なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

RUSH『Clockwork Angels Tour』

rush-clockwork-angels-tour_LR.jpg


結成45年目の今年ロックの殿堂入りも果たしたカナダのプログレッシヴなロック・バンドの
アルバム『Clockwork Angels』の発売に伴うツアーの模様を収めたCD3枚組。
このツアーのうちの一日を観ていてファンのツボを押さえた佐武加寿子執筆のライナーによれば、
昨年の米国テキサスでのステージが中心とのことである。


常に現在進行形のバンドの姿を見せるべくライヴ盤のリリースも非常に多いバンドだが、
大胆にアレンジを変えることこそあまりしないにしろ曲をアップデートし続けるがゆえのリリースだ。
もちろん“前作”『Time Machine 2011: Live in Cleveland』とはあまり曲がダブってない。

約60分10トラック入りのディスク1は、
各アルバムの冒頭の曲やライヴ盤初収録の曲などの80年代以降の昔の曲が並ぶ。
約66分10トラック入りのディスク2では『Clockwork Angels』のほとんどの曲を披露し、
指揮者と2名のチェロ奏者も含めて総勢10名の
“クロックワーク・エンジェルズ・ストリングス・アンサンブル”がほぼ全編に加わっている。
約60分11トラック入りのディスク3は8分弱の短縮版ながら「2011」を含む昔からの代表曲中心で、
こちらの4曲にも“クロックワーク・エンジェルズ・ストリングス・アンサンブル”が参加しているが、
ボーナス・トラック扱いで「Limelight」がサウンドチェック中のテイクで収録されたのも面白い。


ハード・ロックもトラッドもルーツにしているとはいえブルース要素は薄くプログレッシヴに展開し、
LED ZEPPELINの『In Through The Out Door』の流れをポップに受けついだのがRUSHの歩みにも思えるライヴ盤だ。
ハード・ロックやプログレッシヴ・ロックのダイナミズムをキープしつつ、
ポスト・パンク/ニューウェイヴ風のキーボードやギターの音も使ったりする。
“ジャンル問わずいいものはいい!”と取り入れて高圧的ではなく柔軟なのだ。
そんな開放的な姿勢はこのCDの空気感からも伝わってくる。

楽曲スタイルが違うとはいえ、
トリオ・バンドで歯切れよく曲によってはレゲエも組み込みながらシンプルな音作りのポピュラリティで
POLICEに近いものを感じる。
ベースの音が大きめなところもレゲエ/ダブに通じたりするし、
適度にリラックスした佇まいもそういう音楽からの影響なのかとも勝手に想像できる。
大衆性に富む音楽であっても進歩的な方向性をキープしている点ではMUSEも想起する。
ライヴだとビートに自覚的なバンドということが一層伝わってくるし、
曲によってはノリノリでダンスを促すかのように四つ打ちのリズムも飛び出す。
RUSHにも長い曲はあるが、
“一見さん”の耳と心をも捕えるコンパクトなソングライティングを再認識させられるし、
それでいてロマンあふれる大きなロックで包み込んでいく。

歌詞も含めて示唆的ではあるが、
基本的にはノリのいい“ロック・バンド”だから
もったいつけることもなくスカして気取ることもない。
それでいてイマジネーションを広げていく。
海外よりも日本ではマニアックに捉えられているバンドという印象だが、
なぜ幅広い層のロック・ファンから支持され続けているのかがよくわかる。
時代に遅れず媚びずポピュラリティに磨きをかけながら進化と深化を繰り返すバンドとあらためて思わされる。
俗っぽくなりすぎず優雅。
何より謙虚だし音楽に対して誠実なのだ。


オリジナル・アルバムで歌われたものとはいえ日本盤は歌詞/和訳がすべて載っているから、
このCDからRUSHを聴き始めるのもオススメ。


★ラッシュ『クロックワーク・エンジェルズ・ツアー』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-15423/5)3CD
三つ折り紙ジャケットで16ページのオリジナル・ブックレットに加えて、
日本盤は
本作収録曲のスタジオ録音盤での歌詞とその和訳も読みやすく載った36ページのブックレットも付く。
初回生産分には
“クロックワーク・エンジェルズ・ツアー”の
ミニチュア・ツアー・パンフレット(CDブックレット大のオールカラー36ページ)も封入だ。
11月20日(水)発売。


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コメント

行川さんがRUSHのこと書いてるとは感激!

ども、ご無沙汰してます。DOTのアースダム以来です。
じつは行川さんのメアド不明中なので(PC換えたので)、ここのサイトを開いたんです。

自分じつはRUSHのへヴィ・コア・ファンでして、、
今回のCDも買わねばと思います。
かのマッカートニー卿のドーム・ライブ行かなかったお金でね。

個人的な情報ですが、
自分のV&Gのバンド、
Green Moon On The Water (Season #4~自分以外新メンバー)の再始動ライブがあります。

12月13日(金)大久保水族館
20時~ D付¥1000

もしも何かの事情で暇になんかなっちゃった場合は、、
ぜひあそびにいらしてくださいませ。
~まあどうせくそバンドなんですが、
それなりに理想の音目指して楽しくやっています。

飲む話、、ほんとに近いうちに。。。

氏家さん、書き込みありがとうございます。
EXECUTE~HIGH RISE~GREEN FLAMESでのドラム・スタイルからはRUSHが好きとは想像できませんでしたが、その意外性がうれしいです。マッカートニーも行こうとしていたとは! 
Green Moon On The Waterの件、了解しました。GREEN FLAMESの方もよろしくお願いします。

ありがとうございます!

RUSHは高校時代から聴いています。
一時期エレクトロ・テクノっぽくなった時代(80年代)はいただけなかったけど、今となってはあれがあっての現在のRUSHなんですよね。カナダのバンドでロックの本流にいないようでいて、ちゃんと時代を生き抜いてきてる。
二ール・パートのドラムプレイだって年齢考えたら、すごいですよね。来日あったら金額考えないで観にいきたいですよ。(ないねぇ来日は)

マッカートニーさん、観た人の話だと皆うるうる涙してるようですね一回は。
元気すぎるのがおかしいって、、やっぱりサイボーグ化してるのかな。なにか施してますよねきっと。

You-Tubeにマッカートニーとニール・ヤングが競演してるのとかありますね。ツェッペリンとニール・ヤングとか。。

氏家悠路さん、書き込みありがとうございます。
ニール・ヤングが好きってことは昔から言っていましたね。
RUSHの根はハード・ロックなのでしょうが、たとえばMEGADETHやPARADISE LOSTがエレクトロニクスを取り込んだのと違って、上手くブレンドさせてきていると思います。本文でも書きましたが、メタル方面の人だけでなく日本でももっと一般のロック・ファンの方々にも聴いていただきたいです。
RUSHは80年代初頭の来日公演行きましたよ。

80年代のRUSH,

当時、なにか自分のライブかなんかで見に行かなかったんですよ。
それが今となっては一生の後悔です。
その後のLIVE・DVDなんか観るとね。

90年代にL.A.行ったときに数日の差で観れてないんです。
それこそN.ヤングはL.A.で観たのに。

行川さん、裏山しいです。

続きは、こんど飲んだときにでも。。

P.S.いまジミヘンの新譜、FMでかかっています。LIVE。

RUSH

こんにちは、はじめまして。
このライブはDVDブルーレイも出てますが、
あえてCDをレビューしたのは何故でしょうか?
レビュー文からRUSHに対する思いが伝わってくるので、
当然DVDブルーレイも見たと思いますが、
テイク違いはあるんでしょうか?

書き込みありがとうございます。
>風祭三郎さん
このCDはレコード会社の方からいただいたものです。発売前に送っていただいたので、プロモーションになるようになるべく早く紹介しようと思って載せました。DVD等はまだチェックしていないので比較はできません。手がけたいものが多すぎで、いかんせんなかなか手が回りません。いつか買いたいです。スイマセン。
>氏家悠路さん
余裕ができたら、続き、よろしくお願いします。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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