONVERGEのネイト・ニュートンみたいにプリミティヴなロックベーシストだったので、いなくなって寂しいですね。

コストースさん、書き込みありがとうございます。
ここ数年はバンドと付き合いが疎遠になっていたので、彼女がそういうポジションになっていたとは知らなかったです。ネイト・ニュートンですか・・・・なるほど! ロックなメンバーは一緒にやっていくのは難しいかも・・・文中で書いた異分子ってことで。須藤くんも柔軟な人ではありますが、最近の奇形児やNASCA CARの演奏を聴くとバリバリのロック・ドラムですからね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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